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ブレイヴ・ニュー・ワールド



Country: United Kingdom
Type: Full-length
Release: 2000
Reviews: 90%
Genre: Heavy Metal


アイアン・メイデンの2000年発表の12th。


現実的にブレイズ・ベイリーの加入によってアイアンメイデンが商業面での降下を辿ったことはマネジメント等に影響を与え、早急にブレイズの解雇、ブルース・ディッキンソンの復帰が要求された。アイアンメイデン=スティーブ・ハリスはこの現状に葛藤した末に要求を承諾。マネジメント、そしてブルースとスティーブの間には秘密の交渉が交わされた。ブレイズ・ベイリーはアイアンメイデンのファンに徹底的に非難された挙句、結果的に用済みとして破棄された。アイアンメイデンは『The X Factor』の時点で選択を誤っていたのであろうし、ブレイズ・ベイリーは悲劇的な男であった。しかしこれが真っ当な現実であった。この頃のアイアンメイデンはヘヴィメタルバンドとして巨大になりすぎていたため、既に失敗は許される状況ではなかった。アイアンメイデンが更なる飛躍を遂げるためには、ブレイズ・ベイリーを犠牲にしなくてはならなかったのである。そして多くのファンが沈黙に耐え待ち望んでいたように、この『Brave New World』という偉大な傑作が生み出されることとなった。

アイアンメイデンの第12作目にあたる本作『Brave New World』では、ヴォーカルにブルース・ディッキンソン、またギターにはエイドリアン・スミスが復帰。メンバーはSteve Harris(b)、Bruce Dickinson(vo)、Dave Murray(g)、Janick gers(g)、Adrian Smith(g)、Nicko McBrain(d)の6人編成、トリプル・ギターとなった。そして我々がアイアンメイデンの復活を待ち望んでいたように、彼らも最高の作品をぶつけてきた。音楽性は以前からの踏襲であるが、アイアンメイデンの魅力的な部分はこの作品で極限まで高められている。
本作はドラマ性、重厚感、メロディ、世界観のすべてが完全といえるまで進化した文字通り最高傑作であり、これがアイアンメイデンが到達できる最高の領域と考えられる。本作に表現された驚くべきドラマティシズムはまさに究極と呼ぶに相応しく、我々は正統派メタルでこれほどまでに劇的な展開を多用する作品を他に聴いたことがない。仮に聴いていたとしても、その印象が薄れるほどのドラマ性を本作は有している。最高のドラマ性の外壁を固めるのが重厚なトリプル・ギターであり、初期を彷彿とさせる鋭利なギターのリードメロディは劇的で緊張感に満ち溢れている。勇ましさを増すブルース・ディッキンソンの歌声は既に文句のつけようがなく、全編に渡り完璧な歌唱を聴かせている。
今作でも詞の内容は歴史などの叙事詩的な分野から引用され、また過去に用いたSFの世界観を再び復活させたことで、本作のストーリー性は大幅に向上することとなった。映画からインスパイアされた"Wicker Man"や"Out of the Silent Planet"も素晴らしいし、東洋の古代史を題材とした"The Nomad"の表現力には驚くべきものがある。サウンド面での完成がエピックメタル的な視点にも影響を与えたことは否定できず、この究極のドラマティシズムを持ってこそ、本作での生々しい幻想の物語群が生み出されていったのだと考えられる。元来ヘヴィメタルはより相応しいテーマを与えられることで何倍もの説得力を得るので、アイアンメイデンの選択は正しい方向性である。芸術的にまで磨き上げられたエピックメタルが次々と繰り出される『Brave New World』は、彼らのキャリアにおける最高の作品であり、アイアンメイデンの最後の傑作であるかも知れない。まさにアイアンメイデンに相応しいすべてのものが揃った時期に本作『Brave New World』は発表された。



1. The Wicker Man
クリストファー・リー出演の映画『The Wicker Man』(1973)からインスパイアされた楽曲。完成度は極めて高く、アイアンメイデンのポテンシャルの高さを認識することが出来る。スケール感に満ちたサビは必聴。
2. Ghost of the Navigator
船乗りの航海を描いたエピック。劇的な緩急を使い分け、ドラマ性と緊張感を共存させる。物語の如く、非常に深みのある楽曲である。
3. Brave New World
かつて第6作『Somewhere in Time』で示した近未来の方向性を最新のテクノロジーで完成させたタイトル曲。楽曲に漂う荒廃した機械的な存在感、異様なまでの重厚感が聴き手の興奮を煽る。中間部のソロパートのドラマティシズムは最高のもの。この名曲を持って、アイアンメイデンの近未来的、SF系ヘヴィメタルは完成された。
4. Blood Brothers
芸術性を高めた大作。スティーブの父親の死、戦争等に影響され、いくつものアイデアが融合した楽曲である。交響曲的なキーボードが見事に活躍している名曲であり、サビの放つスケール感は驚異的。ヘヴィメタルとストリングスが芸術的に融合した傑作であろう。
5. Mercenary
ブルースの強力な歌声が炸裂する一曲。大仰な歌唱がサビを最大限に盛り上げる。ギターメロディも素晴らしい。
6. Dream of Mirrors
緊張感に満ちた静寂パートの雰囲気は異様。アルペジオの放つ哀愁、メロディの扇情力は凄まじい。後半のスピーディなパートへの展開には度肝を抜かれる。
7. Fallen Angel
複雑さを排除し、シンプルにまとめ挙げられたメロディック・メタル。勇壮なメロディは印象的。
8. The Nomad
驚異的な完成度を誇る一大叙事詩。独創的であり、東洋を彷彿とさせる旋律の異国臭は生々しい臨場感で溢れ返っている。中間部から始まるメロディアスなパートはエピカル極まりない。その雰囲気はまるで古代東洋の広大な平原を一人で眺めているかのよう。
9. Out of the Silent Planet
SF映画『Forbidden Planet』(1956)を題材にした楽曲。題材の世界観を忠実に再現したとでも表現すべき楽曲であり、終始完璧なSFの世界観を構築。SFタッチのギターメロディは絶品。
10. Thin Line Between Love and Hate
冗長な部分があるのが残念だが、メロディは本作を締め括るに相応しい哀愁に満ちたもの。



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