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manowar

「偉大なるオーディン、戦いの神に心からの敬意を表する時に、カントリー・ミュージックやジャズやテクノでは適切なイメージは生まれない。オーディンについて歌うのであれば、真のヘヴィメタルでやらなくてはならない。それ以外では適切なものにはならないだろう」

2007年「Gods Of War」でのインタビューの際、マノウォーのシンガーであるエリック・アダムス(vo)は記者に対しこう言い放った。
何度聞いても、胸の中に容赦なく突き刺さる言葉である。絶対的な説得力。そこに込められた意味。この言葉は、エピックメタルを最も適切に表現している。
私はこの言葉によって、エピックメタルの本質を学んだといってもいい。マノウォーというバンドの持ち合わせている信念、精神性はとても深いものだ。それこそ哲学的な世界にまで及んでいるのかもしれない。彼らからは、メタルという音楽以上のことを教わったと感じている。音楽を娯楽と割り切る向きからは難解な答えだろうが、これは私の中では事実なのだ。彼らに出会っていなければ、今頃私は偽善者だっただろう。彼らには感謝すべきことが山ほどある。

もちろん、メタル抜きでは彼らを語ることはできない。彼らは1982年のデビュー以来、ずっと嘘偽りのない真のヘヴィメタルをプレイしてきた。それも大音量でだ。これまでに掲げられてきた「Death to False Metal!(偽りのメタルに死を!)」「Other Bands Play, Manowar Kill(他のバンドは演るのだが、MANOWARは殺るのだ)」「アンプのボリュームを下げるくらいなら死を選ぶ」等数々のスローガンは、そういったことを一層強烈に主張してきた。このようなスタイルを長年続けていられるのも、彼らが誰よりもメタルというものを理解し、また自身もメタルのファンであり続けているからだ。

そんな彼らは今も誇りと威厳を保ち続けている。その姿勢はデビュー以来の彼らの勇姿を雄弁に語っているといえよう。
初期の彼らの歴史については前回のエピックメタル・ヒストリーで触れたので、今回はその続きから語ることになる。では、ちょうど五枚目のアルバムが発表されるところから、マノウォーのエピックメタル・ヒストリー第二幕を再開しよう。


歴史的な傑作から約三年の月日が流れた。1987年のことである。
この年、彼らは久々のアルバム、「Fighting The World」を発表する。アトランティック・レコードに移行してのリリースとなるこのアルバムは、マノウォーの歴史で最もバラエティーに富んだ内容となった。些かポップな印象を持つ冒頭の楽曲は、ファンの間でも物議を醸したが、マノウォー初心者には実に取っつきやすい作風と受け取れる。タイトル曲は、ポピュラリティを見事にマノウォー風にアレンジした名曲だ。しかし従来のエピカルな楽曲も後半に配されており、前半で納得がいかなかったファンもこれには満足した。ラストには完全無欠の名曲「Black Wind,Fire And Steel」を収録する。また、本作からジョーイの熱望していたケン・ケリーのアートワークを起用することに成功している。彼のヒロイックなジャケットとマノウォーのアルバムは最高に釣り合っている。ケリーとマノウォーは最高のコンビである。
続く1988年、再びワールドワイドに大傑作と絶賛される6thアルバム「Kings Of Metal」を発表。このアルバムこそ彼らの代名詞といっていい。本作ではヒロイックメタル、エピックメタルの歴史的ともいえる名曲「Heart Of Steel」「The Crown And The Ring(Lament Of The Kings)」「Blood Of The Kings」を収録し、もはや伝説的ともいえる究極の名曲「Hail And Kill」すら網羅している。本作での成功、タイトルから彼らは"メタルの王者"として認識される。そして、このアルバムを最後にしてギタリストのロス・ザ・ボスは栄光の脱退をする。非常に惜しまれたのは当然だった。なぜなら、彼がマノウォーに残した功績は計り知れなかったからだ。前回、私は4thまでを第一幕としたが、ロス脱退までが彼らの物語の真の第一幕だったといえよう。(しかし後の2005年、マノウォーがヘッドライナーを務め、ドイツで行われた「EarthShaker Fest」ライブでは、ロスを含む過去に在籍した全メンバーが再集結し、奇跡的な共演を果たす。その貴重な映像を収めたDVD「Day the Earth Shook: The Absolute Power」が現在発売されており、ファンなら感涙ものである)
続く1992年、長い休息を経て発表された7thアルバム「Triumph Of Steel」では、メンバーの2人が入れ替わるという事件があった。1988年に、ロスは音楽性の相違を理由に、スコットは息子の重病のためバンドを脱退せざるを得なかった。しかし89年に、ギタリストの後任に強力なデヴィッド・シャンクルを、ドラムにライノ迎え、本作の完成へと漕ぎ着ける。このメンバーチェンジの際、スコットは後任のライノに、自らのドラムセットを譲渡した。それに感極まったライノは自分のドラムセットを燃やし「俺には過去はない。あるのはMANOWARのメンバーとしての未来だけだ 」というマノウォー屈指の名言を残した。それほどマノウォーのメンバーとなることは、ナッシュビル出身のこの男にとって名誉だったのだろう。アルバム冒頭に30分の大作「Achilles,Agony And Ecstacy In Eight Parts」を配すあたり、彼らの意欲が伺える。本作を問題作にするには十分だ。その他、「The Power Of Thy Sword」「Master Of The Wind」等の素晴らしいエピックメタルの名曲も収録。
1993年には、日本への初来日を果たす。この際リーダーのジョーイは、オフの日にプロモーターに連れられて行った日本のマムシ料理を大変気に入り、以来ライブの日等にも欠かさないくらい愛用しているそうだ。彼らのこういうユニークな面も、実に魅力的なものである。また余談であるが、ジョーイは大変な親日家であり、自分の前世はサムライだと思っているそうだ。私も、彼の様な勇ましい肉体をもつ男の前世は、きっと戦士だったと半ば確信している(笑)。
1996年には、ドラムにスコット・コロンバスが復帰、更にギタリストにペンシルヴァニア出身のカール・ローガンを新たに迎え8thアルバム「Louder Than Hell」を発表。ドラムにスコットが復帰したため、ライノはまたドラムを買う羽目になってしまったという笑い話付きである。カールはジョーイとのハーレー(バイク)仲間だった。この時の結束のラインナップは、現在まで崩れていない。彼らが良く使用する結束の言葉の体現と受け取っていいだろう。ストレートなエピックメタルの傑作としてファンに絶賛された本作には、傑作バラード「Courage」、そしてエピックパワーメタル屈指の名曲「Power」を収録した。
前作より更に長いインターバルを挟んでリリースされた9th「Warriors Of The World」の発表には、ファンは狂気せざるを得なかった。2002年、つまりこの作品はマノウォーの二十世紀最初のフルアルバムとなる。クラシックの名曲のカバー「Nessun Dorma」、シネマスコア並みの盛大なインストゥルメンタルを収録した本作には、彼らの音楽性のバックグラウンドが垣間見える。そしてエリックのシンガーとしての素晴らしさ、歌声のヒロイズムが存分に感じられるアルバムである。ファンは6年も待った甲斐があったというものだ。彼らは決して期待を裏切らないことで定評がある。このアルバムのタイトル曲「Warriors Of The World United」では、メタルを通じて世界中のファンが1つになるという感動的な光景が描かれている(それはジャケットにも)。私もその日が来ることを信じている。
そして2007年、記念すべき10thアルバム、北欧神話の最高神オーディンを賛美するために制作された初のコンセプトアルバム「Gods Of War」を発表する。この偉大なアルバムは、ヒロイックファンタジー・ヘヴィメタルの集大成、まさにエピックメタルの王者にふさわしい堂々たる超大作である。そして、これまでのアルバムに見られたオーケストレーションの爆発、過去最高のヒロイズムを完全に網羅した。収録された楽曲は恐ろしいまでにエピカルな楽曲ばかりだ。名曲「King Of Kings」「Sleipnir」「Blood Brothers 」「The Sons Of Odin」は驚異的である。このアルバムを経て、彼らは北欧神話系統のエピックメタルの頂点を極めた。マノウォーがヴァルハラの門をくぐり、伝説となった瞬間である。


果たして長かっただろうか。彼らの歴史を語ってきた紹介文は、もう終わりを告げようとしている。
今現在、彼らの物語はまだ続いている。そしてこれからも、素晴らしいメタルを我々に提供してくれることは、理解ある人間なら明白に分かることである。

"彼らのメタルが終わりを告げる時はあるのだろうか?それは、彼らの心臓が鼓動を止める時である。"
北欧神話の世界観で表現すれば、彼らは自ずとこういう言葉に行き着く。この言葉は彼らの生き方そのものだ。誰もが一度は経験してみたいと思う生き方を、彼らはしている。それを体現しているからこそ、彼らは常に魅力的なのだ。そして戦士らしく、我々にヒロイズムを与えてくれる。今は古代や中世ではないが、彼らは過去の英雄たちと同じ光をもっているように感じる。

振り返ってみよう。ここまでヘヴィメタルに忠誠心と愛を捧げ、勇気を生み出していった彼らのWARLORDを。願わくば、その物語が人々に忘れ去られることがなく、誤った捉え方をされないことを、私は祈るばかりである。


最後に...
Hail to MANOWAR!!!!!!
warrior

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