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バトル・メタル

TURISAS the 1st album in 2004 Release
★★★★★★★★☆☆...(佳作)

チュリサスの2004年発表の1st。


ムーンソロウやエンシフェルム等の高品質なヴァイキングメタルで知られるフィンランドから、大仰なホーンセクションと共にデビューを飾ったチュリサスは、その第一作目『Battle Metal』で強烈な印象を残すことに成功した。1997年の結成以来、密かにヴァイキングメタルの"戦闘"に特化した作品を作り上げることに尽力してきたウォーロード・ナイガルド(vo)がようやく世に送り出したこの泥臭くも戦士らしい哀愁に満ち溢れた作品は、これらのヒロイックなヘヴィメタルのファンの目に留まらぬはずもなく、瞬く間にチュリサスの名は名声を欲しいままにした。強力な印象を持つチュリサスの楽曲群にはまだ成熟していない部分が見受けられたものの、それを補うほどの、恰も青光りする鋼の剣のような鋭さを持っていたのだ。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

本作の方向性について、我々はある程度エピカルな側面を指摘しなければならないであろう。元来ヴァイキングメタルというマニア向けに過ぎないサブジャンルは、大衆から忘れ去られた叙事詩の断片と民族的な思想を内包するものであった。大仰にも『Battle Metal』と題されたチュリサスの本作は、極めてヴァイキングらしい方向性に特化した作品であることを、我々はここに認めなければならない。チュリサスの北欧の民族らしいペイガニズムに満ちた楽曲群や、古い時代の叙事詩を題材にする部分は、ヴァイキングメタル特有の血生臭さで満ち溢れている。
チュリサスのほぼすべての楽曲を手掛けるウォーロード・ナイガルドが「これは戦いのサウンドトラックだ」と語るように、本作収録の#10~#11はフィンランドの作家サカリアス・ペトリウスにインスパイアされた楽曲であり、17世紀頃の欧州の30年戦争をモチーフとした大作である。ウォーロードがこの叙事詩的な物語のアイデアをチュリサスでエピック・メタルとして消化することを特に重要視したように、我々もまたこの楽曲の重要性について考察しなければならない。
大仰な音楽性や自身のスタイルに適した題材を選出することこそが、エピカルなヘヴィメタルとして更なる高みに上り詰める必須条件であることを、上記の"Rex Regi Rebellis"は雄弁に物語っている。我々は興味深い例を知っている。執筆に入る前に物語の全容(イメージ)を掴んでおくことは、小説においても大切な過程である。後からつけ足したような貧弱な内容では、物語を完結させることは出来ない。小説家は余程の想像力がない限り、思いつきで物語を書くことは難しい。これらと同じように、叙事詩的なヘヴィメタルを完成させるためには、メロディよりも先に題材を選出しておき、後はイメージに沿った楽曲に肉付けしていかなければならないのである。エピックメタルとは、ポピュラーな音楽とは大きく異なった分野に属している。
また崇高な叙事詩を再現するためには、様々な楽器を用いた豪華なサウンドを作り上げることも重要である。本作に収められた雄々しいホーンセクションや郷愁の念を誘うヴァイオリンやアコーディオンの音色は、それらの戦闘的な世界観を表現する際に、ヘヴィメタルの枠を飛び越えて聴者の視覚を刺激する。難解な叙事詩や英雄譚を題材に楽曲を作ることは簡単だが、その世界観を忠実に表現できなければ意味がない。チュリサスは自分たちにとって馴染み深いであろう神話や伝承を扱う術を、非常によく熟知しているバンドなのだ。


1. Victoriae & Triumphi Dominus
華々しく幕開けるイントロダクション。戦場に向かう戦士を鼓舞するための音楽にも聞こえる。
2. As Torches Rise
アルバムの序盤に相応しい勇壮な楽曲。勇敢な雰囲気が支配する反面、戦場の哀愁も漂う。途中の語りの導入によって、より生々しい臨場感を高めることに成功している。
3. Battle Metal
元々は"The Heart of Turisas"という、1stデモに収録された楽曲であった。ここに新たにリメイクされたチュリサスの代表曲は、勇ましさに満ち溢れた名曲として生まれ変わった。なおチュリサスというバンド名は、古代フィンランドの戦神の名に由来する。
4. The Land Of Hope And Glory
帰郷の念について歌った楽曲。エピカルな雰囲気を宿す楽曲であり、荘厳なコーラス部分がヴァイキングらしさを強調する。ヘヴィなリフに乗るヴァイオリンも効果的である。
5. The Messenger
勇壮に駆け抜ける、壮大な戦士たちの戦歌である。
6. One More
冒頭のヴァイオリンパートが秀逸。戦友の無念を感慨深く惜しむ内容を含み、物語のような複雑な展開を持った楽曲である。後半では漢臭いヴァイキング特有の合唱も披露する。
7. Midnight Sunrise
8. Among Ancestors
9. Sahti-Waari
10. Prologue For R.R.R
その名の通り、"Rex Regi Rebellis"への序章。
11. Rex Regi Rebellis
通称「R.R.R.」。曲名は「王は王に対して反逆を行う」というものであり、先述したペトリウスの小説の題材ともなっている。大仰なホーン、中世時代を彷彿とさせる壮麗なストリングスが印象的であり、後半の劇的な展開も相俟って歴史映画の如き興奮を齎す。
12. Katuman Kaiku
「後悔」の名を刻むハーメンリーナの湖から命名されたエピローグ。リコーダーの音色が哀愁を誘う。
13. Till The Last Man Falls
以下の三曲は日本盤のみのボーナス・トラックである。
14. Terra Tavestorum
15. Midnight Sunrise(Liver Version)



Review by Cosman Bradley

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