-The Rockers-

現在のHR/HMシーンの中で、黒いレザージャケットがファッションスタイルの一つとして定着しているのは、1950年代後半から1960年代前半にかけて活躍したロッカーズ(Rockers)からの影響が大きかった。かつて一つの時代を築いたとも言われるイギリスのロッカーズ。現在のパンクの鋲ジャンやヘヴィメタルのバトルジャケットのルーツを辿った際、その先に行き着くのがロッカーズの残したレザーファッションの文化だった。
1950年代後半、アメリカのバイク映画『乱暴者』(The Wild One, 1953)のマーロン・ブランドやエルヴィス・プレスリーに影響を受けた当時のイギリスの若者たちは、ロック音楽の象徴だった黒いレザージャケットを自らカスタムし、そこに大量のワッペンやスタッズ、ピンバッジなどを加えた。そして、彼らは改造した英国製のバイクに乗り、ノース・サーキュラー・ロードのエース・カフェ(Ace Cafe)に集まった。これらがロッカーズというイギリスの若者たちのライフスタイルの始まりとなり、やがて登場するパンクやハードロック、ヘヴィメタルなどのファッションスタイルや文化に大きな影響を与えた。
1950年代後半から1960年代前半にかけて流行したロッカーズのレザーファッションのスタイルは、具体的には黒いダブルライダースジャケットとレザーパンツ、またはジーンズだった。当時のイギリスの若者たちが好んでいたレザージャケットのカスタムは、トライアンフ(Triumph)、ノートン(Norton)、BSAなどのイギリス車のワッペンやピンバッジを大量に付けることであり、ルイス・レザー(Lewis Leathers)のような伝統的なファッションブランドを愛用していた。そして、ロッカーズたちはロックンロールやロカビリーなどの音楽を聴いてバイクに乗り、誰が最も速いのかを夜通し競うのだった。
1960年代半ば、モッズ(Mods)の登場やビートルズの世界的なヒットによって、ロッカーズのムーヴメントは徐々に消滅の道を辿った。また、ロッカーズとモッズの集団の間には対立があり、1964年には、イースター・バンク・ホリデイのブライトンで大規模な抗争が勃発した。この事件の様子は、イギリス中の新聞の記事の中で報じられ、後にイギリス映画『さらば青春の光』(Quadrophenia, 1979)の題材となった。そして、1969年、ロッカーズの象徴だったエース・カフェが閉鎖し、ここでかつてのイギリスの若者たちの文化は終わりを告げたのだった。

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