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Il Re Del Mondo



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2008
Reviews: 92%
Genre: Epic Power Metal


イタリアのティボリ発祥、NWOMEMの代表格、ロジー・クルーシズの2008年発表の2nd。


「エピック・メタル史上窮極のメロディアス盤」
 ──『METAL EPIC』誌



『Il Re Del Mondo』について...
ロバート・E・ハワードの小説を題材とした第一作『Worms of the Earth』(2003)の発表後、イタリアのロジー・クルーシズは、エピック・メタルの偉大な始祖であるキリス・ウンゴルのトリビュート・アルバム『One Foot In Fire』(2006)、次いでマニラ・ロードのトリビュート・アルバム『The Riddle Masters』(2007)に参加して時間を繋げていた。それぞれ提供した楽曲は『One Foot In Fire』に"Death of the sun"、『The Riddle Masters』に"The Fires of mars"である。
間違いなく、ロジー・クルーシズは80年代の正統的なエピック・メタルを継承した新世代のエピック・メタル・ムーヴメント、NWOMEM(New Wave of Mediterranean Epic Metal)における有力株であった。実際に、前作『Worms of the Earth』は世界各地のエピカルなリスナーから予想以上の反応を得ていた。シンフォニックなサウンドを使用せず、硬派なパワー・メタルとエピック・メタルの独創的な世界観が融合したロジー・クルーシズの強烈なサウンドは、将来に対する期待もまた、大きいものであった。前作の発表からおよそ5年の月日が流れたが、ファンはロジー・クルーシズから受けた強烈なインパクトを忘れることができないまま、この日を迎えた。
ロジー・クルーシズ──中世の《薔薇十字団》をモチーフとしたバンド名を使う神秘主義的なこのイタリアのエピック・メタル・バンドは、アンドレア・マージン(Andrea "Kiraya" Magini:g)とイゴール・バッチ(Igor Baccei:g)によって、1988年にティボリで結成された。意味深なバンド名が物語るように、当然の如く、彼らは古典的なエピック・メタルのスタイルを追求し、初期にはキリスト教や中世の神秘主義を扱う歌詞を書いた。現在も受け継がれているバンド名は、その時の名残に過ぎない。
やがてキリス・ウンゴル、マニラ・ロード、ウォーロード、マノウォーといった先人たちに影響を受けて成長していったロジー・クルーシズは、1992年にデモ第1作『Il Re del Mondo』を発表する。そして1998年にはデモ第2作目となる『Fede Potere Vendetta』を発表。この2作目のデモの段階で、どうやらロジー・クルーシズは自分たちに最も相応しい題材を発見するに至ったようであった。テキサス出身の小説家、ロバート・E・ハワードが創造したとされる幻想的なヒロイック・ファンタジーの世界観が、大地に敷石を隙間なく敷き詰めるように、見事にロジー・クルーシズの剛直なサウンドに収まったのである。以降、ロジー・クルーシズは、これらの勇壮な世界観に強烈なインスピレーションを受け、デモ第3作『Promo 1999』(1999)、デモ第4作『Bran Mak Morn』(2001)を矢継ぎ早に発表し、遂に正式な第一作『Worms of the Earth』を発表するに至ったのである。
バンドは尊敬するアメリカのマノウォーと同様のスローガンを大胆に掲げ、新世紀のエピック・メタル・シーンに斬り込んでいった「偽りのメタルに死を!」。またこの時期、幸運な出来事もあった。2002年に、ロジー・クルーシズはエピック・メタルの始祖マニラ・ロードと同郷の実力あるエピック・メタル・バンド、ドゥームソードとの間に友情を結んだのである。
さて、夜空に星々が輝いている必然さのように、ロジー・クルーシズの第2作目が「Jolly Roger Records」から発表された。この『Il Re Del Mondo』と題された本作は、文章を注意深く読んでいれば気付くことであろうが、1992年に発表された第一作目の同名デモ音源の再録盤である。我々はロジー・クルーシズを指してよく"新世代のエピック・メタル・バンド"と呼ぶが、イタリアのドミネやマーティアと同様、彼らの結成の歴史は80年代にまで遡ることができる。これらの地下で活動を行っていたバンドが、どういうわけか、近年、特に2008年以降に急激にシーンへと登場してくるようになったのである。時代がようやくエピック・メタルのインテリジェントな音楽性に追いついたという考察もあるが、真相はどうであれ、結論としてエピック・メタルのシーンは大いに盛り上がった。そして、我々の推測では、ロジー・クルーシズの第2作『Il Re Del Mondo』もまた、新時代のエピック・メタル・シーンに新たな風を吹き込む格好の材料になる、ということである。それも巨大な、暴風を伴う台風のような、凄絶な風によって…
ロジー・クルーシズの大きな成功の要因の一つは、歌詞を母国イタリア語に変え、大仰な歌唱を得意とするジュゼッペ・チャローン(Giuseppe Cialone:vo)の持ち味を最大限に引き出したことだ。前作以上に民族的なインスピレーションを宿したエピック・メタルを展開した事で、以前とは全く異なった印象をリスナーに与えることに成功したのだ。本作の収録曲が制作されたのは1992年頃だが、時代性が齎すイマジネーションの差異を全く感じさせない強烈な内容に至っては、誠に驚嘆を禁じ得ない。はっきり断言してしまうと、前作のロジー・クルーシズとは全くの別物である。
今や豹変したスペインのサウロムにも接近したかのような、新生代エピック・メタルを代表するような前衛的なサウンドが、『Il Re Del Mondo』には収められている。エピック・メタルの一つの神話大系である中世やヒロイック・ファンタジーのテーマに大胆な手法で迫り、幻想的な雰囲気に大幅な説得力が加味された肉厚のサウンドを有し、熟達した叙事詩的世界観を作り上げた本作こそ、未来のエピック・メタルの礎を体現したともいえる、真の歴史的な傑作である。そして、本作を完成させるに至って、シンフォニックなエフェクトは一切使用されてはおらず、厳格にも正統派エピック・メタルの古典的スタイルを固辞し、極限状態での破綻したドラマティシズムを追求したことが、ロジー・クルーシズの達成した最大の偉業に連なっている。これをリスナーのうちの一人が「既にエピック・メタルを超えた」というのであれば、ヤハウェがアブラハムに齎した信託の如く、エピック・メタルの未来は約束されたことになるであろう。まさに新時代エピック・メタルの曙が訪れた。



1. Sacrem Reformationem
1992年の楽曲。妖艶な音色に導かれて開幕する劇的なエピック・メタルの世界。その方向性は他の追随を許さない。
2. Rosa Croce
1991年の楽曲。およそ8分に及ぶ大作。バンド名を冠した渾身の楽曲であり、本作のハイライト。神秘的な教祖クリスチャン・ローゼンクロイツ (Christian Rosenkreuz, 1378 - 1484)によって創設した中世の秘密結社、《薔薇十字団》に関して描いている。ロジー・クルーシズ(ROSAE CRUCIS)という名は、実際の《薔薇十字団》の多くのメンバーに与えられた名であるという。スリリングな疾走パートに深遠なコーラスを導入し、その後一気に雪崩れ込む展開を有する。中間部からはまるで別曲。恰もオペラ会場の如き劇的な顛末に眩暈を覚える。
3. La Chiesa
1990年の楽曲。劇的に疾走するエピック・メタル。メロディックなフレーズに加え、母国語の独特な響きが異様な空間を形作る。スリリングなギタープレイも要所で光る。
4. Contro Il Mio Destino
1991年の楽曲。およそ7分に及ぶ楽曲。シリアスな雰囲気に彩られた絶品のエピック・メタル。随所に配置されたメロディアスなリードギターは強烈に耳を惹きつける。後半から開始される疾走パートはドラマ性を極めている。
5. Il Signore Delle Tempeste
1990年の楽曲。ネオ・クラシカル風なギターが耳に残る。疾走するパートと台詞が導入されるパートにおいて、エピック・メタル特有の異様な緊張感を醸し出す。
6. La Sacra Corona
1991年の楽曲。およそ9分に及ぶ大作。ローマ教皇と十字軍について歌う。異様な雰囲気によって包まれ、恰も大作映画の如き重厚感で聴き手を圧倒する傑作。緻密に練られた芸術的展開、珠玉のメロディがロジー・クルーシズのポテンシャルの高さを物語っている。この大仰さこそがエピック・メタルであろう。
7. Il Re Del Mondo
1992年の楽曲。タイトル・トラック。深遠なムードが全体を包み込む。プログレッシブな展開を有し、静と動を器用に使い分ける。勇壮な疾走パート、及びメロディは絶品。リフにはマニラ・ロードからの影響が顕著である。なおコーラスにはハワードの世界観からの影響も窺える。
8. Ballo In Fa D Minore
ボーナス・トラック。アンジェロ・ブランドゥアルディのカヴァー。



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