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Ragnarok

TYR the 3rd album in 2006 Release
★★★★★★★★★☆...(力作)

フェロー諸島出身の正統派ヴァイキングメタル、テュールの2006年発表の3rd。


バルト海の荒波の如きリフ、喝采のようなクワイア、英雄的なクリーンヴォイス──神話の如き神秘的な緊張感が、我々を北欧神話の古き世界へと誘う。魅惑的なサーガ(英雄伝説)の世界がここにはある。そして、打ち寄せては返す潮のように、異教徒の楽譜は何処かから運ばれてくる。
伝統的な北欧民族の小島に住むテュールは、本作『Ragnarok』で実に魅力的な神話世界を描くことに成功した。それはユミールから巨人族が生まれたように、オーディンの死によって終わる。即ちテュールは8つの楽章から成る北欧神話の伝説を描き、神々の黄昏として知られるラグナロクによってすべてが死ぬ光景を表現している。上記のように、彼らの試みは見事傑作を生み落とし、ファニーさを粉砕するシリアスさで持って我々を押し潰す。
本作の緊張感は大人が楽しむべき極上のワインのような、濃密な時間を提供するものである。我々がワインのアルコールに酔うように、『Ragnarok』は勇士らの英雄的な行為の前に酔う。8つの楽章はドラマティックなインストゥルメンタルとエピカルなヘヴィメタルから構成されており、2曲を1セットとしている。勇壮な序章から導かれる映画のように、我々は8つの叙事詩を存分に楽しむことになる。そして最後に待ち受けているものは、映画がまさにそうであるように、圧倒的な感動である。テュールの場合、僅かばかりの哀愁が含まれていることも、考慮しておいた方が良いかも知れない。彼らは戦士であることを忘れていないのだ。


1. The Beginning
冒頭に書いた表現の根源。まるで大河のような、雄大なインストゥルメンタル曲である。
2. The Hammer of Thor
劇的な序曲に続くプログレッシブなヴァイキングメタル。複雑なリズムと透き通るヴォーカルを用い、夜空に煌く星々のような神秘的な世界を描く。これらの視覚的な情景は、天空に神々の居城があるという神話の筋道とも繋がる。
3. Envy
4. Brother's Bane
重厚なエピック・ヴァイキングメタル。クワイアの展開がヒロイズムを鼓舞する。
5. The Burning
6. The Ride to Hel
7. Torsteins Kvæði
8. Grímur á Miðalnesi
9. Wings of Time
重厚なミドルテンポ。朗々としたコーラスが長々と続く。この旋律は古い民謡であろうか。テュールの楽曲の旋律には似通っている箇所が幾つかあり、音階の起源は何れもヴァイキングの古謡であると思われる。
10. The Rage of the Skullgaffer
11. The Hunt
12. Victory
13. Lord of Lies
ペイガン的思想を感じさせる音階のメロディが印象的。他の楽曲に比べややファニーさも漂うが、これが終焉の前の饗宴ということも想像できる。サビのメロディは飛び抜けている。
14. Gjallarhornið
15. Ragnarok
神々の最終戦争が悲劇的であるように、楽曲も悲壮感を表現する。只ならぬ緊張感に包まれた楽曲であり、クワイアの壮大なスケール感はスクリーンを見ているかのよう。本作の集大成であろう。
16. The End



Review by Cosman Bradley

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