Epic Metal; Review Fan Site.
© 2010-2017




ナイジェル・サックリングの言葉(The Words Of Nigel Suckling)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 ナイジェル・サックリング(Nigel Suckling)が『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』(Heroic Dreams, 1987)の中で言及した、ヒロイック・ファンタジーとヘヴィメタルの共通点についての考察。


「野人コナンとヘヴィメタルの間には、目に見えるほどの差はない。双方とも勇敢に、敵対する世界を自らの手で征服する。ただそこで違うのは使用する武器だけである」

 ──Nigel Suckling



ヒロイック・ファンタジーとヘヴィメタルの共通点
Heroic_Dreams.jpg ロバート・アーヴィン・ハワード(Robert Ervin Howard)やマイケル・ムアコック(Michael Moorcock)などの作家が創造した壮大な世界を、もし視覚的に体験したいと考えるならば、『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』は大きな役割を果たすはずである。ここに収められているのは、過去に活躍した華々しいファンタジー・アーティストたちの傑作群だ。
 この『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』は、1987年に日本テレビが発行した大型本であり、かつてのヒロイック・ファンタジーの盛り上がりを体験するためには、正に至高の内容である。本書の中には、レス・エドワーズ(Les Edwards)、ジュレク・ヘラー(Julek Heller, 画像参照)、アラン・クラドック(Alan Craddock)などの有名ファンタジー・アーティストたちの作品が掲載され、それらは「コナン」、『火星』シリーズ、『永遠のチャンピオン』、『ベオウルフ』、「アーサー王伝説」、ウェルキンゲトリクス、ケルト神話、北欧神話、その他の中世・古代の英雄叙事詩などにインスピレーションを得たものとなっている。
 また、エピック・メタルのファンたちの心を揺さぶるのは、何も派手なイラスト集だけではない。この『ヒロイック・ドリームズ : 英雄夢想語』の中には、イギリスの作家、ナイジェル・サックリングが執筆した興味深い文章が掲載されている。この文章とは、ナイジェル・サックリングが過去のヒロイック・ファンタジー小説や英雄叙事詩を独自に考察したものであり、そこで指摘されていたのが、ヘヴィメタルとの共通点だったのである。
 詰まるところ、ナイジェル・サックリングが語るには、「コナン」に代表されるヒロイック・ファンタジーの世界観と、ヘヴィメタルが持つ精神性が、極めて似通っているというのである。この無限のヒロイック・ファンタジーの知識を持った作家が、当時のエピック・メタル・シーンを把握していたのかは分からないが、巧みに紡ぎ出された言葉は、驚くべきことに、殆ど真実を物語っている。
 例えば、コナンやゾンガーなどの野蛮な英雄──ナイジェル・サックリングの言葉を用いれば、"バーバリック・ヒーロー"──たちは、一振りの剣を武器として掲げ、広大な大陸の煌く諸王国を蹂躙していく。そこには、英雄(戦士)の敵となるべき邪悪な魔術師や魔物たちの存在があり、人々は圧政や虐殺に耐えながら、常に貧しい生活を送っている。
 同じく、世界各地で活動するヘヴィメタル・バンドたちも、ギターやドラムという現代の武器を掲げ、傲慢な大人たちや社会が繰り出す圧力や弾圧に対して、抵抗の声を上げている。そして、バーバリック・ヒーローとヘヴィメタル・ミュージシャンの背後には、常に熱狂的な信者(ファン)たちが付き従っているのだ。
 こうした図式を見る限り、──正にナイジェル・サックリングが語った通り──ヒロイック・ファンタジーとヘヴィメタルがやっていることの根底には、全く同じ血が流れている。だからこそ、現代のヘヴィメタル・ミュージシャンたちは、挙って過去のヒロイック・ファンタジー小説や英雄叙事詩などを作品の題材に選択する。
 "エピック・メタル"というサブ・ジャンルが誕生した経緯も、全ては過去の偉大な作家たちの筋書き通りだったのかも知れない。

{Sept 7, 2017}



Click Ranking for epic metal!

にほんブログ村 音楽ブログ HR/HMへ
にほんブログ村
関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://cosmanbradley.blog129.fc2.com/tb.php/1377-cf1b7e4c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック