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House of Atreus Act II



Country: United States
Type: Full-length
Release: 2000
Reviews: 85%
Genre: Epic Metal



エピックメタル・シーンの頂点に君臨する帝王、ヴァージン・スティールの2000年発表の10th。

古代ギリシャの劇作家アイスキュロスのオレステイア(The Oresteia)の3部作のうち、『供養する女たち』 、『慈みの女神たち』を題材とした作品。ストーリー・アルバムとしてリリースされた前作「The House of Atreus, Act I」の内容を受け継ぎ、オペラとして制作された「アトレウス2部作」の完結編が本編である。メンバーは前作と同じくデイヴィッド・ディファイ(David "DIONYSUS" Defeis:vo、key)、エドワード・パッシーノ(Edward "VAN DORIAN" Pursino:g、b)、フランク・ギルクリースト(Frank(The Kraman)Gilchriest:d)による3人。本作はヴァージンスティールのオリジナル・アルバム初となる2枚組の作品であり、全アルバム収録時間は約90分にも及ぶという、エピックメタル史上類を見ない一大大作である。
内容もそれに相応しい、徹底した味付けが成された「Barbaric and Romantic」なメタルオペラ作品となっている。前作は10人になる登場人物をディファイが一人で演じきるという凄技を見せたが、本作では7人の登場人物をディファイに加え2編からなる聖歌隊が歌い紡ぐ。まさに本作は"歌劇"である。ディファイの表現力の向上は記すべくもなく、サビでの盛り上げ方が更に劇的に変容している。まさにエピック・クアイアの効果的な導入の勝利だろう。
アルバムはギリシア神話の神々しさを伴えた名曲#1で神妙に幕を開ける。冒頭から、先述したコーラスの扇情力が光っている。それは繋ぎながら印象的な#2にも代表され、まるで神話の世界の官能的な美声が現代に蘇ったかのようだ。ここに、ヴァージンスティールのトロイアンメタル(古代ギリシアに回帰したエピックメタル)の意味がある。中世ルネッサンスは文芸復興として参考とする時代を模索する中で、最期に古代ギリシアの時代に辿り着いている。西洋人が戻りたいと終ぞ願ったのは古代ギリシアの世界だったということだ。奇妙なことに、アメリカのバンドである彼らはギリシア神話を取り上げている。芸術文化の回帰に、人種は関係ないということではないだろうか。彼らは、中世の人々と同じ思想でこのテーマを選択したのだ。そしてその壮麗な古代ギリシアの世界で、ディファイはオレステスの悲劇を描き切った。#22「Fantasy and Fugue in D Minor (The Death of Orestes) 」に表されているように、オレステスは自殺により死を迎える。威厳を誇ったトロイの街は叙事詩的な戦争により崩壊する。美しい世界が滅び去った時、私達が抱くのは真の絶望である。そして古代ギリシアの世界は、中世の人々が最も美しいと称えたものだった。これは古典に現代精神の悲劇を代弁させるディファイの皮肉のうち、最高のものである。最後#23「Resurrection Day (The Finale) 」に登場するマリッジのメロディが輪廻転生、つまりは悲劇を繰り返す人類を示唆しているのだ。しかし幸い、その曲は明るい。



Disk:1
1. Wings of Vengeance
物語に沿ったエピカルな展開と、憂いを帯びた儚い旋律が交錯する疾走曲。サビのコーラスと裏声は素晴らしい。興味深いのは、オレステスへ復讐を命じたのは新しき神々オリンポスに属するアポロだということだ。
2. Hymn to the Gods of Night
3. Fire of Ecstasy
ディファイのプロジェクトEXORCISTの曲、"Call for the Exorcist"のリメイクバージョンだが、アルバムの雰囲気に馴染んでいるから不思議だ。
4. Oracle of Apollo
5. Voice as Weapon
6. Moira
7. Nemiesis [Instrumental]
8. Wine of Violence
9. Token of My Hatred
本作で最大の名曲ともいうべき傑出した楽曲。悲劇の中にも彼ら独特の力強さが表現されており、特にサビのフランクのスピーディなツーバスを伴って歌い上げる「Hear me cry, the King of Eternity to the End~」のフレーズには痺れる。唯一無二のヒロイズムといってもいい。終盤には前作の名曲「Kingdom of the Fearless [The Destruction of Troy] 」の野蛮なリフも再登場し、大仰なドラマ性を極める。
10. Summoning the Powers
ギリシア調のホーンセクションが印象的な大作。ダークな雰囲気で重厚なリフを織り交ぜながら、時折アンビエントな歌声も入る。

Disk:2
11. Flamies of Thy Power (From Blood They Rise)
冒頭を飾るに相応しい強力なエピックメタル。バーバリックな疾走感とエピカルなリフが印象的だが、やはり高潔な哀愁を漂わせる全体のメロディが引き締まる。
12. Arms of Mercury
13. By the Gods
14. Areopagos [Instrumental]
15. Judgement of the Son
16. Hammer the Winds
17. Guilt or Innocence [Instrumental]
18. Fields of Aphodel
19. When the Legends Die
20. Anesmone (Withered Hopes... Forsaken)
21. Waters of Acheron [Instrumental]
22. Fantasy and Fugue in D Minor (The Death of Orestes) [Instrumental]
23. Resurrection Day (The Finale)
これまでの重く悲劇的なムードを払拭し、黒雲に覆われた天上の隙間から神の微光が差し込むような、「アトレウス二部作」に終止符を打つ楽曲。物語では、古き神々と新しき神々が和解をする。しかし私の個人的な意見としては、果たしてそんなことがあり得るのだろうか。



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