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Column the Column

volume 5. 2 December: 2010


 以下に公表する文章は、コスマン・ブラッドリー博士が社会学の論文を発表する際に用いた貴重な下書きであり、ヘヴィメタルと社会学の関連性を綴った内容である。なお、コスマン氏の意思をできるだけ正確に伝えるために、本分は原文のままとした。


*  *  *


Heavy Metal, The Outsider
(ヘヴィメタル、社会の疎外者──)


Prologue
 ヘヴィメタルは巨大なムーヴメントを内包する音楽の一ジャンル。ツインリードの重いギター・サウンドに連なるドラムがツーバスを叩き出し、世界観を歌い上げるヴォーカリストを鼓舞している。ヘヴィメタルは、ハードロックが“限界”と呼ばれ始めた時から自らの探究心を途絶えさせないために創造、発展された。多岐に分極化されたジャンルの全てが、このヘヴィメタルの枠の影響下にあり、そこではモラルは異なった進化を遂げ、人間の本質的な真実を得ることだけが彼らの目的だった。純粋な探究心のみに支配され、ヘヴィメタルの名のもとに社会的な反逆行為も合法手段と見なされるこの世界では社会性は通用しなかった。可能な限り上手く真実を発見し伝えることが彼らの世界に唯一存在する法律だった。何十年もの間、社会的な圧力がヘヴィメタルのそれを上回っていたので、普遍的な社会とヘヴィメタル間での抗争は無益なものだったが、突然この均衡が崩れようとしており、ヘヴィメタルの攻撃の可能性が示唆された。こうした状況の中、ヘヴィメタルは巨大なムーヴメントに本拠を置く世界的な支持を確立。新しい風と凄まじい攻撃力を備えたこのムーヴメントは昔からの権力の均衡を取り戻すはずだったが、懐疑主義者が一歩的な弾圧をヘヴィメタルに行使し平和的共存という夢は打ち砕かれた。社会は弾圧を使ってヘヴィメタルの認知を妨げ、独断と偏見を抱かせるようになってしまったのだ。法律的な抗争の中、社会は恐るべき敵と化し、ヘヴィメタルのオーバーグラウンドでの支持は消滅した。しかし、まだ完全にヘヴィメタルが失われたわけではない。勇敢なメタルバンドが、なんとかアンダーグラウンドで地位を獲得しようとしていたのだ。時間と戦いながら、彼らはヘヴィメタルが再び社会に誤解されないようにと、表舞台から姿を消した。彼らは、先の何十年後かにはヘヴィメタルが世界に戻ってくると思っていた。その頃には弾圧も解決され、社会が独断と偏見を取り除いているだろうという望みを持っていたからだ。彼らにとって、この決断は戻ることのない最後の鎮魂歌だった。彼らは、理不尽な末路を辿る前に、社会がまだ弾圧を行っている場合に備えて、ヘヴィメタルの根本的な部分に必要な概念を全て付け加えていた「ヘヴィメタルを守り、社会に反逆せよ」ヘヴィメタルの根を完全に断たない限り、この意思を無視することはできない。しかし、抗争を止めるためには、既に手遅れという状況だった。社会は、激怒して無情にも法律的処置を命じ、ヘヴィメタルは休む間もなく半永久的に自由を剥奪されてしまった。この大惨事は他にも様々な影響を及ぼし、殺人、麻薬、シーンの低迷、音楽性の変化などで、ヘヴィメタルは完全な形を失ってしまった。残された者達は、ゆっくりとではあるが世代を追うごとに原点回帰していった。遂に純粋なヘヴィメタルと同じ分野まで回帰して、新たなるヘヴィメタルの夜明けが来るのだった…
 そして今、2010年、ヘヴィメタルはシーンに舞い戻り、社会が依然として誤解を抱いたままであるという現実に直面する。理解あるかに思われた者たちとのコンタクトはことごとく失敗。ヘヴィメタルがまだ認知されず抑圧されるがまま、一般大衆は、ヘヴィメタルは社会に破壊され殆ど失われた、という決断を下す。意思を持つ音楽の理論で、ヘヴィメタルバンドは重要な使命を実行する。

ヘヴィメタルを守り、社会に反逆せよ

 以下の論文はこれらの出来事に基づくもので、ヘヴィメタルが過去、現在、未来の世界で遭遇した状況を論じたものである。


Chapter 1:The Arrival(The Legacy of Kings)
 1970年。怪奇的な音楽性を持つブラック・サバスがロック・シーンに登場し、衝撃を与えた。後に続く、ヘヴィメタルの誕生である。その背景には、リヒャルト・ワーグナーに代表される古典音楽の影響、太古の叙事詩や民俗伝承・神話──ゲルマン神話、ギリシア・ローマ神話、中世暗黒時代、悪魔崇拝、吸血鬼伝説(ゴシック世界及び幻想文学)、聖書を含む──などの起源があるとされる。


Chapter 2:The War
 ヘヴィメタルと社会の抗争を論じる。1983年のメタリカ──またはスラッシュ・メタル──の出現、1990年に行われたジューダス・プリーストの裁判(注1)、スレイヤーに対する社会的な偏見、CDジャケットの差し替え及び発売の禁止、更には中東地区での逮捕例などを題材に、事実と虚実を暴いていく。


Chapter 3:Blood Brothers
 ヘヴィメタルのシーンの飛躍の一端を担ってきたファンの存在。その実態を描写し、思想、アイデンティティ、アウトサイダー的概念に触れる。思想面では主に、異教崇拝及びナショナリズムへの接近を、北欧古来の民俗信仰を起源とし、それに基づいて論じていく。また一方で、それに伴うファッション──レザー、ゴシックファッションなど──と思想面での共通点についての考察も含む。


Chapter 4:Steel Meets Steel
 ヘヴィメタルを形成する上で重要な要素である音楽面を追求。社会的な非難の対象となる攻撃性の必然性、一般音楽──娯楽音楽、商業音楽と呼ばれる分野──との比較を交えながら、根本的なメタルサウンドの基礎概念を論じる。


Chapter 5:Dawn of a New Day
 ヘヴィメタルと社会に関する最終的な結論。ヘヴィメタルを抑圧した社会体制及びその矛盾について熟考し、歌詞に表現されたそれらに対する意思表明の実例に加え、アメリカ、イラクに代表される軍事社会の実情に警告を発するメタルバンドたちを紐解く。そして、最後にヘヴィメタルが辿りつく答え。


注1 1990年、アメリカ・リノに住んでいた少年二人が自殺を図り、一人が即死した事件に関して、遺族から「息子の自殺はバンドの曲に含まれるサブリミナル・メッセージが原因」として裁判を起こされるが、最終的にはバンド側の無罪判決となる。


予想される反論:
──感情的な主観が交じってはいないか。
感情とは、合理的な機能である。 ──カール・グスタフ・ユングより
──社会に対する一方的な見解が読み取れるが。
上記は全て事実である。自由な意思表現を抑圧された文章に関しては、本来の事実を歪曲する恐れがある。


2010年12月2日
コスマン・ブラッドリー



追伸;これは後に分かった事実であるが、原文の『Prologue』は、ドイツのアイアン・セイヴィアーの1st「Iron Savior」(1997)のライナーノーツを巧妙に捩ったもののようだ。

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