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Column the Column

volume 10. 9 May: 2011


 欧州やアメリカの一部の地域を除いては未だに認知に乏しいエピックメタルについて、コスマン・ブラッドリー博士が語ってくれた。以下は、その一部始終を記録したものである。


──ヴァイキングメタルやブラックメタルが世界各地に勢力を拡大していく中、エピックメタルは現在も伸び悩んでいるようです。
コスマン:ヘヴィメタルの創造初期から活動を続けていたエピックメタルが現在も認知の乏しい現状にあることは、もはや見逃せない事実となった。エピックメタルの主なバンドを挙げてみると、アメリカのマノウォーやヴァージンスティール、欧州のドミネなどが浮かび上がるが、これらの名を確認した上で、何故エピックメタルが伸び悩んでいるかは明白なことだ。中でも確かにマノウォーは偉大なバンドだが、ドイツでの異常な人気に相反して、母国アメリカの土俵ではそれほど圧倒的な知名度があるわけではない。ヴァージンスティールに関しては、才能と実力があるのにも関わらず、エピックメタル・シーンを除いては殆ど知られていない。イタリアのドミネに至っては更に絶望的であり、カルト的な地下世界に人気が押し留まっている。ヴァイキングメタルの場合、フィンランドのエンシフェルムやムーンソロウがいる。ブラックメタルの場合は世界的に有名なクレイドル・オブ・フィルス、ディム・ボイジャー、メイヘムがいる。しかし明確にエピックメタルと断言できる代表的なバンドは、上記に列挙したマノウォー、ヴァージンスティール、ドミネくらいしかおらず、その何れも世界的な音楽シーンから遠ざかっている。
──ドミネと同じイタリア出身のラプソディー・オブ・ファイアは、エピックメタルでも世界的な成功を収めたバンドの一つです。
コスマン:先程私が言ったように、純然たるエピックメタルバンドはそう多くない。これは重要な事実でもある。ラプソディー・オブ・ファイアはエピックメタルだが、詳細にはシンフォニック・エピックメタルの分野に所属する。私はヘヴィメタルバンドをエピックメタルとして形容する際、正統派とシンフォニック派を区別するようにしている。詰まるところ、ラプソディー・オブ・ファイアはエピックメタルであるという認識よりも、シンフォニックメタルやハリウッドメタルとしての名が取り上げられているバンドだ。今まで様々な分野から"エピック"と形容されたヘヴィメタル作品が登場してきたが、その形容はあくまで付加価値に過ぎなかった。この逆境の時代にエピックメタルというキャッチコピーで売り出すバンドはヴァージンスティールくらいしかおらず、その行為自体が商業的な自殺行為に値する。アルバムをエピックメタル作品として売り出すよりも、メロディック・パワーメタルやヴァイキングメタルと帯を付けて宣伝する方が、より広い層にアピールできることは既に明白だからだ。ヴァージンスティールは成功も収めているが、人気がカルト的と判断せざるを得ない。エピックメタルという看板を背負うことは、堅実なヘヴィメタル界でも容易なことではない現状が、未だ各所に残されている。
──つまりラプソディー・オブ・ファイアなどのバンドはエピックメタルバンドではない、ということでしょうか。
コスマン:その解釈にも誤りがある。元来古代の神話や伝承、文学的な作家からのインスパイアによって形作られてきたヘヴィメタルの詩的な世界観は、何れも叙事詩的に成り得る可能性を秘めている。後は大仰なサウンドや劇的な曲調が必要なだけで、エピックメタルと形容できるバンドは山ほどいる。しかし、伝統的なエピックメタルバンドは少ないという盲点を、私は指摘している。我々のような信仰深いエピックメタルのファンは、文学においても、好古趣味的な収集品においても、常に純潔のものを追求する傾向にあるのだ。
──その結果、純粋なエピックメタルバンドは少なくなっていった、そう解釈してよろしいでしょうか。
コスマン:全くその通りである。
──では、どうすればエピックメタルがヘヴィメタル・シーンに深く浸透すると思いますか。
コスマン:まずバンド自体が明確な看板を掲げ、曖昧な表現を避けることが重要に思われる。現在ではメロディック・パワーメタルもエピックメタルと形容されている時代であるし、個々のバンドの所属する分野を明るみに引き上げる必要がある。バンドが自らの作品の方向性を仕分けしない場合、やがてファンが無差別に音楽性や世界観を形容することになる。ヘヴィメタル・シーンの場合は賢明なファンが多いため、ある程度は一役買ってはいるものの、やはり曖昧な表現は避けたいところだ。またバンドによっては意図的に情報を網羅せず、ファンに判断を任せる場合もあるため、この問題は非常に入り組んでいる。最も深遠なヘヴィメタル作品にとっては、情報を一方的に提示することが決して良い判断であるとは限らない。ジャック・ヴァンス(*)のような「作品について一概に語る必要はない」という姿勢もあり得るのだ。ヘヴィメタル・シーンも個々の思想の集合体であるために、星の数ほどジャンルが存在するものの、覇権を握っているのは一部の分野に過ぎない。エピックメタルが夜明けを見るのは、まだまだ先のことになる。



*アメリカのSF作家。地球とは異なる惑星などの異世界を描き出すのに定評がある。代表作は『竜を駆る種族』(1962)、『終末期の赤い地球』(1950)等。

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