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エピックメタルの帝王(Emperor Of The Epic Metal)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 以下は以前コスマン・ブラッドリー博士が書いた文章を『METAL EPIC』誌が新たに編集し直したものだ。ここではヴァージン・スティールとエピック・メタルの関係性についての研究の成果が記されている。

エピックメタルの創世記にて
Virgin_Steele_01.jpg ヴァージン・スティールは後にエピック・メタルというサブ・ジャンルを確立させ、その歴史を作っていくヘヴィ・メタル・バンドである。初期のヴァージン・スティールはアメリカのニューヨークでデイヴィッド・ディフェイ(David Defeis:Vo)とジャック・スター(Jack Starr:g)を中心に結成された。ジャック・スターはフランス出身であり、9歳まで過ごした後にニューヨークへと移り住んだ。一方のデイヴィッド・ディフェイは1961年1月4日に音楽一家の家系に生まれ、幼い頃からクラシック音楽や演劇などに親しんで育った。彼の父は有名なシェイクスピア俳優であり、演劇と同じくピアノの教育にも熱心であった。デイヴィッド・ディフェイは8歳の時にピアノのレッスンを始め、欧州のクラシック音楽を中心に学んだ。16歳の時に転機が訪れた。マウンテン・アッシュ(Mountain Ash)と呼ばれる彼のバンドが高校のギグのためにオーディションを行い、その場で親友エドワード・パーシノ(Edward Pursino:g)と出会ったのだ。その後、2年生の音楽大学を卒業してから、デイヴィッド・ディフェイは初めてジャック・スターと出会った。連絡のきっかけは、ニューヨークで新しいバンド結成のためのヴォーカル募集広告にあった。1980年代初期には輝かしいロック・スターの影に隠れて多くのヘヴィ・メタル・バンドが結成されていた。ヘヴィ・メタルがいくつかの成功を収めているように、2人のバンドも将来を期待されていた。1981年に始動したバンドはヴァージン・スティールと名付けられ、ニューヨークのアンダーグラウンド・シーンから登場した。なお、ヴァージン・スティールの名前は"純粋な鋼鉄"などに由来しているが、誰が付けたかは正確には分かっていない。ヴァージン・スティールの記念すべき第一作『Virgin Steele』は1982年に発表された。本作は「Music For Nations」から配給され、正式なヴァージン・スティールのデビュー作品となった。この頃の作品にはハード・ロック的な印象の楽曲が多く、70年代を彷彿とさせる雰囲気が大きな特徴であった。また、初期作品にはジャック・スターの個性的なギターが色濃く打ち出されていた。これは"ヴァージン・スティールがジャック・スターのバント"ということの証明であった。第2作『Guardians Of The Flame』は前作と同じく「Music for Nations」より1983年に発表された。本作の米国盤の名称は『Virgin Steele II』というものであった。なお、この作品は米国盤と欧州盤ではジャケットが異なっていた。内容には前作からの進歩があり、パッヘルベルのクラシックの名曲"カノン"をモチーフにするなどの工夫があった。楽曲もデイヴィッド・ディフェイとジャック・スターの制作で分かれており、お互いには明確な個性があった。特にデイヴィッド・ディフェイの楽曲はクラシックかつドラマティックであり、後のエピック・メタルの要素をいくつか持っていた。しかし、まだデイヴィッド・ディフェイのヴォーカルが未熟であり、バンドのサウンドも安定して聴ける内容ではなかった。1986年に「Cobra」より発表された第3作『Noble Savage』では、デイヴィッド・ディフェイとの音楽性の違いを理由にジャック・スターが脱退した。ここでは後にデイヴィッド・ディフェイの右腕となる親友エドワード・パーシノ(Edward Pursino:g)が加入した。当時のジャック・スターが望んだ音楽性はよりストレートなハード・ロックであり、デイヴィッド・ディフェイの追求するエピックな音楽性とは異なっていた。それを証明するように、その後のヴァージン・スティールはデイヴィッド・ディフェイの描く叙事詩的な世界観を強調するようになる。本作は内容的にも大きな飛躍を遂げ、従来のヘヴィ・メタルとは異なる部分を強烈に主張していた。特にアメリカのマニラ・ロード(Manilla Road)やキリス・ウンゴル(Cirith Ungol)等によって"エピック・メタル"と形容されていた音楽性が本作では表現されていた。タイトル曲の"Noble Savage"では「高貴な野蛮人(ノーブル・サベージ)」という古代の思想をモチーフにし、ヴァージン・スティールの新しい名曲を作り上げた。この時期から、ヴァージン・スティールの音楽性には、ギリシア・ローマ等の古典文学に通じる重厚な雰囲気が顕著になる。なお、前述の通り、デイヴィッド・ディフェイの父は演劇に詳しく、彼は幼い頃からエウリピデス(*注釈1)やアイスキュロス(*注釈2)、シェイクスピアなどの作品に親しんでいたという。1988年10月に「Maze Music」より発表された第4作『Age of Consent』はファンからも高く評価された。本作にはヴァージン・スティールの代表曲"The Burning of Rome"を収録し、前作よりも更にエピカルな面が強調されていた。しかし、一方でマネージメントの圧力に押されるというデイヴィッド・ディフェイ本人の葛藤があった。当時、流行の音楽性にシフトするように強いられた影響が、いくつかのアメリカン・ハード・ロック的な楽曲に表現されている。実際、本作のエピックな部分を評価しているファンの間ではこの構成が賛否両論となった。そのためか、本作は発表後に幾度も再発され、その際にボーナス・トラック追加と曲順を大幅に入れ替えている。残念なことに、本作発表後にヴァージン・スティールは活動休止を発表した。これにはマネージメントの圧力やバンドの音楽性の問題もあった。次のヴァージン・スティールの新作が発表されたのは1993年3月であった。しかし、ファンの期待は「Shark Records」配給の第5作『Life Among the Ruins』で裏切られた。コマーシャルなロック・ナンバーと軽快なブルーズ・ソングに代表される本編の作風は、ポップ化したと言われファンに非難された。本作は後にデイヴィッド・ディフェイが失敗作ではないと認めているが、多くのファンはこの作品に対して不信感と疑問を抱いた。本作を非難されるのは、デイヴィッド・ディフェイが最も影響を受けているバンド、レッド・ツェッペリンに従った自分の原点を否定されるものと同様であったという。

>>To be continued in:Emperor Of The Epic Metal:Next...


*注釈1:Euripides(480 - 406 B.C.)。古代アテナイの悲劇詩人。代表作に『メデイア』、『アンドロマケ』、『トロイアの女』等がある。
*注釈2:Aischylos(525 - 456 B.C.)。古代アテナイの悲劇詩人。代表作に『縛られたプロメテウス』、『オレステイア三部作』等がある。

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