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WORMS OF THE EARTH



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2003
Reviews: 75%
Genre: Epic Power Metal


イタリア出身のエピック・パワー・メタル、ロジー・クルーシズの2003年発表の1st。


「そこでは一つの渦巻く乱流が蠢く影の塊の中に湧き起こっていて、そしてその暗黒の中から這いだしたのは四つ足の獣のような、あるいはまた人間めいた形をしたもので、それがブランの足もとに倒れ込んで這いつくばり、悶えうめき、そしてしゃれこうべのごとき顔をもたげると、死にまどう犬のごとく吠えた」
 ──ロバート・E・ハワード『大地の妖蛆』より



『Worms of the Earth』という物語...
ロバート・E・ハワードの書いた小説の中にブラン・マク・モーン(Bran Mak Morn)という名の英雄がいる。ブラン・マク・モーンの伝説は1930年代のアメリカのパルプ雑誌〈ウィアード・テールズ〉誌に発表され、『Kings of the Night(闇の帝王)』(1930)、『Worm of the Earth(大地の妖蛆)』(1932)という小説が活字になっている。ブラン・マク・モーンは古代民族ピクト人の最後の王であり、ローマ帝国との確執に苦しみ抜いた挙句、数々の不思議な出来事に遭遇する男である("Bran Mak Morn")。この物語はローマ帝国がブリテン島に侵攻した3世紀初頭の時代を舞台としており、戦王ブランはローマ人たちと対峙しているが、圧倒的なローマ帝国の力の前に為す術がない("The Justice of Roma")。悲運の英雄の伝記を語らんと、物語は幕開ける。敵国の内情を知るために、ブランは大使としてローマ内に留まっていた。そんな中、彼の眼前で名もなきピクト人が十字架にかけられた末、惨殺される。殺したのはエボクラムの軍政総督ティトゥス・スラであった。この惨状を目にしたブランは、ティトゥス・スラへの憎悪を募らせ、固く復讐を決意する。夢の中で、ブランは月神教の高僧ゴナルと出会い、地の底に封印されている妖蛆を解いて、憎きローマを滅ぼすという策を見出す("A Wizard in My Dreams")。忠実な戦士ゴナルの協力を得て、ブランはエボクラムを脱出して西方へと馬を駆る("Escape from Eboracum")。辿り着いた湿地の奥地で〈ダゴンの溝〉の魔女と出会ったブランは、暗い伝説に包まれた〈扉〉の場所を聞くに至る。魔女アトラを抱く代わりに、ブランは魔女を道案内させる約束をする("The Dagon's Moore")。やがて魔女によって、〈ダゴンの塚〉の〈黒の碑〉こそが、探し求めていた〈扉〉であることが知らされる。ブランは〈ダゴンの塚〉の底から〈黒の碑〉を盗み出し、〈ダゴンの池〉に投げ入れる。かくして、魔女アトラの導きによって〈扉〉に入ったブランは、〈黒の碑〉を囮にして、地の底で巨大な大蛇の如く蠢いている異様な化物『大地の妖蛆』との取引に応じる("The Black Stone")。戦王ブランの望みは、正式な一騎打ちでティトゥス・スラを殺すことであった。太古より崇めていた〈黒の碑〉を囮にされたために、『大地の妖蛆』はこれを叶えるといった。地底の化物との約束通り、〈黒の碑〉を〈ダゴンの塚〉へと運ぶブランであったが、周辺の異様な変化に気付かない、ということはなかった。かつて、厳粛に輝いていたローマの強固な尖塔が、何者かの力によって倒壊していたのだ("Traian's Tower Falls")。不安を感じたブランは、急いでティトゥス・スラとの決闘の場、即ち〈ダゴンの塚〉の環状列石へと向かった。そして目的地へと辿り着く。しかし、『大地の妖蛆』の人智を超越した諸力によって〈環〉から呼び出されたティトゥス・スラは、既に人間の原形を留めてはおらず、ただ哀れにブランの足元で脈打つのみの存在となっていたのである("Worms of the Earth")。宿敵の無残な姿に悲痛の念を感じ取ったブランは、かつてティトゥス・スラであったものに対し、迅速なる死を、剣による唯一の慈悲を与えることになった("Requiem for Titus Silla")。かくして、ピクト人の王はその目的を果たしたが、その後、『大地の妖蛆』に狙われる身になったと伝えられる。

今作でイタリアのロジー・クルーシズが題材としているのは、このハワードが生涯愛したピクト人の英雄物語であり、主に"1930年代のヒロイック・ファンタジー小説を扱う"エピック・メタルの伝統に大胆な挑戦を行っている。スピーディなパワー・メタルを主軸としたロジー・クルーシズのエピック・メタルのサウンドは、勇壮だが何処か哀愁の漂う幻想冒険譚と共鳴し、神秘的で魅惑的な楽曲群を生み出している。この音楽性に、緊張感に満ちた筆跡のような迫真性、及び有史以前の雄大な文明諸国を彷彿とさせるような重厚感が加われば、何れは完全なハワードの世界が実現するに違いない。我々はその時が訪れるのを、暫し待ちたい。



1. Behind the Eyes of Partha MacOthna
イントロダクション。
2. The Justice of Roma
およそ7分に及ぶ大作。スピーディなエピック・メタル。ソリッドなリフと大仰なコーラスを用いたドラマティックなサウンドが、聴き手の高揚感を存分に高める他、スリリングな展開も有する。
3. Bran Mak Morn
英雄の名を冠したエピック・メタル。劇的なエピカル・リフで疾走し、終始徹底的にヒロイックな世界観を描く。聴き手は息つく暇さえ与えられないであろう。
4. A Wizard in My Dreams
台詞入りのインストゥルメンタル。ハープのような音色を用い、妖艶な雰囲気が漂う。
5. Escape from Eboracum
およそ7分に及ぶ大作。雄々しいメロディを持ち、緩急に富んだ内容を披露する。
6. The Dagon's Moore
哀愁を感じさせるリード・ギターの旋律が印象を残す楽曲。その他、ドラマティックなコーラス・パートも持つが、スピーディな内容は前半と大差がない。
7. Gates to Abominium
ヘヴィかつメタリックなリフ、荘厳なコーラス、エピカルなムードを発散させる楽曲。その大仰なドラマ性は特筆に値する。途中には台詞も入る。
8. The Black Stone
タイトルの〈黒の碑〉は、ハワードが生み出したクトゥルフ神話関連小説のシンボルであり、この『大地の妖蛆』とて例外ではない。シリアスな幻想怪奇の世界観を描き、ドラマ性に満ちたヒロイックな旋律が展開する本曲は、非常に完成度が高い。
9. Traian's Tower Falls
荘厳なコーラスを用いたインストゥルメンタル。徐々に盛り上がり、次曲へと繋がる。
10. Worms of the Earth
タイトル・トラック。圧倒的なスピードで周囲を圧倒し、印象的なコーラスと緩急に富んだ展開とを有する。
11. The Witch
魔女の如き囁き声が不気味な雰囲気を醸し出す場面から、異様を極める。漢らしい哀愁に満ちた楽曲であり、迫真性に満ちたスピーディな展開が、劇的な叙事詩的世界観を構築する。本作で最もハワードの世界観を表現することに成功した名曲であろう。
12. Requiem for Titus Silla
本作のエピローグ。ダークな雰囲気に満ちたギター・インストゥルメンタルである。ミステリアスな雰囲気も宿す。



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