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フォーゴトゥン・テイルズ


Country: Germany
Type: Compilation
Release: 1996
Reviews: 80%
Genre: Epic Power Metal


ブラインド・ガーディアンの1996年発表の企画盤。

本作『The Forgotten Tales』はそのアルバム・タイトルが示す通り、ブラインド・ガーディアンの忘れられたルーツを網羅した作品である。ブラインド・ガーディアンの音楽的ルーツがメロディック・パワーメタルのみに属していないことは、既に『Somewhere Far Beyond』(1992)から顕著となった。本作にはこれまでの作品には収録されなかった過去の楽曲のアコースティック・ヴァージョンやカヴァー曲が収録されており、どれもブラインド・ガーディアンらしい魅力を十分に備えている。ブラインド・ガーディアンの熱心なファンであるならば本作が持つ重要性はよく分かるであろう──なぜなら、本作には中世音楽のトラディショナルな要素があるからだ。
企画盤であるこの『The Forgotten Tales』にヘヴィメタルの要素は殆ど登場しない。しかしアンドレアス・マーシャルの幻想的なカヴァー・アートワークに惹かれた者であるならば、本作に宿った遠い昔の音楽に酔いしれることが出来るであろう。"亡者の守護神"は意味深な素振りで我々をファンタジー文学の世界へと手招きしている。現実での葛藤から簡単に脱却する方法がここにはあるが、我々は帰ることを忘れてはならない。
なお本作は2007年の再発の際に新たにボーナストラック3曲が追加収録された。楽曲はそれぞれディープ・パープルのカヴァー#14"Hallelujah"、ジューダス・プリーストのカヴァー#15"Beyond the Realms of Death"、ディオのカヴァー#16"Don't Talk to Strangers"である。



1. Mr. Sandman
1995年のシングルに収録された楽曲であり、ザ・コーデッツのカヴァー。
2. Surfin' USA
世界的にも有名なザ・ビーチ・ボーイズのカヴァー。
3. Bright Eyes
第5作『Imaginations From The Other Side』収録曲のアコースティック・ヴァージョン。アレンジには中世音楽の影響が顕著に表れている。ブラインド・ガーディアンのアコースティック楽器の使い方は非常に上手い。
4. Lord Of The Rings
第3作『Tales from The Twilight World』収録の名曲のリメイク。ハンズィ・キアシュは始め、思うように本曲を再現できていなかったと語っている。しかしこの完成品を聴けば、誰もがあの『指輪物語』の世界にトリップすることであろう。
5. The Wizard
魔術師について歌ったユーライア・ヒープのカヴァー。『Imaginations From The Other Side』の日本盤ボーナストラックとしても収録されている。
6. Spread Your Wings
クイーンのカヴァー。オペラティックなロックで世界中に影響を与えたクイーンは、当然の如くブラインド・ガーディアンにとっても重要なバンドだ。
7. Moudred's Song
第5作『Imaginations From The Other Side』収録曲のアコースティック・ヴァージョン。「アーサー王物語」のモードレッドについて歌った名曲であり、アコースティック・アレンジで中世の英雄音楽として生まれ変わった。弦楽器の生み出す高潔なドラマ性には驚くものがある。
8. Black Chamber
第4作『Somewhere Far Beyond』収録の小曲のリメイク。ピアノによるドラマティックな内容である。
9. The Bard's Song
第4作『Somewhere Far Beyond』収録の名曲のライヴ・ヴァージョン。本曲ではブラインド・ガーディアンとファンとの間で行われる合唱による駆け引きが楽しめる。
10. Barbara Ann/Long Tall Sally
第2作『Follow the Blind』収録のカヴァー曲。
11. A Past And Future Secret
第5作『Imaginations From The Other Side』収録曲のバラード。アーサー王の物語を魔術師マーリンが語るこの楽曲は、ブラインド・ガーディアンが生み出した最高のバラードの一つに数えられる。
12. To France
マイク・オールドフィールドのカヴァー。中世時代の民謡の雰囲気が漂う、郷愁に満ちたナンバーである。
13. Theater Of Pain
第4作『Somewhere Far Beyond』収録の楽曲のインストゥルメンタル・ヴァージョン。本作に幕を下ろすファンタジックなエピローグだ。終盤までのドラマティックな展開は企画盤としてのクオリティではない。


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カルト・エピック・メタル(Cult Epic Metal)

一部の熱狂的なファンによって支持されるエピックメタルの総称。

ヘヴィメタルの分野でも特にファン層が少なく、一部に熱狂的な信奉者を有することから、次第にエピックメタルに用いられるようになっていった言葉。

エピックメタルでの使用頻度:
80年代半ばに誕生した言葉であり、主にアメリカの地下を拠点とするマニラ・ロードやキリス・ウンゴルの発表した作品が相次いで一部で熱烈な支持を獲得したことから、俗に言うカルト・エピックメタルという言葉が広まった。カルト・エピックメタルの持つ一般的な意味は「中毒性のあるエピックメタル」であり、一部のファン層が繰り返しこれらのバンドの作品を聴いたり、支持したりする姿勢からこう名付けられたとされる。またアンダーグランドのエピックメタル作品が極めて宗教的な信仰心を煽るサウンドを有していたことからも、この言葉が用いられるようになった原因とされる。現在でも、マニアからの支持率が高いエピックメタル作品には、頻繁にこの言葉が用いられる。

参考作品:
MANILLA ROAD、CIRITH UNGOL、MANOWAR、WARLORD


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カルト(Cult)

主に宗教的な崇拝、礼拝を意味する言葉。

古くはラテン語のCultusから派生した言葉である。様々な意味を持ち、「新興宗教」や「熱狂的な支持」を表す際にも用いられる。

エピックメタルでの使用頻度:
これまでにアンダーグランドのヘヴィメタル作品には"カルト"という言葉が頻繁に用いられてきた。主にあまり世間に出回らず、一部の熱狂的なファンによってのみ支持され、また崇拝されるバンドや作品を指して我々はしばしば「カルト的」と表現する。これらはある一つの作品やバンドが、恰も教祖のように熱烈な支持を受けることに由来している。当然の如く、カルト・エピックメタルも例外ではない。

参考作品:
MANILLA ROAD、CIRITH UNGOL、MANOWAR


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Column the Column

volume 14. 23 August: 2011



 『METAL EPIC』誌では度々ヘヴィメタルとファンタジー作品との関連性について議論してきた。この難題に対しては、我々ですら答えを出すことが大変難しく、更なる研究と資料の作成を急がなければならない。過去にデイヴィッド・オルソーはこれらの微妙な部分に関して、いくつか興味深いことを述べている。


──ヘヴィメタルとファンタジーの関連性はあるのか。
デイヴィッド:一部のヘヴィメタル作品の題材に、コンセプトとしてファンタジーの要素が導入されている。
──例えば?
デイヴィッド:主な例としてはイタリアのラプソディー・オブ・ファイア、ドイツのブラインド・ガーディアン、同国のハロウィンの作品などがそれに該当する。
──彼らは何故作品にファンタジーを導入するのか。
デイヴィッド:一つは明確な世界観を構築するため、もう一つはより高度なドラマ性への追求から、ヘヴィメタルにファンタジーが導入されるようになったと考えられる。現在では後者の説が有力である。
──ヘヴィメタルへのファンタジーの導入によって、如何にドラマ性が高まるのか。
デイヴィッド:ファンタジーという架空の世界観を設定することによって生じる一貫性が作品全体に統一感を生み、結果トータル・バランスの優れたヘヴィメタル作品が誕生する。また物語を描くことによって生じる起承転結の法則が高度なドラマ性へと繋がる。
──別にファンタジー以外でも題材があるのでは?
デイヴィッド:ファンタジーには劇的な内容を持つ原作が多く見受けられ、より劇的なヘヴィメタルを創造するためには、それに相応しい題材を選択しなくてはならない。
──ファンタジーとは抽象的な言葉だが、具体的にヘヴィメタルが題材としている作品はあるのか。
デイヴィッド:過去にヘヴィメタルで主に題材とされてきたファンタジー作品には、J・R・R・トールキンの『指輪物語』、ダンテの『神曲』、ジョン・ミルトンの『失楽園』、ロバート・E・ハワードの『コナン』などがある。他にも中世騎士道物語から『アーサー王物語』など多くの題材が扱われている。また広義の神話では、『北欧神話』や『ケルト神話』などのファンタジー色が強いものが題材とされている。
──ポー(*注釈1)やラヴクラフト(*注釈2)は題材とされていないのか。
デイヴィッド:ポーはアイアン・メイデンが第2作『Killers』(1981)で既に題材にしており、ラヴクラフトの作品は初期ブラックサバスの頃から題材とされている。近年ではドイツのガンマ・レイもポーの作品を題材とした楽曲を作り、同じくグレイブ・ディガーも『The Grave Digger』(2001)で主なコンセプトとしている。ラブクラフトはレイジが「Soundchaser」(2003) でトータル・コンセプトとし、他にはスペインのダークムーア、イギリスのバルサゴス、またデスメタルのヴェイダーやナイルなどにも影響を残している。最も今述べたのは一部に過ぎない。
──あなたはポーやラヴクラフトをファンタジーだと思うか。
デイヴィッド:ラブクラフトは怪奇幻想小説の大家であるし、「夢の国(ドリームランド)」を舞台としたダンセイニ調のファンタジー作品を残している。そのラブクラフトに影響を与えたポーにしろ、幻想文学の要素を持っていたことは否めない。最もこれらは『指輪物語』などの中世風ファンタジーとは大きく解釈が異なる分野に属している。
──その"中世ファンタジー"を題材としているのは主にメロディック・パワーメタルに多いようだが。
デイヴィッド:ドイツのハロウィンを起源とするメロディック・パワーメタルは、一般的に欧州という国土の持つ歴史的背景から、自らに馴染みの深い中世ファンタジーを題材とすることが多いとされている。アメリカのキャメロットなどは例外だが、バンドの生まれた故郷の環境によって、追求する世界は変化する。故にアメリカで発展していったスラッシュメタルは政治や戦争などを題材としており、アメリカ生まれのヘヴィメタルバンドが選択する場合のファンタジーは『コナン』である。
──中には史実を題材としたヘヴィメタルもあると聞くが。
デイヴィッド:イタリアのドゥームソードやザイ・マジェスティがそれに該当しているが、近年ごく一部のエピックメタルの分野では、作品におけるリアリティを追求した動きが活発になってきている。より説得力に満ちたヘヴィメタル作品を追求する場合、空想的なファンタジーは適さないと彼らは考えている。
──確かにヘヴィメタルに対するファンタジーの導入は、一部の強固なヘヴィメタルのファンから非難の対象となるべき題材だ。
デイヴィッド:非難されているのは主にシンフォニック・メタルやメロディック・パワーメタルであり、それらのキーボードを大量に導入したサウンドが非難の対象となっている。結果的に伝統的なヘヴィメタルと新しいヘヴィメタルとの間では、現在も大きな溝が生じている。
──最終的に、ヘヴィメタルとファンタジーの融合は失敗だったと思うか。
デイヴィッド:これまでにファンタジーを題材としたヘヴィメタルの傑作が世に送り出されている以上、一概に失敗とは言い難い。ヘヴィメタルにおけるファンタジーの導入は、ヘヴィメタルの進化の過程において必然的であった。



*注釈1:Edgar Allan Poe(1809 - 1849)。アメリカの詩人、小説家。後の推理・怪奇小説に多大な影響を残す。代表作は『大鴉』、『黒猫』、『アッシャー家の崩壊』、『モルグ街の殺人』等。
*注釈2:Howard Phillips Lovecraft(1890 - 1937)。アメリカの詩人、小説家。「コズミック・ホラー」の分野を開拓した事で有名。代表作は『クトゥルフの呼び声』、『インスマウスの影』、『狂気山脈』等。

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Recommended Epic Album.



 ヘヴィメタルという言葉は多大なジャンルが混合した総称に過ぎない。中でも極めてマニアックな分野に属するエピックメタルを最大限に楽しもうとすれば、あまり世に出回っていない作品に触れることも必要となる。これらのアンダーグラウンド作品はピンからキリまであるが、名作を見つけようものならかなりの痛手を被ることとなる。少なくとも『METAL EPIC』誌が厳選した下記に紹介された5作品はエピックメタルの良作に入る。


エピックメタル神話の遺作。

CIRITH UNGOL 「Paradise Lost」(1991)

Paradise Lost (Reis) (Dig)


──アメリカ、キリス・ウンゴルの第4作。過去マイケル・ムアコックやロバート・E・ハワードの小説等を題材としたファンタジックなエピックメタルを創造してきたキリス・ウンゴルは、後のエピックメタルの方向性を決定付けた偉大なバンドである。1991年に奇跡の再結成を果たした後発表された本作は、キリス・ウンゴルの最終作であり、最も輝かしいカルト・エピックメタルの大傑作に数えられる。奇怪なヴォーカルが特徴的なティム・ベイガーによる最後の三部作"Chaos Rising"、"Fallen Idols"、"Paradise Lost "は、既にエピックメタルの伝説と化している。


エピックメタル最古にして最大の古典。

MANILLA ROAD 「Open the Gates」(1985)

Open the Gates


──1977年結成のエピックメタルの重鎮マニラ・ロードによる4th。一貫した古代・中世への傾倒で世界中に熱狂的な信者を持つアメリカのマニラ・ロードは、既にこの分野における最大の古参である。数あるマニラ・ロードの作品の中でも半永久的に支持される本作は、最も純粋なエピックメタルの正統的サウンドに彩られる不朽の名作として名高い。中世の「アーサー王伝説」をモチーフとした"The Ninth Wave"、浮世離れした"The Fires of Mars"の放つヒロイズムは異常を極めており、エピックメタルの根本的なあり方を我々に問いかける。


その名よ永遠なれ。

DOOMSWORD 「My Name Will Live On」(2007)

My Name Will Live on


──エピックメタル大国イタリア出身のドゥームソードの第4作。暗く重厚な世界観で独自のエピックメタルを創造し続けるドゥームソードは、数少ない正統派エピックメタルの最重要バンドに数えられる。本作は初期のダークなエピックメタルに疾走感を加味させ、崇高な芸術的作品の域にまで到達させた最高傑作である。アイルランド神話にインスパイアされた冒頭の"Death Of Ferdia"、紀元前の「ゲルゴウィアの戦い」をモチーフとした"Gergovia"、終盤の大作二曲"Once Glorious"、"The Great Horn"はエピックメタルの歴史的名曲に該当。


エピック・パワーメタル第一の刺客。

WIZARD 「Goochan」(2007)

Goochan


──"ドイツのマノウォー"との異名を取るドイツのエピック・パワーメタル、ウィザードの第7作。古き良きヘヴィメタルを称賛する一派トゥルー・メタルに属するウィザードは、これまでに激烈な疾走感に溢れる攻撃的なエピックメタル作品を作り続けてきた。本作は、魔女"Goochan"を中心に展開する一大コンセプト・アルバムであり、ウィザード史上最もドラマティックな作品となっている。名曲"Witch Of the Enchanted Forest"、"Pale Rider"、"Call To the Dragon"等を収録。中でも"Pale Rider"のドラマ性は別格。


ヴァイキングメタルが生んだ一大叙事詩。

MOONSORROW 「Kivenkantaja」(2003)

Kivenkantaja


──フィンランドのシンフォニック・ヴァイキング、ムーンソロウの第3作。重厚な民謡旋律とヒロイックな世界観で徹底した作品を提供するムーンソロウの存在は、エピックメタル・シーンでも有名である。最高傑作と称される本作は、恰も映画のようなSE、緻密な構成を有し、迫真の表現力で叙事詩的世界観を披露する作品である。収録曲のすべてが名曲に値する完成度だが、中でも"Jumalten kaupunki"の壮大なスケール感と雄々しさには圧倒される。




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Deluge



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 78%
Genre: Epic Metal



マニラ・ロードの1986年発表の5th。


前作『Open the Gates』(1985)でエピックメタルの歴史的名作を誕生させた始祖マニラ・ロードが次に行った行動は、大作志向の楽曲群をシンプルにまとめることであった。マーク・シェルトン(Mark Shelton:g、vo)、 スコット・パーク(Scott Park:b)、ランディ・フォックス(Randy Foxe:d)の3人によって制作された本作『The Deluge』は、全体の収録時間がおよそ40分に満たず、要所で第3作『Crystal Logic』(1983)を彷彿とさせる内容を持ち、これまでと同様に一貫した暗い世界観が展開される。
我々は先に『Crystal Logic』との類似性を指摘したが、『The Deluge』は初期マニラ・ロードのサウンドとは異なる要素を持っている。前作『Open the Gates』の一部で披露したスラッシュメタルの要素を大幅に導入した意欲的な本作は、極めて攻撃性に特化した斬新なエピックメタルとして、マニラ・ロードの新しい可能性を切り開くとともに、過去に追求してきたヒロイックな世界観に激烈な野蛮性を加味させることに成功した。長尺の楽曲は全3章から構成される叙事詩"The Deluge"とダークかつ異質な"Shadow in Black"のみであり、 その他の楽曲は非常に短くまとめられている。
叙事詩的な世界観も忘れられてはいない。"The Deluge"にてマニラ・ロードは歌詞の題材を太古の世界へと求め、伝説上のアトランティス大陸を滅亡させた大洪水について言及する。興味深いことに、我々はここにイギリスのバルサゴスがテーマとしている神秘的な題材との共通点を見出すことが出来る。なおアルバム・ジャケットに描かれているのは海の神──古くは大地の神であり、地震を引き起こすとされた──ポセイドンであり、マニラ・ロードはこの偉大なる神の怒りによって巨大な大洪水が引き起こされ、悠久の太古の高度な文明が滅ぼされたのだと仮定している。

本作の問題点は、マニラ・ロードの静から動へと展開する大仰な作風が息を潜めていることであり、攻撃的なギターを用いた単調なパートが頻出する箇所である。本来エピックメタルとは静寂からの劇的な転調や長尺なドラマ性によってカタルシスを与えるものだが、本作に収められたシンプルな楽曲群は大半が中途半端な場面で終了している。これは歴史ある名店で煮え切らないスープを出された時の感覚に似通っており、大抵の場合客は不満を露にする。素材の味は良いのに、手が込んでいない。もしくは、何かの手筈の狂いで、本当は温めて出すべきものを冷まして出してしまった、というミスであるかも知れない。何れにせよ、マニラ・ロードは『The Deluge』という惜しい作品を客に出してしまったことになる。



1. Dementia
高速で叩きつけられるリズムとリフがアグレッシブさを放つ楽曲。途中ヴォーカルが奇怪な叫び声を上げたりと破天荒で良い。ギターソロではマニラ・ロードらしいエピカルなメロディが奏でられる。
2. Shadow in Black
ダークな雰囲気の中で奇怪な旋律を奏でる。およそ2分に及ぶ静のパートから突如劇的に展開する冒頭は、正統派エピックメタルの醍醐味であろう。
3. Divine Victim
鉛のようなリフとスピードでヒロイズムを鼓舞する。後半では緊張感を伴ってスリリングなギターソロが披露される。
4. Hammer of Witches
本作収録の楽曲は大作志向ではないが、短い中にもマニラ・ロードのエピカルな面と攻撃的な面を共有させている。本曲はスピーディかつ大仰なドラマ性を持っておよそ3分の間を駆け抜ける。
5. Morbid Tabernacle
ファンタジックな旋律とSEを用いたインストゥルメンタル。仄かにゴシック・ホラー的な雰囲気がある。
6. Isle of the Dead
およそ3分の楽曲。不穏なイントロから大仰に展開。特徴的なヴォーカルに荒々しいリフが絡む。
7. Taken by Storm
他の楽曲と同様にシリアスなエピックメタルではあるが、完成度はさほど高くない。
8. The Deluge (I. Eye Of The Sea - II. The Drowned Lands - III. Engulfed Cathedral)
8分に及ぶタイトル・トラック。上記の全3章から構成され、大洪水によってアトランティス大陸が滅亡する悲劇を壮大に描く。静から動のメロディへと大仰に展開し、非常に混沌とした内容を有し、要所では荒々しくヒロイズムを鼓舞する。緊張感と切迫感に満ちたリフは凄絶を極め、恰も大洪水の如き圧倒的な力で聴き手に襲いかかる。
9. Friction in Mass
マニラ・ロードの大仰さが爆発したエピックメタル。ドラマティックな疾走に加え、後半からはメロディアスに展開する。
10. Rest in Pieces
ヒロイックなメロディが高速で繰り出される短いエピローグ。マニラ・ロードの一貫した大仰さは、最後まで継続されているのが高評価の対象になる。


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Open the Gates



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1985
Reviews: 85%
Genre: Epic Metal



マニラ・ロードの1985年発表の4th。


プロローグ...
残念なことに、カルト・エピックメタルの不動の王者、マニラ・ロードの物語を知る者は極めて少ない。皮肉にも、未だにアンダーグラウンドの領域から脱していないマニラ・ロードの暗澹たる音楽性をファンは称賛し続けているが、そのためにエピックメタルの大衆化は妨げられている。
長い間、エピックメタルは地下で密かに脈動を続け、人知れず芸術作品を生み出してきた。エピックメタルの熱狂的なマニアたちは、これらの作品を鉱山に眠る金塊の如く掘り当て、孤独な個室で楽しむことを覚えていた。誰も知ることがない余暇は、知的好奇心を刺激し、次第に麻薬のような中毒性を発していった。マニアたちはそれに満足し、エピックメタルの暗い知識が外部に洩れることを酷く恐れた。故にエピックメタルの大衆化を求めるファンは少なかった。
頑なに信念を貫く男、マーク・シェルトンによって築き上げられたマニラ・ロードの一大叙事詩は、過去の名作の一つ一つが陰鬱な散文となり、現在まで一貫して継続されてきた。マニラ・ロードの歴史とは、ヴァージン・スティールやマノウォー、キリス・ウンゴルらと同様にエピックメタルの開拓史に該当し、この分野の発展を物語る貴重な断片であった。エピックメタルの真の起源を探索するために、我々はより古い時代へと興味を傾ける必要があり、そこでマニラ・ロードに出会ったのだ。
エピックメタルの古参であり、この分野に多大な貢献を果たしてきたマニラ・ロードは、1977年のアメリカのカンザス(正確にはカンザス州のウィチタ)での結成後、地下で活動を開始し、一部の熱狂的なファンによって支えられてきた。マニラ・ロードの創造する幻想的で薄暗いヘヴィメタルは、後に確立されるエピックメタルの基礎を有していた。アメリカのバンドであるマニラ・ロードの音楽性は異質であり、劇的なドラマ性とヒロイックな要素を持っていた。1983年に発表された第3作『Crystal Logic』では、ファンタジックな世界観と古臭い雰囲気を身に纏い、一つの完成形とも呼べる傑作を作り上げるに至った。『Crystal Logic』のスピーディな楽曲に勇壮なメロディが乗るという手法は、他のヘヴィメタル・バンドを大いに刺激した。また、作品のプロローグとエピローグを配したドラマティックな作風は、ヘヴィメタルを通じて物語を演じるという、エピックメタルの最も重要な構成を貫くものでもあった。
マニラ・ロードの素晴らしい箇所は、自らの方向性を決して転換しないという信条であり、名作『Crystal Logic』の約2年後に発表された第4作『Open the Gates』においても、それは適用された。一つの長所を伸ばし続けることで最も効率的な結果が生み出されるように、『Open the Gates』はエピックメタルの利点がすべて凝縮された奇跡的な一作となった...


『METAL EPIC』誌より抜粋:

機械的な産物には真逆の意味を適用することになるが、人間の知的な作品において、新しいものの方が古いものより優れているということはまずない。これまでに、我々は贅沢な暮らしと引き換えに、歌や詩、文学や絵画などの豊かな芸術をかなぐり捨ててきた。我々は金があって各地の肥え太った極上の珍味を胃に納め、水と電気が無制限に使えれば他に何も言うことはないが、古くから人間が親しんできた音楽において、その絶対的な法則が適用されるとは限らなかった。ポップでノリの良いヒット曲で我々が満足できるのであれば、ヘヴィメタルなどという異質な分野は誕生していないことになり、根本的なロックですら生まれていない。即ち、満足のいく生活基準の最中にあってもなお、我々の中には満たされない別の欲求があるということである。
ヘヴィメタルの根本的なテーマである反骨の精神と比べ、全く別の領域で発展を遂げていったエピックメタルも、こうした物理的ではい欲求を満たすために生み出されていった、数少ない分野の一つである。幻想文学や歴史、有史以前の神話等に対し飽くなき探求を続けるエピックメタルは、既に独立した分野として久しい。しかし、現在のようにエピックメタルが確立されるまでには、数々の困難を乗り越えなければならず、先人たちの味わった苦悩は計り知れない。若い世代にある我々は、「古典」と呼ばれる作品を拝聴し、これらの伝記を遡る必要があるのである。
マノウォーの第4作『Sign of the Hammer』(1984)がまさにそうであるように、マニラ・ロードの第4作『Open the Gates』はエピックメタルの最も古く偉大な傑作の一つに数えられる。カルト的なヘヴィメタルの熱狂的なマニアが聖書の如く崇める『Sign of the Hammer』が、読んで文字の如く、完璧なエピックメタルの礎を形作っているのに対し、マニラ・ロードの『Open the Gates』はそれに加え、徹底的なまでの幻想世界への追求が為された作品である。
過去ロバート・E・ハワードやH・P・ラヴクラフト等に源流を輩出する幻想文学への傾向が顕著であったマニラ・ロード──これらの極めて知的な趣味は中心人物マーク・シェルトンのものである──は、前作『Crystal Logic』(1983)で飛躍的な進歩を遂げ、更なる探求と絶対的な理想主義のもとに本作を完成へと導いた。『アーサー王伝説』──古く中世を起源とするこれらの叙事詩が本作のコンセプトの一部となり、古典的なエピックメタルの偉大な傑作の誕生を後押しした。
妥協することを知らないマニラ・ロードは、全編に渡り暗く重苦しいムードを地下納骨所の如く漂わせることにより、外部からの雑多な影響力を排除した。一般的にヘヴィメタルを世界的な成功へと導いたとされるNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)の残り香が初期のマニラ・ロードには漂っていたが、『Open the Gates』では辺獄のような混沌とした領域に踏み込み、唯一無二のエピックメタルを追求している。結果完成したのはカルト的なエピックメタルの究極に純粋な傑作であり、これらはマニラ・ロードの音楽性が独立した"エピック・メタル"としての新しい分野を確立した証明となった。
一貫性を持った幻想文学、古代神話にインスパイアされた『Open the Gates』の個々の名曲群は、大衆がかつて聞いたこともないような異様な旋律を奏でるものであった。ある者はマニラ・ロードの異様な音楽性に吐き気を催し、一目散にその場を立ち去ったが、ある者にとってはここはアヴァロンのような楽園に近かった。
──マニラ・ロードが1985年に生み出した『Open the Gates』はエピックメタルの歴史に名を刻み、一部で痛烈に非難され、地下で大いに絶賛され、長い歳月に渡り愛聴されてきた。しかし、本作のような歴史の影に埋もれた作品が世に出ることは少なく、我々が発見した時は酷い埃に覆い尽くされていた。その古臭い外見と同じく、中身も数世紀昔の音のような感じであったことを記憶している。あまりにも現代には釣り合わない、時代性を逸脱した音楽性だと誰もが感じた。しかし、我々はこうも感じた──「素晴らしい宝物を発掘した気分だ」と。



1. Metalstorm
ファンタジックなナレーションから入り、重厚感を増した独創的なエピックメタルを披露する。NWOBHM的な容赦のないスピード感にも満ち溢れている。マーク・シェルトンの大仰な歌唱はヒロイズムを鼓舞する。
2. Open the Gates
タイトル・トラック。2分の小曲。
3. Astronomica
"アストロノミカ"とは紀元1世紀頃の占星術書を指す。歌詞ではコンセプトである「アーサー王伝説」にも関連している。メロディアスなパートと攻撃的なパートが入り混じった楽曲であり、終わり方までもが大仰である。
4. Weavers of the Web
重厚なリフが繰り出される。整合性がなく混沌としている内容はキリス・ウンゴルに通じる。要所でリードギターは漢らしい野蛮性を披露。アルバム・ジャケットのイメージはこの楽曲のもの。
5. The Ninth Wave
不穏なイントロに続く大作。「アーサー王伝説」に関連した楽曲であり、アーサー王を最後に船でアヴァロンへ導く「三人の女王」について言及する。アーサーは本当にアヴァロンの門を開いたのであろうか?およそ9分に及び、古強者の如きヒロイズムを泥臭く紡ぎ出していく名曲である。凄絶な雰囲気に満ち、恐らくマニラ・ロードが世に生み出した至高の名曲の一つに数えられる。恰もヒロイック・ファンタジーの古典であるかのような内容は、聴き手を常識を逸した雄々しさで襲い、古代の幻想と驚異の世界に引きずり込む。
6. Heavy Metal to the World
前作に通じるスピーディな楽曲。スリリングなギタープレイを見せる。ヘヴィメタルそのものを題材にしたトゥルー・メタルは、かつてマニラ・ロードやマノウォーなどの初期エピックメタルバンドが流布したものである。
7. The Fires of Mars
重厚かつダークなエピックメタル。決してファンタジーの明るい部分を描かないマニラ・ロードの姿勢には感服する。暗く重い方が楽曲はシリアスである。本曲もこれまでのマニラ・ロードのエピックメタルと同様、複雑かつ劇的に展開し、終始ヒロイックな内容を披露する。
8. Road of Kings
古代の王の陰鬱な道程を叙述する。ヘヴィなエピカル・リフで攻撃的に攻め立てる名曲であり、朗々としたヴォーカルとアグレッシブなリフの混合が古臭い異様な雰囲気を生む。後半からは劇的に展開。
9. Hour of the Dragon
竜との戦いを描いた楽曲。中世への傾向を泥臭い漢の鋼鉄で表現する。収録されたすべてのパートから徹底した異臭が垂れ流される。
10. Witches Brew
北欧神話の魔女の醸造酒について扱い、幻想的な世界観を極めたエピックメタル。静から動への流れによって生み出されるカタルシスは既に計算し尽くされている。ここまで徹底した追求されたエピックメタルを全編に渡り収録した本作について、我々が語ることは陳腐な雑談に過ぎない。


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 3月19日、本日付けでレビュー欄を更新。閲覧は上のメニューバー、または下記の直接リンクを参照にして頂きたい。

・『The Reviews


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Kings of Dreams



Country: Germany
Type: Full-length
Release: 2003
Reviews: 78%
Genre: Epic Power Metal


ドイツのエピック・パワー・メタル、ソレムニティの2003年発表の2nd。


エピックメタルにとって明るいドイツの土地で純粋培養されたソレムニティのサウンドは、恐らく酷く薄暗い地下で一部のマニアによって絶賛された。第一作『Reign In Hell』(2001)は音楽市場に安心して出荷できる基本水準に達してはいなかったものの、ソレムニティの目標とする幻想的な世界観の限りない魅力は捨て難かった。

第2作『Kings of Dreams』でも強烈に古い時代のヒロイック・ファンタジーを彷彿とさせるソレムニティのアルバム・ジャケットは、本作の内容と全く異なっていない故にマニアは安心して手を出せる。前作で披露されたスピーディなサウンドはそのままに、より重厚感とヒロイックなメロディを研ぎ澄ました本作は、ソレムニティの追求するファンタジックな世界により接近した作品と言って良いであろう。
未だにソレムニティが地下の薄暗いサウンドから脱することはないが、このように継続して、また一貫性を持って作品を作る様には敬服する。男に信念が必要なように、エピックメタルには揺るぎない志が必要である。



1. Fire In Mainstreamland (Open Fire Part II)
ヒロイックなメロディがヘヴィに展開されるエピックメタル。スピード感に溢れ、コーラスは無骨ながらも勇壮に聴かせる。
2. Kill The Majesty
ヘヴィかつメタリックなリフで攻め入る正統派ナンバー。サビのメロディは以外にもキャッチーである。
3. The Ninth Gate
哀愁のあるメロディを奏でるダイナミックなエピックメタル。楽曲にはヒロイック・ファンタジー特有の妖艶な雰囲気が漂う。戦士的なシンガロング・パートも配し、仕上がりは非常にドラマティック。
4. King Of Dreams
幻想的なイントロダクションから始まりスピーディに展開していく大作。シリアスなリフは高いドラマ性を醸し出しているが、不安定なヴォーカルが完成度を著しく低下させている。中間部には静のパートも盛り込む。
5. Vampire´s Dance
9分に及ぶ大作。ヘヴィかつダークなヒロイズムに溢れた楽曲であり、ソレムニティが目標とする世界観を惜しみなく表現する。なおイタリアの伝説的なカルト・ホラーメタルバンド、デスエスエス(DEATH SS)のヴォーカルSteve Sylvesterをゲストに迎えている。これは余りにも斬新なコラボである。
6. Spirits Of The Dead
マニラ・ロードのカヴァー。カヴァーの選曲もエピックメタルバンドらしい。
7. In Dubio Pro Sathanas
バーバリックなリフで暴れ狂う楽曲。これはアルバム・ジャケットのままの世界観である。
8. Heart Of A Raven
重厚な大作。作りは荒いが、ソレムニティの持つヒロイックな手法のすべてを結集させている。しかし、それでもなお世界的なヘヴィメタルバンドとの完成度の差は歴然である。エピックメタルバンドは無闇に他のバンドと比べてはいけない。


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Reign in Hell



Country: Germany
Type: Full-length
Release: 2001
Reviews: 70%
Genre: Epic Power Metal


ドイツのエピック・パワー・メタル、ソレムニティの2001年発表の1st。


エピックメタルの始祖マノウォーを正統継承するヒロイックなエピックメタルバンドは今や世界中に分布し、特にドイツでは数多くのフォロワーが生まれた。その代表格とも言えるのがドイツのマジェスティ(MAJESTY)であり、ヒロイックかつスピーディなエピック・パワーメタルを演奏することで知られるこのバンドは、アンダーグラウンド・シーンで頭角を現すや否や瞬く間に有名となった。しかしエピックメタルに対して活発な行動を見せるドイツにおいて、マノウォーを敬愛し踏襲しようとするバンドは当然の如くマジェスティだけには止まらなかった。

ここに我々が紹介するソレムニティも歴としたマノウォーの継承者であり、ヒロイックなサウンドをエピカルなヘヴィメタルで表現することを標榜しているバンドの一つである。マノウォーの世界観に必要不可欠なハワードの『コナン』を痛烈に彷彿とさせる、ソレムニティの第一作『Reign In Hell』に描かれた幻想的なカヴァー・アートからもその堅実な意志は十分に漂ってくる。
ドイツのエピックメタルの特徴として、ただ伝統的なサウンドを模倣するわけではなく、非常にスピーディな楽曲として生まれ変わっていることは大きな利点だ。ソレムニティの楽曲も同様、ヘヴィかつスピーディなリフで構築され、エピックメタルにおける高揚感を強烈に誘ってくる。ヴォーカルが未熟な点は残念としか言いようがないが、こういったバンドの掲げる高い理想を我々は称賛する。そしていつの日にか、イタリアのドミネのようにフォロワーはオリジナルに打ち勝つのである。



1. Solemnity
2. Open Fire
高速のエピック・パワーメタル。スピーディな楽曲が聴き手の高揚感を煽るように、勇壮さは突出している。
3. Reign in Hell
スピーディなリフがスリリングに繰り出される佳曲。サウンドはヘヴィかつメタリックなものであり、伝統的なエピックメタルを彷彿とさせる。泥臭い漢らしさが滲み出ている点も高評価に値しよう。
4. Chalice of Blood
哀愁に満ちたメロディが印象的なエピックメタル。荒々しいパートも盛り込み、緩急もあるサウンドはドラマ性が非常に高い。ヒロイックなムードも素晴らしい。
5. Blood Will Prevail
バーバリックな雰囲気を醸し出す楽曲。攻撃的なリフが縦横無尽に荒れ狂う。しかし大仰な歌唱を披露しようとしているヴォーカルが上手く馴染んでいない。
6. Ritual of the Beast
楽曲はスピーディで大変好感が持てるが、ドイツのこの手のバンドは楽曲が後半になるにつれ金太郎飴状態になってしまうのが残念でならない。後半のエピカルなコーラスは新鮮で良い。
7. Axekiller
イントロ部分では不気味なメロディを大仰に聴かせる。当然の如く、本曲もスピード感に溢れている。
8. Walpurgis Night
ワイルドなリフがスピーディに奏でられる。随所にヒロイックなリードメロディを盛り込むなどの工夫も見られる。ラストの楽曲だけに展開は大仰だ。


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 『METAL EPIC』のレビューの中からヴァージンスティールの3rd~4thまでを加筆。詳細は以下の通り。

▶『Noble Savage』(1986)
▶『Age of Consent』(1988)


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 『METAL EPIC』のレビューの中からドミネの2nd~4thまでを加筆。詳細は以下の通り。

▶『DRAGONLORD(Tales from the noble steel)』(1999)
▶『STORMBRINGER RULER -The Legend of the Power Supreme-』(2001)
▶『EMPEROR OF THE BLACK RUNES』(2004)


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Art of Epic Metal.


Playground of the Damned

 ヴァージンスティールが既にデイヴィッド・ディファイのソロ・プロジェクトと化していることは我々がよく知っている事実だが、それは同国アメリカのマニラ・ロードにも言えることだ。80年代初期のエピックメタルを支え、2000年に再結成してもなお活発な音楽活動を続けるエピックメタル界の重鎮は、もはやこの業界には欠かせない存在である。マニラ・ロードのような古参が活動的ということは、若いエピックメタルバンドたちへの刺激にも繋がるので良い兆候だ。
 マーク・シェルトンの追求する徹底したファンタジー世界への傾向は、もはやオリジナル・アルバムとして第14作目となる『Playground of the Damned』(2011)でも揺るぎようがない。エピックメタルとは非常に変化が少ないジャンルだ。これを保守的と解釈しようとする向きもあるが、我々は古い伝統が守られることを望んでいる。方向性を闇雲に変更するバンドは数あれど、マニラ・ロードの追求するエピカルなヘヴィメタルは常に変わることがない。本作の収録曲は以下の通り。

1. Jackhammer
2. Into the Maelstrom
3. Playground of the Damned
4. Grindhouse
5. Abattoir de la Mort
6. Fire of Ashurbanipal
7. Brethren of the Hammer
8. Art of War


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An Age Undreamt of...



Country: United States
Type: Full-length
Release: 2009
Reviews: 50%
Genre: Epic Metal


アメリカの「コナン系」のエピック・メタル、ハイボリアン・スティールの2009年発表の1st。


アメリカのハイボリアン・スティールは名前の如く、ロバート・E・ハワードの『コナン』の世界観に傾倒したエピックメタルである。"ハイボリア(Hyboria)"とは『コナン』の伝説の主な舞台となる有史以前の大陸の名。サウンドは80年代のエピックメタルバンド(主にマニラ・ロード)に類似し、世界観もそれらの得意としたファンタジー世界を踏襲するなど、幾つか興味深い内容を揃えている。しかし結局サウンドはチープなもので、マニアックなファン以外からの評価は全く受け入れられないような際どい音楽性を有している。しかし随所にヒロイックな高揚感を伴うメロディが導入されているため、一概に駄作とは言い難い。マニアには十分受け入れられるファンタジックな内容である。

現在のエピックメタル・シーンでは過去のバンドたちを再評価する動きがあるようだが、そうした伝統を今の音楽性でやろうとする者たちの行動力は十分評価できる。敢えてシンフォニックな音楽性を抑え、正統派メタルよりのサウンドでエピカルな世界観を表現しようとするバンドも着実に増加した。彼らのような探求熱心なバンドやファンがいなければ、エピックメタルはとうの昔に廃れていたのであろう。



1. Hyborian Steel
ドラマティックなイントロダクションに導かれ、エピカルな世界観が展開されるタイトル・トラック。ヒロイック・ファンタジー的な音楽性を表現しようとしていることは明らかだが、まだ荒いことも確かである。
2. Cimmerian
キンメリア人とはコナンの出身である、ハイボリア北方に住まう部族のことである。ヒロイックなリードメロディが高揚感を高める。
3. Eyes Of The Serpent
アラビア風の旋律がヒロイック・ファンタジー特有の不気味な世界観を演出する楽曲。疾走を抑え、シリアスなメロディで攻めるところは良い。後半には魅力的な旋律も飛び出す。
4. Pirates Of The Black Coast
スピーディに展開するメロディックな楽曲。テーマが海賊を扱っていることもあるが、正統派メタルに接近したサウンドはドイツのランニング・ワイルドを彷彿とさせる。
5. M.R.Z.
6. Heavy Metal Heaven
HEAVY LOADのカヴァー曲。
7. Behind The Mirror
8. Bringers Of Chaos
バーバリックなリフで疾走する楽曲。完成度はそれほど高くない。
9. An Age Undreamt Of...


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 『METAL EPIC』の開始当初から掲載してあったバルサゴス(BAL-SAGOTH)のレビューは、『EPIC WAR』なる外部サイトにて正式に移行され、時間を経て完成された。我々は以前の『METAL EPIC』内のバルサゴスのレビューを削除し、『EPIC WAR』への直接リンクを設置することでこれらのレビューをすべて閲覧できるようにした。詳細はバルサゴスのレビュー欄をご覧頂きたい。


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