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Chains And Leather




running_wild


ヘヴィメタルファンがレザージャケットを着るのは、自己表現としての一環であり、内部の精神性を外部に打ち出すためである──
コスマン・ブラッドリー



 スタッズやピンバッチ、ワッペンを山のように装備したレザージャケットを着ている者を見て、果たして恥ずかしいと思うだろうか。私達はその者達を一見はしても、どういった精神や心境の経緯からそういった服装をするに至ったのか知る由もなく、日常を通り過ぎていく。このコラムには、上記の疑問に対する問いに答えを出すとともに、彼らメタルファンのレザーファッションについて追及していく。また、あえて私自身がレザーを着用して町を歩き、ファンの心境や感覚に近づくよう尽力したことも、あえて付け加えておく。


ARCH ENEMY「17歳の時の私は黒いレザージャケットを着てたわ。もうすべてくそくらえ!って感じでね」
 アメリカのメロディック・デス・メタルバンド(*注1)、アークエネミーの紅一点のヴォーカリスト、アンジェラ・ゴゾウはインタビューで過去をこう振り返った。この言葉こそ、メタルファンがレザーを着る理由を最も的確に捉えた言葉だと感じる。ヘヴィメタルは常に何かに対して反抗運動を行ってきた音楽だ。彼らは内面の基礎を築くと、その表現を外見でも求めていった。そうしてたどり着いたのがレザーファッションに他ならない。彼らの服装は、全身黒のレザーに加え、徐々に鋭角なスタッズ類が埋め込まれていった。元々これらのファッションは、英国の伝統的なロッカーズのファッションだった。英国ロッカーズとは、50年代から続く古いロックンロールを愛するバイカー達の集団で、後のメタルファッションに大きく貢献した(詳しくは、映画『The Wild One』を参照にされたし)。彼らは黒いレザーライダースにスタッズやワッペン、ピンバッチを無数に付け、バイクに乗り、頭にはバイカーキャップを付けていた。このファッションこそは、メタルファッションを世界的に広めたジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードの正装だった。伝統的なイギリスの泥臭い町に誕生したロッカーズのファッションは、同じくイギリスで誕生したヘヴィメタルに受け継がれていったのだ。
 しかし精神的にも強固な思想を固めていったヘヴィメタルにおいて、レザーが持つ重要性というものがある。思い出してもらいたい。これまで取り上げた資料の中にも、メタルファンは真剣にヘヴィメタルを崇拝し、忠誠を誓ってきたことが分かる文献が幾つもあった。彼らは"娯楽"でメタルを聴いているわけではないのだ。ヘヴィメタルを生涯で捉えているメタルファンにとって、レザーには共通する部分がある。とある革職人がかつてこう語ったが「レザーは生きている」といわれている。これだけでも、レザーに携わる人間が安易な気持ちで「レザー」を捉えていないことがうかがえる。決して大量生産では完成しないレザーの生き生きとした質感に、ファンは惹かれている部分もあるのではないだろうか。「本物」を追求するメタルファンにとって、レザーはよく適応している。これまでの調査で、ファンのスタンスでは、よりメタル然とした音楽性を好む傾向にあることが分かった。これは、常に「本物」を求めるメタルファンの精神的な信条の表れだ。同じくレザーにおいても、より「本物」らしい──本革が用いられ、オリジナリティのある──レザージャケットが求められる。レザーの革質にもよるが、ここで注目すベきはオリジナリティだ。メタルファンはレザーを買うだけでなく、自分だけの「本物」を作ってしまうのだ(*注2)。先述したように、スタッズやワッペン、ピンバッチ──ここではお気に入りのバンドの製品が選ばれる──を打ちつけて、この世に1つしかない「レザー」を作る。これが究極の次元ではないだろうか。ある程度金を払えば確かにいいレザージャケットは買える。しかしそれだけではメタルファンにとっての"完成品"とはならない。革職人が時間と労力をかけて作ったレザーに対し、ファンが好きなメタルバンドの装飾を新たに加えて感情移入する。「レザーは生きている」という言葉の証拠がここにはある。レザージャケットは特別であり──ファンにとっては馴染み深いものだが──、流行服をことごとく差別化し、唯一無二の個性を持った、古き良き服装の象徴なのである。最終的にメタルファンにとってのレザーとは、内面の「すべてくそくらえ!」な心境を表現できる服装であり、現実に生きた意志の代弁者なのである。



*注1:正しくはアークエネミーはスウェーデンのメロディック・デスメタルバンドである。上記はコスマン・ブラッドリー博士の誤解だと思われる。
*注2:世界中のメタルファンが制作したGジャンやレザージャケットが閲覧できるサイトへのリンク ▶「T-shirt Slayer

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コメント
この記事へのコメント
リンク先の「T-shirt Slayer」を見てみましたが、本当に多くのメタルファンが自分なりのアレンジをしたメタルファッションを支持していて驚きました。
国や人種は違えどメタルを愛する心、精神は繋がっているんだというのが感じられて何だかうれしくなりましたね。確かにメタルファンの多くはレザーを身に付ける傾向にあります。コスマンさんの言うように何かに対する反抗のためであったり、あるいはメタルに対する忠誠の証、あるいは見た目がクールだから等の理由が考えられます。
僕が思うにメタルファンは「反抗」と「忠誠」(支持)のためにレザーを身に付けるのではないかと思います。例えば1980年代のメタルバンドを例にとってみましょう。ジューダス・プリーストがレザー&スタッドのイメージを定着させ、アイアン・メイデンがレザージャケットを着て写真に写り、スラッシュメタルバンドはレザー、ジーンズ、白いスニーカー(が多い)。メタリカのベーシストの故クリフ・バートンは80年代当時時代遅れとされていたベルボトム・ジーンズを履いていた。
これらは一般の人々から見ればオシャレではないしファッショナブルでもない。しかしそういったバンドを支持するファンは同じようにレザーを身に付け「文句があるなら、くたばれ!」という反抗の姿勢を示した。しかしそれでは飽き足らなくなったもの達は、好きなバンドのパッチなどを付けてバンドへの忠誠を誓った。
脈々と受け継がれるメタルファッションは今の時代も流行に流されることなき「意志」のあるもの達を刺激し続けている。
僕はファッションとは内面を写すものだと思います。レザーをあえて身に付ける人は意志のある人であり、メタルファンとしての覚悟がある人だと思うのですよ。
2010/11/16(火) 13:16 | URL | Taka #-[ 編集]
返信
まずは返信が遅くなったことに対して謝らなくてはなりません。近頃、個人的な作業をしているために、こちらを覗くことが少なくなりがちなのです。また特に今月は、帰宅する時間が普段よりもずれ込み、インターネット社会に接続することが重苦しく感じられていたのです。困ったことに、私は現実の疲労感にとても弱いのです。全くメタルファンとして情けないことです。ですが、これは個人的なことですので、気にすることはありません。
私も「T-shirt Slayer」を拝見した時は、心の中で歓喜しました。ここまでやるメタルファンの心意気に心底打たれました。あなたのおっしゃるように、「反抗」と「忠誠」の概念はレザーを身につけるファンにとって重要なものです。レザーに付けたスッタズの数は忠誠の度合いを表している、とでもいいましょうか。一体何百発打っているものかと、疑問に思うこともあります。余談ですが、スタッズジャケットというと私はエンターテイメントスポーツ「WWE」のジョン・モリソンを思い出してしまいます。
正統派に比べて、スラッシュメタルバンドは比較的ラフなメタルファッションであるように思います。信望するメタルTシャツにジーンズというバンドも見受けられますし、それぞれの個性が際立っていて興味深いです。またなんとメタリカは、その恰好のままグラミー賞ノミネートの舞台に出席したようです。全くなんという「くそくらえ!」な態度なんでしょう!もちろんこれは私なりの褒め方です。メタリカの偉大さを改めて実感させられます。実を言うと、この「すべてくそくらえ!」という決まり文句は、初出が、メタリカ自身が例のブラック・アルバムを回想した時に発せられた言葉なのです。記憶が確かであれば、その言葉は97年発表の「ガレージ・イング」のライナーノーツに書かれているはずです。「ほらみろよ、黒ジャケに黒ロゴさ。くそくらえ」と。
話は戻りますが、私は時代遅れとされているファッションほど魅力的なものはないと個人的に思っています。古い世界が好きということもあります──いうなれば好古趣味──が、そういった古さが漂うあらゆるものが魅力的です。それらは、あなたのおっしゃた言葉でいうのならば「時代も流行に流されることなき意志のあるもの」で上手く表現されているように思います。いつの時代も、自分の信念を貫く姿は輝いているのです。では、メタルへの忠義を誓いつつ。
2010/11/20(土) 10:48 | URL | コスマン・ブラッドリー #-[ 編集]
アークエネミーはアメリカじゃねーし。
北欧スウェーデンだろ!
しったかなの?
2012/02/25(土) 00:28 | URL | まざふぁか #-[ 編集]
返信
確認してみましたが、ご指摘の通り、アークエイミーはスウェーデンのメロディック・デスメタルバンドでした。上記の記事『メタル・ファッション:メタルファンとレザーについての概論』の内容を一部訂正しておきましたのでご確認ください。今後も誤訳や間違い等のご指摘をして頂けましたら『METAL EPIC』のためにも幸いです。
2012/02/25(土) 09:30 | URL | コスマン・ブラッドリー #-[ 編集]
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