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Knights of the Cross

Grave Digger the 8th album in 1998 Release
★★★★★★★★☆☆...(名盤)



墓掘り人、グレイブディガーの1998年発表の8th。
日本盤は半年遅れて翌年の1999年のリリースとなった。リリースされただけでも奇跡というべきだろうか(といっても何故か彼らのアルバムは2010年現在も国内盤がリリースされている。これは全くもって凄いことだ)。ちなみに画像は2006年のリマスター再販盤。

前作で本格的に中世時代のコンセプト・アルバムを完成させた彼らは、今作も新たなコンセプトを携え降臨。今回は、欧州中世時代に絶大な権力を持ち各地で猛威を振るった十字軍(十字軍の歴史は11世紀~13世紀)の激動の遠征の歴史を背景に、彼らの悲劇と伝説を物語る。グレイブ・ディガーは彼らの歴史的な叙述よりも、十字軍の背景にあった権力者たちの横暴に重点を置いているところがポイントである。フランス王フィリップ4世の陰謀により、異教徒の疑いをかけられ捕らえられた騎士らはその典型であろう。
前作でも目を見張ったドラマティックな味付けは、前作と同じくH・P・カッシェンバーグによるシンフォニックな味付けで更に一段と増す結果となった。どの楽曲の大仰さも凄まじく、エピックメタルの伝統的なサウンドと分別付かないものとなっている。最も彼らは伝統的なヘヴィメタルの体現者であり、その根底には硬派なドラマ性やヒロイズムが存在していることを忘れてはならない。最大の特徴であるサビパート他のクワイアに至っては、聖歌隊を想起させる程に大量増加が成されている。本作のクワイアの勇ましさにおいては同郷のブラインド・ガーディアンに匹敵するだろう。十字軍という神聖な騎士をモチーフにしているというだけあり、楽曲に漂うヒロイックなムードも見逃すことはできない。他にも十字軍の宗教的世界を表現するために幾つか新境地を開いており(前作はスコティッシュ・パグパイプを導入。今作でも#13に登場する)、スパニッシュ系のアコースティックパート、パイプオルガン等の音色も導入し雰囲気を高めている。

本作は、豪傑なパワーメタルと伝統的なエピックメタルが融合した特異なサウンドが、スコットランドの戦いの原野から中世十字軍の宗教的世界に舞台を移したのである。これは一種の歴史絵巻である。次々とコンパクトにまとめ挙げられた十字軍のドラマが、クリスの決死の覚悟で熱唱する歌唱を通して聴き手に迫ってくる。明確に表現された本作の充実した内容に打ちのめされることは必至である。

というわけで、「中世3部作」の中間に位置する「Knights Of The Cross」、彼らの描く十字軍の物語と共に遠征へ旅立とうではないか!最も、私は既に旅立っているのだが(笑)。


1.Deus Lo Vult
アルバムの始まり、そして十字軍の始まりを告げる宗教的な語りからパイプオルガンの厳粛な音色へと展開するイントロダクション。伝説では"Deus Lo Vult"、すなわち"神の御心のままに"という言葉から人々が剣を取り団結し、十字軍の召集が達成されたということだ。
2.Knights Of The Cross
タイトルトラック。《十字軍》、神聖なるエルサレムを異教徒から奪還するために組織された彼らは、聖戦と題し殺しまくった。そして気がついたときには、踝まで血に使っていたのだという。何故私がこのようなことを描いたのか、それはこの曲の歌詞にそう書いてあるからだ。悲劇的な内容にも関わらず、重厚なパワーメタルナンバーであり完成度は非常に高い。十字軍の宗教的雰囲気と、騎士としての高潔さを持ち合わせるドラマ性に満ちた名曲であり、伝統的なエピック・メタルの良点をほとんど網羅している。特に、行進曲調コードで突進するサビのクアイアは圧巻。十字軍の悲しみが迫真性を持って伝わってくるパートである。
3.Monks Of War
「Monks Of War」=傭兵。十字軍を境に騎士たちは落ちぶれ、やがて傭兵達が戦争を左右した。ゴリ押しのスピードメタルで、彼らの十八番ともいえる曲。ヘヴィなツーバスの疾走とウヴェ(g)の名リフが冴える。パワーメタルの真髄が垣間見れる名曲だ。
4.Heroes Of This Time
効果的なキーボードをバックに、ダークな雰囲気を伴い行進。静寂が逆に不気味に感じる。
5.Fanatic Assassins
東洋的なメロディが印象的。
6.Lionheart
今なお讃えられるイングランドの伝説的な王、リチャード一世の武勇を讃えるエピックパワーメタル。かれはその豪傑な戦いぶりから獅子心王と呼ばれた。そんな彼を表すように力強いリフが高速で駆ける。ブリッジでの寛大な盛り上がりから、緩急を持ったサビのクワイアへのリフレインは流れは最上にドラマティックである。スケール感に満ち、コンセプトを十分に活かし切った末に誕生した名曲であるといえるだろう。
7.The Keeper Of The Holy Grail
中世のスパニッシュギターのようなアコースティックパートから幕開ける。イントロ部分では、グル―ヴィーなリフをメインにバックで鐘が鳴り響きいいアクセントを演出。またダイナミックなコーラスの練り方は聖歌隊を思わせる。ダークに中世の雰囲気を醸してくるところが、墓掘り人たる由縁である。中間部でのオーケストレーションパートもドラマティックで良い。歌詞はオカルト界等で有名な十字軍の聖杯隠蔽について。
8.Inquisition
これぞグレイブディガーというヘヴィメタリックなリフから始まるナンバー。サビでの大仰なクワイアにバッキングのコーラス、そしてギターのフレーズは完璧な構築感を見せつける。ソロパートといい、漢らしさも漂っている。
9.Baphomet
バフォメットとは中世の魔道書等で知られる悪魔。十字軍の崇める神でもあった。ミドルテンポの曲調で、宗教観も醸し出す。
10.Over The Sea
クリス決死の歌唱が十字軍の魂と呼応し聴き手に迫る。悲劇的な雰囲気が支配する曲で、ラストのアコースティックパートがよりいっそうそれを際立たせる。しかし、フィリップ4世の魔の手から逃れた十字軍の騎士らは、海を越えて、ハイランドで平和を見出したと伝えられる(ほとんどの騎士は焼き殺された)。なぜなら寛大なるスコットランドの王、ロバート・ザ・ブルースが彼らを受け入れたからだ。
11.The Curse Of Jacques
中世のエピカルな雰囲気とシリアスなリフが徐々に盛り上げる本作のハイライト。十字軍最後の団長、ジャック・ド・モレーの火あぶりの場面を再現した壮絶なエピックである。サビまで流れついた時、我々は彼のの悲劇に思いを馳せることだろう。サビのエピッククワイアの抒情性とメロディの質は傑出しているのだから。ちなみに十字軍の終焉は1312年。
12.The Battle Of Bannockburn
バグパイプの音色が前作との共通点を物語る。ハイランダー達の歴史的な勝利を、シリアスにドラマティックに見事描ききっている。長年イングランドの圧政に苦しんだスコットランドの民も、遂に1314年のバノックバーンの戦いでイングランドに勝利を収めたのだった。スコットランドの勇敢なる戦士達はロバート・ザ・ブルースの指揮の下、自軍の三倍もの数のイングランドの大軍を打ち破ったのだ。そしてそれは同時に、スコットランドが自由を得た瞬間でもあった。これはフィクションではない。
13.Kill The King
日本盤ボーナス。レインボウのカヴァー。
14.Children Of The Grave
こちらも日本盤のみのボーナス。ブラック・サバスのカヴァー曲。


Review by Cosman Bradley

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