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Hail to England



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1984
Reviews: 87%
Genre: Epic Metal


エピック・メタルの始祖、マノウォーの1984年発表の3rd。


この頃から戦士としての屈強なイメージが定着し始めた。重厚かつ荘厳な「剣と魔法の世界」を描いたエピックメタルの名盤『Into Glory Ride』(1983)の雰囲気を継承し、発展させて完成したのが本作『Hail to England』である。
思い出してみるが、前作は5分~7分台の大作が全編に渡って配置されていた。そのために、熱烈でかつ叙事詩的なヘヴィメタルのファン以外には正しい理解を得られなかった。多くのヘヴィメタル・ファンは分かり易くシンプルなものを好む傾向にあるためである。この傾向はヘヴィメタル以外にも該当することであろう。これらのことをマノウォー自身が踏まえたかどうかは明白ではないが、今作は殆どの楽曲がシンプルにアレンジされ、マノウォーの持つ野蛮な攻撃性と高度なドラマ性が一つの箱に濃縮されている。それが顕著に表れた#1"Blood Of My Enemies"はヒロイック・ファンタジーメタルの大傑作に値する。また恐ろしいタイトルを持つ#3"Kill With Power"もシンプルかつ攻撃性に溢れた本作を代表する名曲である。当然の如く、明確でシンプルな楽曲を網羅した今作は大成功を収めることとなり、現在でも『Hail to England』を最高傑作に挙げるファンは多い。

先ほどから我々は"シンプル"という言葉を頻繁に用いたが、長大な大作やプログレッシブで複雑な楽曲を好むエピックメタル・ファンから見れば今作はあまり練られていない、と解釈する向きもいるであろう。つまりはマノウォーにとってのシンプルとは何であるのか。答えは簡単である。"無駄が一切ない"とういうことである。本作には無駄がない。故に全7曲で約35分しかないのだ。しかし聴けばあまりにも濃い内容だと気付くはずである。あなた方はシンプルな楽曲の中に濃縮された孤高の戦士のドラマティシズムを是非とも感じるべきである。それが我々が言うことができる精一杯の言葉だ。
我々は本作を散々シンプルで短いと言ってきたが、ラストの大作"Bridge Of Death"はなんと約9分もある。この楽曲こそが本作のハイライトといっても過言ではなく、コンパクトにまとめられた楽曲とは一線を画す内容を持っている。最後に徹底的に表現された、捲るめく厳かな戦士の世界──このドラマ性がマノウォーの創造するエピックメタルである。本作にはシンプルな楽曲、大作とあるが、特に本作が素晴らしい点ではそのどちらもクオリティが尋常ではなく高いということだ。

少し本作の世界観について考えてみよう。北欧神話における「剣と魔法の世界」を描いた#1"Blood Of My Enemies"は典型的なマノウォーのエピックメタルである。前作にも"Gates Of Valhalla"という楽曲が収録されているが、北欧神話の英雄世界を舞台にした楽曲の完成度には舌を巻くべきものがある。マノウォーが戦士的な讃辞で常に崇拝しているのはオーディンやトールであり、今後もその世界観は続いていくばかりか、もはやマノウォーの描く定番ともいえる世界観と化している。
マノウォーが自らのエピックメタルをよりヒロイックかつ荘厳にするために選択したのが北欧神話の世界であった。そこでは絶え間ない鋼の剣による戦い、魔法の猛威、死、勇気に満ちた行為があり、我々の根底的な本能を揺さぶり感情を高揚させる要素が存在している。マノウォーのヘヴィメタルは高揚感で満ち溢れている。
我々は常にヘヴィメタルとは何を表現するための音楽か、と自問自答する。その時に浮かぶのがマノウォーに代表される「剣と魔法の世界」を描いたエピックメタルであり、それらの叙事詩的なヘヴィメタルにこそが、ヘヴィメタルの持つ根本的な要素や本来あるべき姿を表現しているのではないか、という結論に達する。ポピュラー音楽に「剣と魔法の世界を音楽で表現しろ」といってもそれは不可能なことだ。

なお#4"Hail To England"に表れているように、マノウォーはヨーロッパ圏内での人気が非常に高い。本国のアメリカよりもである。特に本作が制作された当時はそうであった。始めて世界でマノウォーを認めた国がEngland(要するにイギリス)なのである。本作は欧州(と全てのファンに)に向けて制作されたものだ。

追記:本作『Hail to England』と前作『Into Glory Ride』は2005年に特殊パッケージで再発された。



1. Blood Of My Enemies
北欧神話の神々の世界を綴った厳かなる楽曲。多くのヘヴィメタル・ウォリアーに歌い継がれる名曲中の名曲である。神々しく神聖なメロディをもつサビは震えあがるほど勇ましい。三連の行進調リズムは屈強な戦士の軍隊を思わせる。
2. Each Dawn I Die
不気味でダークな雰囲気に満ちた楽曲。
3. Kill With Power
野蛮な攻撃性に満ちた名曲。怒号のスピード感とスコット・コロンバスのドラミングは驚異的。しかし「力で殺す」とは凄まじくインパクトのあるタイトルだ。
4. Hail To England
スロウで勇ましいメロディを持つ曲。イングランドに対する敬意や感謝が伝わってくる。
5. Army Of The Immortals
恐れを知らない勇猛果敢な戦士たちとして知られるマノウォーのファンに捧げられた名曲。ギターリフのメロディは電撃のような勇ましさを持つ。
6. Black Arrows
ジョーイによるアグレッシブなベースソロ。ナレーションど導入するなどのドラマ性も披露。
7. Bridge Of Death
壮大なスケール感で溢れる神聖なエピックメタル大作。エリック・アダムスの神聖かつ賛美するかのような大仰な歌唱に導かれて展開するヒロイックなベースメロディ、雄々しく行進するドラムス、ラストの聖歌コーラス的なエピローグなど、傑作たる要素を凝縮。厳かな雰囲気は圧巻である。歌詞のベースは聖書のルシファー、サタンに基づく。



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