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魔力の刻印



Country: United Kingdom
Type: Full-length
Release: 1982
Reviews: 95%
Genre: Heavy Metal


アイアン・メイデンの1982年発表の3rd。


本作はシンガーをポール・ディアノからブルース・ディッキンソン(vo)へ交代して発表された第一作目である。前作『Killers』(1981)はヘヴィメタル史に悠然と輝く大傑作であったが、この『The Number Of The Beast』は究極に限りなく近い、純然たるヘヴィメタル・サウンドの作品であるため、一概に比較することは難しくなっている。強いて言うなら、本作からアイアンメイデンの物語における本編が幕を開けた、とまで大仰に語ることが可能(当然、前2作品を傑作とした上でである)。本作がヘヴィメタルの歴史に与えた影響力は巨大過ぎて図ることが出来ない。一部では全ヘヴィメタル作品中で5本の指に入る歴史的名作とまで言われているが、それは粗方間違いではない。当時、ここまでドラマティックな正統派メタルを完成させたバンドは他にはなく、この作品が世に出された時は衝撃的であった。

『The Number Of The Beast』は信じ難い内容であり、楽曲の充実感と徹底した完成度を所有している。本作のドラマティシズム、メロディの質は劇的メタルが横行する現代でも容易に通用する。また、メロディック・ヘヴィメタルの原型とも形容できるサウンドが特徴的である。今作から加入したブルース・ディッキンソンのドラマティックな歌唱は見事なもので、アイアンメイデンのサウンドを更に飛躍させている。一曲一曲がストーリーだ。クライブ・バー(b)のドラムも非常にアグレッシブであり、ヘヴィメタルらしさを際立たせている。スティーブのギャロップするベースも独特のものだ。

どの楽曲も名曲揃いであり、実に聴き応えがある。世界観に至っては、もはやエピックと呼べる程の緊張感を有している。ある種の神秘世界を思わせる邪悪なメロディ・ラインの数々は、アイアンメイデンの絶対的な個性として見事に成り立ち、楽曲の説得力を大幅に高めている。各曲のリード・ギター・パートに見え隠れするブリティッシュ特有の哀愁をも加味したその奇妙なメロディは、劇的極まりない。ヘヴィメタル・ファンでまだ本作を聴いたことがないなら、一刻も早く聴くことをお勧めしたい。



1. Invaders
ノリのいいリフにブルースの勇ましい声が響く楽曲。スピード感は抜群だ。パワフルなドラムもヘヴィメタルらしさを生んでいる。
2. Children of the Damned
アコースティカルに幕を開け、哀愁のメロディが流れ出す、いかにもブリティッシュ的な楽曲である。後半のテンポチェンジから絡み合うツインリードパートは絶品としか言いようがない。この緻密さが凡百のバンドとは違う部分である。
3. Prisoner
スピーディにギャロップするリフが良い。スティーブのベースラインは既に独創的でメロディアスなものを奏でている。しかし、やはり中間部以降の展開がドラマティックにまとめ上げられている。
4. 22 Acacia Avenue
ブルースの大仰な歌唱と共に疾走するリフが非常に勇壮。ブルースはメイデンに相応しい歌唱をする。クライブ・バーの激しいドラミングも光る。
5. Number of the Beast
劇的に幕開け、アイアンメイデンらしい独特の奇怪な雰囲気とスピードに満ち溢れた名曲である。サビのメロディは頭を左右に振らす。
6. Run to the Hills
邦題「誇り高き戦い」の如く、とてつもない勇壮さをまき散らす名曲中の名曲。サビの高潔なメロディは究極ともいえる高揚感を齎す。しかしそのヒロイズムの背景には、自由を求めるが故に死を選択したインディアンたちの誇り高き戦いがあったということを忘れてはならない。これはエピックである。アイアンメイデンはヘヴィメタルを通して、大昔の歴史の悲劇を我々に語って聞かせる手法を用いている。そしてそれは今日まで、ヘヴィメタルの伝統となり続いているのである。
7. Gangland
変則的な疾走とリズムが心地よい。メロディアスなツインリードも秀逸。
8. Total Eclipse
ダークなミドルテンポ。後半にはテンポチェンジもある。
9. Hallowed Be Thy Name
壮大で叙事詩的な一大傑作。後に開花させる神秘主義的なメロディ、それに伴う不気味な世界観を余すことなく表現したアイアンメイデンの代表的名曲である。ヘヴィメタルの表現力を極限まで追求し、完成したのがこの楽曲であろう。ヘヴィメタルという音楽性でなければ決してこのような名曲は出来上がらない。驚異的ともいえるツインリードの神秘的なメロディの応酬には息をつく暇さえ与えられない。これはまるで人間が足を踏み入れてはならない神秘的な世界である。描かれた絞首刑となる囚人の恐怖は、恐らく人智を超越したものだったのであろう。蛇足だがこの名曲によって、人生の軌道をヘヴィメタルへと傾けた者たちの数は計り知れない。



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