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悪魔の洗礼



Country: United States
Type: EP
Release: 1983
Reviews: 88%
Genre: Epic Metal


アメリカのロサンゼルス出身、カルト・エピック・メタルの王者、ウォーロードの1983年発表のEP(現在は1stと認識)。


『Deliver Us』について...
ウォーロードのデビューEPとして記録されている本作『Deliver Us』は、1983年に当時はまだインディーズ・レーベルでしかなかった「Metal Blade Records」より発表された。ロシアン・ルーレット(Russian Roulette)と呼ばれるハードロック・バンドで活動していたサンダー・チャイルド(Mark S Zonde:d)がデストロイヤー(William J Tsamis:g)と出会い、1980年にウォーロード結成が結成された。彼らにとって、これはロサンゼルスで始動したヘヴィメタル・プロジェクトの一つに数えられた。
ある日、二人は「Metal Blade Records」の企画する『Metal Massacre』(*注釈1)のコンピレーション・アルバムの広告を目にした。そしてデビューのために、自らを「Oz Records」へと売り込んだのである。その偶然の試みが首尾よく成功したように、"Winds of Thor"、"Lucifer's Hammer"の2曲が『Metal Massacre II』に収録された。ウォーロードは後にダミアン・キング二世(Rick Cunningham:vo)、アンチエンジェル(Dave Waltry:b)、センティネル(Diane Kornarens:key)のメンバーを雇い、初のEP『Deliver Us』を完成させた。
本作の発表はウォーロードに大きな成功をもたらし、『Deliver Us』の楽曲は頻繁にロサンゼルスのラジオでも演奏された。またサンフランシスコでもウォーロードのヨーロピアンなサウンドが既に大絶賛され、一部でカルト的な人気を誇った。更にウォーロードは日本のワタナベ・ミュージックとも契約を交わし、1984年には『Deliver Us』の日本盤が発売された。日本のHR/HM専門誌『Burrn!』でもウォーロードの記事が紹介され、多くのファンを生んだ。この頃、ウォーロードは正式なバンド体制ではなく、事実ライブを一度も行うことがなかった。この逸話がアンダーグラウンドのカルト・メタル・シーンで語り継がれ、現在では一種の伝説と化している──以上が、"幻の名盤"『Deliver Us』に関して我々が知る限りの情報である。

*注釈1:「Metal Blade Records」企画のヘヴィメタル・オムニバス・アルバム。80年代初期にキリス・ウンゴル、ヴァージン・スティール、メタリカ、スレイヤーなどのバンドが楽曲を収録したことでも知られる。


*  *  *


上記の複雑な経緯は、ウォーロードのEP『Deliver Us』をヘヴィメタル界でも異色の作品として位置付けるには十分な要素であり、実際に本作は異色のサウンドを収めている。ウォーロードがアメリカのバンドらしからぬヘヴィメタルの様式美を踏襲し、叙事詩的な作曲アプローチを行ったことは明白であり、万人の評価に値するものであろう。また、エピックなパワー・メタルの元祖でもある本作は、他のバンドの作品群と一線を画し、ミスティクかつオカルティックな世界観を劇的な手法で描いている。1983年の彼らの快挙は、大いに評価されて然るべきだ。主に聖書をテーマにした特殊な歌詞は、作詞したデストロイヤーの個性と相俟って、荒涼とした独特の風味を本作に馴染ませている。

ウォーロードの『Deliver Us』は、紛れもなく80年代初期を代表するエピック・メタルの名盤だが、本作が市場に出回った数を考慮してみても、万人がこの音源に辿り着いたとは到底考えられない。過去、ウォーロードの存在に気付き、尚且つ幸運を備えた者のみが、この『Deliver Us』を手にすることができた。最も今となっては、優れたインターネットの力でウォーロードの楽曲を聴くことが容易となっている。しかし、本作を単なる"思い出"として消化してしまうことは、あまりにも惜しいようだ。 なお、本作は2015年にルビコン・ミュージックより紙ジャケでリマスター再販。多くのロック音楽のファンたちがウォーロードのCDを手にすることとなった。



1. Deliver Us From Evil
アコースティック・パートから始まり、荒涼とした世界を描く。リード・ギターを主軸にしたドラマティックなヘヴィメタルである本曲は、ウォーロードの代表的楽曲の一つであろう。
2. Winter Tears
メロディアスなフレーズが耳を惹きつける。全編に渡り哀愁が滲み出ている。中間部のソロ・パートはヘヴィメタルの様式美に忠実。アコースティック・ギターによるエピローグにも注目したい。
3. Child of the Damned
強力な疾走曲。鋭利なリード・ギターに導かれて劇的な疾走をする。ウォーロードが生み出したアグレッションの名曲といっても過言ではない。なお本曲は様々なバンドによってカヴァーされている。
4. Penny For a Poor Man
静と動を駆使した内容。メロウなパートとヘヴィなパートを合わせ持つ。
5. Black Mass
宗教的な雰囲気を宿す楽曲。本作中最も不気味な雰囲気を宿した楽曲であり、重苦しいメロディが特徴的。
6. Lucifer's Hammer
ヘヴィなリフが打ち出される名曲。スムーズな楽曲の展開力がドラマ性を極める。中間部のソロは必聴。リード・ギターも最高にメロディアスなもの。



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