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Noble Savage (Re-Release)



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 80%
Genre: Epic Metal



ヴァージン・スティールの1986年発表の3rd。


「我は野蛮人、我は王。 偽善者どもを殺し、悪を打ち滅ぼす」

 "Noble Savage"より


ノーブル・サベージについて...
デイヴィッド・ディファイ(David Defeis:vo)がヴァージンスティールの明確な方向性を巡りジャック・スターと対峙した事は、結果的にヴァージンスティールにとっては良い方向に傾いた。前2作で披露されたジャック・スターの荒々しいリフはもうヴァージンスティールの作品に収められることはなくなったが、代わりに可能性を秘めたこの若いヘヴィメタル・バンドはエピカルな世界観を描くことを許された。
大昔の旧約聖書や古代ギリシア・ローマ時代の神話を伝統的なヘヴィメタルに昇華するアイデアは元々ディファイ自身が持っていたものであり、共にアメリカでヴァージンスティールを結成したジャックはこれを好まなかった。二人の異なる才能は大きく分かれようとしていた。結論は簡単なもので、ヴァージンスティールの未来を考えればディファイ側の意見が正しかった。なぜならヴァージンスティールは他のバンドにはない神秘的な世界観を持っていたし、将来大きく飛躍する可能性を秘めていたからだ。
かくして、ジャック・スターはヴァージンスティールを去った。後任にはエドワード・パーシノ(Edward Pursino:g)が迎えられた。エドワード・パーシノはヴァージンスティールに最も適したギタリストであり、シリアスなコンセプトに合ったロマンティックなメロディも難なく弾きこなす忠実な男であった。エピカルで緻密なリフも、エドワード・パーシノに掛かればドラマティックに表現された。
ようやく役者が揃って完成したヴァージンスティールの第3作『Noble Savage』は1986年に発表された。本作がヴァージンスティールのキャリアにおいて重要な意味を持つ作品であることは間違いなかった。なぜなら、ある一部が大きく突出していたからである。本作は全体的なコンセプト作品ではなかったが、アルバム・タイトルとなっている言葉は新しいヴァージンスティールを表現するのに相応しかった。
読んで文字の如く、"ノーブル・サベージ(高貴な野蛮人)"とはヴァージンスティールのエピックメタルのスタイルのことを指し示す重要なキーワードであった。ヴァージンスティールは人間の内面に秘められた本能的な部分をバーバリックなヘヴィメタルを駆使して解放させることで、自らの新しい分野を切り開こうとした。冷静に考えてみれば、ノーブル・サベージなどは遠い昔に既に滅んでしまった死語に等しいが、それは過去の叙事詩と私たちの血脈の中に抽象的ではあるが生きていた。ヴァージンスティールは古い物語──古代ギリシア・ローマの古典──を現代に蘇らせて、忘却に囚われている私たちの思考と対峙したのだ。故にヴァージンスティールのサウンドは本作で驚くほどヒロイックになっているし、魅惑的なまでにロマンティックな旋律で彩られている。そしてディファイは、名曲として語り継がれる運命にある"Thy Kingdom Come"や"Noble Savage"で美しい裏声を使う術を新しく学んだ。
一見エピックメタルの完成形に思える本作だが、ヴァージンスティールは詰めが甘かった。シリアスなエピックメタル作品であるならば、当然の如く"Rock Me"や"Don't Close Your Eyes"などの緊張感の抜けたアメリカン・ハードロック、またはバラードはまずやらないであろうし、統一感を作品全体に張り巡らせたはずだ。
以前までのヴァージンスティールはエピカルなヘヴィメタルとアメリカ的ハードロックが絶妙に混ざり合っていい雰囲気を醸し出していた。しかしディファイがバンドの方向性と世界観をはっきりとエピックメタルに定めてしまったため、後者は全く必要なくなってしまった。シリアスな楽曲が続いた後に突如として明るいポップ・ソングが出現したならば、エピックメタルファンは間違いなく困惑を覚えるであろう。
真に傑作と称されるエピックメタル作品を目標とするのであれば、中途半端な妥協は許されることではない。間違いなく『Noble Savage』は初期ヴァージンスティールの最高傑作だ。しかし、完璧なエピックメタルとしてはまだまだ改善すべき点を多く残していることも否めない。最も、本作なくしては現在のヴァージンスティールも存在しないことは、私たちが一番良く知っている事実である。ただ私たちは、ヴァージンスティールが生まれ変わった記念日に惜しみない喝采を送る。

追記:本編は#10までで、#11以降はボーナストラックである。1997年の再発時に#11~#16、また2008年新たにリマスター再販された時は#17、#18が収録された。更に2011年の再発では、ダブルデジパック仕様とライナーノーツの追加に加え、2枚組という豪華仕様が施された。このボーナスCDには新曲も収録されている。2011年再販盤に関してはこちらが詳しい。



1. We Rule the Night
冒頭を飾るに相応しい情熱的な名曲。クラシカルなイントロダクションにバーバリックなリフが飛び乗り、サビでの大仰なメロディが胸を熱くさせる。後半はエドワードのソロも華麗に決まる。音楽性はヴァージンスティール以外の何物でもない。
2. I'm on Fire
暗い雰囲気が漂う楽曲。シリアスさを追求するエピックメタルにおいて、キャッチーさや明確さは不用である。
3. Thy Kingdom Come
ロマンティックなムードを最大限にまで高めた名曲。ディファイの魅惑的な裏声、サビでの艶やかな旋律がヴァージンスティールの特徴を存分に引き出している。
4. Image of a Faun at Twilight
次曲へと続くイントロダクション。古典劇風な旋律が次第に雰囲気を盛り上げていく。
5. Noble Savage
エピックメタルらしい大仰な盛り上がりと、独特のロマンティックなムードに溢れる名曲。サビでのディファイの「Noble Savage!」の熱唱は最高に熱い。最後のドラマティックなエピローグも素晴らしい。本曲では既に古代ギリシャ・ローマの神聖な雰囲気が開花している。
6. Fight Tooth and Nail
剣の音を用いた攻撃的なエピックメタル。ヘヴィなリフが野蛮かつ攻撃的な雰囲気を醸し出す。この楽曲は非常にマノウォーのエピックメタルに似通っている。初期ヴァージンスティールはマノウォーと差別化を図っていなかったのかも知れない。
7. Evil in Her Eyes
スロウなテンポのエピカル・リフを駆使した楽曲。#3と同様にサビではロマンティックなメロディを聴かせる。初期からドラマティックな楽曲を作ることに関しては、明らかにヴァージンスティールは抜きん出ている。
8. Rock Me
アメリカン・ハードロック。これらの邪魔な楽曲を最小限にしていくのがエピックメタルバンドとしては重要なことである。エピックメタルファンはこのような楽曲のためにヴァージンスティールの作品をわざわざ購入しているわけではない。
9. Don't Close Your Eyes
能天気なバラード。緊張感が欠如する捨て曲を収録するのが初期ヴァージンスティールの欠点であった。我々は可能な限りヴァージンスティールのエピックメタルを聴き続けていたいが、こういった楽曲に関しては全く逆の意見を述べるであろう。
10. Angel of Light
妖艶かつ神秘的な旋律を最初に用いたエピックメタル。これらの中近東風な旋律は、後に古代ギリシア・ローマ風の旋律とともにヴァージンスティールの大きな特徴となる。本曲では魅力的なメロディや展開があるにも関わらず、中途半端なパートをいくつか導入している。
11. Obsession (It Burns for You)
以下はボーナス・トラックである。
12. Love and Death
13. Where Are You Running To
14. Come on and Love Me
15. Spirit of Steele
北欧神話を題材にしたバラード。非常に繊細で美しい。
16. Pyre of Kings
17. Fight Tooth and Nail [Roman Sword Re-Mix]
18. Noble Savage [Early Take & Mix][Alternate Take]



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