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Irae Melanox [Analog]



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 91%
Genre: Epic/Progressive Power Metal


イタリアのミラノ発祥、全イタリアン・エピック・メタルの始祖、アドラメレクの1988年発表の1st。


「最も洗練された騎士道的エピック・メタルのマイルストーン」
 ──Classix Metal


『イタリアン・エピック・メタルの歴史:序章』より...

1 序文

近年、NWOMEMの拡大で飛躍的な活躍を続けるイタリアだが、長い間、地下エピック・メタル・シーンの真の起源は謎に包まれていた「イタリアのエピック・メタルのシーンは、一体どのように形成されていったのか」我々は少なくとも、アメリカで発祥した地下エピック・メタルの起源が、80年代初期のマニラ・ロードとキリス・ウンゴルの活躍に属していることを突きとめた。しかし、それは、エピック・メタルの最初の歴史に関わるものであり、その後の顛末を含んではいなかった。既に過去の多くの記事の中で我々が追求してきたように、また、それらの事実が物語っていたように、時代と共にエピック・メタルは世界各地に分布していった。そして、世界の果てへと続く航海の如く、その長い旅路の最終的な目的地は地中海のイタリアであったのだ。今や世界において、エピック・メタルの巨大な市場と化したイタリアでは、80年代を軽く凌駕する数多のバンドが群雄割拠し、恰も人類史のように興亡を繰り返している。

2 アドラメレクの登場

アメリカのエピック・メタルの真の歴史がマニラ・ロードによって幕開けたように、イタリアのエピック・メタルの礎を築いたのはミラノ出身のアドラメレクであった。1986年、フランコ・アヴァリ(Franco Avalli:b)とジャンルカ・コロナ(Gianluca Corona:g)がブラック・サバスやアイアン・メイデン、クイーンズライク(QUEENSRYCHE)のカヴァー・バンドを結成したのがその原形であるアドラメレクは、その後、ジャンルカ・コロナが"ADRAMELCH"なる楽曲を書き、正式なバンド名となった。アドラメレクはユダヤ教、及びキリスト教の孔雀の悪魔であり、古くはフェニキアで信仰されていた神秘的な存在である。バンドは当時のパワー・メタルやプログレッシヴ・ロックのような音楽性を標榜していたが、不気味なバンド名が物語っているように、そこに別の要素を付け加えることにしたのである。

3 『Irae Melanox』

アドラメレクがイタリアの「Metal Master Records」から1988年に発表した第一作『Irae Melanox』は、地下で絶大な支持を獲得したウォーロード(WARLORD)やマーシフル・フェイト(MERCYFUL FATE)に影響を受けたカルト的なサウンドに加え、暗澹たる中世の世界観と十字軍の暗い史実、及び信仰を網羅した、イタリアで最初のエピック・メタル作品となった。決してパワー・メタルやプログレッシヴ・メタルには収まりきらないその斬新な音楽性は、作品の内部に潜むリアリスティックな中世の世界観と相俟って、一部の地下シーンでは大変な高評価を得た。既にアドラメレクは地下アメリカの伝説的なバンド、スローター・エクストロイス(SLAUTER XSTROYES)が『Winter Kill』(1985)で提示したプログレッシブなエピック・・パワー・メタルのサウンドを完成させていた。ジャンルカ・コロナが描いた絵画がアルバム・ジャケットとなり、NWOBHMに影響を受けてはいるが、知的極まるエピック・メタルのサウンドを表現した『Irae Melanox』の衝撃はまさに絶大であった。"Fearful Visions"、"Zephirus"、"Irae Melanox"という大作志向の邪悪な傑作群が本作の前半を占め、"Was Called Empire"、"Eyes of Alabaster"、"Dreams of a Jester"といった終盤における騎士道的な楽曲の存在が、イタリアン・エピック・メタルの歴史における重大な転機となった。しかし、「エピック・メタル」という当時の欧州では全く受け入れられていない音楽性と、地下シーンでの配給の悪さが悪循環を齎し、アドラメレクの存在と奇跡のような傑作『Irae Melanox』は悠久の幻と化すに至る。我々の調査のメスが入るのが遅れたのも、恐らくはそのためと思われる。

4 その後

爾来、イタリアの「Underground Symphony」が2010年に本作を再発。その際、2枚組仕様となり、1987年のデモと未発表曲8曲が追加収録された。この時、イタリアのエピック・メタルのルーツが遂に公になったのだと、多くのエピック・メタル・ファンは喜んだ。我々とて、その感慨の気持ちは同じであった。



1. Fearful Visions
不気味さを極める陰惨なイントロダクションから怒涛のリフへと展開。鋭利なメロディが狂気の渦巻く中で奏でられ、獰猛な悪魔の如き咆哮をあげる。攻撃性を極めたサウンドながら、楽曲からは構築感のある知性をも感じさせる。当時の衝撃は計り知れない。
2. Zephirus
凶暴なエピック・リフが唸る。メロディとスピード、リズムが完璧なドラマ性を表現し、聴き手に容赦なく襲い掛かる。一部ではアンセミックなコーラス・パートも配す。圧倒的な情報量を持つ、雪崩の如き名曲。
3. Irae Melanox
悪魔サタンをテーマにしたタイトル・トラック。およそ7分に及ぶ。このテーマは単なる悪魔主義とは異なり、叙事詩的な手法で描かれている。中世の異様なムードを放ちながらスピーディに展開する。カルト的なギター・メロディの応酬には息をつく暇すら与えられない。知性と狂気の両方を極めた至高の名曲だが、その他のジャンルには押し留められない、一種の芸術性すら醸し出す。これもエピック・ヘヴィメタルが世に生み出した最高傑作の一つか。
4. Lamento (Anonymous XV Cent)
中世の雰囲気を持つインストゥルメンタル。
5. Decay (Saver Comes)
大仰なリード・ギターのメロディがオーケストラの如く奏でられる楽曲。80年代に帰属するテクニカルなサウンドは衝撃的。スピーディなリフに乗るエピカルな旋律は恍惚。緩急に富んだ展開はあまりにも劇的。前衛的なサウンドはプログレッシブな音楽性の頂点である。
6. Was Called Empire
壮絶な疾走曲。テンションが衰えず、的確に中世の世界観を描き出していく。劇的な手法が生々しく成功し、勇壮なムードが漂う本曲は、恰も悲壮なる十字軍のメイン・テーマといったところであろう。
7. Eyes of Alabaster
アラバスター (Alabaster) とは白い鉱石のこと。中世時代には教会や家屋など多くの建造物に使用された。メロディックかつスピーディな内容は不変。中世の宮廷的なムードを宿し、かつて現実に存在したそれらの伝説を迫真のエピック・メタルで描く。リアリスティックな手法からは感動すら味わえる。これで後続のバンドはアドラメレクを称賛しないはずがない。
8. Dreams of a Jester
強烈なリズムを用いてヘヴィかつメタリックな内容を表現する。前半のダークなイメージとは異なり、ここでは中世騎士道物語のようなヒロイックな高揚感によって包まれる。コーラス・パートの雄々しさは絶品。



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