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Hymns to Victory



Country: United States
Type: Compilation
Release: 2002
Reviews: 92%
Genre: Epic Metal



アメリカのNY出身、エピックメタル・シーンにて不動の地位を誇るヴァージン・スティールの2002年発表のベスト。


「エピックメタル史上最高のグレイテスト・ヒッツ」

 ──『METAL EPIC』誌


長年エピックメタルを創造・発展させてきた唯一無二の始祖であるヴァージンスティールのベスト盤が発表されたことは、ファンとしても嬉しい限りであると同時に、ヴァージンスティールというバンドが如何に海外のエピックメタル・ファンの間で熱烈な支持を得ているのかが分かる(しかし残念なことに、この分野以外での正しい評価は得られていない)。本作の最良の点は、企画盤としての楽曲の寄せ集めという手法を演じてはおらず、投票で厳選してファンの声が重視され、デイヴィッド・ディファイ(David Defeis:vo、key)自らが決断を下したということだ。そのため内容がずば抜けて突出したものとなり、ほぼグレイテスト・ヒッツ的な作品となっている。収録されたのは第3作『Noble Savage』(1986)以降の楽曲から第10作『The House of Atreus, Act II』(2000)までの楽曲に限られる。名盤として名高い第7作『The Marriage of Heaven & Hell, Pt. Ⅱ』(1995)からは3曲が収録されている。ディファイは「初期のヴァージンスティールと現在のヴァージンスティールは別物だ」という考えを示しており、そのため初期の楽曲の収録が見送られた可能性もあり得るが、真相はほぼ同じ時期に発表された『Book of Burning』(2002)にある。この企画盤では1stと2ndの楽曲がリメイクされているため、それらの楽曲を本作に収録する必要性はなかったということだ。
本作はヴァージンスティールというバンドがいかにエピカルで徹底したヒロイズムとドラマティシズムを追求したバンドであるか、という事実が痛烈に感じさせられる構成であり、#1~#9までの凄絶な展開は雪崩が起きたかのような衝撃を有する。また本作は過去の楽曲に対しリマスターあるいはリミックスが施されており、音質が格段に高上している。その点も相俟って、やはり前半の怒号の展開が眩しい。『Hymns to Victory』はヴァージンスティールの劇的極まりないエピックメタルの名曲が一冊の豪勢な写本に閉じられた、とでもいうべきかもしれない。本作の内容はすべてのエピックメタル・ファンを満足させる魅力を備えている。
#1の幕開けは高潔、#2の古代ギリシア調のシンガロングパートで高揚感は最高潮に達するが、次に待ち構えているのは名曲#3のサビの神々しいまでの讃美歌的裏声である。そして感動的な#4の劇的な展開とヒロイズムが涙を誘い、またもや蛮性極まる#5で高揚感の爆発を体感する。#6は北欧神話を歌った神秘的なバラードだ。再び魅惑的な#7のホーンが物語へと誘い、ヴァージンスティールの代表曲#8で文明の興亡を垣間見る。#9はマリッジの旋律が過去を呼び戻す。#11は言うまでもなく初期の大傑作。そしてラストである大団円#13は恰も当然のように「Emalaith」が来る。ベスト盤といえども、ここまで劇的な演出が果たしてあるだろうか。我々はこれ以上のエピックメタルのベストアルバムがあるのか疑問なほどだ。現在世に出回っているベストアルバムは大抵がうんざりする粗悪品ばかりだ。そして我々はそれを軽い気持ちで手に取っている。ヴァージンスティールの歴史で初となる記念すべきベスト盤がそのような失敗をしなかったことは、一重にディファイの努力に尽きる。
ただ本作の残念な点を挙げると、#10が初期スタイルの軽快なロックンロール調であるため、雰囲気をないがしろにしてしまうのと、正直微妙な完成度なバラ―ド#12が唐突に導入されているということだ。この二曲を「Sword of the Gods」や「Blood & Gasoline」(名曲中の名曲だが本作には未収録)等の名曲に変えれば本作は更に良くなったのではないだろうか。しかし考えて見れば、これ以上本作『Hymns to Victory』が優れたベスト盤になってしまえば誰も他のヴァージンスティールの作品を買わなくなる。



1. Flames of Thy Power (From Blood They Rise) [Remastered]
第10作『The House of Atreus Act II』(2000)から収録。憂いを帯びた高潔なメロディが冒頭に相応しい。
2. Through the Ring of Fire [Remastered]
第9作『The House of Atreus Act I』(1999)から収録。中間部からのスペクタクルな展開が余りにも劇的なドラマを演出。ある種これはオペラである。
3. Invictus [Remastered]
第8作『Invictus』(2000)から収録。彼らの不屈の精神を反映した名曲。古典的旋律に加え、ディファイの裏声が見事。
4. Crown of Glory (Unscarred) [in Fury Mix]
第7作『The Marriage of Heaven & Hell, Pt. II』(1995)から収録。冒頭の部分が少し長くなっている。サビの圧巻のヒロイズムと後半の神々しい展開は相変わらず。
5. Kingdom of the Fearless (The Destruction of Troy) [Remastered]
第9作『The House of Atreus Act I』(1999)から収録。迫真性に満ちた急展開を見せる劇的な疾走曲。後半エドワードのソロパートがあまりにも大仰である。
6. Spirit of Steele [New Acoustic Version]
第3作『Noble Savage』再発時に収録されたバラード。一説にはマノウォーの名曲「Heart of Steel」に対抗したとも囁かれるが、この曲の感動的なアプローチからすればそんなことはどうでもいい。
7. Symphony of Steele [Battle Mix]
第7作『The Marriage of Heaven & Hell, Pt. II』(1995)から収録。冒頭部分に語りが追加。爆発的な疾走感は最高。
8. Burning of Rome (Cry for Pompeii) [Remastered]
第4作『Age of Consent』(1988)から収録。ローマの悲劇を物語るヴァージンスティーの代表曲。キーボードを駆使した重厚で古典的なドラマティックなイントロ部分と、悲しみを代弁するかのようなサビのシャウトが魅力。
9. I Will Come for You [Remastered]
第6作『The Marriage of Heaven and Hell Part I』(1994)から収録。後半にマリッジのテーマメロディが導入され盛り上がる名曲。
10. Saturday Tonight
新曲。ある意味ヴァージンスティールはこういったロックンロール調の楽曲も作れるということであろう。
11. Noble Savage [Long Lost Early Mix]
第3作『Noble Savage』(1986)から収録。タイトルトラックの別バージョン。若干キーボードのエピカルな旋律が小さくなっている印象を受ける。
12. Mists of Avalon
新曲。アヴァロンとは、アーサー王伝説に登場する浄土である。楽曲はアコースティック主体。
13. Emalaith [Remastered]
第7作『The Marriage of Heaven & Hell, Pt. II』(1995)から収録。ヴァージンスティール最高の名曲にして、エピックメタル界屈指の歴史的傑作。もはや語るまでもないだろう。



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コメント
この記事へのコメント
あけましておめでとうございます
コスマン様
あけましておめでとうございます。
Hymn To Victoryは私も時々聴くアルバムで、本音を言えば2枚組でも良かったのでないかと思ったりしますが、「自分ならこの曲は外してむしろあの曲を入れるなぁ」などといった考えをめぐらせるのも、面白いですよね。
私なら"Prometheus The Fallen One"と"Wine Of Violence"は間違いなく入れます(前者はMagick Fire Musicに入っているので見送られた可能性が大かと)。
ところで、"Saturday Tonight"は確かに微妙な曲ですね。陽気さが全体に合っていないという意味で…
ただ、彼らの場合、間口の広さが苦境を乗り切る助けにもなったようなので、根はアメリカ人の部分が垣間見えるところは興味深いです。

あと、変な表現になってしまうのですが、"Emalaith"の腰の据わったミドルテンポなのに盛り上がる展開は、スローフード的な発想だと思っています。
9分という枠の中で、曲がゆっくり熟成されていきながらラストのアウトロに結ばれてゆくという感じで、余り作り込んだという感じはしません。

そんなことも考えてしまいました。

それでは今年も、お体大切にお過ごしください。

2011/01/06(木) 22:22 | URL | kangetsu #-[ 編集]
返信
お元気で何よりです。ご指摘の通り「Hymn To Victory」は当初2枚組が予定されていたそうです。しかしレコード会社の意向により1枚に収めざるを得なかった、ということが真しやかに囁かれています。ヴァージンスティールはご存じの通り膨大な数の名曲を生み出していますし、アルバム1枚に、それもおよそ80分のCDの中にその歴史全てを網羅することは不可能に近い試みです。現在も新たなエピックメタルの名曲を生み出し続けている偉大な先駆者の歴史が"アルバム一枚に収まりきらない"というのはいかにヴァージンスティールというバンドが奥深く、充実した作品を作り続けているかという証明でもあります。他にもアイアン・メイデンやマノウォーのベスト盤にも同じことが言えます。首尾一貫して徹底した楽曲をファンに提供し続けているメタルバンドほど、ベスト盤が賛否に分かれやすいのです。なにせ彼らには夥しい名曲があるのですから……。このように、ベスト盤を上手くまとめあげたディファイには感謝しなくてはなりません!
アメリカ出身でありながらヨーロピアンテイストなバンドは数あれど、やはり故郷の感性は受け継がれていくものなのでしょう。マノウォーもアメリカンテイストな曲がありますし、ブラジルのセパルトゥラなどは母国の民族楽器を取り入れてもいます。そういった意味では、ヴァイキングメタルは最も故郷に対する忠誠心が強いともいえます。生まれ持った民族の"印"は常に変わることがない、ということなのかもしれません。私達日本人の感性──哀愁が美しいとされる独特の感性です──も同じです。最後に、あなたの言葉を心に留め、叙事詩によく登場する戦士のような健康に近づけるよう努力したいと思います。
2011/01/07(金) 10:58 | URL | コスマン・ブラッドリー #-[ 編集]
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