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ETERNAL CHAMPION 「Retaliator / Vigilance」

Retaliator_Vigilance.jpg

Country: United States
Type: Split
Release: 2015
Reviews: 90%
Genre: Epic Heavy Metal


アメリカ・テキサス州出身のエピック・ヘヴィ・メタル、エターナル・チャンピオンの2015年発表のスプリット盤。


この『Retaliator / Vigilance』という作品は、カナダの新人エピック・メタル・バンド、ゲートキーパー(Gatekeeper)とのスプリット盤であり、「No Remorse Records」から発売された。本作を発表したことで、エターナル・チャンピオンは、アンダーグラウンドのエピック・メタル・シーンにおける最重要バンドであると、ファンたちから認識された。それ程までに、この『Retaliator / Vigilance』は、衝撃的な内容であり、2010年代のエピック・メタル・シーンの流れを一変させることとなった。

『Retaliator / Vigilance』が有していたのは、2組の将来有望なエピック・メタル・バンドの楽曲だけではなかった。ここに描き出されていたのは、エピック・メタルという音楽の未来、そして、理想像に他ならなかった。

過去、マニラ・ロード(Manilla Road)、キリス・ウンゴル(Cirith Ungol)、マノウォー(Manowar)、ブローカス・ヘルム(Brocas Helm)、ソルスティス(Solstice)、バトルロア(Battleroar)などの偉大なバンドたちが築き上げてきた、エピック・メタルというジャンル。その長き歴史と伝統を踏襲した、現代のエピック・メタルの姿形がここにあった。

80年代ヘヴィ・メタルへのリスペクトを伝える熱きNWOTHM的サウンド、徹底してヒロイックな世界観や音作り、ドラマ性を極めた楽曲の展開。この『Retaliator / Vigilance』の中に表現されたエピック・メタル像は、その後、シーンにおける重要な基準となった。

エピック・メタル・リヴァイヴァル第二期──それは、ここから始まった。



1. Eternal Champion - Ride for Revenge
2. Eternal Champion - Retaliator
3. Gatekeeper - Vigilance Part I
4. Gatekeeper - Angelus Noctium
5. Gatekeeper - Vigilance Part II
6. Eternal Champion - The Last King of Pictdom
7. Eternal Champion - War at the Edge of the End
8. Gatekeeper - Tale of Twins (demo)
9. Gatekeeper - Vigilance (demo)
10. Gatekeeper - Field of Dreams (demo)
11. Gatekeeper - The King's Ghost


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ETERNAL CHAMPION 「The Last King of Pictdom」

Last King of Pictdom


Country: United States
Type: Demo
Release: 2013
Reviews: 85%
Genre: Epic Heavy Metal


アメリカ・テキサス州出身のエピック・ヘヴィ・メタル、エターナル・チャンピオンの2013年発表のデモ。


2012年、アメリカ合衆国テキサス州オースティンで結成されたエターナル・チャンピオンは、デモ『The Last King of Pictdom』を制作し、「Swords and Chains Records」から発売した。すると、直ぐに世界中のアンダーグラウンド・エピック・メタルのファンたちから、驚異的な反響を得ることとなった。

このデモ『The Last King of Pictdom』に収録された2曲は、何れも強烈なエピック・ヘヴィ・メタルであり、ファンたちは、エターナル・チャンピオンの背景にマニラ・ロード(Manilla Road)やロンギングス・パスト(Longings Past)の影を見出した。

伝統的なヒロイック・ファンタジーに傾倒した世界観、及びメタリックかつドラマティックなサウンドは、かつての80年代頃のエピック・メタルそのものだった。当然のように、エターナル・チャンピオンが影響を受けてきた作家たちは、ロバート・E・ハワードやマイケル・ムアコックなどの、既にエピック・メタル・シーンではお馴染みの顔触れだった。

結果的に、『The Last King of Pictdom』の発表を皮切りに、エターナル・チャンピオンは、2010年代で最も将来を期待される、若手エピック・メタル・バンドとなった。そして、このバンドが、エピック・メタル・シーンの未来を担う存在であると、ファンたちは語り合った。



1. The Last King of Pictdom
2. War at the Edge of the End


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ISEN TORR 「Mighty & Superior」

Mighty & Superior


Country: United Kingdom
Type: EP
Release: 2004
Reviews: 89%
Genre: Epic Heavy Metal


イギリス産カルト・エピック・メタル、アイセン・トールの2004年発表のEP。


「ロバート・E・ハワードの思い出に捧ぐ」
 ──Richard M. Walker


恰も古代・中世時代の栄光に彩られた英雄叙事詩の如く、未曾有の悲劇によって、誰もが予想しない結末を迎えることがある。2003年、イギリスで結成されたこのアイセン・トールも、そうした悲劇の目撃者となったバンドだった。

Mighty Superior

アイセン・トール──"アングロ・サクソン・バトル・メタル"(Anglo-Saxon battle metal)を標榜したバンドは、ソルスティス(Solstice)の伝説的ギタリスト、リッチ・ウォーカー(Richard M. Walker:g)、ファルコン(Falcon)やデスティニーズ・エンド(Destiny's End)などで活躍したペリー・グレイソン(Perry Grayson:g)、トゥイステッド・タワー・ダイア(Twisted Tower Dire)の名シンガー、トニー・テイラー(Tony Taylor:vo)、リチュアル・スティール(Ritual Steel)のマーティン・ツェルマー(Martin Zellmer:d)、ルーンソード(Runesword)のオリバー・ズルケ(OliverZühlke:b)をメンバーとして、3部作のEPの制作を目指した。

最初に完成したEP『Mighty & Superior』は、その圧倒的なクオリティの高さから、瞬く間に、世界中のエピック・メタル・ファンたちを魅了した。驚くことに、この『Mighty & Superior』に収録されていたのは、"Mighty & Superior"と"The Theomachist"の2曲のみだった。しかし、アンダーグラウンドのエピック・メタル・ファンたちにとって、過去の叙事詩作品や幻想文学の圧倒的な知識を持つリッチ・ウォーカーが生み出した楽曲が、名曲にならないはずがなかった。

実際のところ、"Mighty & Superior"と"The Theomachist"の2曲は、伝統的なエピック・メタルやドゥーム・メタルの要素を持っていた。所謂、ペイガン・メタル的な土着的メロディや雰囲気もあったが、それは強烈なバンド・コンセプトからの影響だった。アイセン・トールは、この楽曲だけで、欧州のエピック・メタル・シーンに計り知れない衝撃を与えた。「カルト・エピック・メタルのマスターピース」──『Mighty & Superior』は、ファンたちからそう呼ばれることとなった。

しかし、アイセン・トールという奇跡的なバンドは、2010年、突如として活動停止を強いられた。その理由は、ヴォーカリスト、トニー・テイラーの急死だった。アメリカのウェストヴァージニア出身の偉大なメタル・シンガーは、EP3部作の完成を前にして、42歳という若さでこの世を去った。その結果として、バンド側は、活動の無期限休止を発表した。

かくして、また一つ、大いなる可能性を持ったエピック・メタル・バンドが、アンダーグラウンド・シーンから姿を消した。バンドのファンたちは、悲嘆に暮れたが、どうしても人間の死というものは、覆ることがなかった。正にこの作品も、エピック・メタルというジャンルが生み出した、一瞬の夢や思い出に過ぎなかった。

尚、本作は、2004年にドイツの「Metal Supremacy」から発売。その後、2008年に「Shadow Kingdom Records」から再発。その際、"The Theomachist"のデモ音源が追加収録された。



1. Mighty & Superior
2. The Theomachist


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MARAUDER 「Face the Mirror」

Face the mirror


Country: Greece
Type: Full-length
Release: 2008
Reviews: 87%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャ産エピック・ヘヴィ・メタル、マローダーの2008年発表の4th。


1990年、ギリシャのアテネで結成されたマローダーは、エピック・メタルというジャンルの中で、非常に古い部類に入るバンドだった。当時、ギリシャ圏でエピック・メタルに該当するバンドの数は少なく、それだけでマローダーという存在が、アンダーグラウンド・シーンのファンたちにとって、深い意味を持つこととなった。

マローダーは、3つのデモ『Try to Live』(1991)、『The Die Is Cast』(1993)、『Promo '95』(1995)を制作した後、ようやくデビューを飾った。第1作『Sense of Metal』(1997)は、典型的なマノウォー(Manowar)型のエピック・メタルであり、直ぐにファンたちの心を掴んだ。

しかし、マローダーの転機となったのは、コンセプト・アルバム『1821』(2000)だった。「ギリシャ独立戦争」(Greek War of Independence)を題材としたこの作品は、バンドのポテンシャルの高さ、エピック・メタルに対する情熱の深さを強調しており、世界中のエピック・メタル・ファンたちから絶賛された。その結果として、マローダーは、一躍ギリシャのエピック・メタル・バンドのトップへと上り詰めたのだった。

さて、この『Face the Mirror』という作品は、マローダーにとって、極めて重要な存在だった。これまでのバンドのポテンシャルの高さを最大限に活かし、そこにクラシックなエピック・メタル・バンドたちのエッセンスを融合させたのが、本作のサウンドに他ならなかった。具体的には、キリス・ウンゴル(Cirith Ungol)の不朽の名作『Paradise Lost』(1991)を踏襲したサウンドが、本作の主軸になっていた。

また、マローダーのエピック・メタルの特徴として、オーメン(Omen)のような疾走感もあった。そこに加わってくるのが、ブローカス・ヘルム(Brocas Helm)並みのメロディックなギター・ワークだった。ドラマティックな展開やエピックな雰囲気は、マニラ・ロード(Manilla Road)からの影響だった。

こうした偉大な先人たちの要素を受け継ぎ、今回、マローダーは、自らの理想とする劇的なエピック・ヘヴィ・メタルを作り上げた。全く隙のない、容赦のない、純粋なエピック・メタルの勇壮なサウンドが、本作では楽しめた。

正に円熟期を迎えたギリシャのマローダーに、敵はいなかった。丁度この頃、地中海諸国では、NWOMEMのムーブメントが巻き起こっていた。その強烈な勢いを身に纏って、マローダーは、ここに唯一無二の傑作を誕生させた。



1. Who Am I?
2. I Am (the One)
3. Face the Mirror
4. Hearts Made of Steele
5. Nemesis
6. Born to Rock
7. Naya
8. Dark Riders
9. The End of a Madman
10. Faraway
11. The Beast Is on the Highway
12. Until We Fall


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MARAUDER 「Life?」

MARAUDER - LIFE ? (1 CD)


Country: Greece
Type: Full-length
Release: 2004
Reviews: 83%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャ産エピック・ヘヴィ・メタル、マローダーの2004年発表の3rd。


ギリシャの「Eat Metal Records」から発売されたマローダーの第3作『Life?』は、前作『1821』(2000)の成功でバンドに期待していたエピック・メタル・ファンたちを、決して裏切らない内容だった。本作では、よりスケールアップしたバンドのエピック・メタル・サウンドが充分に楽しめた。その背景には、マノウォー(Manowar)、マニラ・ロード(Manilla Road)、キリス・ウンゴル(Cirith Ungol)、オーメン(Omen)、ブローカス・ヘルム(Brocas Helm)などのバンドたちからの影響があった。

傑作『1821』で完成されたマローダーのサウンド・スタイルは、この『Life?』の中でも生き続けていた。詰まるところ、マローダーは、メロディックなギター・ワークを中心に楽曲を展開し、そこに大仰なコーラス・パートや劇的なムードを加えた。そして、重厚感が増したサウンドは、本作をより本格的なトラディショナル・エピック・メタルへと押し上げた。

やはり、マローダーは、マノウォーやオーメンなどのバンドの要素が強く、エピックなムードの中にある疾走感が、それを雄弁に物語っていた。ギター・ソロは、熱い高揚感を放ち、流れるようにヒロイックなコーラス・パートを導入する楽曲群。特にタイトル・トラック"Life"は、アコースティック・パートから劇的に盛り上がっていく、エピック・メタルの基本だった。

世界中のエピック・メタル・ファンたちが、思わず拳を掲げたくなるような、勇壮な楽曲の数々。マローダーは、そうした伝統的なエピック・メタルの世界観を継承し、ギリシャから世界のアンダーグラウンド・シーンへと、不滅の魂を送り届けた。



1. Intro
2. Power from the Sky
3. Nightmare
4. Magic Art
5. Life
6. Bastards
7. Evil Curse
8. Runner
9. Defenders
10. In the Middle of Time
11. Falling Star
12. Death from Glory and Gold
13. Nuclear Terror


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MARAUDER 「1821」

1821


Country: Greece
Type: Full-length
Release: 2000
Reviews: 86%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャ産エピック・ヘヴィ・メタル、マローダーの2000年発表の2nd。


エピック・メタルというアンダーグラウンド・シーンを代表するジャンルは、80年代初期に登場して以来、多種多様なバンドが演奏し、無数の世界観を追求してきた。その背景には、ヒロイック・ファンタジーや英雄叙事詩などのメイン・コンセプトがあり、全てのエピック・メタルの礎となっていた。また、場合によっては、歴史や文学、伝説や神話なども、このジャンルの中で扱われた。

ギリシャのアテネ出身のマローダーの試みは、純粋なエピック・メタルの中で、1821年に開始された、トルコ人に対するギリシャ革命の歴史の顛末を描き出すことだった。一般的に、「ギリシャ独立戦争」(Greek War of Independence)として知られるこの出来事は、オスマン帝国からの独立を掲げたギリシャ人たちの戦いだった。そして、マローダーは、叙事詩的な『1821』という作品を通して、どのようにして、ギリシャ人が自由を勝ち取ったのかを説いた。

この『1821』のサウンドの基礎は、メロディアスなギター・ワークやソロ・パートの中にあった。重厚で叙事詩的な雰囲気が支配する本作では、特にメロディに重点を置いたパートが目立っていた。その勇ましくも哀愁を帯びたメロディは、マローダーのエピック・メタルを確立させる要素となり、シリアスなコンセプトの中で、圧倒的な存在感を放つこととなった。そして、素晴らしいメロディに彩られた『1821』は、多くのエピック・メタル・ファンたちにとって、直ぐに忘れられない存在となった。

結果的に、ギリシャ独立戦争を経て、この国は自由になったが、それは、人々の視野を広げるきっかけに過ぎなかった。しかし、戦争の中では、オスマン帝国、ギリシャ、イギリス、フランス、ロシア人たちの血が大量に流された。その濁った血や屍の山の果てに、遂にギリシャは、独立を勝ち取ったのだった。今では、1821年3月25日がギリシャの独立記念日となっていた。

マローダーは、自らの民族のルーツをメイン・コンセプトに選択したことで、サウンド的に大きな成功を収めた。自由を求め戦ったギリシャ人たちの歴史を背景とした叙事詩音楽──それが、マローダーが『1821』で作り上げた世界観だった。自由、戦争、血、勝利。エピック・ヘヴィ・メタルの本質がここにあった。



1. Hellas, Land of the Immortals
2. The Greek Revolution Begins
3. Free Like an Eagle
4. Faces in the Sky
5. The Return of the Warrior
6. Two Eyes in the Dark
7. The Firebrands
8. Red Sea
9. God's Will
10. Cry for the Glorious Town
11. Heroes Fight Like the Greeks


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MARAUDER 「Sense of Metal」

Sense of Metal

Country: Greece
Type: Full-length
Release: 1997
Reviews: 77%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャ産のエピック・メタル、マローダーの1997年発表の1st。


今は亡きギリシャのレーベル「Live Music」から発売されたマローダーの第一作『Sense of Metal』だが、この国のヘヴィメタルに掛ける情熱は本物だった。マローダーは、ギリシャのアテネ出身であり、1990年に結成された。同国のイグゾリスティ(Exoristoi)、リフレクション(Reflection)、クラッシュ(Crush)などのバンドと並ぶ、最古に位置するエピック・メタル・バンドだった。

他の多くのエピック・メタル・バンドたちと同じように、このマローダーもマノウォー(Manowar)から強い影響を受け、ヒロイックなサウンドを追求した。『Sense of Metal』の中には、トラディショナルなエピック・メタルとドラマティックなサウンドが詰め込まれていた。しかし、アンダーグラウンド・バンドの一つの宿命として、チープな音質を消し去ることはできなかった。

マローダーの特徴は、マノウォーにも通じる重厚なコーラス・パートを多用し、薄い音像を重厚にしている部分だった。この意欲的な挑戦によって、チープなサウンドは上手く処理されていた。更にメタリックでエピックなギター・ワークからは、バンドの成長を期待させる部分を感じさせた。しかし、本作の中で、それが完全に花開くことはなかった。

尚、本作は、2005年に「Eat Metal Records」から再発。1991年に発表したデモ音源『Try to Live』が追加収録された。



1. Intro
2. Faster Than Thunder
3. For Us Metal Is Enough
4. Born Again
5. Sense of Metal
6. Homicide
7. Fly into a Perfect Dream
8. Classics Never Die
9. Say It Again
10. Fire to the Fraud



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BATTLEROAR 「Codex Epicus」

CODEX EPICUS


Country: Greece
Type: Full-length
Release: 2018
Reviews: 83%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャの正統派エピック・メタル、バトルロアの2018年発表の5th。


2018年、バトルロアの第5作『Codex Epicus』は、イタリアの「Cruz del Sur Music」から発売され、世界中のエピック・メタル・ファンたちの元に届けられた。本作は、ドーン・オブ・ウィンター(Dawn of Winter)、エンジェル・オブ・ドミネイション(Angel of Damnation)、セイクリッド・スティール(Sacred Steel)などで活躍するゲリット・ムツ(Gerrit Merz:vo)を加えた第2作目であり、ゲストにマニラ・ロード(Manilla Road)のマーク・シェルトン(Mark “The Shark” Shelton)が参加した。

2010年代以降、欧州のエピック・メタル・シーンの中心地になりつつあるギリシャだが、その要因は、バトルロアの存在にあると言っても過言ではなかった。このバンドは、NWOMEM(New Wave Of Mediterranean Epic Metal)の中で頭角を現し、その後、エピック・メタルというジャンルに新定義を加えた。従来のエピック・メタルのサウンドや世界観は、バトルロアの登場によって、全て上塗りされてしまった。

そして、バトルロアの『Codex Epicus』という作品も、過去の栄光に引けを取らない、"濃い"地中海エピック・メタルが展開される内容だった。また、偶然にも、本作にゲスト参加していたマーク・シェルトンが、2018年7月に急死したことで、彼の書いた楽曲"Sword of the Flame"が、本当の意味での最後の作品となってしまった。これに関しては、バンドやファンたちも、全く予想できない出来事であり、エピック・メタル・シーン全体が深い悲しみに包まれることとなった。

さて、バトルロアは、この『Codex Epicus』の中で、従来のトラディショナルなエピック・メタルとシンフォニックな要素を融合させる手法を用いた。シンフォニックな要素は、第3作『To Death and Beyond...』(2008)で開花し、第4作『Blood of Legends』(2014)の中では、更に顕著となった。今回、バンドは、その作風を貫いており、大仰なコーラス・パートやシンフォニックなサウンド・アレンジがはっきりと描き出されていた。

一方、『Codex Epicus』で賛否両論が巻き起こった主な理由は、スピードの減退とミドル・テンポ主体の楽曲の増加にあった。例えば、バンドは、過去の作品でアグレッシブな音楽のスタイルを貫き、より多くのアンダーグラウンド・メタルのファンたちを納得させてきた。しかし、本作に限っては、パワー・メタル的な攻撃性よりも、シンフォニックな音像の方が強調されていた。そこで従来のファンたちが疑問を感じたという訳だった。

実際のところ、バトルロアの本質は、ヒロイックかつ劇的なサウンドの中にあり、そこが揺らぐということはなかった。この『Codex Epicus』は、全体的にミドル・テンポ主体の内容だったが、熱狂的な地中海の雰囲気や、バトルロアらしいメロディ・ラインなどは、過去作品にも通じる部分があった。それに加えて、『Codex Epicus』の楽曲はクオリティが高く、現行のエピック・メタル・バンドの代表格に相応しい貫禄や重厚感を備えていた。

このようにして、バトルロアというバンドは、新旧が入り混じる手法で新たな作品を生み出した訳だが、ギリシャにおけるエピック・メタルの熱狂は、今だ終わる気配を見せなかった。寧ろ、アンダーグラウンド・シーンに衝撃を与えたエピック・メタルの"巨星墜つ"は、このジャンルの活動を加速させる結果となった。そして、マニラ・ロードの意志を受け継いだ「マーク・シェルトン・チルドレン」たちは、バトルロアを筆頭として、世界中に拡大しつつあった。



1. Awakening the Muse
2. We Shall Conquer
3. Sword of the Flame
4. Chronicles of Might
5. The Doom of Medusa
6. Palace of the Martyrs
7. Kings of Old
8. Enchanting Threnody
9. Stronghold


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BATTLEROAR 「Omen / Battleroar」

Battleroar_s.jpg

Country: Greece
Type: Split
Release: 2017
Reviews: 75%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャの正統派エピック・メタル、バトルロアの2017年発表のスプリット盤。


ギリシャの最重要エピック・メタル・バントとなったバトルロアと、80年代のアメリカのアンダーグラウンド・シーンで活躍した伝説的存在、オーメン(Omen)の楽曲を収録。イタリアの「Cruz del Sur Music」から発売。

オーメンは、これまでに数多くのエピック・メタル・バントたちがリスペクトしてきた偉大なバンド。過去、バトルロアは、マニラ・ロード(Manilla Road)やドゥームソード(DoomSword)などのエピック・メタル・シーンの重鎮たちとコラボしてきたが、今回、そこにオーメンも加わることとなった。

この『Omen / Battleroar』というスプリット盤は、2曲という短い内容だったが、コラボの衝撃や楽曲の完成度の高さが際立っていた。実際のところ、復活したオーメンと共に作品を出せるということは、現在のエピック・メタル・バンドにとっては、本当に意味のある行為だった。本作を経て、バトルロアというバンドが、あらゆるエピック・メタル・バンドに対して、強い影響力を持っていることがシーン全体に伝わった。



1. Omen - Up from the Deep
2. Battleroar - Stronghold


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DARKING 「Steal the Fire」

Steal the Fire


Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2015
Reviews: 86%
Genre: Epic Heavy Metal


イタリアのエピック・ヘヴィ・メタル、ダーキングの2015年発表の2nd。


イタリアの「Jolly Roger Records」から発売されたダーキングの第2作『Steal the Fire』は、バンドの方向性が定まったことが分かる作風だった。それは、パワー・メタル的なサウンドの中にも表れていた。そして、本作には、バンドが最も得意とする重厚かつヒロイックなエピック・メタルが、高い完成度の中で描き出されていた。

特に『Steal the Fire』の中で注目を集めたのは、ドミネ(Domine)の名曲のカヴァー"Stormbringer"だった。この楽曲は、イギリスの小説家、マイケル・ムアコック(Michael John Moorcock)が創造した『永遠のチャンピオン』(Eternal Champion)シリーズにおける、"メルニボネのエルリック"(Elric Of Melnibone)を題材とした内容だった。言うまでもなく、現代の最新技術で蘇った"Stormbringer"は、ここに新たな命を宿すこととなった。

ダーキングの中心人物、元ドミネのアゴスティーノ・カルポ(Agostino Carpo:g)が追求した音楽は、正にヒロイックなエピック・メタルであり、その方向性に迷いはなかった。作品の根底には、マノウォー(Manowar)やドミネなどのバンドからの血が流れており、ヒロイック・ファンタジーや英雄叙事詩とヘヴィメタルの融合を、実にはっきりと描き出していた。

アルバムのタイトル・トラックである"Steal the Fire"は、力強さと哀愁に満ち溢れた楽曲であり、ダーキングのエピック・メタル観を見事に象徴した内容だった。ここでは、静から動へのドラマチックな展開に加え、マルコ・ミリアーニ(Mirko Miliani:vo)の愁いを帯びたヴォーカル・パートが光り輝いていた。

大航海時代のエル・ドラド伝説をモチーフとした"Eldorado"は、ダーキングというバンドのヒロイズムを結集した内容であり、恰も全盛期のドミネを彷彿とさせるサウンドだった。この楽曲は、圧倒的なパワー、爽快なスピード感、高度なドラマ性など、どれを取っても一流のエピック・メタルと呼ぶに相応しかった。

このようにして、イタリアのダーキングは、『Steal the Fire』を経て、自らのやりたいことを全て達成した。結果的に、本作が生み出したのは、新たな時代のエピック・メタルの名曲や佳曲群だった。しかし、それは過去の再現であり、叙事詩音楽の基礎が変わることはなかった。このジャンルのファンたちも、そうした事実を受け入れ、深遠な世界を充分に楽しんでいた。



1. Icarus
2. Steal the Fire
3. Eldorado
4. I'm a Legend
5. Killing Machine
6. The Storyteller
7. Stormbringer (Domine cover)
8. Circle of Life


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New Release (Epic Metal)

Times of Obscene Evil..

by Smoulder (1st album)
"The New Epic Metal Album"

Grey Maiden -Ep-

by Gatekeeper (mini album)
"The New Epic Metal Album"

The Armor of Ire

by Eternal Champion (1st album)
"The New Epic Metal Album"

CODEX EPICUS

by Battleroar (5th album)
"The New Epic Metal Album"

Conqueror's Oath

by Visigoth (2nd album)
"The New Epic Metal Album"
METAL EPIC Books

叙事詩的なヘヴィメタルの歴史

音楽論『叙事詩的なヘヴィメタルの歴史』Kindleストアにて発売中。約5年間に渡るエピック・メタル研究の集大成。主要バンドの紹介、歴史の解説、幻想文学との関連性、エピック・メタル・ルーツへの言及など、アンダーグラウンド・シーンを紐解いた衝撃のヘヴィメタル史。

ハイパーボリア全集

拙著『ハイパーボリア全集』、『ハイパーボリア全集2』、『ツチョ・ヴァルパノミの炎の王国』、『最後の理想郷』、『探索者』、『ツァトゥグアの祠』、『イグの神殿』、『オルグリアス』、『ファルナゴスの遺産』、『イックアの妖術』、『ズロヒムの死』、『失われた先史』Kindleストアにて発売中。1930~1950年代頃の『Weird Tales』誌やクトゥルー神話群を踏襲した幻想怪奇短篇集。
The Master

コスマン・ブラッドリー博士

Author:コスマン・ブラッドリー博士


Cosman Bradley(16/06/10)
David Orso(16/06/10)
Daiki Oohashi(16/06/10)
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