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Lordian Guard




Lordian Guard


神の聖座と王政とにむかいし
不虔の軍、驕傲の戦を天に
むなしく挙げた。
至強者かれを
焔しつつ倒に清火天より
おそるべき墜落、燃焼をくはえて
底なき滅亡に投げおろした、そこにて
金剛の鎖、劫苦の火に住むべく、
かの全能者を戦にいどみしものを。

──ミルトン──


Epic Metal History:



 ローディアン・ガードは後にクリスチャン・エピック・メタル(Christian Epic Metal)というヘヴィメタルのサブ・ジャンルを開拓する──アメリカのロサンゼルスで誕生し、ヘヴィメタルに追い風が吹いた80年代、一部の地域でカルト的な人気を誇った伝説のエピック・メタル・バンド、ウォーロード(WARLORD)。創設メンバーのギタリストの名は"デストロイヤー"、本名をウィリアム・チャミス(William j.Tsamis)という。ウィリアム・チャミスはウォーロード時代、同じく創設メンバーであるマーク・ゾンダー(Mark S Zonde)と共に過激な偽名を使い、一度もライブを行わないという異例のスタイルで極めて神秘的なバンド・イメージを確立することに成功した。しかし、1986年にウォーロードが新しいヴォーカリストを探す苦行の果てに活動を停止したことをきっかけにして、本格的に哲学、神学の学業へと専念するようになる。ヘヴィ・メタル・バンドのギタリストという表舞台での活躍とは裏腹に、ウィリアム・チャミスには大学教授になるという別の目標が存在していたのである。真実では、ウィリアム・チャミスの哲学及び神学に対する関心は、実の父親の突然の死が要因の一つであった。この頃、ウィリアム・チャミスは精神的に病み疲れており、ジャン=ポール・サルトル(*注釈1)のような哲学者と意見が一致していた。西洋の芸術家に死後突然襲い掛かる皮肉であるように、ウォーロードは解散後に人気が爆発した。ウォーロードの解散前と後に発表されたコンピレーション『Thy Kingdom Come』(1986)、『Best of Warlord』(1989)は、ウォーロードに対するファンのリスペクトを表し、また当時を経験していないファンに捧げられている。ウォーロード、即ちウィリアム・チャミスは、ヘヴィ・メタル・シーンに帰ってくるのかどうか疑問であった。死んだ恋人を待つように、長い歳月が流れた。一度、ウォーロードの古いファンはウィリアム・チャミスがヘヴィメタルのシーンに復帰しないのではないかと危ぶんだが、1995年、ウィリアム・チャミスは新しいバンドと共に帰還を果たすことになる。ローディアン・ガード──キリスト教に関する神学を本格的に学び終えたウィリアム・チャミスが、芸術的な創作活動に没頭するためのバンドであった。長い探求の末、ウィリアム・チャミスは聖人パウロ(*注釈2)の言葉に辿り着いた。伝説では聖人パウロは、ローマ帝国の監獄で死刑を待つ間にこれらの言葉を書いたのだという。常しえの暗闇の中に一筋の光を見出す奇跡のように、フィリピ書4章11節(*注釈3)に精神の平和を見出したのだ。爾来、ウィリアム・チャミスは敬虔なクリスチャンとしてローディアン・ガードのエピック・メタルを創造していくことになる。最初のうち、ウィリアム・チャミスは自らがバンドのヴォーカルを務めたが、後に専任ヴォーカリストとして妻ヴィダン・セイヤー・リメンシュナイダー(Vidonne Sayre Riemenschneider)を迎えることでサウンドが完成した。ローディアン・ガードのサウンドは、天使の羽のように艶やかなものであった。ジョン・ミルトンの『失楽園(Paradise Lost)』、ホメロスの『イーリアス(Ilias)』及び『オデュッセイア(Odyssea)』にインスパイアを受けた果てしなく深遠なエピック・ヘヴィメタルを構築した第一作『Lordian Guard』は、地下より響く天上の調を優美に、神々しくも奏でている。アルバム・カヴァーには匿名の画家が描いた古カトリック主義に傾倒した絵画(*画像上)が用いられており、これらはミカエル(別名:マイケル、ミシェル)の軍勢と神の王座を表している。バンド名の由来は絵画に集約された。即ちローディアン・ガードとは、ミルトンの『失楽園』において、ミカエルの天使たちの軍勢を表した崇高な言葉であるのだ。ローディアン・ガードの世界では、叙事詩的なヘヴィメタルを作るためにクロウリー(*注釈4)やラブクラフトを引用することはない。ローディアン・ガードの音楽的本質は中世/ルネッサンスにあり、題材とする普遍的なテーマはキリスト教における天国の叙事詩である──やがて真のカルト・エピック・メタルのファンは目にすることであろう。神々しい至福の調の中において、天使たちが幼子のようにあられもなく戯れる荘厳の様を。やがて真のカルト・エピック・メタルのファンは味わうことであろう。堕落した悲劇の『失楽園』の中において、アダムとイヴが食べた禁断の果実の禁忌の味を。


──翻訳:『METAL EPIC』誌



*注釈1:Jean-Paul Charles Aymard Sartre(1905 - 1980)。フランスの哲学者、小説家、劇作家、評論家。実存主義(無神論的実存主義)の思想で有名。代表作は『存在と無』、『嘔吐』等。
*注釈2:St. Paul(? - 65)。古代ローマ・ユダヤ人の理論家。新約聖書の著者の一人。
*注釈3: I am not saying this because I am in need, for I have learned to be content whatever the circumstances. 訳:われ窮乏ともしきによりて之これを言いふにあらず、(わたしは乏しいから、こう言うのではない。わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ)
*注釈4:Aleister Crowley(1875 - 1947)。秘密結社、《黄金の夜明け》団の神秘主義者。トート・タロットの制作者、オジー・オズボーンの"Mr. Crowley"のモチーフとしても知られる。

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Quest for Tanelorn.


tanelorn


今日、そなたらが守ったのはひとつの都市ではない。ひとつの理想だ。それがタネローンだ。

 ──隠者ラムサー



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Defender of the Crown



Country: United States
Type: Full-length
Release: 2004
Reviews: 88%
Genre: Epic Metal


カリフォルニア州サンフランシスコ出身、エピック・メタル古参、ブローカス・ヘルムの2004年発表の3rd。


一度解散したブローカス・ヘルムの自主制作による復活第3作目。音楽性は過去のメディーバル・エピック・メタルを踏襲。本作は、世界各地のエピック・メタルのファンたちから絶賛され、未だブローカス・ヘルムの作品が求められていることをシーンに提示した。



1. Cry of the Banshee
2. Defender of the Crown
3. Skullfucker
4. Drink and Drive
5. Blood Machine
6. Preludious
7. Ghost Story
8. Helm's Deep
9. Juggernaut
10. Time of the Dark
11. War Toons
12. Never Kissed Goodbye
13. Persian Gulf
14. Children of the Nova Dawn


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Black Death



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 88%
Genre: Epic Metal


カリフォルニア州サンフランシスコ出身のエピック・メタル古参、ブローカス・ヘルムの1988年発表の2nd。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

「タイトル・トラック"Black Death"で中世時代の暗い背景を描く傍ら、"Prepare For Battle"のような楽曲で中世の燦然たる輝かしい場面を取り扱っている」
ブローカス・ヘルムの第2作『Black Death』は、中世時代に傾向し、ヨーロッパ圏内では広く信じられている二面性の概念を宿した作品である。中世──諸王に仕える勇敢な騎士たちが馬上の決闘などで華々しく命を散らし、勝者は高貴な乙女の愛を勝ち取った時代。ペストの大流行や思想・宗教の弾圧、領土を巡る骨肉の争いに人々が苦しんだ時代だ。そして、その善意と悪意の両方をエピック・メタルとして昇華した『Black Death』こそが、80年代のアンダーグラウンド・シーンを代表する真の傑作であるという。
楽曲は何れも粒ぞろいだが、本編の収録時間はおよそ30分にも満たない。この手法はスレイヤーの名作『Reign in Blood』(1986)を彷彿とさせる。『Black Death』ではエピック・メタルの限界に達した猛烈なスピードがファンタジックな中世のメロディを呑み込んで、渾然一体の叙事詩として聴き手の脳裏を刺し貫く構成。見事に勇壮なその様は、恰も馬上槍試合を行う騎士の凄まじさ、気迫に通じる。ブローカス・ヘルムが本作で完成させたのは紛れもなく中世とエピック・メタルの融合であり、その説得力は前作を軽く凌駕するもの。要所に臨場感を演出する繊細なSEに加え、幻想的なキーボードを導入したことが、大仰なドラマ性の向上へと繋がったのだ。NWOBHM影響下の伝統的なヘヴィメタルを基盤とし、そこにスピーディなリフと中世を強調したメロディを導入した特異なスタイル、これが本作で完成されたブローカス・ヘルム独自のサウンドとなる。
後にドイツのブラインド・ガーディアンの登場によってブローカス・ヘルムの残した功績が曇るのは残念だが、我々は可能な限り、サンフランシスコ・カリフォルニア発祥のかつて地下を席巻したエピック・メタル、ブローカス・ヘルムとその作品たちを覚えていよう。かくして誕生したブローカス・ヘルムの『Black Death』が後続に与えた影響は計り知れなく、現在でも本作が再発掘されることは少なくない。自由な選択が可能である我々が本作のような過去の遺産を積極的に探すのであれば、それは14世紀~16世紀のルネッサンスと類似した発想だ。最もエピック・メタルの場合、まだまだ文芸復興の規模は個人の域に押しとどめられているのが現状。我々はこの小さなコミュニティをどう拡大していくかが今後の課題である。

*追記:本作は2005年に再発。その際、1989年のデモ『Helm's Deep』から5曲、"Prepare For Battle"のライヴ映像を追加収録。



1. Black Death
主に14世紀のヨーロッパで大流行した「黒死病(ペスト)」について歌ったタイトル・トラック。なお"Black Death"とはペストの俗称(死者の皮膚が黒く見えたため)。ダークなイントロダクションから疾走を開始。オリジナル盤において、このイントロダクションは"Black Death Overture"と名付けられていた。静から動への分かり易い展開を持つ。
2. Prepare For Battle
強力なメロディを宿した傑作。疾走するリフにファンタジックなコーラスを絡め、勇ましいメロディを放つ。早くも中世的なヒロイズムが強調。後半のリード・ギターは素晴らしい。
3. The Chemist
幻想的なキーボードの音色がエピカルな雰囲気を醸し出す楽曲。まるでアルバム・ジャケットに描かれた中世騎士道物語の世界のよう。
4. Hell's Whip
ヒロイックなイメージを強調したエピック・メタル。童謡的なイントロに始まり、大仰な歌唱で盛大に盛り上げる。中間部からはドラマティックに疾走を開始。
5. Satan's Prophets
不穏なイントロ、馬の嘶き等のSEを加えた冒頭が知的好奇心を刺激する。依然として疾走感に溢れたエピック・パワー・メタルを披露。
6. Fly High
本作最大のハイライト。哀愁のメロディが縦横無尽に駆け廻る傑作。エピック・メタル以前に、本曲がメロディック・スピード・メタルの分野にも影響を与えていることは確実であろう。
7. Prophets Scream
スピード感に溢れたスリリングな内容。およそ2分と短い楽曲ながら徹底的に高揚感を煽る。
8. Fall Of The Curtain
ミスティクな世界観を描くエピック・メタル。シリアスな内容、エピカルなメロディが効果的に用いられる。起伏に富んだ展開も有し、ドラマ性を高めている。

9. Drink And Drive (bonus track)
10. Crazy (bonus track)
11. Blood Machine (bonus track)
12. Juggernaut (bonus track)
13. Helm's Deep (bonus track)
14. Prepare For Battle (bonus video)


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Into Battle



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1984
Reviews: 84%
Genre: Epic Metal


カリフォルニア州サンフランシスコ出身のアンダーグラウンド・エピック・メタル、ブローカス・ヘルムの1984年発表の1st。


「メディーバル(中世)・エピック・メタル誕生史」
 ──『METAL EPIC』誌



プロローグ...
80年代を代表するアメリカのアンダーグランド・シーンにて活躍したエピック・メタル・バンドの名を挙げるのであれば、まず真っ先にカンザスのマニラ・ロードの名が思い浮かぶはずであろう。そして、次点はキリス・ウンゴルであり、その後続として一部でカルト的な人気を博していたのがサンフランシスコ、カリフォルニア出身のブローカス・ヘルムである。マニラ・ロードがヘヴィメタルのサブ・ジャンル、エピック・メタルを完成させたことは恐らく有名だが、実はブローカス・ヘルムも一つ興味深い功績を残している...

『Into Battle』について...
よく議論されているように、エピック・メタルの世界には共通のテーマとなる部分がある。例えば中世やファンタジィ、文学、神話などが示す世界観だ。長い間に渡り、エピック・メタルの世界ではこれらのテーマが作品別によって追求されてきた。そして冷淡な夜風の如く、他のエピック・メタル・バンド同様、ヘヴィメタルが培ってきたこれらの伝統的な世界観に傾向を示し、80年代のNWOBHM影響下の疾走感に満ちたサウンドで颯爽と登場したブローカス・ヘルムが、記念すべき第一作『Into Battle』で後のエピック・メタル史に貢献を果たす内容を完成させたのである。『Into Battle』という単純明快なアルバム・タイトル、騎士を描いたジャケット、バンドの標榜するヒロイックなイメージ。全体的に疾走感に満ち溢れ過ぎてはいるが、随所にエピカルな要素を散りばめたこの『Into Battle』は、その決め手として「中世騎士道物語」に代表される中世の世界観を主な作品のイメージとして掲げていた。既にこの頃、マニラ・ロードは名作『Crystal Logic』(1983)を発表し、キリス・ウンゴルは『King of the Dead』(1984)で自身のファンタジックなイメージを完成へと導いていた。しかし、本来であれば作品を何作も重ねて掴むはずのバンドのイメージを、ブローカス・ヘルムは早くも第一作目から固めていたのだ。まだ『Into Battle』では器用さや緻密さで拙い面が残るが、当時のブローカス・ヘルムのスタイルが強烈であったことは確かだ。現在ではヘヴィメタルに中世の要素を導入したエピック・メタルなどは珍しくもないが、この分野の先駆けであるディオ(DIO)を始め、当時のブローカス・ヘルムが掴んだイメージは非常に大きいものであった。その大胆な挑戦の成功例として、"Into Battle"、"Dark Rider"、"Into the Ithilstone"などの名曲たちが本作の中で輝いている。その輝きは鈍く曇ってはいるものの、我々が埃を掃えば直にでも、再び輝くはずだ。

*追記:本作は2005年に再発。その際、1983年のデモから5曲、ビデオ・ライヴ・トラックが1曲追加収録。



1. Metallic Fury
その名の如く、メタリックなリフで大胆に切り込む強烈な名曲。要所でヒロイックな緊張感を生み出し、更にメロディアスなギター・フレーズが聴き手を魅了する。
2. Into Battle
勇壮なメロディで疾走する楽曲。王と騎士、愛、そして馬上の戦いが始まる。歌詞の内容から察するに、既にヒロイック/エピックな音楽性を標榜していることが明白。
3. Here to Rock
荒々しい疾走曲。NWOBHM影響下の極めて攻撃的な内容が印象に残る。
4. Beneath a Haunted Moon
アイアン・メイデンを彷彿とさせる楽曲の進行が面白い。リード・ギターのメロディックなフレーズは耳を惹く。
5. Warriors of the Dark
勇壮な雰囲気を放つアップ・テンポ。ヘヴィメタルというよりかハードロック的な軽快なノリを感じさせる。
6. Preludious
インストゥルメンタル。
7. Ravenwreck
ドラマ性に満ちたスリリングなリード・ギターが印象的。"Warriors of the Dark"などの楽曲とは一変、ダークかつエピカルな雰囲気を醸し出す。
8. Dark Rider
高速のメロディが疾走する楽曲。鋭角なリフが聴き手を襲う。全体的にコンパクトにまとめられているが、後半からドラマティックに展開するソロ・パートがエピカルな雰囲気を発散する。
9. Night Siege
ヒロイックなムードを宿す疾走曲。メタリックなリフも強力。アルバム・ジャケットのイメージに相応の勇敢なサウンド。
10. Into the Ithilstone
ロマンティックなメロディで中世の騎士のイメージを描く。ブローカス・ヘルムはそのビジョンをヘヴィメタルに融合させようとしていた。内容は拙いが、本曲の残した功績は大きいと考えられる。


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  9月20日、本日付けでEPIC METAL(エピック・メタル)を更新。閲覧は上のメニューバー、または下記の直接リンクを参照にして頂きたい。

・『EPIC METAL(エピック・メタル)


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The Band

from 2017.04.22...

──エピック・メタル・バンドの全リスト。アルファベット順。



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EKZISTENCIA_1st

Country: Ukraine
Type: Full-length
Release: 2007
Reviews: 87%
Genre: Epic Power Metal


ウクライナ出身のエピック・パワー・メタル、エクジステンシアの2007年発表の1st。


ロシア語で歌うウクライナのエクジステンシアは2007年にデビューを果たし、第一作『The Storm Master』を発表。男女ツイン・ヴォーカルを用いたエピカルでシンフォニックな民族的ヘヴィメタルが聴ける本作は、既に成功を収めたスペインのサウロムなどと並び、今後はエピック・メタル・シーンで高く評価されていく...

*  *  *

 大人になるとファンタジーを忘れてしまうが、それは誰にでも当てはまる。考え方が現実的になり、社会における金の力を思い知ると、子供の頃に抱いていた淡いファンタジーへの夢が潰える。誰しもがその経験を通過して大人になっていくわけであり、ずっと子供でいることなど不可能だ。しかし"夢"から取り残された我々は、何を信じればいいのか?それとも我々は、他人を信じないことを教訓として学ぶのであろうか。
 まだ文明世界の開拓が及んでいない自然のある辺境には、大人たちが失ったはずのファンタジーが生きていると信じられている。そこでは深い濃緑色の森を抜けると雄大な景観が現れ、遠くには山々が連なり、我々は切り立った崖からそれらを見渡している。まるで未知の世界に辿り着いたような感覚を冒険者は抱くが、次第にこの感情が酷く馴染み深いものであることに気が付く。
「これは私が子供の頃に見ていた夢ではないか」
 あなたはきっとそう思うであろう。きっと我々が知らない辺境には、古いファンタジーの物語の類が未だ生き長らえているのだ。やがてその澄んだ空気を吸った我々は精神が解放され、束の間の自由に歓喜を覚える。ここにはありのままで残された生命や自然で満ち溢れており、我々の目は潤んで輝き、夜空に輝く星々のような微光を帯びる。我々はこの神聖な、しかし故郷のような場所を惜しんだ。なぜなら、何れは現実に帰る時が訪れるからだ。異国の地で手にした「思い出」は、生涯我々の中で純白の善意を主張し続けてくれる。そして再びこの幻想的な地に帰りたくなった時、『The Storm Master』はとても良い働きをしてくれるはずだ。

2012年、2月号、『METAL EPIC誌:ウクライナのファンタジィ』より



1. Shadow Voices
恰もファンタジックRPGのような壮大なイントロダクション。
2. Mystery of the Underground Castles
幻想世界へのトリップを誘う内容。ファンタジックかつ民族的な旋律が聴き手の想像力を強烈に刺激。ヒロイックなムードを漂わせる疾走パートも含む。
3. Wizards Retribution
ファンタジー・メタル史に残る名曲。美しさを極めた旋律、幻想的なファンタジー観、雄大な景観が思い浮かぶ起伏に富んだ展開、感性豊かな表現力、すべてが至宝の域。
4. Freedoms Call
牧歌的なフルートの音色が聴者の心を捉える。メロディアスに絡み合うギターとキーボードの旋律に加え、エピカルなコーラスが素晴らしい演出をする。
5. The Rainbow Queen
幻想的なバラード。叙情的なコーラスがムードを徐々に高めていく。
6. Necropolis
映画のようなイントロダクションから一変して勇敢に疾走を開始。ヒロイックなムードに満ちたサビは特筆に値する。
7. The Storm Master
タイトル・トラック。ファンタジックな世界観を極めた名曲。勇壮なリード・ギターの印象的なメロディに加え、劇的な構成が宝石のように光る。女性ヴォーカルの歌声は幻想的で美しい。
8. The Land of Dead Warriors
優美なエピック・バラード。異国的な雰囲気を伴い、笛の音色を絡めた劇的なサビを聴かせる。ファンタジーの世界を表現したバラードとしては出色の出来。
9. The Heir of the Black Throne
ファンタジックな雰囲気を全面的に押し出した疾走曲。母国語の素朴な響き、民族的な旋律が幻想の領土の中で勇壮に舞う。
10. The Last Battle
イタリアのドミネにも通じるエピック/ヒロイックな世界観を披露する楽曲。鋭くもメタリックなギターを基盤とし、途中に語り、SEを導入。エピローグまで徹底してヒロイック・ファンタジーの世界を描く。


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Heroic Death.


Unsung Heroes -Limited CD + DVD-

 フィンランドの英雄、"ヒロイック・ヴァイキング"エンシフェルムの発表する新作『Unsung Heroes』が、今再び我々の元へと届けられた。同国の「Spinefarm Records」より発表された本作は、前作『From Afar』(2009)からおよそ3年振りの新作である。以前、『From Afar』が国内盤の発売を見送られた──同じように、第一作『Esiferum』(2001)も国内発売されていない──ことに対して本国のファンは激怒したが、今作に限ってその心配はない。名作『Victory Songs』(2007)のように、本国で『Unsung Heroes』を手に入れることは容易だ。
 かつて「ヴァイキング・メタル版ロード・オブ・ザ・リング」とも形容されたエンシフェルムのエピック/ヒロイックなサウンドが、再び異国の地で炸裂する。それは英雄的な高揚感を高め、同時にアルバム・ジャケットに描かれている幻想的な光景へと聴き手を誘ってくれる。大仰な混声合唱やフォーキーな美旋律をヒロイックにアレンジした渾身の楽曲群が、未知なる戦いの原野であなたたちを待っている。そして、未知なる地の勇猛果敢な民族戦士たちの隊列に加わるかどうかは、個人の趣味と判断とに委ねられている。なお収録曲は以下の通り。

*追記:本作発表後、『Unsung Heroes』は母国フィンランドのチャートで3位を記録。

1. Symbols
2. In My Sword I Trust
3. Unsung Heroes
4. Burning Leaves
5. Celestial Bond
6. Retribution Shall Be Mine
7. Star Queen (Celestial Bond Part II)
8. Pohjola
9. Last Breath
10. Passion, Proof, Power


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 9月16日、本日付けでレビュー欄を更新。閲覧は上のメニューバー、または下記の直接リンクを参照にして頂きたい。

・『The Reviews


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Sir Percival Immortal Knights.


ビトゥイーン・デウイライト・アンド・ペイン

 イタリアのシチリア島で結成されたシンフォニック・エピック・メタル、ホーリーナイツの10年来の新作『Between Daylight And Pain』が発表された。第一作目『Gate Through The Past』(2002)は一部のマニアを中心に絶賛され、主に「中世騎士道物語」を題材としたヒロイックなエピック・メタルが高い評価を得た。ホーリーナイツはこの一作のみで業界から去ってしまったため、長年多くのファンを悲しませる要因であった。
 『Gate Through The Past』に表現された田舎臭いサウンドは、本作『Between Daylight And Pain』では通用しない。同国のザイ・マジェスティ、スペインのダーク・ムーアとも比較できる高水準なシンフォニック・メタルが、本作の最大の売りだ。マニアにとってはホーリーナイツの辺境的雰囲気が消滅してしまったことは何とも残念だが、ここまで完成度の高い作品を作り上げたことに思わず腰を抜かすであろう。本作の大仰かつ劇的なエピック・メタル・サウンドは、更に多くのファン層を獲得することは必死である。
 ──ここに軌跡の復活を遂げたホーリーナイツ。勇敢なる名馬を駆り、青光りする名剣を掲げ、再び世界という戦場へと跳躍する。マニアならずとも是非御視聴あれ。なお収録曲は以下の通り。

1. Mistery
2. Frozen Paradise
3. Beyond the Mist
4. 11 September
5. Glass Room
6. Wasted Time
7. Awake
8. The Turning to the Madness
9. Resolution - Romantic Mode


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The new Martiria's CD Come!


Martiria_NweCD

 イタリアのエピック・メタルの雄、マーティリアの新しいCD『ROMA S.P.Q.R』が2012年9月22日に発表される。アルバム・ジャケットと公式サイトに届いた音源を視聴する限り、新作はローマ時代に傾倒した作品になるようだ。本作がシングルかアルバムかは未だ不明であるが、今後随時公式で発表していくという。マーティリアの公式サイトに関しては下記URLを参照にされたし。

http://www.martiria.com/


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  9月13日、本日付けでコラム欄を更新。閲覧は上のメニューバー、または下記の直接リンクを参照にして頂きたい。

・『The Columns


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 『METAL EPIC』のレビューの中からウォーロードの1st~2ndまでを加筆。詳細は以下の通り。

▶『Deliver Us』(1983)
▶『...And the Cannons of Destruction』(1984)
▶『Best of Warlord』(1993)
▶『Rising Out of the Ashes』(2002)


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Free the Beast

SLAUTER XSTROYES the 2nd album in 1998 Release
★★★★★★★★☆☆...(名作)

アメリカ、シカゴ出身のエピック/プログレッシブ・パワー・メタル、スローター・エクストロイスの1998年発表の2nd。


ヘヴィメタルの長い歴史において、未発表の名作が好奇な目で凝視されることは、それらの作品にとって幸運な出来事である。我々が想像する以上にヘヴィメタルの世界は広いので、世に出ていない名作もまた多い。当然の如く、それらをすべて探すことなどは不可能な作業である。故に我々は作業をより効率良くするために、探す分野を絞る必要があった。歴史の中で細分化してきたヘヴィメタルの様々なジャンル区分は、物事を分かりやすくするためには必要な手順であった。

未発掘のカルト・メタル──即ちとんでもなく危険で異臭のするヘヴィメタルは、長年地下世界のマニアたちによって発掘されてきた。カルト的なヘヴィメタルはその不気味な音楽性故に地上から遠ざけられてきたが、好んでこれを探す者たちもいたのである。彼らはメディアを殆ど使用しない独自の情報網でカルト的な作品を収集し、また限られた仲間たちの間でそれらの作品を取引した。彼らによって再発見された名作の数は計り知れず、今、我々の自室に保管されている大切な作品も、そうであるかも知れないのだ。

恐らく歴史から消滅しかけたアメリカ、シカゴ出身のスローター・エクストロイスの幻の第2作『Free the Beast』は、1998年にデモ音源追加という形式で発表された逸品である。過去、本作は1987年に半分完成し、未完成のまま放置された。しかしその後アメリカの「Monster Records」によって再発見され、今回の発売へと至ったのである。

カルト的なエピック・メタル、またはプログレッシブ・メタルの不滅の名作である『Winter Kill』(1985)を経ての奇跡の発売を果たしたスローター・エクストロイスの本作は、その手のマニアが待ち望んでいた作品であり、内容もそれに相応しいものとなっている。前作に心底感銘を受けた体験を持つファンは、今作でもその期待が見当違いではないことを知るであろう。

前作よりも遥かに完成度・説得力を増した楽曲群がテクニカルに襲いかかってくる様は、スローター・エクストロイスというバンドの着実な進歩を証明している。本作が正式に発表された時代もあるが、過去のチープさを払拭した緻密なサウンドは、時にエピカルに、またプログレッシブに聴き手の弦線を刺激する。この手のサウンドは明確にマーシフル・フェイト(MERCYFUL FATE)と類似したものであり、強烈な印象を残すジョン・スチュワート(John Stewart:vo)のヴォーカル、及び作品全体を夜霧のように覆うカルト的な雰囲気がその事実を物語っている。

我々は本作『Free the Beast』が"未完成"であるという事実を考慮しなければならない。しかし未完成であるにも関わらず、既に名作『Winter Kill』を凌駕したサウンドが、ここにはある。これは驚くべき事実であり、ヘヴィメタル史の異なる可能性を示している。複雑かつテクニカルな激流の如きサウンドの中に印象的なメロディを配すスローター・エクストロイスの器用な妙技が世に出る時期が多少早ければ、現在のヘヴィメタル史はまた違った筆跡を描いていたのだ。




1. Free the Beast
2. Blood in the Streets
プログレッシブ・メタルの代名詞とでも形容すべき内容。複雑で高度なテクニックが全体を駆け廻るサウンドは、聴き手を選ぶことであろう。スピード感に満ちたスリリングな展開は必聴。
3. Wicked Bitch
およそ7分に及ぶ大作。メロディアスかつ知的なサウンド、シリアスな世界観が貫かれる。当然の如く、一辺倒では説明できない複雑な展開を有する。
4. NSZ 190
プログレッシブなイントロからは知性をも感じさせる。 後半にかけてのドラマティックな展開には目を瞠るものがある。非常に完成度の高い一曲。
5. Syncopated Angel
強靭なリフを持つ楽曲。メタリックなそのリフには思わず「格好いい」という言葉が漏れる。中間部からはプログレッシブな疾走を開始。
6. Farther Than Yesterday
混沌とした内容を披露。随所にメロディックなフレーズを散りばめる。恐らくキリス・ウンゴルに通じるサウンドだが、こちらの方が計算されている感がある。
7. Metal's No Sin
およそ9分に及ぶ大作。 不気味な雰囲気を宿し、悪魔の如き咆哮が周囲に木霊する。複雑な展開は聴き手を全く飽きさせることがない。
8. Battle Axe
およそ2分の小曲。繋ぎとしては良い。
9. Dignified Disaster
エピカルなイントロダクションから疾走。整合性のあるサウンドと奇怪なヴォーカルとの対比が凄まじい。 また全体が凄絶なテクニックの応酬でもある。
10. Burning Rock
スラッシーなリフを用いた疾走曲。縦横無尽に暴れ狂い、高度なテクニックを披露する。
11. E Pluribus Unum
超絶技巧によるスピーディなサウンドが聴き手を圧倒する。内容は依然凄まじい。
12. Mass Confusion
スローター・エクストロイスのポテンシャルの高さを表現するテクニカルなインストゥルメンタル。アイアン・メイデンを彷彿とさせるメロディの使用が耳を惹きつける。



Review by Cosman Bradley
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