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Open the Gates



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1985
Reviews: 85%
Genre: Epic Metal



マニラ・ロードの1985年発表の4th。


プロローグ...
残念なことに、カルト・エピックメタルの不動の王者、マニラ・ロードの物語を知る者は極めて少ない。皮肉にも、未だにアンダーグラウンドの領域から脱していないマニラ・ロードの暗澹たる音楽性をファンは称賛し続けているが、そのためにエピックメタルの大衆化は妨げられている。
長い間、エピックメタルは地下で密かに脈動を続け、人知れず芸術作品を生み出してきた。エピックメタルの熱狂的なマニアたちは、これらの作品を鉱山に眠る金塊の如く掘り当て、孤独な個室で楽しむことを覚えていた。誰も知ることがない余暇は、知的好奇心を刺激し、次第に麻薬のような中毒性を発していった。マニアたちはそれに満足し、エピックメタルの暗い知識が外部に洩れることを酷く恐れた。故にエピックメタルの大衆化を求めるファンは少なかった。
頑なに信念を貫く男、マーク・シェルトンによって築き上げられたマニラ・ロードの一大叙事詩は、過去の名作の一つ一つが陰鬱な散文となり、現在まで一貫して継続されてきた。マニラ・ロードの歴史とは、ヴァージン・スティールやマノウォー、キリス・ウンゴルらと同様にエピックメタルの開拓史に該当し、この分野の発展を物語る貴重な断片であった。エピックメタルの真の起源を探索するために、我々はより古い時代へと興味を傾ける必要があり、そこでマニラ・ロードに出会ったのだ。
エピックメタルの古参であり、この分野に多大な貢献を果たしてきたマニラ・ロードは、1977年のアメリカのカンザス(正確にはカンザス州のウィチタ)での結成後、地下で活動を開始し、一部の熱狂的なファンによって支えられてきた。マニラ・ロードの創造する幻想的で薄暗いヘヴィメタルは、後に確立されるエピックメタルの基礎を有していた。アメリカのバンドであるマニラ・ロードの音楽性は異質であり、劇的なドラマ性とヒロイックな要素を持っていた。1983年に発表された第3作『Crystal Logic』では、ファンタジックな世界観と古臭い雰囲気を身に纏い、一つの完成形とも呼べる傑作を作り上げるに至った。『Crystal Logic』のスピーディな楽曲に勇壮なメロディが乗るという手法は、他のヘヴィメタル・バンドを大いに刺激した。また、作品のプロローグとエピローグを配したドラマティックな作風は、ヘヴィメタルを通じて物語を演じるという、エピックメタルの最も重要な構成を貫くものでもあった。
マニラ・ロードの素晴らしい箇所は、自らの方向性を決して転換しないという信条であり、名作『Crystal Logic』の約2年後に発表された第4作『Open the Gates』においても、それは適用された。一つの長所を伸ばし続けることで最も効率的な結果が生み出されるように、『Open the Gates』はエピックメタルの利点がすべて凝縮された奇跡的な一作となった...


『METAL EPIC』誌より抜粋:

機械的な産物には真逆の意味を適用することになるが、人間の知的な作品において、新しいものの方が古いものより優れているということはまずない。これまでに、我々は贅沢な暮らしと引き換えに、歌や詩、文学や絵画などの豊かな芸術をかなぐり捨ててきた。我々は金があって各地の肥え太った極上の珍味を胃に納め、水と電気が無制限に使えれば他に何も言うことはないが、古くから人間が親しんできた音楽において、その絶対的な法則が適用されるとは限らなかった。ポップでノリの良いヒット曲で我々が満足できるのであれば、ヘヴィメタルなどという異質な分野は誕生していないことになり、根本的なロックですら生まれていない。即ち、満足のいく生活基準の最中にあってもなお、我々の中には満たされない別の欲求があるということである。
ヘヴィメタルの根本的なテーマである反骨の精神と比べ、全く別の領域で発展を遂げていったエピックメタルも、こうした物理的ではい欲求を満たすために生み出されていった、数少ない分野の一つである。幻想文学や歴史、有史以前の神話等に対し飽くなき探求を続けるエピックメタルは、既に独立した分野として久しい。しかし、現在のようにエピックメタルが確立されるまでには、数々の困難を乗り越えなければならず、先人たちの味わった苦悩は計り知れない。若い世代にある我々は、「古典」と呼ばれる作品を拝聴し、これらの伝記を遡る必要があるのである。
マノウォーの第4作『Sign of the Hammer』(1984)がまさにそうであるように、マニラ・ロードの第4作『Open the Gates』はエピックメタルの最も古く偉大な傑作の一つに数えられる。カルト的なヘヴィメタルの熱狂的なマニアが聖書の如く崇める『Sign of the Hammer』が、読んで文字の如く、完璧なエピックメタルの礎を形作っているのに対し、マニラ・ロードの『Open the Gates』はそれに加え、徹底的なまでの幻想世界への追求が為された作品である。
過去ロバート・E・ハワードやH・P・ラヴクラフト等に源流を輩出する幻想文学への傾向が顕著であったマニラ・ロード──これらの極めて知的な趣味は中心人物マーク・シェルトンのものである──は、前作『Crystal Logic』(1983)で飛躍的な進歩を遂げ、更なる探求と絶対的な理想主義のもとに本作を完成へと導いた。『アーサー王伝説』──古く中世を起源とするこれらの叙事詩が本作のコンセプトの一部となり、古典的なエピックメタルの偉大な傑作の誕生を後押しした。
妥協することを知らないマニラ・ロードは、全編に渡り暗く重苦しいムードを地下納骨所の如く漂わせることにより、外部からの雑多な影響力を排除した。一般的にヘヴィメタルを世界的な成功へと導いたとされるNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)の残り香が初期のマニラ・ロードには漂っていたが、『Open the Gates』では辺獄のような混沌とした領域に踏み込み、唯一無二のエピックメタルを追求している。結果完成したのはカルト的なエピックメタルの究極に純粋な傑作であり、これらはマニラ・ロードの音楽性が独立した"エピック・メタル"としての新しい分野を確立した証明となった。
一貫性を持った幻想文学、古代神話にインスパイアされた『Open the Gates』の個々の名曲群は、大衆がかつて聞いたこともないような異様な旋律を奏でるものであった。ある者はマニラ・ロードの異様な音楽性に吐き気を催し、一目散にその場を立ち去ったが、ある者にとってはここはアヴァロンのような楽園に近かった。
──マニラ・ロードが1985年に生み出した『Open the Gates』はエピックメタルの歴史に名を刻み、一部で痛烈に非難され、地下で大いに絶賛され、長い歳月に渡り愛聴されてきた。しかし、本作のような歴史の影に埋もれた作品が世に出ることは少なく、我々が発見した時は酷い埃に覆い尽くされていた。その古臭い外見と同じく、中身も数世紀昔の音のような感じであったことを記憶している。あまりにも現代には釣り合わない、時代性を逸脱した音楽性だと誰もが感じた。しかし、我々はこうも感じた──「素晴らしい宝物を発掘した気分だ」と。



1. Metalstorm
ファンタジックなナレーションから入り、重厚感を増した独創的なエピックメタルを披露する。NWOBHM的な容赦のないスピード感にも満ち溢れている。マーク・シェルトンの大仰な歌唱はヒロイズムを鼓舞する。
2. Open the Gates
タイトル・トラック。2分の小曲。
3. Astronomica
"アストロノミカ"とは紀元1世紀頃の占星術書を指す。歌詞ではコンセプトである「アーサー王伝説」にも関連している。メロディアスなパートと攻撃的なパートが入り混じった楽曲であり、終わり方までもが大仰である。
4. Weavers of the Web
重厚なリフが繰り出される。整合性がなく混沌としている内容はキリス・ウンゴルに通じる。要所でリードギターは漢らしい野蛮性を披露。アルバム・ジャケットのイメージはこの楽曲のもの。
5. The Ninth Wave
不穏なイントロに続く大作。「アーサー王伝説」に関連した楽曲であり、アーサー王を最後に船でアヴァロンへ導く「三人の女王」について言及する。アーサーは本当にアヴァロンの門を開いたのであろうか?およそ9分に及び、古強者の如きヒロイズムを泥臭く紡ぎ出していく名曲である。凄絶な雰囲気に満ち、恐らくマニラ・ロードが世に生み出した至高の名曲の一つに数えられる。恰もヒロイック・ファンタジーの古典であるかのような内容は、聴き手を常識を逸した雄々しさで襲い、古代の幻想と驚異の世界に引きずり込む。
6. Heavy Metal to the World
前作に通じるスピーディな楽曲。スリリングなギタープレイを見せる。ヘヴィメタルそのものを題材にしたトゥルー・メタルは、かつてマニラ・ロードやマノウォーなどの初期エピックメタルバンドが流布したものである。
7. The Fires of Mars
重厚かつダークなエピックメタル。決してファンタジーの明るい部分を描かないマニラ・ロードの姿勢には感服する。暗く重い方が楽曲はシリアスである。本曲もこれまでのマニラ・ロードのエピックメタルと同様、複雑かつ劇的に展開し、終始ヒロイックな内容を披露する。
8. Road of Kings
古代の王の陰鬱な道程を叙述する。ヘヴィなエピカル・リフで攻撃的に攻め立てる名曲であり、朗々としたヴォーカルとアグレッシブなリフの混合が古臭い異様な雰囲気を生む。後半からは劇的に展開。
9. Hour of the Dragon
竜との戦いを描いた楽曲。中世への傾向を泥臭い漢の鋼鉄で表現する。収録されたすべてのパートから徹底した異臭が垂れ流される。
10. Witches Brew
北欧神話の魔女の醸造酒について扱い、幻想的な世界観を極めたエピックメタル。静から動への流れによって生み出されるカタルシスは既に計算し尽くされている。ここまで徹底した追求されたエピックメタルを全編に渡り収録した本作について、我々が語ることは陳腐な雑談に過ぎない。



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