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Bridge To Asgard

WOTAN the mini album in 2011 Release
★★★★★★★★☆☆...(良作)

イタリア発祥、古典的ヒロイック/エピック・メタルの継承者、ヴォータンの2011年発表のEP。


イタリアの「My Graveyard Productions」から発表されたヴォータンのEP『Bridge To Asgard』は、新作への布石ともなる新曲を含んだ意欲作である。エピカルな雰囲気は以前のままに、より深遠さを増した重厚な楽曲群は、何れもどんよりとしたシリアスさに包み込まれている。本作はタイトル・トラックである"The Bridge to Asgard"を筆頭に、ヒロイックな世界観を持つシリアスなエピック・メタルが展開される。サウンドにはマノウォーからの影響が顕著であり、アンダーグラウンド・エピック・メタルらしいカルト的な雰囲気も持ち合わせている。エピック・メタル特有の凄絶な緊張感が全編を支配するこの『Bridge To Asgard』が、その手のマニアの感情を激しく揺さぶることは必死である。




1. The Lone Wolf
エピカルなリフを刻むアップ・テンポ。よりタイトなエピック・メタルが聴ける。聖歌隊コーラスも巧みに導入。
2. The Bridge to Asgard
バラード調で進み徐々にドラマ性を高める叙事詩。 仰々しい歌唱が凄まじい。
3. Hagen
ヘヴィさを極める重苦しいエピック・メタル。エリック・アダムスに接近したヴォーカル、鋭利なギター・ワークがヒロイックなサウンドで完成され、聴き手に迫る。
4. Ja Nuns Hons Pris
5. Goyatla (The Last Battle)
およそ8分に及ぶ大作。ヴァンニ(Vanni Ceni:vo)のシャウトが強烈。緩急に富んだサウンドを応用し、劇的かつ大仰な内容を惜しみなく描く。
6. The Bridge To Asgard



Review by Cosman Bradley
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Epos

WOTAN the 2nd album in 2007 Release
★★★★★★★★☆☆...(叙事詩)

イタリア発祥、古典的ヒロイック/エピック・メタルの継承者、ヴォータンの2007年発表の2nd。


歴史...
正統派エピック・メタルの揺るぎなき真の後継者、ヴォータンの歴史が始まったのは1988年。北欧神話に触発され、北イタリアの地でヴァンニ(Vanni:vo)とマルコ(Marco:g) によってヴォータンが結成されたのが最初であった。バンドはエピック・ヘヴィメタルの始祖マノウォーに影響され、エピック・メタルのために戦うことを決意し、剣を手に取った。1993年、ヴォータンのデモ第一作『Thunderstorm』が制作されると、瞬く間にコピーのすべてが完売した。バンドはファンの好意的な反応にヴォータンの大いなる可能性を見出したが、音楽市場におけるエピック・メタルの現実は苛烈なものであった。ヴォータンはその後の数年間、アンダーグラウンドの暗闇を彷徨った。ヴォータンが再びエピック・メタル・シーンに登場したのは2000年であり、EP『Under the Sign of Odin's Crows』を発表し、自身の存在と実力をシーンに誇示した。続く2003年、バンドは念願の第一作『Carmina Barbarica』を発表。主に欧州の僻地でヴォータンの名が広まった。その後、ヴォータンはドイツのソードブラザーズ・フェスティバル(Swordbrothers Festival)で演奏し、ドミネやディオなどのバンドと競演。オランダのラグナロック・フェスティバル(Ragnarock Festival)では、エピック・メタルのビッグ・ネームであるヴァージン・スティール、そして偉大なマノウォーの元ギタリスト、ロス・ザ・ボスと競演を果たした。この奇跡的な出会いによって、ヴォータンは新しく発表が予定されていた第2作『Epos』にロス・ザ・ボスをゲストとして迎えることができたのである。そしてその夢は、強烈なシングル『Vae Victis』(2006)を経た後に遂に実現された。ヴォータンの第2作『Epos』は、『Carmina Barbarica』を上回る叙事詩的な大作であり、バンドのキャリアにおける決定的な一撃となり、エピック・ヘヴィメタルのファンの記憶に鮮烈に刻まれることとなった。




1. Drink in the Skull of Your Father
ザクザクとしたリフで突き進む正統派エピック・メタル。ヴァンニのヴォーカルはマノウォーのエリック・アダムスを彷彿させる。サビでは漢らしく高潔なメロディを聴かせる。
2. The Quest for the Grail
泥臭いアップ・テンポ。勇壮なムードで漢らしいメロディを滲み出し、途中では静寂に包まれた哀愁のアコースティック・パートを導入する。終盤にかけて披露されるヒロイックなギターメロディは素晴らしい。
3. Dark Centuries
心地良いリズムのエピカル・ソング。緩急に富んだサウンドも有し、コーラスでは如何にも暑苦しいメロディを聴かせる。
4. Mother Forest
陰鬱なピアノを基調としたバラード。バラードであっても大仰さは決して揺るがない。
5. Spartacus
ローマ帝国に反逆した英雄スパルタカスを題材とした楽曲。重厚なリフに情熱的なヒロイズムを代弁させつつ、雄大に古代の英雄像を描き出していく。起伏に富んだドラマ性を有しており、疾走パートと哀愁のリードギター・パートを使い分ける。
6. Vae Victis
シングル『Vae Victis』に収録の楽曲。哀愁のリードギターに彩られたスピーディなエピック・パワー・メタル。至る所からヒロイックなメロディが飛び出してくる大仰な構成。
7. Vlad Tepes
エピカルなムードを発散したメロディアスな疾走曲。勇壮なコーラスを備え、聴き手の感情を激しく昂ぶらせる。終盤にかけては更に劇的な展開を見せる。
8. The Dream of Maxen
シングル『Vae Victis』に収録の楽曲。勇ましいメロディを伴って疾走。中間部の雄大な展開はエピカル。終盤のコーラスではシンガロングも可能。
9. Le Chanson de Roland
およそ15分に及ぶ大作。11世紀のフランス最古の英雄叙事詩『ローランの歌(La Chanson de Roland)』をモチーフとする。静から動へと続くエピック・メタルの基本的な構成によって幕開け、要所で雄大なリードギターを含み、時に妖艶なアコースティック・ギターの音色を巧みに導入する。大仰な歌唱で楽曲を劇的に盛り上げていく手法は、マノウォーからの影響を強く感じさせる部分がある。ここで展開されているのは、エピック・メタルらしい濃密な内容の深遠な英雄ドラマに他ならない。
10. Foggy Dew
およそ7分に及ぶ大作。史劇の如き民謡調の音色で幕開け、雄大なメロディを展開していく。民族的な歌い回しも注目に値する。
11. Ithaca
およそ9分に及ぶ大作。ヴォータンの力強いスタイルが頂点を極めた楽曲。終始シリアスな緊張感が持続する。途中の静寂パートでは、悠久の哀愁に満ちた深遠なムードを醸す。その後に続く長大なソロ・パートは壮大さを極め、ヒロイックな世界観を惜しげもなく披露する。エピローグの高潔なアコースティック・パートも余韻を残すものだ。



Review by Cosman Bradley
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Carmina Barbarica

WOTAN the 1st album in 2004 Release
★★★★★★★★★☆...(意欲作)

イタリア発祥、古典的ヒロイック/エピック・メタルの継承者、ヴォータンの2004年発表の1st。


「ヒロイック・アンセム」

──The Metal Archives


イタリアには多くのエピック・メタルの古参が存在していながら、表舞台へと登場する機会に恵まれて来なかった。そんな中で登場してきたドミネやドゥームソードなどのバンドのシーンにおける活躍は、後続にとって大きな励みであった。時代は確実に変化していた。2000年以降、エピック・メタルにとって、良い方向へと風が吹き始めていたのである。

北欧神話における戦神オーディンのドイツ語であるヴォータンの名を冠したエピック・メタル・バンドは、古く1988年に結成され、デモ『Thunderstorm』(1993)、EP『Under the Sign of Odin's Crows』(2000)を発表しながら、絶好の機会に恵まれなかった。しかし、熟達したヴォータンの実力がマニアたちの目に留まらぬはずもなく、2004年に彼らはようやく第一作『Carmina Barbarica』にて正式にデビューを飾った。第一作はギリシャの「Eat Metal Records」から発表された。

一部の漢らしいエピック・メタルのマニアたちを熱くさせたのは、何よりもヴォータンのヒロイックなサウンドであり、それはエピック・メタルの始祖、マノウォーに通じるものであった。歌詞の内容を神話や歴史の叙事詩的な断片に絞り、サウンドを古く伝統的なエピック・メタルの教典に忠実なものとした本作『Carmina Barbarica』。これは古典的エピック・メタルへの大いなるリスペクトであり、新時代における意欲的な挑戦であった「古く伝統的な音楽性は、エピック・メタルの世界においては不変である」その自信を固い信念を持って貫き通したヴォータンのすべてが『Carmina Barbarica』へと凝縮され、外部へと解き放たれたのである。まさにこれこそがエピック・メタル的カタルシスであり、アイデンティティであった。本作の徹底した態度には真に驚くべきものがある。




1. Lord of the Wind
冒頭を飾る強烈無比なエピック・メタル。劇的なメロディ、容赦のない攻撃性でリスナーを絶えず圧倒する。そのトラディショナルなヴォータンのサウンドに、ファンの目頭は思わず熱くなるであろう。
2. Under the Sign of Odin's Raven
EP『Under the Sign of Odin's Crows』収録の楽曲。北欧神話に触発。民謡の要素も加え、大仰かつヒロイックなサウンドにトライバルな変化を加える。コーラスはマノウォーの名曲"Thor (The Powerhead)"を彷彿とさせる。
3. Hussard de la Mort
激烈な疾走曲。コーラスからソロ・パートへの流れでは最高に漢らしいフレーズを聴かせる。
4. Ride of Templars
勇壮な疾走曲。緊張感に満ちた世界観とヒロイックなサウンドが劇的な融合を果たす名曲。エピック・メタルというジャンルでしか誕生し得ない音楽性であることは確か。
5. Innoxia (Vercingetorix)
フランス最初の英雄ウェルキンゲトリクスの伝承に触発。このテーマは後にドゥームソードが"Gergovia"で題材としたことでも知られる。
6. Wrath of North
厳かな雰囲気に包み込まれた叙事詩的な楽曲。強力なギター・メロディとヘヴィな疾走間に溢れる。クライマックスのソロ・パートでは高揚感を最高に高める。ヒロイック・メタルの名曲。
7. King of Crows (The Dream of Ronabwy)
重厚なリフとヒロイックなイメージを確立。要所で漢らしく、哀愁に満ちたメロディを交える。後半ではアンセミックなコーラスも加える。
8. Stone Giants
9. Black Conqueror
小刻みに疾走する楽曲。他の楽曲よりも平凡な印象を受ける。
10. The Cave
神聖なコーラスからミドル・テンポへと移行。途中から凄絶な疾走を開始する。
11. Thermopiles
"テルモピュライの戦い"にインスパイア。ヘロドトス『Histories(歴史)』の一説をナレーションに含む。重厚な大作であり、マノウォーにも通じるドラマティックなこのナレーションが、叙事詩的なムードを高めていく。
12. Iron Shadows
雄々しいヴォーカル・ラインと聖歌的コーラスが冴える楽曲。ヘヴィかつアグレッシブなサウンドの中に史劇の雰囲気も持ち合せる。



Review by Cosman Bradley
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コメント:アメリカ人の俳優、リー・ヴァン・クリーフ(Clarence Leroy "Lee" Van Cleef, Jr, 1925 - 1989)の鉛筆画。リー・ヴァン・クリーフは主に1960~70年代のイタリア製西部劇(マカロニ・ウエスタン、スパゲッティ・ウエスタン)で活躍し、西部劇を代表する偉大なスターの一人となった。代表作は『夕陽のガンマン(Per qualche dollaro in più)』(1965)、『続・夕陽のガンマン(Il buono, il brutto, il cattivo)』(1966)、『怒りの荒野(I giorni dell'ira)』(1967)、『西部悪人伝(Sabata)』(1969)等。


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Column the Column

volume 20. 17 February: 2012



 「動画を貼る」という行為は、今や現代のネット社会において頻繁に見られる記事更新手段の内の一つだ。それらはHR/HMレビューのサイトやブログにまで拡散し、今日、我々はユーザーとして楽しむに至っている。我々はベンダーではない。しかし、「動画を貼る」という行為によって、彼らの何が変わっていったのか。ここでは、主にHR/HMレビューに関わる『METAL EPIC』誌のデイヴィッド・オルソー氏に話を伺った。どうやら彼は、このセンシティブな問題に対して、ある程度の過激な意見を持っているようだ。


──まず、動画の普及によってHR/HMレビューの何が変わったと考えるか。
デイヴィッド:簡潔に言えば、レビューの質が下がり、文章の項目が短くなった。
──逆にメリットはあるか。
デイヴィッド:メリットは、一つの記事にかける時間が短くなったこと。
──あなたが言いたいのは、動画の普及によってHR/HMレビューがダメになったということか。
デイヴィッド:当然のことだが、『METAL EPIC』では他者を攻撃することはしない。レビューの分量が少なくなり、記事を作る時間が短くなったと感じているのは、私個人の意見だ。
──他者を攻撃しないのに、動画を扱うレビューサイトを攻撃するような言い回しだが。
デイヴィッド:そう感じたのであれば、申し訳ない。私はインターネット上でのレビューの記事に動画を貼る行為を非難しているつもりはないし、むしろ画期的な進歩ではないかと考えている。
──"画期的な進歩"とは?
デイヴィッド:記事を書く側は以前よりも的確に情報を伝えられるし、ユーザーも目的を迅速に達成することができる、ということだ。
──HR/HMレビューにおける、ユーザーのその目的とは?
デイヴィッド:自分が気になっているバンドやアーティストの作品(アルバム)の情報を得ること。
──では、動画によってユーザーはどのように作品の情報を得るのか。
デイヴィッド:具体的には、記事に貼られた動画を耳で聴くことによって、商品化されている作品の内容をそのまま知ることができる。
──"商品化されている"という言葉に引っかかるが。
デイヴィッド:本来、バンドやアーティストの楽曲を聴くためにはCDを購入する必要があるが、インターネット上にはそれらを無料で視聴できる動画サイトがある。音楽関係のレビューサイトの記事に貼られているのは、主にそれらのサイトから転移されたものだ。
──あなたが言いたいのは、「ユーザーが本来有料であるはずの商品を、無料で視聴している」ということか。
デイヴィッド:そういうことになる。
──『METAL EPIC』では他者を攻撃しないと、さっきあなたはおっしゃったが。
デイヴィッド:私はただ事実を述べたに過ぎない。私自身、本来有料であるはずの商品が一体どのような経緯で、無料の動画サイトに貼られたのか全く知らない。しかし、それらの動画がサービスとして成立し、現在もHR/HMレビューサイトに貼られていることは、明らかなる現実であり、事実なのだ。
──ここまでの意見で、あなたは無料動画サイトを攻撃し、HR/HMレビューサイトも攻撃している。当然、あなたは動画サイトを利用していないことになるが。
デイヴィッド:何度も言うように、私は誰も攻撃しているつもりはないし、無料動画サイトの利用経験もある。
──自分が言っていることに矛盾があるとは考えないのか。
デイヴィッド:無料動画サイトに有料商品であるはずの音源が掲載されていることは否定しようがない事実である。そして、それらの動画をレビューサイトに掲載しているのは個人である。私は事実を事実として受け入れているだけであり、明確に個人に攻撃を加えるようなことはしていない。レビューによって作品を判断するのが個人であるならば、動画を視聴して作品を判断するのも個人の感覚に過ぎない。そして、公式とは異なり、サイトに動画を貼る行為も、文章で記事を書く行為も、個人の自由である。しかし、我々は大人であるから、何か問題が生じた際、責任は自分で取らなければならない。
──『METAL EPIC』に掲載しているレビューに関しての責任は?
デイヴィッド:『METAL EPIC』では、レビュー掲載済みのHR/HMのCDを購入して気に入らなかったというクレームは、一般的に受け付けていない。また、購入動機は個人に属するものと判断し、当方では一切責任を負わないものとする。
──あまりにも無責任な気がするが。
デイヴィッド:『METAL EPIC』のレビューは、殆どが創始者コスマン・ブラッドリー博士の手によるものだ。仮に責任を負うのであれば、彼の方であろう。しかし、今やレビューサイトにおいて、掲載された内容に対して個人の判断を加えた上でのCDの購入なのだから、レビューサイトに責任はない。「失敗した」とレビューにクレームをつけるのであれば、それは個人的な失敗になる。ここで重要なことは、我々の行っている行為は殆ど"非公式"という点だ。公式を模倣してはいるが、コスマン・ブラッドリー博士のレビューですら、個人的な産物に過ぎない。レビューサイトに対するクレームとは、個人が個人を攻撃するという行為だ。
──公式でなければ、レビューは責任を負わない、という考えのように聞こえるが。
デイヴィッド:CDの購入者は、飽くまでも参考にしたレビューサイトを個人的に攻撃する権利はない、ということだ。
──「HR/HMレビューと動画」という論点から大幅に逸脱し始めていると思うので、そろそろ核心に迫りたい。HR/HMレビューに対して動画は貼るべきではない、と考えるか。
デイヴィッド:その通り。
──その理由は?
デイヴィッド:ヘヴィメタルとは動画一つで理解できるほど浅い音楽性ではないし、長い歴史もある。バンドが心血注いで完成させた楽曲を無料で、しかもクリック一つで視聴していいはずがない。また、それで、リスナーは本当に作品を理解したことになるのか。誠実なヘヴィメタルのファンや、ヘヴィメタルの精神的な部分や知的な音楽性に感銘を受けてこの世界に入ってきたファンならば、今後、自らがどうするべきかよく知っているはずだ。無料で有料の音源がデジタルの海に野放しにされた時、製作者としてのアーティストの立場はどうなるのか。我々は楽曲さえ聴ければそれで良いのか。昔、インターネットも普及していない80年代、我々はCDを買うことで初めて楽曲を聴くことができた。その時から、私の考えは変わっていない。楽曲を聴きたいのなら、現金を払い、CDを購入するべきだ。過去にコスマン・ブラッドリー博士が言った「今後、『METAL EPIC』でHR/HM関連の動画は二度と扱わない。レビューは文章のみとする」果たして、彼は何を伝えたかったのか。
──このように崇高な理想を掲げる『METAL EPIC』が、他の「動画を貼っている」HR/HMレビューサイトにアクセス数で大幅に劣っていることは、単なる皮肉以外の何者でもないが。
デイヴィッド:それは、恐らく我々の力不足だろう。私自身、『METAL EPIC』がエピック・メタルの認知に多少なりとも貢献しているかどうか、疑問に思うことがある。しかし、不変の目標がここにはある。例え如何なる逆境に直面しようとも、かつてコスマン・ブラッドリー博士がエピック・メタルと出会い、生涯を変える感銘を受けた時より以来、『METAL EPIC』は窮極のエピック・メタルを探すことを決してやめることはない。
──それはコスマン・ブラッドリー博士のマスターベーションだ。



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To Death & Beyond



Country: Greece
Type: Full-length
Release: 2008
Reviews: 88%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャ発祥の正統派エピック/ヒロイック・メタルの重鎮、バトルロアの2008年発表の3rd。




大いなる戦神が彼らを選んだかの如く、ギリシャのバトルロアの第2作『Age of Chaos』(2005)は凄絶を極める傑作であり、劇的な進化を遂げた新時代エピック・メタルの重要作であった。この決定的な成功──商業的な成功ではなく、作品としての成功──により、もはやバトルロアの存在は世界各地のエピック・メタルのマニアたちの間を駆け巡り、絶えず英雄の如き称賛を浴びた。熱狂的な彼らにとって、バトルロアの壮大なサウンドがマニラ・ロードやキリス・ウンゴル影響下の伝統的なエピック・メタルのスタイルから発展してきたことは既に明らかであり、ここでシンフォニックなエピック・メタルが緊張感と迫真の表現力でそれらに僅かに劣るであろうことが証明されるに至った。異物の全くない純潔のエピック・メタルが各地で燻っていた情熱的なエピック・メタル・ファンの心を捉えたことは疑いようがなく、エピック・メタルにとって何が重要であるのかという疑問に対し、バトルロアは一つの答えを出していた。事実、すべてのエピック・メタル・ファンが求めるものが、バトルロアの生み出す作品に宿っていたのである。



前作での圧倒的なクオリティに続くかの如く、イタリアの「Cruz Del Sur Music」よりバトルロアの第3作『To Death and Beyond...』が発表された。エピカルなリスナーは『Age of Chaos』のサウンドに度肝を抜かれたが、更に驚くべきことは、本作『To Death and Beyond...』のサウンドが遥かにそれを上回っているという事実の方であった。バトルロアは前作で生み出したはずの渾身の内容を、今作でいとも簡単に超えてしまったのである。そして、その先に何があるのか、迫真のエピック・メタルによって、またもやリスナーは驚かされることになった。



To Death and Beyond...』──エピック・メタル史にその名を刻むことが確実であるこの一大傑作は、一切の妥協を許さない内容だけに、聴き手を選ぶことは必死である。本作はシリアスな戦場の様を叙事詩的に描いたバトル・メタルの傑作であり、ヒロイックなヘヴィメタルの最高峰に君臨する。2000年以降、エピック・メタルの時代はNWOMEM(New Wave of Mediterranean Epic Metal)によって新たな局面を迎えたが、その新時代の歴史的傑作の一つともなる巨大な可能性を、本作『To Death and Beyond...』は秘めている。恰も激流の如きエピカル・リフの嵐、中世の戦場の緊張感、大仰なヒロイズム、映画の如きスペクタクルが、凝縮された一つの楽曲として完成され、本作に9つの叙事詩として宿っている。考え方はシンプルだが、楽曲はシンプルではない。"Oceans of Pain"の中間部に突如出現する美的なヴァイオリンの旋律であるかのように、バトルロアの楽曲は波乱のドラマに満ちており、恰も激烈な戦地の叛乱の如く目まぐるしい展開をする。これぞ熱烈なファンが長年追い求めた真性のエピック・メタル作品であり、大仰なヒロイズムを極めた一大傑作である。エピック・メタルというヘヴィメタル最古のサブ・ジャンルは、人々が新鮮さと感動を忘れ去った時代にあってもなお、興奮と驚異を齎す傑作を我々に提供してくれる。。



1. The Wrathforge
およそ8分に及ぶ大作。開戦を告げる劇的なイントロダクションに導かれ、真性のエピック・メタルが太陽の曙を見る。バトルロア屈指の傑作である本曲は、激流の如きメロディの展開、鳥肌必至の緊張感、凄絶な戦地の描写力で聴き手の脳髄を直撃する。エピック・メタルかくあるべし。
2. Dragonhelm
雄大なメロディに彩られたエピック・チューン。ヒロイックに疾走し、聴き手の戦意を鼓舞する。血生臭い戦場の描写も迫真。
3. Finis Mundi
およそ9分に及ぶ大作。シンフォニックかつ深遠なイントロダクションからアコースティック・パートへの流れ、続くエピカル・リフの導入までを完璧な手順でこなすエピック・メタルの典型。脈動感のあるリフとメロディは大仰さを極める。中間部からはヴァイオリン・パートも登場。
4. Metal from Hellas
エピカルなミドル・テンポ。スムーズに展開し、強力なインパクトを備えたコーラスへと移る。リズミカルなリフ、及びソロも劇的なハーモニーを刻む。
5. Hyrkanian Blades
重厚なリフとグルーブ感のあるリフが特徴的。コーラス、メロディは依然としてヒロイック。
6. Oceans of Pain
およそ10分に及ぶ大作。壮大なムードを発散するエピック・メタルの一大傑作。ドイツのランニング・ワイルドを彷彿とさせる血生臭いヴァイキング・リフで勇猛果敢に戦場を疾走する。ヴォーカルの仰々しい歌唱、及び雄々しいコーラスは怒涛の臨場感を放つ。また、中間部のヴァイオリン・パートはの美しさは本作でも突出。
7. Born in the 70's
明るいムードとキャッチーなメロディが気掛かり。サウンドはアグレッシブ。
8. Warlord of Mars
エドガー・ライス・バロウズのSF小説『The Warlord of Mars(邦題:火星の大元帥カーター)』(1919)に触発された楽曲。ヒロイック・ファンタジー的な大胆なメロディの大量導入により、異様な勇猛果敢さを誇る本曲こそ、まさに異世界の英雄を描いた名曲に相応しい。SF的ハーモニーの使用とダイナミックなヒロイズムが圧倒的な高揚感を放っている。
9. Death before Disgrace
およそ8分に及ぶ大作。暗澹たるアコースティック・パートから大仰に展開。中世の軍隊の行進の様の如き重厚なエピカル・リフで突き進み、要所で泥臭い掛け声を多用。高度なドラマ性のため、当然の如く中間部ではヴァイオリンを導入。クライマックス付近でのリフの暴れ様は凄絶。


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Age Of Chaos



Country: Greece
Type: Full-length
Release: 2005
Reviews: 84%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャの正統派エピック・メタル筆頭、バトルロアの2005年発表の2nd。


「劇的な進化」
 ──『METAL EPIC』誌


『METAL EPIC』誌より抜粋:

第一作『Battleroar』(2003)で公のエピック・メタル・シーンに登場したギリシャのバトルロアであったが、その評価は思わしくなかった。マニラ・ロードやキリス・ウンゴルに影響を受け、叙事詩的な戦争やヒロイックな幻想小説、及び神話や伝承を題材とした方向性は良かったものの、肝心のサウンドには何か決定的なものが欠けていた。ギリシャという熱狂的なエピック・メタルの聖地から登場したバトルロアに、優れた素質は確実に宿っていた。だが敷石の隙間を埋める必要があった。かつての始祖たちがそうしたように、エピック・メタル・バンドとして高みに上り詰めるため、傑作を生み出すためには、一切の妥協を排除しなければならなかったのである。

Dyvim Tvar

2005年、バトルロアは第2作『Age of Chaos』を発表する。ここでバトルロアは劇的に変わった。しかし、一体何が変わったのか。エピック・ヘヴィメタルのファンの関心を惹くために、決定的な要素が作品になければ、彼らの断固とした感情は揺さぶられない。詰まる所、『Age of Chaos』で核心をつくように表現されていたのは、エピック・メタルのマニアたちが強く望んでいたような、緊張感に満ちた迫真のエピック・メタルのサウンドであった。

作品の冒頭から流れ出る劇的かつ大仰な旋律は、我々の度肝を抜く強烈なものであった。伝統的なエピック・メタルを踏襲した重厚なサウンド、そしてヒロイズムを強調した屈強な作風が、バトルロアというバンドを以前までとは全く別の怪物へと変化させていた。メロディの質、及び構成力までもが桁違いに向上し、多くのマニアたちは以前までのバトルロアの評価を取り消す必要が生じた。

欧州で拡大を続けるエピック・メタル・シーンにとって、このバトルロアの劇的なまでの進化は大きく影響を及ぼした。低迷していたギリシャのエピック・メタル・シーンにとって、まさに真打の登場であったのだ。凄絶な戦争叙事詩の如き壮大な雰囲気によって包まれ、重厚な鋼鉄のリフで戦車の如く疾走する『Age of Chaos』は、速やかに世界各地のエピック・メタルのマニアたちのコレクションに加えられた。ヒロイック・ファンタジーにも通じる高揚感を合わせ持ったギター・ソロの完成度は、このシーンでもトップ・クラスのポテンシャルを秘めたものであり、オールド・ファンはこれを望んでいたのであった。。

ロバート・E・ハワード、トールキン、マイケル・ムアコックの世界観に影響を受けたバトルロアのクラシックなエピック・メタルは、ここに来て絶対的な個性を放ち、その実力をファンに誇示した。後は我々が自力でバトルロアの存在を知るか、このような稀なレビューを読んで好奇心がそそられるかである。『Age of Chaos』のサウンドは、エピック・ヘヴィメタルのファンを一撃で虜にする強烈な力を持っている。もしその凄絶な戦争の光景を目にすることがあれば、瞬く間に異世界に惹き込まれることは必死であろう。今やバトルロアはギリシャが誇る最重要エピック・メタル・バンドとなった。



1. The Wanderer
2. Vampire Killer
重厚な疾走曲。弾丸の如きリフで周囲のすべてを圧倒する。血吹き肉踊るコーラスも収録。クライマックスにかけてのソロ・パートは必聴であろう。
3. Siegecraft
緊張感のあるサウンドで劇的な世界観を描く叙事詩。朗々としたコーラスが戦いの反響のように響き渡る。ソロ・パートも凄絶を極める。
4. The Tower of the Elephant
5. Deep Buried Faith
6. Dyvim Tvar
およそ9分に及ぶ大作。ムアコック・ムアコックの"Elric Of Melnibone"に影響を受ける。ディヴィム・トヴァーとは「竜の長」、即ちエルリックの友人の名を指している(*画像上)。イタリアン・エピック・メタルのエッセンスを受け継ぐヒロイックかつファンタジックな一大叙事詩であり、エピカルなリフの使用はイタリアのドミネのサウンドを彷彿とさせる。
7. Sword of Crom
ロバート・E・ハワードの"Conan"に影響を受ける。激烈なまでにヒロイックなメロディを配した衝撃的な楽曲。ランニング・ワイルドに通じるヴァイキング・ギター・ワークを更に勇ましくしたかのような構成を持つ。ヒロイック・メタル屈指の名曲である。 8. Narsil (Reforge the Sword)
語り、そして炸裂感のあるメロディへと流れるエピック・メタルの典型。その鋭利でヒロイックなメロディは絶大な高揚感を齎す。
9. Calm Before the Storm
およそ9分に及ぶ大作。ワイルドなリフで疾走、漢らしいヴォーカル、メロディを絡める。中間部では静のパートを導入。重厚なエピック・メタルの真髄を発揮する。後半ではマニラ・ロード的なギター・ソロも聴ける。
10. Dreams on Steel


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Battleroar

Country: Greece
Type: Full-length
Release: 2003
Reviews: 71%
Genre: Epic Heavy Metal


ギリシャ発の正統派エピック・メタル、バトルロアの2003年発表の1st。

バトルロアは2000年のギリシャ、アテネで結成された正統的なエピック・メタルの後継者。マニラ・ロード、キリス・ウンゴル、ブローカス・ヘルム、マノウォーを称賛する真性である。シングル『Dragonship』(2002)を経て発表された第一作『Battleroar』では、今後のシーンを担う高いポテンシャルと可能性を秘めた重厚なサウンドを披露する。ヴォーカルに未だ不安が残るが、追求する劇的な世界観やヒロイックな音楽性は、80年代から続くエピック・メタルの伝統に極めて忠実。要所ではドラマティックなテンポ・チェンジも使用し、中世の戦士特有の泥臭い掛け声を発する。新世代エピック・メタルの注目株であることは疑いようがない。



1. Swordbrothers
2. Victorious Path
3. Egyptian Doom
4. Mourning Sword
5. Almuric
6. Battleroar
7. Morituri Te Salutant
8. Megaloman
9. Berzerker


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 「想像を超える」という言葉があるが、アルバムの内容がそうであるならば、嬉しい限りである。私達は新品のヘヴィメタルのアルバムを聴く際に、必ずといっていい程に期待してしまう。自らが入念な調査の末に手に入れた作品なら、聴く時の喜びも大きいはずである。しかし現実では、私達にとって大きな壁が存在していることに気がつかなければならない。エピック・メタルのようなアンダーグランド音楽ならば、より注意しなければならないのだ。それらは「想像を超える」という言葉で、私達の一般的な許容範囲を超える音質の悪さを有している。熱心なファンだからこそ、一度は経験したことがある出来事であろう。"作品の内容は最高なのに、音質は最悪だ"。そして時には、リマスター再発盤ですら、その致命的な問題を解決するには至っていない事実がここにはある。これはエピック・メタル・シーンの評価を長年過小評価させる原因ともなった、忌まわしい、現在進行形の病である。原曲の音質が劣悪なために、デジタル・リマスターの効果を最大限に得られないのだ。しかし、それでもなお、叙事詩的なヘヴィメタル作品が眼前にあるのなら、無言の登攀を続ける猛者のように、私達はエピック・メタルを聴き続ける。品質、音質、素質、すべてが完璧な作品は少ない。それを探すことも大きな楽しみの一つだ。


▶「The Age of the Return」(2005) Martiria
Age of the Return


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Lights from Oblivion



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2012
Reviews: 92%
Genre: Epic/Progressive Metal


イタリアのエピック/プログレッシブ・メタル、アドラメレクの2012年発表の3rd。

凡そ17年振りとなる第2作『Broken History』(2005)の発表で衝撃的な復活劇を演じたイタリアのアドラメレク。前作の充実した内容は、かつてのファンを満足させるためには十分な材料だった。『Broken History』において、中世時代への傾向やプログレッシブなエピック・パワー・メタルの音楽のスタイルは、更に洗練されており、古参に全く期待をしていなかった世界各地のリスナーを驚かせた。一部の評論家からは「全くサウンドが変わっていない」と絶賛され、アドラメレクは再びイタリアン・エピック・メタルの始祖としてその実力を示したのだった。
前作から凡そ7年の歳月を経て発表されたアドラメレクの第3作『Lights from Oblivion』は、複雑な作品だからこそ時間を有したという、高度なエピック・メタルの塊だった。大きな問題点があるとすれば、それはファンが本作を聴くために、あまりにも長く待たされたことだった。一部では復活を遂げた直後、アドラメレクは再び沈黙するかとも囁かれたが、このように『Lights from Oblivion』という劇的な作品が、ファンの元へと届けられたのである。
前作以上に静寂に溢れ、洗練されたドラマ性を描く本作は、アドラメレクというバンドが円熟の域に達したことを物語っている。エピック・メタルの伝統的な手法の一つ──静から動への展開を多用する『Lights from Oblivion』は、新時代に放たれた過去の遺産とも形容できる作品だった。アドラメレクはエピック・メタルの始祖の一柱だが、その変わらない音楽性が今も継続されている部分には、バンド側の断固とした意志が感じられる。それは現在のエピック・メタル・シーンを牽引していくものであり、強いては各地の辺境で燻っている若いバンドたちにとって、大きな刺激となるものだ。マニラ・ロード、ヴァージン・スティール、マノウォー、ウォーロード、そしてアドラメレク──果たして、ここまで古参が精力的に活躍を続けているヘヴィメタルのサブ・ジャンルが他にあるだろうか。エピック・メタルの世界こそは、これからも古く伝統的な音楽性を失わないと信じられるジャンルだ。



1. Lights
アコースティック・パートを絡めながらメロディアスに展開。
2. Aelegia
メロウかつ中世の雰囲気を宿す。
3. Islands of Madness
4. Truth Lies...
5. Wonderful Magician
美しさを強調した哀愁の楽曲。シンガロング・コーラスがドラマティックに響く。
6. Beyond a Lifetime
7. Tides of My Soul
アドラメレクらしいメロディアスなギター・ワークを持つ楽曲。スピードは落ちたが、中世風の重厚なメロディは健在である。中間部のリード・ギターは絶品。
8. Chiaroscuro
インストゥルメンタル。
9. King (of the Rain of Tomorrow)
10. Pain After Pain
11. We March, We Fail
12. Oblivion


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Broken History



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2005
Reviews: 86%
Genre: Epic Power Metal


イタリアのミラノ発祥、全イタリアン・エピック・メタルの始祖、アドラメレクの2005年発表の2nd。


「壮大なアルバム」
 ──MetalRaw webzine

「サウンドは変わらず、バンドは叙事詩的な表現力を維持している」
 ──Flash




かつて伝説的な名盤『Irae Melanox』(1988)の発表ですべてのイタリアン・エピック・メタル・バンドに影響を与えたアドラメレクは、僅かその一作のみで長い沈黙を享受した。当時の衝撃は計り知れなく、アドラメレクがシーンから去った後、80年代に編み出された前衛的なアドラメレクのサウンドを高く評価する声は依然として収まらなかった。我々が良く知っているように、実に多くのバンドが80年代で姿を消したが、アドラメレクの存在もそこに含まれていた。そして歳月と共に、アドラメレクの名は一つの伝説と化していった。
21世紀、エピック・メタル・シーンでは古参の復活が大きな話題を呼ぶという事態が起こる。2000年、マニラ・ロードの再結成は熱狂的なファンを歓喜させ、2004年、ブローカス・ヘルムは自主制作で捨身の帰還を果たした。そして2005年、満を持してイタリアン・エピック・メタルの始祖がシーンに復帰したのである。前作からおよそ17年振りの新作はイタリアの「Underground Symphony」より発表、『Broken History』と名付けられ、これを待ちわびたマニアたちが殺到した。アドラメレクを再起動させたジャンルカ・コロナ(Gianluca Corona:g)は、今作に強力なヴォーカリスト、ヴィットリオ・バレリオ(Vittorio Ballerio:vo)を用意し、かつてのコンセプトで再びドラマティックなエピック・メタルに挑んだ。



明確にエピック・メタルの要素がある『Broken History』は、前作と同様、中世時代に傾倒した叙事詩的な作品である。本作では主に十字軍のコンセプトを主軸にして、メロディックかつプログレッシブなエピック・パワー・メタルが展開されていく。ここではかつての鋭利なサウンドが丸みを帯び、パワー・メタル的な音楽性が前面に押し出されている点に注目が集まる。プログレッシブな構成力とテクニカルなギター・ワークは減退しているが、中世時代への傾向は以前として残されている点には、アドラメレクのエピック・メタル・バンドとしての断固たる主張が垣間見える。特に今作ではかつての"Lamento (Anonymous XV Cent)"のようなインストゥルメンタルを全体に巧く導入し、ストーリーテリングな内容に幅を広げている。アドラメレクは本作で騎士道的エピック・メタルを完成させたと判断するに相応しく、中世への傾向がより立体的なサウンドとなって表現され、空間を支配する貴族的なイメージが視覚的な影響力を放つに至っている。『Broken History』に対し、リスナーは前作以上の衝撃を期待するのは危険だが、完成度の高い洗練されたエピック・パワー・メタルとして、本作は十分に機能しているといえるであろう。何度も聴くことが可能であり、決して一辺倒の内容ではない作品である。ここにアドラメレクは"イタリアン・エピック・メタルの始祖"の名に恥じない快作を作り上げた。



1. Intro: Fantasia I
中世風のイントロダクション。
2. I'll Save the World
従来のアドラメレクの帰還。プログレッシブなサウンド、メロディックなリフ、劇的な展開を兼ね備える。重厚かつスピード感も持ち、正統派のアグレッションも存分に楽しめる。本作を代表する名曲である。
3. Cluny Calls
中世のイメージを強調。アコースティック・パートに始まり、スピーディに展開する。メロディは以前よりマイルドな印象が強い。
4. Choral Prelude
インストゥルメンタル。
5. Broken History
タイトル・トラック。メロディックなリード・ギターを前面に押し出した楽曲。ミドル・テンポでシリアスなドラマを描く。中間部では転調を含む。
6. Beloved Jerusalem
重厚なエピック・パワー・メタル。エピカルなリフにロマンティックなヴォーカルを絡める。
7. Heap of Bones
泣きのギター・メロディが炸裂するバラード。アドラメレクが追求する世界観のイメージが掴める一曲である。
8. Dethroned in Shame
ヘヴィなリズムがエピカルなリフと共に行進する楽曲。変則的なリズムも使い分ける。クライマックスではアンセミックなコーラスも使用。
9. Darts of Wind
メロディアスなギター・ワークが耳を惹きつける。ヴォーカル・ラインからは中世特有の貴族的なムードも感じられる。
10. Different Times, Different Places
スピード感に満ちたエピック・メタル。高貴なメロディが風の如く滑らかに展開する。非常に練られた内容を持つ名曲。
11. Declaimed Prelude (The Bread and The Water)
メロウなインストゥルメンタル。
12. Ten Wiles (Much More than Begged Mercy)
テクニカルなギター・リフで攻め入る楽曲。その難解かつ知的なドラマ性は、エピカルなリスナーを楽しませる。緊張感に溢れた内容も秀逸。
13. Conclusion
エピローグ。


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Irae Melanox [Analog]



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 91%
Genre: Epic/Progressive Power Metal


イタリアのミラノ発祥、全イタリアン・エピック・メタルの始祖、アドラメレクの1988年発表の1st。


「最も洗練された騎士道的エピック・メタルのマイルストーン」
 ──Classix Metal


『イタリアン・エピック・メタルの歴史:序章』より...

1 序文

近年、NWOMEMの拡大で飛躍的な活躍を続けるイタリアだが、長い間、地下エピック・メタル・シーンの真の起源は謎に包まれていた「イタリアのエピック・メタルのシーンは、一体どのように形成されていったのか」我々は少なくとも、アメリカで発祥した地下エピック・メタルの起源が、80年代初期のマニラ・ロードとキリス・ウンゴルの活躍に属していることを突きとめた。しかし、それは、エピック・メタルの最初の歴史に関わるものであり、その後の顛末を含んではいなかった。既に過去の多くの記事の中で我々が追求してきたように、また、それらの事実が物語っていたように、時代と共にエピック・メタルは世界各地に分布していった。そして、世界の果てへと続く航海の如く、その長い旅路の最終的な目的地は地中海のイタリアであったのだ。今や世界において、エピック・メタルの巨大な市場と化したイタリアでは、80年代を軽く凌駕する数多のバンドが群雄割拠し、恰も人類史のように興亡を繰り返している。

2 アドラメレクの登場

アメリカのエピック・メタルの真の歴史がマニラ・ロードによって幕開けたように、イタリアのエピック・メタルの礎を築いたのはミラノ出身のアドラメレクであった。1986年、フランコ・アヴァリ(Franco Avalli:b)とジャンルカ・コロナ(Gianluca Corona:g)がブラック・サバスやアイアン・メイデン、クイーンズライク(QUEENSRYCHE)のカヴァー・バンドを結成したのがその原形であるアドラメレクは、その後、ジャンルカ・コロナが"ADRAMELCH"なる楽曲を書き、正式なバンド名となった。アドラメレクはユダヤ教、及びキリスト教の孔雀の悪魔であり、古くはフェニキアで信仰されていた神秘的な存在である。バンドは当時のパワー・メタルやプログレッシヴ・ロックのような音楽性を標榜していたが、不気味なバンド名が物語っているように、そこに別の要素を付け加えることにしたのである。

3 『Irae Melanox』

アドラメレクがイタリアの「Metal Master Records」から1988年に発表した第一作『Irae Melanox』は、地下で絶大な支持を獲得したウォーロード(WARLORD)やマーシフル・フェイト(MERCYFUL FATE)に影響を受けたカルト的なサウンドに加え、暗澹たる中世の世界観と十字軍の暗い史実、及び信仰を網羅した、イタリアで最初のエピック・メタル作品となった。決してパワー・メタルやプログレッシヴ・メタルには収まりきらないその斬新な音楽性は、作品の内部に潜むリアリスティックな中世の世界観と相俟って、一部の地下シーンでは大変な高評価を得た。既にアドラメレクは地下アメリカの伝説的なバンド、スローター・エクストロイス(SLAUTER XSTROYES)が『Winter Kill』(1985)で提示したプログレッシブなエピック・・パワー・メタルのサウンドを完成させていた。ジャンルカ・コロナが描いた絵画がアルバム・ジャケットとなり、NWOBHMに影響を受けてはいるが、知的極まるエピック・メタルのサウンドを表現した『Irae Melanox』の衝撃はまさに絶大であった。"Fearful Visions"、"Zephirus"、"Irae Melanox"という大作志向の邪悪な傑作群が本作の前半を占め、"Was Called Empire"、"Eyes of Alabaster"、"Dreams of a Jester"といった終盤における騎士道的な楽曲の存在が、イタリアン・エピック・メタルの歴史における重大な転機となった。しかし、「エピック・メタル」という当時の欧州では全く受け入れられていない音楽性と、地下シーンでの配給の悪さが悪循環を齎し、アドラメレクの存在と奇跡のような傑作『Irae Melanox』は悠久の幻と化すに至る。我々の調査のメスが入るのが遅れたのも、恐らくはそのためと思われる。

4 その後

爾来、イタリアの「Underground Symphony」が2010年に本作を再発。その際、2枚組仕様となり、1987年のデモと未発表曲8曲が追加収録された。この時、イタリアのエピック・メタルのルーツが遂に公になったのだと、多くのエピック・メタル・ファンは喜んだ。我々とて、その感慨の気持ちは同じであった。



1. Fearful Visions
不気味さを極める陰惨なイントロダクションから怒涛のリフへと展開。鋭利なメロディが狂気の渦巻く中で奏でられ、獰猛な悪魔の如き咆哮をあげる。攻撃性を極めたサウンドながら、楽曲からは構築感のある知性をも感じさせる。当時の衝撃は計り知れない。
2. Zephirus
凶暴なエピック・リフが唸る。メロディとスピード、リズムが完璧なドラマ性を表現し、聴き手に容赦なく襲い掛かる。一部ではアンセミックなコーラス・パートも配す。圧倒的な情報量を持つ、雪崩の如き名曲。
3. Irae Melanox
悪魔サタンをテーマにしたタイトル・トラック。およそ7分に及ぶ。このテーマは単なる悪魔主義とは異なり、叙事詩的な手法で描かれている。中世の異様なムードを放ちながらスピーディに展開する。カルト的なギター・メロディの応酬には息をつく暇すら与えられない。知性と狂気の両方を極めた至高の名曲だが、その他のジャンルには押し留められない、一種の芸術性すら醸し出す。これもエピック・ヘヴィメタルが世に生み出した最高傑作の一つか。
4. Lamento (Anonymous XV Cent)
中世の雰囲気を持つインストゥルメンタル。
5. Decay (Saver Comes)
大仰なリード・ギターのメロディがオーケストラの如く奏でられる楽曲。80年代に帰属するテクニカルなサウンドは衝撃的。スピーディなリフに乗るエピカルな旋律は恍惚。緩急に富んだ展開はあまりにも劇的。前衛的なサウンドはプログレッシブな音楽性の頂点である。
6. Was Called Empire
壮絶な疾走曲。テンションが衰えず、的確に中世の世界観を描き出していく。劇的な手法が生々しく成功し、勇壮なムードが漂う本曲は、恰も悲壮なる十字軍のメイン・テーマといったところであろう。
7. Eyes of Alabaster
アラバスター (Alabaster) とは白い鉱石のこと。中世時代には教会や家屋など多くの建造物に使用された。メロディックかつスピーディな内容は不変。中世の宮廷的なムードを宿し、かつて現実に存在したそれらの伝説を迫真のエピック・メタルで描く。リアリスティックな手法からは感動すら味わえる。これで後続のバンドはアドラメレクを称賛しないはずがない。
8. Dreams of a Jester
強烈なリズムを用いてヘヴィかつメタリックな内容を表現する。前半のダークなイメージとは異なり、ここでは中世騎士道物語のようなヒロイックな高揚感によって包まれる。コーラス・パートの雄々しさは絶品。


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Column the Column

volume 19. 8 January: 2012



 エピック・メタルに影響を与えた作品は小説や文学だけには留まらない。過去の音楽や映像作品などもこのジャンルには強く関係しており、我々は時にそれらを発掘し、ある種の驚異と感動に包まれる。これらの世界では、現代では味わうことのできない時代の一部分を疑似体験すると共に、エピック・メタルのアイデンティティの基盤となっているものに触れることができる。今回、我々が新たに出会う映像作品は、彼らにとって極めて忘れ難いものである。


Conan the Barbarian


 叙事詩的映画(Epic film)の巨匠ジョン・ミリアス(John Milius)は、1982年制作のロバート・E・ハワード原作の映画『Conan the Barbarian(邦題:コナン・ザ・グレート)』で監督を務めた。脚本はジョン・ミリアス自身と、後に名作『Alexander(邦題:アレキサンダー )』(2004)を生み出すことになるオリバー・ストーン。コナンの生涯の一片を描くという叙事詩的な構想はここから広がっていった。主演は無名時代のアーノルド・シュワルツェネッガー、音楽はアメリカの作曲家ベイジル・ポールドゥリス(Basil Poledouris)であった。ジョン・ミリアスとベイジル・ポールドゥリスは以前、サーフィン映画の名作『Big Wednesday(邦題:ビッグ・ウェンズデー)』でも共作を果たしている。かつてセルジオ・レオーネとエンニオ・モリコーネが共作で『Once Upon a Time in the West(邦題:ウエスタン)』(1968)や『Once Upon a Time in America(邦題:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ)』(1984)などの偉大な叙事詩的映画と音楽を生み出していったように、ジョン・ミリアスとベイジル・ポールドゥリスもまた、同じ星の元に映画史にその名を刻む宿命にあった。

 『Conan the Barbarian』は続編として『Conan the Destroyer(邦題:キング・オブ・デストロイヤー)』(1984)が制作されたが、リチャード・フライシャーが監督した本作はジョン・ミリアス版"Conan"に比べ、遥かに娯楽性が高い作品であった。続くハワードの世界観に基づくブリジット・ニールセン主演の『Red Sonja(邦題:レッドソニア)』(1985)にしても、叙事詩的かつ重厚な『Conan the Barbarian』を模倣してはいなかった。なお『Red Sonja』の音楽はエンニオ・モリコーネが担当し、ベイジル・ポールドゥリス並の勇壮なスコアを聴かせている。ハワード原作の映像化作品の中には『Kull the Conqueror(邦題:ザ・コンクエスト~征服大王カル)』(1997)もあるが、これはコナンの前史にあたる"King Kull"シリーズの映像化作品だ。

 ヒロイック・ファンタジーやハワードのファンにとっては、永遠にジョン・ミリアスの『Conan the Barbarian』こそが正式な"Conan"の映像化作品であり続けた。2011年にジェイソン・モモア主演で実現した新生『Conan the Barbarian』の発表の後も、その基本的な概念が失われることはなかった。なぜなら、新生『Conan the Barbarian』はジョン・ミリアスを超えてはいなかったからだ。ジョン・ミリアスとベイジル・ポールドゥリスが作り上げた最初で最後の"Conan"は、有史以前の夜空に輝いた星々の放つ微光の如く、太古の時代の情景を鮮明に思い出させる。歳月の蚕食によって例え何世紀経過しようとも、魔術師アキロの冒頭の語り声ははっきりと聴き取れるのだ。そして闇夜の静寂を突き破る荒馬の足音であるかのように、あの"Anvil Of Crom"の懐かしいテーマが遠くから聴こえてくる...


Ost: Conan the Barbarian

 もう二度とジョン・ミリアスとベイジル・ポールドゥリスが共作する映画は見ることができないであろう。たった一度の奇跡──『Conan the Barbarian』という一大叙事詩を拝めたことが、多くの叙事詩的映画ファンの心に今も残っていることは疑いようがない。その感動が、ベイジル・ポールドゥリスの作り上げた美しくも幻想的なサウンドトラックを通して、ハワードを愛してやまないエピック・ヘヴィメタルの作品群にも受け継がれていっている。ジョン・ミリアスとベイジル・ポールドゥリスの影響力は大きすぎた。なお『Conan The Barbarian』のサウンドトラックは、2010年にベイジル・ポールドゥリスの望んだ真の形となって、タッドロウとプロメテウス・レーベルの共同プロジェクトで進行し、プラハ・フィルパーモニック・オーケストラ起用で再録され、遂に完成した。

Metal Epic, Jan 2012
Cosman Bradley



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 好きなヘヴィメタルのアルバムは聴ける時に聴いておくべきだ。なぜなら私達には常に健康であるという保障はなく、若く活力に溢れている時期を見過ごして老いていくことが多いためだ。生涯で与えられている時間はあまりにも多いが、その殆どが意味を持たない時間であることに気付く頃には、既に体力がなく、気力がなく、希望がない時である。故に私達に残されている時間は、実際は相当少ないものであるという考えに辿り着く。
 ヴァージン・スティールの作品の中に『Invictus』(1998)という名作がある。"屈せざる意志"を歌ったタイトル・トラックは、ウィリアム・アーネスト・ ヘンリー(William Ernest Henley)の同名の詩にインスピレーションを受けた強烈な楽曲だ。続く"Mind, Body, Spirit"に至っても、不滅の肉体、及び精神の強靭さを主張している。しかし現代に生きている私達は、常に病魔に悩まされ、精神の強靭さではどうしようもない事態に直面する。自然界の大木よりも遥かに脆弱に、人間の肉体は生命の皮肉によって犯されていく。天変地異の様を眺める生物の無力さのように、人間は速やかに衰えていく。そうした時、私達は後悔をしてはならないということだ。

▶「Invictus」(1998) Virgin Steele
Invictus


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-Western Shirt Collection-




Western Shirt_1

名称:エイチバーシーフリンジウエスタンシャツ
原価:約2000円
素材:コットン
生産国:アメリカ
コメント:エイチバーシー(H bar C)のウエスタンシャツ。サイズM。肩に刺繍入り。胸から背中にかけて白いフリンジが付いているのが特徴。




Western Shirt_2

名称:カウボーイブラックウエスタンシャツ
原価:約1500円
素材:コットン、ポリエステル
生産国:アメリカ
コメント:カウボーイ・ジョー(Cowboy Joe)のウエスタンシャツ。サイズM。肩に刺繍入り。




Western Shirt_3

名称:ブラックウエスタンシャツ
原価:約1500円
素材:コットン
生産国:不明
コメント:シュート(CHUTE #1)のウエスタンシャツ。サイズM。肩に刺繍入り。タグが消えているため生産国は不明。




Western Shirt_4

名称:ミラーブラックウエスタンシャツ
原価:約1500円
素材:コットン
生産国:アメリカ
コメント:ミラー(Miller)のウエスタンシャツ。サイズM。肩に刺繍入り。胸から背中にかけて黄色いラインが入っているのが特徴。




Western Shirt_5

名称:カルメンドレスウエスタンシャツ
原価:約3000円
素材:コットン、レーヨン
生産国:不明
コメント:カルマン(KARMAN)のウエスタンシャツ。サイズM。肩に刺繍入り。素材がコットンとレーヨンの混合で刺繍も上質なのが特徴。タグが付いていないため生産国は不明。




Western Shirt_6

名称:ロックマウントウエスタンシャツ
原価:約3000円
素材:コットン
生産国:アメリカ
コメント:ロックマウント(Rockmount)のウエスタンシャツ。サイズM。肩に刺繍入り。内側にポケット付き。胸から背中にかけてグレーのラインが入っているのが特徴。


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