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Paradise Lost (Reis) (Dig)



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1991
Reviews: 86%
Genre: Epic Metal


アメリカ発祥、カルト・エピック・メタルの神話、キリス・ウンゴルの1991年の4th。


「善悪に関するすべて、混沌と方の対立、我々は、音楽に対しても、同様に二面性があると考えている」
 ──キリス・ウンゴル


1 概要

本作『Paradise Lost』は、1991年に再結成したキリス・ウンゴルが発表した第4作目にあたる。制作メンバーは、ティム・ベイカー(Tim Baker:vo)、ロバート・グレイヴン(Robert Garven:d)、ジム・バラッザ(Jim Barraza:g)、ヴァーノン・グリーン(Vernon Green:b)の4人。アルバムのジャケットにはマイケル・ウェーラン、マイケル・ムアコックの《エルリック・サーガ》シリーズの一篇『この世の海の彼方(Sailor on the seas of fate)』の1976年のオリジナル・ハードカヴァー版を採用。本作のオリジナル盤には長らくプレミア価格が付けられていたが、近年にコレクター盤として再販を果たした。

2 内容

ミルトンの叙事詩に影響を受けたロバート・グレイヴンとティム・ベイカーは、その堕落した、暗澹たる混沌の世界を描くべく、"混沌3部作(The Chaos trilogy)"、または"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"と称される楽曲を制作した。主に『失楽園(Paradise Lost)』を包み込む暗い雰囲気に触発され、ティム・ベイカーが歌詞を書いた。完成した楽曲はそれぞれ"Chaos Rising"、"Fallen Idols"、"Paradise Lost"と名付けられ、本作『Paradise Lost』の最後の部分を飾った。後にこの3部作は、過去のチープさを払拭した高い完成度から、世界各国のエピック・メタルのファンに絶賛され、キリス・ウンゴルを代表する名曲となった。これらはキリス・ウンゴルが生み出した最高の、カルト・エピック・メタルが表現できる極限の陰鬱さを描いた、有終の美を飾るに相応しい、文字通り最後の作品となった。中世時代の壮大な城塞を彷彿とさせる高潔な雰囲気よりも、有史以前の地底の底から沸き上がってきたような暗い雰囲気が支配したキリス・ウンゴルの楽曲は、あの懐かしい『Frost & Fire』(1980)でのデビュー以来、遂に変わることがなかった。1992年、キリス・ウンゴルは再び解散した。

3 評価

充実した内容と重厚な楽曲が物語るように、『Paradise Lost』はファンの間で好評を博した。第2作『King of the Dead』(1984)を快く思わない向きも、この作品だけは抵抗なく聴いた。本作が発表された後、月日が廻り来る当然さのように、各メディアは『Paradise Lost』を評価の秤にかけた。ロサンゼルスの評論家は、"史上最悪のヘヴィメタル・バンド"であるキリス・ウンゴルの新作を散々に酷評した。キリス・ウンゴルの地元カリフォルニアのベンチュラでは、キリス・ウンゴルを批評した記事が大きく誌面を飾った。イギリスのケラング! (Kerrang!)誌では、『Paradise Lost』が高評価を獲得した。アメリカと欧州では、この頃、依然としてエピック・メタルの人気に大きな差違があった。



1. ジョイン・ザ・レギオン
Join the Leigon
重いリズムがワイルドなリフと共に行進するエピック・メタル。後半のドラマティックなソロパートでは早くも漢らしい世界観を発散。キリス・ウンゴルの中ではストレートな部類に入る傑作。

2. トロール
Troll
古代スカンディナビアの民話からインスパイアされた楽曲。重く混沌とした雰囲気が支配するキリス・ウンゴルらしい楽曲であり、メタリックなリフを刻み、急激なテンポ・チェンジを見せるなど、エピック・メタルに相応しい大仰な展開を持つ。

3. ファイア
Fire
イギリスのThe Crazy World Of Arthur Brown(クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウン)のカバー曲。 ティムの奇怪な掛け声を起爆剤に刻まれるエピック・リフが余りにもバーバリック。コンパクトながら、大仰さ、漢らしさを詰め込んだ楽曲。

4. ヘヴン・ヘルプ・アス
Heaven Help Us
メタリックかつドゥーミーに疾走するヒロイックな楽曲。そのエピック・リフと湿った歌声のコントラストは絶妙。この漂う漢らしさ、もはやキリス・ウンゴルのエピック・メタルは、孤高の域に達しているといえよう。ラストの重厚なメロディなど、徹底して聴き手のヒロイズムを鼓舞する名曲である。

5. ビフォア・ザ・ラッシュ
Before the Lash
普通のミドル・テンポ。

6. ゴー・イット・アローン
Go It Alone
一応音程を取ろうとしている楽曲、そして何故か大衆向けに制作されたと思わしきキャッチーさを持っている問題作。本作には不用であろう。

7. カオス・ライジング
Chaos Rising
"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"の1曲目。そして、恐らくキリス・ウンゴルが生み出した楽曲の中で最高の名曲の一つ。しっとりと漂う緊張感、ヒロイックで怪しげな迫真性は異常ともとれる大仰さであり、聴く者に公然と襲いかかってくる。驚くのはコーラスの不気味さであり、何かの儀式の呪文のように厳かに響く。前半の急激なアルペジオ・パート、後半の重厚なエピック・リフへの展開はドラマ性に満ちており、まさにエピック・メタルの金字塔の如き内容。

8. フォーリン・アイドルズ
Fallen Idols
"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"の2曲目。イントロの漢臭い抒情的なフレーズから、劇的さを押しつけんとする圧巻のエピック・メタル大作。"Chaos Rising"と同様、異常なほどのヒロイックなムードに満ちており、独特の世界観へと導く。頭に焼きつくこと必死の不気味なコーラスは、この名曲においても健在である。まさにキリス・ウンゴルを代表する歴史的な名曲。

9. パラダイス・ロスト
Paradise Lost
"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"の最終章であり、キリス・ウンゴルの最終作。勇ましさに満ちた、本当の意味でのラスト・エピックである。この楽曲においては、まさにジャケットのようなヒロイックかつファンタジックな世界が展開される。ギターのエフェクトらしきものを用いたかと思われる、ストリングス系のギターメロディが幻想的な雰囲気を盛り上げる。極めてヒロイック・ファンタジー的世界観に近い名曲であり、果たしてキリス・ウンゴルが何をやろうとしていたのか、そして、自らの功績を見せつけるかのような、とても興味深い意味の込められた作品である。



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コメント
この記事へのコメント
このアルバムを当時CISCOで発見した時、そしてJoin The Regionのリフを聴いた時の興奮は未だに忘れられません。

恐らく日本でCirithのカヴァーをやってたのは僕だけなんじゃないかと未だに思いますw
2012/03/23(金) 05:44 | URL | Amyzzz #-[ 編集]
返信
現在本国では殆どキリス・ウンゴルの作品を扱っている店舗が少ないことは、非常に残念な現状です。キリス・ウンゴルは未だに世界中に熱狂的なファンが存在するエピックメタルの伝説的なバンドですが、どうやらそれは外国に限ってのみ意味を持つ言葉のようです。私たちはこれからもキリス・ウンゴルのような塵に埋もれたバンドを多く紹介していきますが、僅かながらでも彼らのことを認知し、愛聴している層が存在していることに対して希望を感じます。これは当然のことですが、聴く音楽は自分の感性で選んで良いのです。
キリス・ウンゴルのカヴァーを堂々と本国でやることは、非常に勇気のいる行為だと思われます。同じ分野でも、マノウォーのカヴァーなどは世間から嘲笑されて受け止められることが殆どですが、キリス・ウンゴルのカヴァーともなるといよいよ深刻な目で見られます。しかしカヴァーは立派なリスペクトの一つですから、その行為自体に意味があるのです。それに加え、殆どの人間が同じヒット曲のカヴァーばかり行っていたのでは、何れヒット曲以外は音楽史に残らなくなります(ヒット曲は間違いなく素晴らしい楽曲である、という理論は既に過去に打ち破られています)。故にエピックメタルバンドのカヴァーはもっと頻繁に行われて良いものです。まだエピックメタルというジャンルには誰も知らない名曲が山のように埋もれているので...
2012/03/23(金) 09:28 | URL | コスマン・ブラッドリー #-[ 編集]
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