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Age of Consent



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 80%
Genre: Epic Metal



ヴァージン・スティールの1988年発表の4th。

徹底した大仰なドラマ性を宿すエピックメタルでその手のファンの不動の信頼を得るヴァージンスティールだが、1988年に発表された第4作『Age of Consent』に関しては異例の経歴を持っている。本作は発表後に幾度も再発され、その際にボーナストラック追加と曲順を大幅に入れ替えている。近年のファンの高評価にはその成果が顕著に表れているのだ。
ここで予め我々が述べておくべきなのは、本作は必ずしもすべてがシリアスなエピックメタルではない、ということである。全体を通して大きく偏りがある。ヒロイックで眩暈のするほどロマンティックなエピックメタルが展開される前半に比べ、後半にはキャッチーなアメリカン・ハードロックの楽曲が続出する。恐らくこれらを前半に配置したら流石のファンでも退屈を覚えることになる。ディファイ(David Defeis:vo、key)自身もそう感じ、今回曲順を入れ替えたのであろう。
オリジナル盤では円やかな"On the Wings of the Night"が最初に始まり、次にコマーシャルな"Seventeen"、そしてスロウ・テンポのメロウな"Tragedy"が続くが、再発盤では名曲"The Burning Of Rome"から攻撃的な"Let It Roar"、劇的な前奏と後奏を含むロマンティックな"Lion In Winter"へと鮮やかに流れる。その次は素晴らしい新曲の"Perfect Mansions"だ。やはり再発時の曲順の変更は大幅にこのアルバムの良さを引き出している。

前半の各楽曲の図太い正統派メタル路線も大変オールドファンには好ましいが、今作で特に目立ってきたディファイのキーボードにも注目したい。キーボードの魅力的なバッキングは楽曲に幅を持たせているばかりか、短いインスト・パートでは古典劇風の厳粛な旋律も使いこなしている。中でも"The Burning Of Rome"における表現力は驚異的である。
結果的にこれらの煌びやかなキーボードによってロマンティシズムも大幅に増した楽曲が誕生したことは事実であり、ヴァージンスティールは本作で徐々にエピックメタルの突破口を見出している。そういった意味でも本作『Age of Consent』には非常に興味深い作品だ。

しかし残念ながらデファイは本作をあまり気に入っていないらしい。マネジメントの圧力に押され、納得のいく曲作りが出来なかったからだ。本作の後半に配置されたコマーシャルな楽曲はその名残である。我々はヘヴィメタルの本質とは別の分野でバンドの才能が潰されていく現状に対して何かしらの疑問を覚える。商業的成功を望む者たちは才能ではなく結果を重要視する。今は才能が欠如していても、ラジオやテレビ等の宣伝で売り上げが増える時代だ。後のヴァージンスティールが発表した『Invictus("屈しない"という意味を持つ)』(1998)には、社会的圧力に抵抗する意味も含まれていたのではないだろうか?

追記:本作は再発の際にボーナストラックが多数追加収録された。1997年の再発時に新曲4曲、また2008年新たにリマスター再販された時は#17、#18が収録された。更に2011年の再発では、ダブルデジパック仕様とライナーノーツの追加に加え、2枚組という豪華仕様が施された。このボーナスCDには貴重な未発表曲が収録されている。2011年再販盤に関してはこちらが詳しい。



1. The Burning Of Rome (Cry For Pompeii)
以前本曲に対してある者が語った「ローマという帝国の滅亡を通して、どんな偉大なものでもいつか必ず失われるが、その魂は永遠に続いていく」我々は真に歴史とはそういうものだと考える。歴史を創る者もいれば伝える者がおり、どんな偉大な文明でさえ、後世の人間に伝わることがなければ薄暗い墓の中に永眠してしまうであろう。然り、ヴァージンスティールのエピックメタルの持つ意味は非常に大きいものだ。本曲が偉大なエピックメタルの名曲として残り続ける限り、歓喜の盛衰の渦中にあったローマの悲劇もまた、末長く残り続けるであろう。
2. Let It Roar
バーバリックな疾走曲。メロディよりも攻撃性を重視して駆け抜ける様が潔い。ヴァージンスティールの疾走曲は古典的なヘヴィメタルを彷彿させるものがある。楽曲より放出される野蛮な雰囲気はエピックメタルならでは。
3. Prelude To Evening
#4"Lion In Winter"への序曲。古典劇を彷彿とさせるドラマティックなピアノ・ナンバーである。
4. Lion In Winter
演劇『冬のライオン』をモチーフとしたエピックメタル。本作は『The Lion in Winter』(1968)として映画化もされている。中世を舞台としたドラマティックな作品だけに、本曲のサビは魅惑的なまでにロマンティック。後半にかけて情熱的に盛り上がり、聴き手をヴァージンスティールのエピックメタルの世界へと誘う名曲。
5. Stranger At The Gate
#4"Lion In Winter"のエピローグ。オリジナル盤ではこの前奏と後奏が表記されていなかった。楽曲の構成に関する意図にまで口を挿むマネージメントとは如何なるものか。
6. Perfect Mansions
1997年の再発の際に収録された新曲。ヴァージンスティールの黄金期に収録された新曲のうち、傑出した内容を誇る名曲である。神聖な雰囲気が漂う長尺のエピカルなバラードであり、緊張感が滲み出ている。
7. Coils Of The Serpent
次曲へと繋がる語りによるイントロダクション。
8. Serpent's Kiss
1997年の再発の際に収録された新曲。旧約聖書を題材にし、神秘的な世界観を構築する。後半における劇的な展開は秀逸。
9. On The Wings Of The Night
丸みを帯びたキーボードの音色が印象的なキャッチーなヘヴィメタル。エピックメタルの帝王の楽曲であるという先入観をなくせば、普通に良い楽曲であることに気がつく。しかしヴァージンスティールは"コマーシャルなヘヴィメタルバンド"では毛頭ない。
10. Seventeen
アメリカンな雰囲気が漂うハードロック。単調なリフに緊張感の抜けたサウンドと退屈極まりない内容を持つ。
11. Tragedy
本作に収録されたキャッチーなヘヴィメタルの一部だが、キーボードの効果的な使用や哀愁の漂うサビによって完成度は高い。
12. Stay On Top
ユーライア・ヒープのカヴァー。
13. Chains Of Fire
ノリの良いリフが印象的。陽気かつアメリカンな雰囲気を醸しつつも、ヘヴィなサウンドで攻める箇所は好感が持てる。
14. Desert Plains
1997年の再発の際に収録された楽曲の内の一つであり、ジューダス・プリーストのカヴァー。収録時間を限界まで引き延ばそうとする姿勢は素晴らしいが、結果的に本作には無駄な楽曲が多くなっている。ヴァージンスティールの熱心なファンならば、カヴァー曲よりも新曲が聴きたいはずである。
15. Cry Forever
キャッチーなバラードとして良曲。本曲を聴けばヴァージンスティールが実に臨機応変なバンドであることが分かる。最もバラードがヒットするようなヘヴィメタルバンドは余命を宣告されたものだ。
16. We Are Eternal
前半のエピカルな雰囲気が宿る良曲。しかし時は既に遅すぎた。
17. Screaming For Vengeance
2008年の再発の際に収録された楽曲。ジューダス・プリーストのカヴァーである。最新の『Age of Consent』にはジューダス・プリーストのカヴァーが二曲収録されていることになる。
18. The Curse
2008年の再発の際に収録された楽曲。スラッシュメタル、オリジナル・シン(ORIGINAL SIN)にかつてヴァージンスティールが提供した楽曲のリメイク。



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