Epic Metal; Review Fan Site.
© 2010-2017




Fede Potere Vendetta Overlod Ed



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2010
Reviews: 93%
Genre: Epic Power Metal


イタリアのティボリ発祥、エピック/ヒロイック・メタルの子孫、ロジー・クルーシズの2010年発表の3rd。


「心得ておくがいい、王子殿下よ、大洋がアトランティスを呑み尽くし、その煌く都邑の数々を滅ぼした時より、アリヤスの子孫が勃興するまでの時の狭間に、今は忘れられた時代があり、数多の輝ける王国が、星々の下の青い外套さながらに、世界に広がっていたことを──ネメディア、オフィル、ブリタニア、ハイパーボリア、黒髪の女性と蜘蛛の巣喰う神秘の塔で知られたザモラ、騎士道で名高いジンガラ、田園地帯のシェムと国境を接するコス、影に守られた墳墓の国スティギア、鋼を身につけ、絹と黄金を纏った騎手を擁したヒルカニアなどである。しかし、この世界で最も誇り高い王国は、夢見る西部に君臨したアキロニアであった。この地にやってきたのがキンメリア人コナン、漆黒の髪に陰鬱な色を湛えた瞳を持ち、剣を手にした盗賊、掠奪者、殺人者であった。途方もなく憂鬱で途方もなく陽気な彼は、宝石をちりばめた地上の王座の数々を、サンダルを履いた足で踏みにじっていったのである」
 ──ネメディア年代記



本作はロジー・クルーシズの第3作『Fede Potere Vendetta』(2009)を英語圏ヴァージョンに新たに録り直したものだ。EP『Venarium』(2010)を経ての発表となる。ロジー・クルーシズが最新作である第3作目を再録した背景には、様々な諸説が飛び交っているが、そのうち、恐らく最大の原因となったのは、音質面での問題であろう。ロジー・クルーシズは前作『Fede Potere Vendetta』を、傑作と称された第2作『Il Re Del Mondo』(2008)より劣る音質で提供してしまった。そしてロジー・クルーシズのファンは、そのことがずっと気になったままであった。

『Fede Potere Vendetta - Overlord Edition』と題された本作は、イタリア語から英語へと変更する際に再録した成果が多大であり、音質面で問題視──しかしクオリティ面では絶賛──された前作で憤りを感じたというファンは、確実に満足する内容となっている。音質がクリアになったことによって、『Fede Potere Vendetta』の内容が如何に素晴らしいものであったか、などという再評価もファンの間では起こっている。専ら歌詞を英語にしたことによって、一部の楽曲では、同郷で類似スタイルのドミネを彷彿とさせる場面も出現し始め、感受性の鋭いリスナーは恐らく指摘するはず。何れも、高尚なエピック・メタル・バンドである事実以外に差異はないのだが。

紆余曲折あったが、エピック・メタルの伝統的なヒロイズムに相応しく、本作こそ正統にして真性のコナン・ミュージックのリバイバルである。汗握る拳で剣を打ち鍛えるキンメリアの鍛冶屋の如く、剣を筆に持ち替えた現代の信奉者らは、蘇った古代の信仰の祈りの言葉を聴くように、『Fede Potere Vendetta』を静寂の中で聴き、同じくその手に汗握ることであろう。即ち原始の人間が感じたであろう恍惚と興奮を、現実の陽光の遠く遮られた秘密の場所に至り、我々も願わくば感ずるのである。Crom!

2012年、8月号、『METAL EPIC誌:ヒロイック・ファンタジーの再訪』より



1. The Fall of the False
1996年の楽曲。ギターを主軸にしたエピカルなインストゥルメンタル。リードギターがダークなメロディを奏で、ドラマ性を高めるナレーションや剣のSEを加える。後半にはテンポ・チェンジと掛け声が入る。
2. Fede Potere Vendetta
1993年の楽曲。タイトル・トラック。イントロダクション"The Fall of the False"のダークな世界観を引き継いだ展開を聴かせる。各パートではスピーディなリフと大仰なコーラスを多用。アグレッシブなサウンドとシリアスなメロディの放つ緊張感が独特。
3. Crusade
1994年の楽曲。およそ7分に及ぶ大作。威厳に満ちたエピカル・リフが扇情的。荒馬の如く駆け廻るヒロイックなメロディ、及び勇敢なムードを発散するヴォーカルが、唯一無二の英雄叙事詩の世界を創造する。マノウォーにも通じるバーバリックなサウンドを提示し、一方のエピローグでは、ヴァージン・スティールを彷彿とさせる劇的な展開も見せる。
4. Anno Domini
1996年の楽曲。ヒロイズムを極めたエピック・メタルである。容赦のない説得力に満ちたサウンドが、劇的なヒロイック・ファンタジーの世界観と狂おしいまでの名演を果たす。リードギターのメロディは極めてセンセーショナルなもの。エピック・ファン待望の一曲であろう。
5. The Nemedian Chronicles
1995年の楽曲。"コナン・トリロジー"の一曲目。コナンの第一作『不死鳥の剣(The Phoenix on the Sword)』(1932)にて描かれている、冒頭の物語の導入部を忠実に再現した内容。ナレーションに至ってはそのままである。なおベイジル・ポールドゥリス作『Conan the Barbarian(邦題:コナン・ザ・グレート)』(1982)のサウンドトラックからのメロディの引用がある。
6. Crom
1995年の楽曲。"コナン・トリロジー"の二曲目。「クロム」とはキンメリア人が信仰する神の名。 完全なるコナン・ミュージックの再臨である本曲は、途方もない臨場感と常識を逸したヒロイズムが宿る大傑作である。冒頭のリードギターの奏でる英雄的な旋律は驚嘆に値する。なお英語盤では、同国のドミネにも通じる独特のムードが漂う。コーラスに至っては、イタリア語盤の方が重厚に練られている印象を受ける。
7. Venarium
1997年の楽曲。"コナン・トリロジー"の三曲目。およそ8分に及ぶ大作。コナンが最初に登場したという、少年時代のヴェナリウム砦での闘いを描く。哀愁に満ちたメロディでヒロイックな世界観を構築し、そこに妖艶かつダークな疾走感を加味した一大傑作である。怒涛の興奮に満ち、荘厳なムードによって支配された英雄たちの世界が、絶えず聴き手を圧倒し続ける。どうやらロジー・クルーシズの音楽では、常に"劇的"であることが当たり前のようだ。
8. Blood-Steel
2009年の楽曲。ヘヴィな疾走曲であり、要所に雄々しい掛け声風コーラスを用いる。劇的な旋律に彩られたリフも素晴らしい演出をする。
9. Yes We Tank
ボーナス・トラック。英語盤にのみ収録。潔く完結している本作の内容に、敢えて蛇足を加える必要はない。



Click Ranking for epic metal!

にほんブログ村 音楽ブログ HR/HMへ
にほんブログ村
関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://cosmanbradley.blog129.fc2.com/tb.php/545-e0fd7999
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック