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Introduction

Robert_E_Howard

「エピック・メタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である」 [More stats] 

 ──Cosman Bradley


◆新着情報 News Topics
[Reviews]
VALKYRIE 「Deeds of Prowess」
WRATHBLADE 「Into the Netherworld's Realm」
VIRGIN STEELE 「Nocturnes of Hellfire & Damnation」
[Release]
Jack Starr’s Burning Starr 「Stand Your Ground」
Cirith Ungol 「King Of The Dead」
Manilla Road 「To Kill a King」

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Column the Column

volume 21. 26 January: 2013

『METAL EPIC』誌調べによるエピック・メタルに対する日本人の反応:


「エピックメタルとはヘヴィメタルのサブジャンル」

「叙事詩っていうのが日本人向きではない」

「エピックメタルってサブジャンルなんかあったの?」

「騎士道最高」

「これなんてRPG」

「ブラインドガーディアンとかかな?」

「(´Д`)<ハイプァボオォリャアアァァァァ」

「演歌みたいだなw」

Into Glory Ride



「マノウォーのことかな?」

「素晴らしいジャケットw」

「野人w」

「コナン・ザ・グレートwww」

「ヴァイキングメタルでしょ」

「完全にネタバンド」

「そもそもエピックメタルは日本でウケない」

「クサメタルwww」

Open the Gates



「叙事詩っていうとアーサー王物語だな」

「マイナーすぎwww」

「マニラロードなんて知らんわ」

「臭すぎワロタwwww」

「ださいwww」

「そもそも日本盤がないから聴けない」

「マノウォーは知ってるけど、キリスウンゴルとかマニラロードは知らないなぁ」

「キリス・ウンゴルって指輪物語でしょ」

Noble Savage (Re-Release)



「ヴァージンスティールのノーブルサベージは死ぬほど聴いた」

「ノーブルサベージは史上最強の楽曲」

「ヴァージンスティールはある意味世界で最もドラマチックなバンド」

「危険地帯」

「しょぼいマノウォー」

「真面目にエピックメタルやってるのはこのバンドだけな気がする」

レジェンダリィ・テイルズ



「ラプソディーのことですよね?」

「フォーザーキーン」

「スーファミ音源w」

「異臭騒ぎが起こるwww」

「ファブリーズ」

「ザイ・マジェスティはどうやらエピックっぽい」

「なんかイタリアに多い気がする」

Victory Songs



「メタル版ロードオブザリングw」

「最近になってエピックメタルなるジャンルがあることを知った」

「かっけええええええええええええ」

「エピックメタルは文学歌ってるメタルって感じ」

「映画サントラwww」

「エピックメタルの定義って曖昧なんだよな」

「シンフォニックメタルもわりとエピックに近い」

「これほど日本で知られていないジャンルがあるだろうか」

「もはやメタルなのかwwww」

「恐らくエピックメタルなんて聴いてるのは日本で15人くらいしかいない」



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Martiria New Epic.


R-Evolution



 イタリアを代表するエピック・メタル、マーティリアの第6作『R-Evolution』が2014年に発表された。バンドは新しく「Rocksector Records」と契約し、新メンバーとしてブラック・サバスやディオでの活躍で知られるヴィニー・アピス(Vinny Appice:d)を迎えた。本作には新人シンガーであるフラヴィオ・コスマ(Flavio Cosma:vo)も加入し、前作『Roma S.P.Q.R.』(2012)で表現した正統派エピック・メタルを踏襲している。『R-Evolution』はバンドの第一作『The Eternal Soul』(2004)の10周年に発表され、内容もオリジナルのエピック・メタルに接近している。作品内ではクラシックなエピック・メタルとパワー・メタルの融合したスタイルを聴くことができる。また、エピック・メタルの基盤にドゥーム・メタルの影響があるように、マーティリアはその音楽性も『R-Evolution』で強調している。これらはヴィニー・アピスのもたらした影響が強い。

1. King Of Shadows (Orpheus)
2. Steam Power
3. Southern Seas
4. Salem
5. The Road Of Tenochtitlan
6. Grim Reaper
7. Light Brigade
8. Dark Angels
9. Revolution
10. The Mark Of Cain
11. The Viol And The Abyss
12. Across The Mountains
13. Tsushima


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エピックメタルの帝王(Emperor Of The Epic Metal)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 以下は以前コスマン・ブラッドリー博士が書いた文章を『METAL EPIC』誌が新たに編集し直したものだ。ここではヴァージン・スティールとエピック・メタルの関係性についての研究の成果が記されている(前回より...)。


「大胆かつ大仰で、堂々とし、壮大なものこそがヘビィメタルだ。そして、尊大であり、シンフォニックであり、現実とは異なる世界へと連れて行ってくれる……。それが俺たちにとっての真のへビィメタルなんだ」

 ──David DeFeis



エピックメタルの帝王
Virgin_Steele_02 前作『Life Among the Ruins』(1993)の発表から約1年後、ヴァージン・スティールは新作のためにいくつかのアイデアを試した。それが具体的な形となって完成したのが1994年に「T&T / Noise」より発表された第6作『The Marriage of Heaven & Hell Pt. Ⅰ』であった。本作の発表はヘヴィ・メタルのファンの間に大きな波紋を生み、特にこの作品が欧州のファンに広く認められたことでエピック・メタルは世界的な市民権を得た。また、本作はコンセプト・アルバムの第1作目であり、人種問題や宗教問題、戦争などをメイン・テーマにしていた。輪廻転生を題材にしたという本作の壮大なテーマ・メロディに関しては、冒頭を飾る名曲"I Will Come for You"と最後のインストゥルメンタル"The Marriage of Heaven and Hell"で聴くことができる。この他にも、作品にはデイヴィッド・ディフェイ本人の個人的な葛藤や文豪エドガー・アラン・ポーの詩を扱っている楽曲も導入されていた。後に、この作品は『The Marriage of Heaven & Hell Pt. Ⅱ』と『Invictus』を含めて「マリッジ三部作」と名付けられた。現在でも多くのファンが認めているように、『The Marriage of Heaven & Hell Pt. Ⅰ』はヴァージン・スティールの黄金時代を開始させるきっかけとなった。第7作『The Marriage of Heaven & Hell, Pt. Ⅱ』は1995年に「T&T / Noise」より発表された。本作は多くのファンに「ヴァージンス・ティール史における最高傑作」と呼ばれた。傑作であった前作を凌駕する完成度の高さは、デイヴィッド・ディフェイというアーティストの才能の爆発を示していた。本作はコンセプト・アルバムの第2作目であり、魂の輪廻転生、強き人間の肉体と精神、天国と地獄の和解(The Marriage of Heaven & Hell)といったテーマを扱っていた。また、世界観の構築という面でもエピック・メタルらしいドラマ性で完成され、楽曲の題材に『旧約聖書』や『新約聖書』、アイスキュロスの『縛られたプロメテウス』などの作品を選択している。この作品でヴァージン・スティールのサウンドは確立され、デイヴィッド・ディフェイ本人はバンドの音楽性を「Barbaric and Romantic(野蛮でロマンティック)」と名付けた。以来、ヴァージン・スティールのサウンドはこの音楽性に忠実となっている。本作のハイライトは"Prometheus The Fallen One"と"Emalaith"であり、この楽曲では前者がアイスキュロスの『縛られたプロメテウス』を、後者がオリジナル・ストーリーの"エンディアモンとエマレイス"の叙事詩を歌っている。なお、現在でもエピック・メタル・ファンの中ではこの楽曲を最高傑作とする声が多い。マリッジ最終作である第8作『Invictus』は1998年に「T&T / Noise」より発表された。本作は前作と同様にファンから絶賛され、世界各地の雑誌等でも高評価を獲得した。本作は大掛かりなストーリー・アルバムであり、前作収録の名曲"Emalaith"に関する内容が具体的に取り上げられている。アルバム・タイトルは英国詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリー(William Ernest Henley)のヴィクトリア時代の詩『Invictus』(1875年)がモチーフである。この内容はエンディアモンとエマレイスによる戦いと輪廻転生の物語に深く関わっている。なお、本作の物語ではエンディアモンとエマレイスが新しい神々と700年に渡り争っており、自分たちは古い神々のために血の復讐(Blood of Vengeance)をするという。その光景が全編の楽曲の中で鮮明に描かれている。作品にはこれまで以上に古典古代(ギリシャ・ローマ)風のメロディが強調され、ヴァージン・スティールのエピック・メタルを唯一無二の存在にしている。最後の大作"Veni, Vidi, Veci"はローマの軍人ガイウス・ユリウス・カエサルの名言であり、「来た、見た、勝った」という意味を表している。これは実際にエンディアモンとエマレイスの最終的な勝利を決定付けている。この作品以降、デイヴィッド・ディフェイは神話の世界をモチーフにして現実社会を描写するという作風を強調させていく。「マリッジ三部作」以降、ヴァージン・スティールは"エピック・メタルの帝王"と称されてシーンのトップに君臨する。バンドはその後も精力的に活動を続け、1999年に「T&T / Noise」より第9作『The House of Atreus, Act I』を発表する。これまでの楽曲で表現されてきた古代ギリシアの世界をモチーフとした本作では、続く2000年同レーベルより発表された第10作『The House of Atreus, Act Ⅱ』と並び「アトレウス二部作」と名付けられた。タイトルのアトレウスとは物語に登場する呪われた一族の名である。作品は「マリッジ三部作」と同様に欧州で圧倒的な支持を受け、バンドの更なる地位の獲得に貢献した。これらの作品は古代ギリシアの劇作家アイスキュロスの『オレステイア三部作(The Oresteia)』を題材にしており、ドイツの演劇監督ウォルター・ウェイヤーズ(Walter Weyers)とマルティナ・クラウスキー(Martina Krawulsky)によって制作を依頼されたものである。本作は発表前に実際のドイツ国内の舞台でも上演された。1999年6月5日の初演は"Klytaimnestra"と名付けられ、へヴィ・メタルを基盤とした歴史上で初のミュージカル作品となった。この成功の後、「マリッジ三部作」を題材にした"The Rebels"という名のメタル・オペラが第2作目として新しく上演された。また、2003年には次作の基盤となる第3作目のメタル・オペラも完成していた。今回のヴァージン・スティールの作品では『The House of Atreus, Act I』で『アガメムノーン』を 、『The House of Atreus, Act Ⅱ』で 『供養する女たち』 と『慈みの女神たち』をそれぞれ描いている。前述の通り、「アトレウス二部作」は世界各地のエピック・メタルのファンに絶賛され、その他に演劇の世界からも大きく注目された。これらはエピック・メタルを主軸にした古代ギリシア悲劇の現代における再現でもあった。『The House of Atreus, Act Ⅱ』では10人になる登場人物をデイヴィッド・ディフェイが一人で演じ切り、『The House of Atreus, Act Ⅱ』では7人の登場人物をデイヴィッド・ディフェイに加え2編からなる聖歌隊が歌い紡いでいる。そのオペラティックな手法も影響しての欧州の評価であった。また、本作は古代ヘラス──紀元前のギリシア──をテーマにしたへヴィ・メタルのサブ・ジャンル、ヘレニック・メタルの誕生にも多大なる貢献をした。初期作品をリメイクした企画盤『The Book of Burning』を2002年に完成させた後、ヴァージン・スティールは第11作『Visions of Eden: The Lilith Project (A Barbaric Romantic Movie of the Mind)』を「T&T / Sanctuary」より発表する。作品は2003年頃に既に完成していたが、レーベル側の問題で3枚組の構想が却下され、発売日が延期された。2006年にデイヴィッド・ディフェイの所有するレコーディング・スタジオ"The Hammer of Zeus"で録音した本作の題名には"Lilith" または"Lilith Work"というタイトルが選出されていた。今回は前作から約6年振りの作品となったが、内容は創世記の時代を舞台にした全く新しいスタイルのエピック・メタル・オペラとなっていた。ドイツで実現された「アトレウス二部作」、「マリッジ三部作」舞台化の成功後、デイヴィッド・ディフェイは同じドイツの劇団から演劇用の楽曲の制作を提案されていた。それに返答した際の約40曲がこの『Visions of Eden』の原型であった。過去にジョン・ミルトンなどの文学作品がエピック・メタルのモチーフとなることはあったが、その試みはキリス・ウンゴルの『Paradise Lost』(1991)を最後に終わっている。ヴァージン・スティールは本作でアダムの最初の妻となったリリスの悲劇について歌い、創世記の中の叙事詩を鮮明な手法で描いている。楽曲は主にそのリリスの視点から描かれており、時に生々しい描写で苦悩や愛を表現している。デイヴィッド・ディフェイ本人が語るには、真の文化を理解するためには創世神話を見るのが正しいという。なお、本作のメイン・テーマであるリリスの伝説が誕生したのは主に中世であり、その起源は古代シュメール人の伝承の中にあるという。また、リリスは世界最古の英雄叙事詩『ギルガメシュ叙事詩』に登場する妖魔キスキル・リラであるとも考えられている。作品は最終的に「リリス・プロジェクト」と題され、楽曲はヴァージン・スティールのエピック・メタルの集大成となり、収録時間は約80分に及んだ。作品の背景にはロマン派の影響があり、ショパンやヴェルディ、ワーグナー等の作曲家の残した功績も大きいという。2010年になってもヴァージン・スティールの活動は衰えることがなかった。この年の10月には「SPV/Steamhammer」より第12作『Black Light Bacchanalia』を発表する。ここでヴァージン・スティールは"エピック・メタルの帝王"の健在振りをシーンにアピールした。デイヴィッド・ディフェイはここで一旦「リリス・プロジェクト」を手放し、過去に描かれていた一つのテーマを再構築している。それがキリスト教によって古代信仰が弾圧されていく様であり、本作はヴァージン・スティールの歴史の中で最も暗く重い作品となった。デイヴィッド・ディフェイが追求しているこの意味深なテーマは、繰り返す歴史の惨劇や相容れない宗教世界の危うい宿命を雄弁に物語っていた。──結果的に、ヴァージン・スティールの歴史はエピック・メタルというサブ・ジャンルの発展に深く関わっている。これまでにヴァージン・スティールは多くの功績を残しており、それらが一般的な資料としてヘヴィメタル史にも記録されている。その代表的なものが、古代ギリシア等の文学作品をへヴィ・メタルのジャンルに取り入れたことである。これらの試みは見事に成功し、『The House of Atreus』シリーズなどの名作を生み出している。その成功を物語るように、これらは欧州を中心に現在でも高く評価されている。また、ヴァージン・スティールはサウンドの面でもエピック・メタルの可能性を大きく飛躍させた。その代表的なものが、演劇の世界に影響を受けたプロジェクト「Metal Opera and Theatre」の歌劇に通じる要素や「Barbaric and Romantic」と表現される音楽性の確立である。これらの要素はドイツにおける「アトレウス二部作」と「マリッジ三部作」の舞台化によって完成している。こういった現実的な成功の記録によって、現在のヴァージン・スティールの地位はエピック・メタルというサブ・ジャンルの中で確立されているのである。エピック・メタル・シーンでは現在もマニラ・ロード等の重鎮が活躍しているが、同じようにヴァージン・スティールも"エピック・メタルの帝王"としての仕事を続けている。そして、古参が『Visions of Eden』のようなエピック・メタルの真の傑作をバンド結成25年後に生み出せることを証明している。

{Mar 31, 2014}


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エピックメタルの帝王(Emperor Of The Epic Metal)


著者:Cosman Bradley
編集:METAL EPIC


 以下は以前コスマン・ブラッドリー博士が書いた文章を『METAL EPIC』誌が新たに編集し直したものだ。ここではヴァージン・スティールとエピック・メタルの関係性についての研究の成果が記されている。

エピックメタルの創世記にて
Virgin_Steele_01.jpg ヴァージン・スティールは後にエピック・メタルというサブ・ジャンルを確立させ、その歴史を作っていくヘヴィ・メタル・バンドである。初期のヴァージン・スティールはアメリカのニューヨークでデイヴィッド・ディフェイ(David Defeis:Vo)とジャック・スター(Jack Starr:g)を中心に結成された。ジャック・スターはフランス出身であり、9歳まで過ごした後にニューヨークへと移り住んだ。一方のデイヴィッド・ディフェイは1961年1月4日に音楽一家の家系に生まれ、幼い頃からクラシック音楽や演劇などに親しんで育った。彼の父は有名なシェイクスピア俳優であり、演劇と同じくピアノの教育にも熱心であった。デイヴィッド・ディフェイは8歳の時にピアノのレッスンを始め、欧州のクラシック音楽を中心に学んだ。16歳の時に転機が訪れた。マウンテン・アッシュ(Mountain Ash)と呼ばれる彼のバンドが高校のギグのためにオーディションを行い、その場で親友エドワード・パーシノ(Edward Pursino:g)と出会ったのだ。その後、2年生の音楽大学を卒業してから、デイヴィッド・ディフェイは初めてジャック・スターと出会った。連絡のきっかけは、ニューヨークで新しいバンド結成のためのヴォーカル募集広告にあった。1980年代初期には輝かしいロック・スターの影に隠れて多くのヘヴィ・メタル・バンドが結成されていた。ヘヴィ・メタルがいくつかの成功を収めているように、2人のバンドも将来を期待されていた。1981年に始動したバンドはヴァージン・スティールと名付けられ、ニューヨークのアンダーグラウンド・シーンから登場した。なお、ヴァージン・スティールの名前は"純粋な鋼鉄"などに由来しているが、誰が付けたかは正確には分かっていない。ヴァージン・スティールの記念すべき第一作『Virgin Steele』は1982年に発表された。本作は「Music For Nations」から配給され、正式なヴァージン・スティールのデビュー作品となった。この頃の作品にはハード・ロック的な印象の楽曲が多く、70年代を彷彿とさせる雰囲気が大きな特徴であった。また、初期作品にはジャック・スターの個性的なギターが色濃く打ち出されていた。これは"ヴァージン・スティールがジャック・スターのバント"ということの証明であった。第2作『Guardians Of The Flame』は前作と同じく「Music for Nations」より1983年に発表された。本作の米国盤の名称は『Virgin Steele II』というものであった。なお、この作品は米国盤と欧州盤ではジャケットが異なっていた。内容には前作からの進歩があり、パッヘルベルのクラシックの名曲"カノン"をモチーフにするなどの工夫があった。楽曲もデイヴィッド・ディフェイとジャック・スターの制作で分かれており、お互いには明確な個性があった。特にデイヴィッド・ディフェイの楽曲はクラシックかつドラマティックであり、後のエピック・メタルの要素をいくつか持っていた。しかし、まだデイヴィッド・ディフェイのヴォーカルが未熟であり、バンドのサウンドも安定して聴ける内容ではなかった。1986年に「Cobra」より発表された第3作『Noble Savage』では、デイヴィッド・ディフェイとの音楽性の違いを理由にジャック・スターが脱退した。ここでは後にデイヴィッド・ディフェイの右腕となる親友エドワード・パーシノ(Edward Pursino:g)が加入した。当時のジャック・スターが望んだ音楽性はよりストレートなハード・ロックであり、デイヴィッド・ディフェイの追求するエピックな音楽性とは異なっていた。それを証明するように、その後のヴァージン・スティールはデイヴィッド・ディフェイの描く叙事詩的な世界観を強調するようになる。本作は内容的にも大きな飛躍を遂げ、従来のヘヴィ・メタルとは異なる部分を強烈に主張していた。特にアメリカのマニラ・ロード(Manilla Road)やキリス・ウンゴル(Cirith Ungol)等によって"エピック・メタル"と形容されていた音楽性が本作では表現されていた。タイトル曲の"Noble Savage"では「高貴な野蛮人(ノーブル・サベージ)」という古代の思想をモチーフにし、ヴァージン・スティールの新しい名曲を作り上げた。この時期から、ヴァージン・スティールの音楽性には、ギリシア・ローマ等の古典文学に通じる重厚な雰囲気が顕著になる。なお、前述の通り、デイヴィッド・ディフェイの父は演劇に詳しく、彼は幼い頃からエウリピデス(*注釈1)やアイスキュロス(*注釈2)、シェイクスピアなどの作品に親しんでいたという。1988年10月に「Maze Music」より発表された第4作『Age of Consent』はファンからも高く評価された。本作にはヴァージン・スティールの代表曲"The Burning of Rome"を収録し、前作よりも更にエピカルな面が強調されていた。しかし、一方でマネージメントの圧力に押されるというデイヴィッド・ディフェイ本人の葛藤があった。当時、流行の音楽性にシフトするように強いられた影響が、いくつかのアメリカン・ハード・ロック的な楽曲に表現されている。実際、本作のエピックな部分を評価しているファンの間ではこの構成が賛否両論となった。そのためか、本作は発表後に幾度も再発され、その際にボーナス・トラック追加と曲順を大幅に入れ替えている。残念なことに、本作発表後にヴァージン・スティールは活動休止を発表した。これにはマネージメントの圧力やバンドの音楽性の問題もあった。次のヴァージン・スティールの新作が発表されたのは1993年3月であった。しかし、ファンの期待は「Shark Records」配給の第5作『Life Among the Ruins』で裏切られた。コマーシャルなロック・ナンバーと軽快なブルーズ・ソングに代表される本編の作風は、ポップ化したと言われファンに非難された。本作は後にデイヴィッド・ディフェイが失敗作ではないと認めているが、多くのファンはこの作品に対して不信感と疑問を抱いた。本作を非難されるのは、デイヴィッド・ディフェイが最も影響を受けているバンド、レッド・ツェッペリンに従った自分の原点を否定されるものと同様であったという。

>>To be continued in:Emperor Of The Epic Metal:Next...


*注釈1:Euripides(480 - 406 B.C.)。古代アテナイの悲劇詩人。代表作に『メデイア』、『アンドロマケ』、『トロイアの女』等がある。
*注釈2:Aischylos(525 - 456 B.C.)。古代アテナイの悲劇詩人。代表作に『縛られたプロメテウス』、『オレステイア三部作』等がある。
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