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Deluge



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 78%
Genre: Epic Metal



マニラ・ロードの1986年発表の5th。


前作『Open the Gates』(1985)でエピックメタルの歴史的名作を誕生させた始祖マニラ・ロードが次に行った行動は、大作志向の楽曲群をシンプルにまとめることであった。マーク・シェルトン(Mark Shelton:g、vo)、 スコット・パーク(Scott Park:b)、ランディ・フォックス(Randy Foxe:d)の3人によって制作された本作『The Deluge』は、全体の収録時間がおよそ40分に満たず、要所で第3作『Crystal Logic』(1983)を彷彿とさせる内容を持ち、これまでと同様に一貫した暗い世界観が展開される。
我々は先に『Crystal Logic』との類似性を指摘したが、『The Deluge』は初期マニラ・ロードのサウンドとは異なる要素を持っている。前作『Open the Gates』の一部で披露したスラッシュメタルの要素を大幅に導入した意欲的な本作は、極めて攻撃性に特化した斬新なエピックメタルとして、マニラ・ロードの新しい可能性を切り開くとともに、過去に追求してきたヒロイックな世界観に激烈な野蛮性を加味させることに成功した。長尺の楽曲は全3章から構成される叙事詩"The Deluge"とダークかつ異質な"Shadow in Black"のみであり、 その他の楽曲は非常に短くまとめられている。
叙事詩的な世界観も忘れられてはいない。"The Deluge"にてマニラ・ロードは歌詞の題材を太古の世界へと求め、伝説上のアトランティス大陸を滅亡させた大洪水について言及する。興味深いことに、我々はここにイギリスのバルサゴスがテーマとしている神秘的な題材との共通点を見出すことが出来る。なおアルバム・ジャケットに描かれているのは海の神──古くは大地の神であり、地震を引き起こすとされた──ポセイドンであり、マニラ・ロードはこの偉大なる神の怒りによって巨大な大洪水が引き起こされ、悠久の太古の高度な文明が滅ぼされたのだと仮定している。

本作の問題点は、マニラ・ロードの静から動へと展開する大仰な作風が息を潜めていることであり、攻撃的なギターを用いた単調なパートが頻出する箇所である。本来エピックメタルとは静寂からの劇的な転調や長尺なドラマ性によってカタルシスを与えるものだが、本作に収められたシンプルな楽曲群は大半が中途半端な場面で終了している。これは歴史ある名店で煮え切らないスープを出された時の感覚に似通っており、大抵の場合客は不満を露にする。素材の味は良いのに、手が込んでいない。もしくは、何かの手筈の狂いで、本当は温めて出すべきものを冷まして出してしまった、というミスであるかも知れない。何れにせよ、マニラ・ロードは『The Deluge』という惜しい作品を客に出してしまったことになる。



1. Dementia
高速で叩きつけられるリズムとリフがアグレッシブさを放つ楽曲。途中ヴォーカルが奇怪な叫び声を上げたりと破天荒で良い。ギターソロではマニラ・ロードらしいエピカルなメロディが奏でられる。
2. Shadow in Black
ダークな雰囲気の中で奇怪な旋律を奏でる。およそ2分に及ぶ静のパートから突如劇的に展開する冒頭は、正統派エピックメタルの醍醐味であろう。
3. Divine Victim
鉛のようなリフとスピードでヒロイズムを鼓舞する。後半では緊張感を伴ってスリリングなギターソロが披露される。
4. Hammer of Witches
本作収録の楽曲は大作志向ではないが、短い中にもマニラ・ロードのエピカルな面と攻撃的な面を共有させている。本曲はスピーディかつ大仰なドラマ性を持っておよそ3分の間を駆け抜ける。
5. Morbid Tabernacle
ファンタジックな旋律とSEを用いたインストゥルメンタル。仄かにゴシック・ホラー的な雰囲気がある。
6. Isle of the Dead
およそ3分の楽曲。不穏なイントロから大仰に展開。特徴的なヴォーカルに荒々しいリフが絡む。
7. Taken by Storm
他の楽曲と同様にシリアスなエピックメタルではあるが、完成度はさほど高くない。
8. The Deluge (I. Eye Of The Sea - II. The Drowned Lands - III. Engulfed Cathedral)
8分に及ぶタイトル・トラック。上記の全3章から構成され、大洪水によってアトランティス大陸が滅亡する悲劇を壮大に描く。静から動のメロディへと大仰に展開し、非常に混沌とした内容を有し、要所では荒々しくヒロイズムを鼓舞する。緊張感と切迫感に満ちたリフは凄絶を極め、恰も大洪水の如き圧倒的な力で聴き手に襲いかかる。
9. Friction in Mass
マニラ・ロードの大仰さが爆発したエピックメタル。ドラマティックな疾走に加え、後半からはメロディアスに展開する。
10. Rest in Pieces
ヒロイックなメロディが高速で繰り出される短いエピローグ。マニラ・ロードの一貫した大仰さは、最後まで継続されているのが高評価の対象になる。



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2012/03/22(木) 11:03:35 | まとめwoネタ速suru