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メタル・マスター



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 93%
Genre: Thrash Metal


メタリカの1986年発表の3rd。


メタリカは社会的に孤独であった。過激な音楽性故にラジオ、テレビでのプレイはほぼ皆無であり、常にアンダーグラウンド(地下)でのライブが主な宣伝活動に値した(腐敗した社会では、真実は真っ先に排除された)。メタリカは『Kill 'Em All』(1983)、『Ride the Lightning』(1984)という傑作でヘヴィメタル・シーンに殴り込み、スラッシュメタルという新しいジャンルを開拓して覇権を手にするも、王者が直面したのはそれらのメディアからの一方的な拒絶という現状であった。当然の如く、新作にもビデオクリップは制作されなかった。
賢明なメタリカは最初からメディアの反応など全く気にしてはいなかった。社会的にヘヴィメタルが蔑まれようとも、メタリカにとって唯一信じられたものは、既に過去の名曲が語っているように、自らの信念と忠実なファンのみであったのだ。1986年、メタリカは満を持して第3作『Master Of Puppets』を発表する。まず我々が度肝を抜かれたのは、本作がビルボートの29位にランクインし、ゴールド・ディスクを獲得したことであった。メタリカはメディアの露出という唾棄すべき行為に甘んじることはなく、バンドの実力のみでこの成功を獲得したことは、讃えられるべき功績であることは間違いない。メディアの助力なしに成功を手にするバンドが極めて少ないことは、我々が一番良く知っていることである。更に本作に収録された楽曲に関して、我々は更に度肝を抜かれることとなった。すべてが前作を上回る圧倒的な構築感と展開力を有し、スラッシュメタルを超越した美学を内包していたのだ。8曲というシンプルな構成であるにも関わらず、収録曲は何れも細部まで練られており、無駄な時間をファンに与えないというメタリカの信条が伝わってくる作風であった。当時のメディアが本作を無視したことは恥ずべき行為だが、これほどまでに緻密で複雑で耽美的な作品を一般音楽を耳にしているような聴衆が理解できたとは到底考えようもない。真実とは、常に人目の付かないところで隠されているものだ。そう、このヘヴィメタル史上に残る偉大な傑作『Master Of Puppets』のように……



1. Battery
不穏なアコースティック・ギターによる冒頭部分は前作と同様。しかし、衝撃という意味合いではこちらの方が上。怒涛のスピードを誇り、メタリカ史上でも最高の位置に属する名曲である。歌詞では、バンドとファンの結束について歌われている。
2. Master Of Puppets
人間を束縛する薬物の恐怖を描くタイトル・トラック。複雑な構成を持ち、中間部からは劇的なリードギターの旋律が堪能できる。明白なのは、メタリカは物語を描くような表現力をも身につけているということである。
3. The Thing That Should Not Be
H・P・ラブクラフトの怪奇小説『インスマスの影』にインスパイアされた楽曲。代表的なヘヴィメタルバンドであるメタリカが、過去の幻想作家から作詞に影響を受けていることは、興味深い概要に値する。暗澹たる物語の世界観に合わせて、ヘヴィかつダークな曲調を使い分けている。
4. Welcome Home (Sanitarium)
シリアスな雰囲気からも分かる通り、メタリカの楽曲は急速に知的になったことが伺える。メロディアスな歌から重厚な展開へと流れていく。ギターのメロディは非常にシビアである。
5. Disposable Heroes
戦場で使い捨てにされる兵士の悲劇を描く、鋼鉄のリフを用いた破壊的なスピード・ナンバー。圧倒的な存在感を誇り、兵士が戦場を逃げ回るように、高速のギターが荒れ狂う。その暴虐的な光景は、まるで軍事社会に対して怒りが叩きつけられているかのようである。
6. Leper Messiah
ミドルテンポで重厚なスラッシュ・リフが行進する。
7. Orion
星座をモチーフにした劇的極まりないインストゥルメンタル。まるでギターのメロディが夜空に輝く星々のように優雅に煌く。芸術と表記しても可笑しくはない奇跡的な名曲。
8. Damage, Inc.
ギターを用いてオーケストレーションのような音を奏でるイントロ部分が印象的だが、本曲の正体は#1"Battery"に匹敵する凄まじいまでのスラッシュ・メタルである。最後まで過激な楽曲を提供するメタリカのスタイルからは、清々しさすら感じる。



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