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Down Among the Deadmen



Country: United States
Type: Full-length
Release: 2000
Reviews: 90%
Genre: Epic Power Metal


アメリカのペンシルベニア州出身の正統派エピック・パワー・メタル、ザ・ロード・ウィアード・スルー・フェグの2000年発表の3rd。


「現代のメタル・クラシック」
 ──The Metal Archives



1 経歴

エピック・メタルの数多ある歴史の中で、神話や伝説などのフォークロアにインスピレーションを受けたバンドは多い。北欧神話、ケルト神話、ギリシア神話などの民族的な伝承は、過去幾度となくエピック・メタルの分野にも貢献してきた。ここにバンド名をケルト神話に触発された英国のコミックスから取ったというザ・ロード・ウィアード・スルー・フェグも、キリス・ウンゴルがそうであったように、エピック・メタルの伝統に沿ったバンドの一つである。
アルスター伝説群における英雄叙事詩『クアルンゲの牛捕り(Tain Bo Cuailnge)』の世界観に強烈な影響を受けたスルー・フェグの歴史は、80年代後半のアメリカのペンシルヴァニア州から始まった。アイアン・メイデン、ブローカス・ヘルム、キリス・ウンゴル、マニラ・ロードといった先人たちを崇拝し、クラシックでドラマティックなエピック・パワー・メタルを体現することが、初期スルー・フェグの大きな目標であった。そしてそのために、バンドは伝統的なエピック・ヘヴィメタルの要素と、ツイン・リード・ギターを主軸とするメロディック・メタルの要素を取り入れた。
90年代のヘヴィメタル・シーンを復興させるべく決起し、リーダーであるマイケル・スカルジ(Michael Scalzi:vo、g)を中心に意欲的な活動を続けたバンドは、後にカリフォルニア州サンフランシスコのベイ・エリアへと拠点を移した。そして1993年までの間にいくつかのデモを発表した後、決定的なデモ『Highlander』(1994)を発表。次いでスルー・フェグは1996年に念願であった第一作『The Lord Weird Slough Feg』(1996)を発表し、これがエピック・メタルのマニアたちの目に留まり、スルー・フェグの存在は地下で大きく知れ渡ることになる。バンドは1998年に待望の第2作『Twilight of the Idols』(1998)を発表。独創的な世界観とドラマティックなエピック・メタル・サウンドを完成に近づけ、更なる評価を獲得した。

2 傑作の誕生

スルー・フェグのファンにとって、第2作『Twilight of the Idols』での飛躍は特に大きなものであった。独自の世界観の確立、そしてトラディショナルなヘヴィメタルがクオリティの高い楽曲の中で表現され、バンドの今後の可能性を示す内容を含んでいた。90年代後半にかけて、メロディック・パワー・メタルがその人気を再燃させたことのように、スルー・フェグは着実に進化の階段を上り始めていた。
今や激動の90年代は終わりを告げた。ヘヴィメタルの歴史的な荒廃は過ぎ去り、この21世紀に新しい時代が訪れた。過去の苦難や絶望も良い思い出と化していたのである。しかし、人間には休みなどがないように、ヘヴィメタルのシーンは活動を続け、ミレニアムに相応しい強力な作品が必要とされた。ここでは過去を踏襲しながらも、斬新な方法論が必要であったのだ。
この年のエピック・メタル・シーンでは、始祖マニラ・ロードの再結成が大きな話題を呼んでいた。心機一転、エピック・メタルの歴史は新たな一歩を刻み込もうと、既に胎動を始めていた。その波に第一に乗り出したのが、アメリカのサンフランシスコのスルー・フェグであった。当然の如く、新作に期待するファンの声は大きく、世界各地から送られた予想以上の反応にバンドは圧倒された。『Twilight of the Idols』が巨大なポテンシャルを秘めていたように、次の作品がこれを上回るであろうことは確かに保障されていた。
そして、勇士が剣を鍛えるかのように、完成したスルー・フェグの第3作『Down Among the Deadmen』は、読んで文字の如く、エピック・ヘヴィメタルの偉大な傑作の列にその名を刻んだ。個性の爆発、及び才能の開花がこの『Down Among the Deadmen』からは感じ取られ、聴き手を圧倒するダイナミックなドラディショナル・メタルの切り口と、高度なドラマ性を有するエピック・メタルの生々しい質感が、柔軟な発想によって表現されていたのである。かつてマニラ・ロードやブローカス・ヘルムが地下で発展させてきたエピック・メタルに、アイアン・メイデンの洗練された要素を加えたスルー・フェグのサウンドは、本作で遂に完成され、知的かつ複雑、そして変則的なリズムを多用し、この斬新な作品へと結び付けた。サウンドの中核を成す劇的なツイン・リードは、リーダーであるマイケル・スカルジと、同郷のエピック/プログレッシブ・メタル・バンド、ハマーズ・オブ・ミスフォーチュン(HAMMERS OF MISFORTUNE)でも活躍するジョン・コベット(John Cobbett:g)が紡ぎ出すものであり、何れの楽曲でも驚異的なフレーズを刻んでいる。特に前半を飾る"Sky Chariots"、"Walls of Shame"、"Warriors Dawn"では、初期スルー・フェグの集大成的内容を遺憾無く発揮し、最高の名曲としてファンを興奮させる力を有している。
かくして新時代に発表された本作『Down Among the Deadmen』だが、スルー・フェグはこれまでの最高傑作を作り上げた。一切隙のない内容であり、ヘヴィメタルの伝統を受け継ぐこのような名作の登場が、エピック・メタルの後の繁栄を約束したのである。エピック・メタルは進化するが、スルー・フェグも進化するであろう。例え狭まったジャンルに限定せずとも、スルー・フェグの『Down Among the Deadmen』は十分な魅力を持っている。本作がエピック・メタルという分野の門口を広げた功績はいうまでもない。なおアルバム・カヴァーはアメリカのファンタジー・アーティスト、エロール・オトゥス(Erol Otus)の手によるものである。



1. Sky Chariots
トラディショナルなヘヴィメタルの唯一無二の傑作。メタリックなリフがメロディックに心地いいリズムを刻む。既に独特の世界観は揺るぎない。
2. Walls of Shame
リズミカルなメロディで変則的に展開。初期の集大成的な名曲であり、近未来的なムードも持つ。
3. Warriors Dawn
ダイナミックかつドラマティックな名曲。グルーヴ感のあるリフとメタリックなメロディを使い分ける。中間部にはテンポ・チェンジも挿み、プログレッシブな面も強調する。
4. Beast in the Broch
アコースティックなインストゥルメンタル。前作でも導入されたフォークの要素が光る。
5. Heavy Metal Monk
奇怪なメロディが印象的な楽曲。この世界観は前衛的。
6. Fergus Mac Roich
スピーディな小曲。スリリングに疾走する。
7. Cauldron of Blood
前2曲と繋がる構成。ツイン・リードを駆使し、目まぐるしいまでの展開を有する。エピック・メタル的な冗長なドラマ性も存分に発揮。8. Troll Pack
9. Traders and Gunboats
ワイルドなアップテンポ。ノリの良いリフが流麗なギターメロディと共にドラマティックな疾走をする。
10. Psionic Illuminations
静から動へと展開。雄大な雰囲気を宿すエピック・ナンバー。中間部における劇的なギターワークは絶品。これはスルー・フェグのツイン・リードの完成形であるかも知れない。
11. Marauder
12. High Season
13. Death Machine
スルー・フェグのメタリックなサウンドと奇怪な世界観が融合した佳曲。中間部から開始されるスピーディなパートはパワー・メタル的なスリルを極める。



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