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Robert Ervin Howard 1906-1936

ロバート・アーヴェン・ハワード

"ヒロイック・ファンタジーの生みの親"


「ハワードは、私が最も尊敬する作家である。人間の潜在意識に宿る野生を終始描き続け(これには語弊があるかもしれない)、私達が忘れていた雄大な「剣と魔法の世界」を思い出させてくれたのも、彼の作り出した物語であった。ハワードの幻想小説は、我々を常に未知なる秘境へ、剣を振るう英雄達の血生臭い世界に呼び戻してくれるのだ。それは私が最も追い求めた世界であり…やはり彼は天才だ」


主な経歴:
1906年にアメリカ、テキサス州ピースターに生まれる。幼いころから読書家であり、9歳(10歳)の時、北欧の英雄叙事詩ベオウルフを題材とした小説を始めて書いた。既にこの頃から北欧の神話・英雄譚に興味を持っていた。15歳の時、地元で出会った冒険小説総合パルプ誌<アドヴェンチャー>に魅了され、本誌に投稿する意味も兼ねて、本格的に創作を始める。1923年、17歳の時には、ひ弱な体を変えるためにボクシング、乗馬、ボディビルに打ち込み、その結果強靭な肉体を得たといわれている。しかし、実際ハワードは鍛える以前も大柄で決してひ弱ではなかった。当時の彼のあだ名は"二丁拳銃のボブ"である。またこの年、幻想怪奇パルプ雑誌<ウィアード・テイルズ>が創刊された。1925年、ハワードが19歳の時は、<ウィアード・テイルズ>に『Spear and Fang』が始めて採用される。その後は、徐々に同誌の代名詞的な作家として才能を開花させ、1928年には<ソロモン・ケイン>第一作となる『赤き影(Red Shadows)』を発表。これを皮切りに、〈キング・カル〉、〈ブラン・マク・モーン〉とハワードは次々に英雄を生み出していった。そして、1932年に第一作『不死鳥の剣(The Phoenix on the Sword)』が発表された<コナン>は、彼の英雄像の集大成であり、またたく間に人気を得ることとなる。このキンメリア出身の野蛮人の織りなす英雄譚は、ヒロイックファンタジーというジャンルを決定的なものとした。後に「剣と魔法(Sword and Sorcery)」と呼ばれるサブジャンルの原型である。コナンは、完結編全21篇が<ウィアード・テイルズ>に発表された。彼は1936年に30歳でピストル自殺し生涯に幕を閉じる寸前まで、この執筆活動を続けた。発表した作品は数知れず、主に幻想怪奇小説・秘境冒険譚(これらは剣と魔法の融合と呼ばれる)、後年はウェスタンやSF、ミステリー小説まで執筆した。ハワードは歴史や考古学に対する知識が深く、有史以前の古代や秘境を舞台にしたり、時には自ら架空史を生みだした。最後は、母親の病死する姿に苦しみ、*タイプライターにアーネスト・ダウソンの詞を打ちこみ、自宅の車の中で死を迎えたのである。ハワードの生前の生きざまは、2年間彼と恋人だったノーヴェリン・プライス・エリスとの恋愛ドラマを描く1996年に発表された映画「草の上の月(the whole wide world)」に見ることができる。

*これには、彼自ら打ち込んだのではなく、持ち歩いていたヴィオラ・ガーヴィンの"house of caesar"からの引用句が「財布の中に発見された」という事実が残っている。よって、「タイプライターにアーネスト・ダウソンの詞を打ち込んだ」という定説は間違いであることが発覚している。

代表的な作品:
ハワードの代表的な作品はもちろん、彼が生み出したともいえるヒロイックファンタジー小説に見られる。彼の小説に登場する、華々しくも野蛮な英雄達の活躍する冒険譚が、ハワード作品の主な世界観である。また、他にも歴史小説、SF、ハードボイルド、ウェスタン等にも才能を発揮しているが、やはりヒロイックファンタジーが最もお勧めできる。彼が生前に残した400編の内、傑作と呼べるものは幾つあるだろう。悲しいことに、その殆どが我々の知ることなく、パルプ誌の使い捨てによって失われてしまっている。しかしそれでも、ハワードの残した作品は素晴らしいし、価値ある知識と感動を与えてくれる。彼が生涯作品のテーマとしたのは、「文明の勃興と滅亡」であった。いくら時代が変化しようとも、素晴らしいものは何れ滅び、また新しいものが始まっていく。このテーマには永遠性がある。人類の普遍的なパターンである。そして、エピックメタルを追い詰めた窮極的な背景にも、このテーマは潜んでいる。ハワードは幼少期を過ごしたクロス・プレインズでの経験から、この概念を賢く学びとったのだ。そんな彼の代表的な作品は、ヒロイックファンタジー史上で最大の英雄譚『コナン(Conan)シリーズ』、〈コナン〉の前哨にあたるアトランティス人カルの戦いを描く『キング・カル(King Kull)』、16世紀のイギリス人清教徒の冒険を描く『ソロモン・ケイン(Solomon Kane)』、ピクト人の王を主人公とした『ブラン・マク・モーン(Bran Mak Morn)』、コナンと同時代の女戦士を描く『レッド・ソニア(Red Sonja)』等のヒロイックファンタジー作品、更にはバロウズからの影響を受けるSF大作『魔境惑星アルムリック(ALMURIC)』、クトゥルー神話作品である傑作『黒の碑(The Black Stone)』等凄まじい数に上る。これらのハワードの作品には共通点がある。それは血湧き肉踊り、興奮するということだ。自然体で本能自体の興奮の世界、またはそうさせるヒーローがハワードの物語におり、そこには理屈などいらなぬ明快な人間本来の脅威が待っている。本当に、彼の作品は現代の有機的な世界を嘲笑っているかのように、堂々と威厳を放っているのである。

下記には、ハワード・シリーズの代表的作品を年代と共に選出した。

『コナン(Conan)』
・「不死鳥の剣」 The Phoenix on the Sword(1932)
・「巨象の塔」 The Tower of the Elephant(1933)
・「黒海湾の女王」 Queen of the Black Coast(1934)
・「魔女誕生」 A Witch Shall Be Born(1934)
・「黒い予言者」 The People of the Black Circle(1934)
・「黒河を越えて」 Beyond the Black River(1935)
・「トムバルクの太鼓」 Drums of Tombalku(1966) *ハワードの見完成品にディ・キャンプが補完し完結させた。
『キング・カル(King Kull)』
・「影の王国」 The Shadow Kingdom(1929)
・「ツザン・トゥーンの鏡」 The Mirrors of Tuzun Thune(1929)
『ソロモン・ケイン(Solomon Kane)』
・「赤き影」 Red Shadows(1928)
・「死霊の丘」 Hills of the Dead(1930)
『ブラン・マク・モーン(Bran Mak Morn)』
・「大地の妖蛆」 Worms of the Earth(1930) *クトゥルー神話作品群とのリンク作品
・「闇の帝王」 Kings of the Night(1932) *キング・カルとの共演作
『クトゥルー(Cthulhu)神話作品群』
・「黒の碑」 The Black Stone(1931)
・「アシュールバニパル王の火石」 The Fire of Asshurbanipal(1936)
・「妖蛆の谷」 The Valley of the Worm(19??)
・「闇の種族」 People of the Dark(1932)

邦訳作品:
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エピックメタルに与えた影響:
〈コナン〉等に表現された、古代の幻想的で剛直な世界観は、エピックメタルの音楽性に多大な影響を与えたとされる。メタルの圧倒的なパワー、高潔なヒロイズム、大仰さ、戦士の如きドラマ性、ロマンティシズム、そしてこれらを秘めた雄大なメロディ。これらはハワードの描いた古代の世界観に瓜二つであり、これこそがエピックメタルの基礎を構築しているものである。要は、マノウォーやドミネ、バルサゴス等に代表される、ヒロイックでファンタジックなサウンドのことである。また、バルサゴスのバイロン・ロバーツは、ハワードを最も影響を受けた作家として公言している。最もこれは、音楽性や精神性の根底にあるものであり、ハワードに間接的に影響を受けたといったほうが適切である。ハワードから派生した作品群が、エピックメタル世界に多大な影響を与えたのは確かで、彼の存在なくしてはエピックメタルは存在し得なかったといえよう。つまり、ハワードが幻想怪奇と英雄冒険譚を合わせ誕生した、"ヒロイックファンタジー"の世界観そのものが、先述したエピックメタルの基盤なのである。"ヒロイック・ファンタジー"、またの名を「剣と魔法(Sword and Sorcery)」というこれらの物語には、何れ詳しく触れることとする。また、ソングライティングの面でも、ハワードの用いた極めて天才的な中世の戦いの再現描写等に、影響を受けたと思われる歌詞の内容を持つエピックメタル作品は多い。

影響を受けた主なメタル作品:
Bal-Sagoth *All Concept、DOMINE 「Emperor of the Black Runes」(2004) "The Aquilonia Suite - part I"、manowar 「Into Glory Ride」(1983) "Secret Of Steel"、Einherjer 「Far Far North」(1997) "Naar Hammeren Heves"、Majesty 「Sword and Sorcery」(2002) " Sword and Sorcery"

*バルサゴスの場合、全アルバムに影響がある。最も顕著なのは、1st「A Black Moon Broods Over Lemuria」に収録の"Into The Silent Chambers Of The Sapphirean Throne"。本曲には<キング・カル>「影の王国」に登場する"Ka nama kaa lajerama(カ ナマ カァ ラジェラマ) "、<コナン>「月下の影」に登場する"Yagkoolan yok tha xuthalla(ヤグコーラン・ヨク・ター・フタルラ) "の呪文がそのまま用いられている。

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