Epic Metal; Review Fan Site.
© 2010-2017




上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 音楽すらも情報社会と化しつつある現状が、凄惨なCD離れを引き起こしている今、私達は何かを見失って久しい生活を送っている。町を歩けば多くの人間がヘッドフォンを耳にし、携帯電話で楽しく音楽を聞いている。余りにも見なれた現状だが、そこにある落とし穴に私達は気付いていない。彼らは音楽をCDではなく、インターネットを通して得ることの出来るデータで購入する。効率的で即効性のある市場体制は、私達に「手軽な音楽」を配給した。しかしそこで私達は何を見失っていったのか、検討していくこととしよう。

 私達がレコードやCDを聴いていた時代、それは古き良き時代だった。音楽自体が重みのある生活の一部であり、聴者も制作者も真摯だった。私達はいずれかのバンドや作曲家のファンになり、店舗や中古店でCDを探す日々だった。望むものが手に入る時代ではなく、苦労だけがそれに応える結果を幾分かだけ勝ち得た。そして念願のCDやレコードを手にした幼い私達は、希望が達成された時に得る尊い達成感──それは苦労した者のみが手にすることのできる──を味わったのだ。しかし変化は早急に訪れた。次々に人間の科学は向上し、人的な行為が機械の動作に移り変わった。それらは人間の労働を激減させ、さらなる発展を遂げようと邁進していった。人類の技術力の進歩は驚異的であり、古き時代から着実に積み重ねられてきた努力を一瞬のうちで消化した。加えてインターネット、つまり情報の拡大は凄まじいまでの速度で世界を支配した。そして人々も、当然それに魅了された。便利なものは積極的に利用する、人間の本質的な動作だった。触発された情報社会は更に飛躍、遂にはあらゆるものがインターネットで手に入るようになる。私達はそれを喜ぶ以外の表現を知らなかった。
 音楽が情報化されたのもこの頃だった。MD、テープ等の録音技術も画期的ではあったが、やがて登場したパソコン並びに「iPod」は、それまでの音楽社会を徹底的に打破するものだった。インターネットで販売されるデータを購入することが可能な音楽プレイヤーの発売は、世界中の人間に驚異的な速度で浸透した。更にそれらの機器は、驚くほど小型化されていた。ここでCDを持ち歩くという古い習慣は終わりを告げたのである。加えてそれは、CDが撲滅される可能性を示唆していた。画期的だったのは他にもある。パソコンを通して閲覧できる無料動画サイト等のダウンロードは、簡単にアーティストの音源をCDなしで入手することを可能とした。日々、ユーチューブ等の世界的な規模を誇るサイトから、個人経営の小規模なサイトにまで及び、音楽の"無料"ダウンロードは行われている。好きなバンドの音楽を無料に、更に迅速に入手することが出来る時代になったのだ。古い時代を思い出すと、まさに夢のような時代が到来したことが分かる。私達は理想を技術で買い取ったのだ。
 真実、レコードの音質が最も良いものだった。次にCDが入り、かろうじてMDも劣化はしていない。アーティストが苦労したCDやレコードには、──生にはかなわないが──本物の音質があった。しかしCDにしろMDにしろ、収録時間には限界があった。CDは80分が限界である。なぜそうなのか。理由は簡単だった。ほとんど圧縮をしていない。MDは私の知る限りでは、4倍まで圧縮ができ、収録時間を4倍に出来た。だが「iPod」は違っていた。薄いチップに途轍もない量を内蔵できる。進化した圧縮技術の勝利だった。驚くほど小さい本体に、大量の音楽データ、利用しないはずはなかった。人類は何と便利なウォークマンを開発したのだろう、それが私達の意見だった。事実、パソコン、「iPod」の音質はCDの1/10に劣化しているが、聞くに違和感はなかった。それは微小な、繊細な聴覚器官の問題であり、誰しもその事実は考慮しなかった。「iPod」、ウォークマンで使われるAACは、「MPEG-4 AAC」なんとMP3より1.4倍ほど圧縮効果があった。そこから導き出される答えは、果たして何を意味しているのか。おこがましいが、私は「iPod」を持っていなければ、インターネットで音楽をダウンロードしたこともない。いや、しようとも思っていない。まさに"時代遅れな"人間として嘲笑されるだろう。



Click Ranking for epic metal!
関連記事
コメント
この記事へのコメント
CDを買うという行為が時代遅れだとするならば、僕も立派な時代遅れの人間です。(笑)
僕もyoutubeなどを利用しますが、そういったところで聴いて気に入ればCDの購入を考えます。これは個人的な意見ですがダウンロードは味気ないと思うのですよ。データとして持っているだけでは満足できないんです。ジャケットを眺めたり歌詞を読んだり、どんなメンバーがいるのかも見たいんです。CDというのは一つの作品でありジャケットや音楽が一体化して完成すると僕は思っているので。
コスマンさんの言うように苦労して時間を掛けてやっと手に入れたものは大事にしますよね?僕も何年か前は遠くにあるCDショップや中古CD屋の場所を調べて自転車で何時間も掛けて行ったものです。だけど無料で手に入れた音源というのは思い入れも何も無く、簡単に捨てたり売ったりしてアーティストが心血を注いで作ったものを台無しにしかねない。
僕はそういった作品には多少なりとも投資をすべきだと思いますね。
またiPodに関しては音質が多少劣化していても良いのではないかと思います、その理由はiPodはじっくり聴くものではないと思うからです。あれは移動中や外にいるときに聴くものであって家でじっくり鑑賞するのとは違うと感じるからです。
またCDは決して無くならないと思います。日本ではあまりないかもしれませんが海外では今でもレコード(LP)が新譜として販売されておりCDよりもレコードの方が好きという人もたくさんいるそうです。確かにCDは今後減っていくかもしれませんが本物の音楽ファンがいる限り決して無くなる事はないでしょう。


2010/11/27(土) 10:02 | URL | Taka #-[ 編集]
返信
素晴らしい考察に感謝いたします。私が本文で多少なりとも伝えたかったことが、あなたに伝わっておりなによりです。
私も苦労して手に入れたメタルのCDは沢山あります。ヴァージンスティールのアルバムや、バルサゴスの全アルバムを手に入れるのには本当に苦労しました。特にヴァージンスティールの「Visions of Eden」(2006)におきましては、海外からの輸送中に商品が紛失してしまい、改めで購入することになり、大変苦労した経緯があります。またバルサゴスの「The Power Cosmic」(1999)に関しましても、ようやくオークションで購入することが出来ました。そういった経緯で手に入れたアルバムには、もちろん思い入れがありますし、特に大切にしています。別に私の思いがあるからといって、CDの中身に変わりませんし、それは一つの商品として他のものと同じです。しかし、苦労して手に入れた達成感や、希望が成就された時に感じる喜びは、他では味わえないものです。私のような者は、そういった付加価値を求めているのかもしれません。また、あなたがおっしゃいましたように、CDをきちんと購入するという意見には同意いたします。「無料で手に入れた音源というのは思い入れも何も無く、簡単に捨てたり売ったりして……」という部分には、音楽の荒んだ現状を最も的確に表現した言葉であると感じ、深く感銘しました。
iPodに関する意見にも同意いたします。外出先で音楽を聴く場合は、人の話す声や車の騒音が無差別に混入してくるので、集中できないのは当然のことです。むしろ、私達はそういった騒音から遠ざかりたいがために、外出先で音楽を聴くのでしょう。
CDはなくならないというあなたの思いは、私に多少なりとも希望を抱かせたようです。本物の音楽ファンの数と、新しいもの好きの音楽ファンの数の差は把握しかねますが、CDがなくならないことを祈ります。では、またの機会に。
2010/11/28(日) 14:22 | URL | コスマン・ブラッドリー #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://cosmanbradley.blog129.fc2.com/tb.php/234-320c0326
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。