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Introduction

Robert_E_Howard

「エピック・メタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である」 [More stats] 

 ──Cosman Bradley


◆新着情報 News Topics
[Reviews]
VALKYRIE 「Deeds of Prowess」
WRATHBLADE 「Into the Netherworld's Realm」
VIRGIN STEELE 「Nocturnes of Hellfire & Damnation」
[Release]
Jack Starr’s Burning Starr 「Stand Your Ground」
Cirith Ungol 「King Of The Dead」
Manilla Road 「To Kill a King」

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The Temple of Theil



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 1999
Reviews: 75%
Genre: Epic Power Metal


イタリアのエピック・パワー・メタル、ヘイムダールの1999年発表の2nd。


ヘイムダールの第2作『The Temple Of Thiel』は日本で国内盤が発売された数少ないエピックメタル作品だが、問題は品質を度外視してレーベル側が叩き売り付けたということである。前作『Load of the Sky』(1998)に関しても我々は同じ意見を述べることが可能であり、成功した分野に土足で踏み入り、売り上げが好調なバンドを除いて次第に切り捨てていくという会社の方針には問題がある。当然の如く、会社が金銭的に経営困難に陥れば作品自体発表できる機会を失うが、粗悪な商品を発売するのと個人が輸入品で選別するのとでは意見が分かれる。我々はエピックメタルという分野がヘイムダールのような未完成のバンドばかりではないことを明確にしたいし、国内の会社は作品を良く視聴して選別しているのか疑問である。
しかし、音楽作品がCDケースに収まった商品として発売されている時代である以上、正しい選択は行われないものと仮定するべきなのかも知れない。購入の際における商品の選別は各個人で行えば良いことである。別にヘヴィメタルの良作を探すために、国内に視野を留めておく必要性はない。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

本作は前作『Load of the Sky』の延長線上にあるコンセプチュアルなエピックメタル作品である。コンセプトのベースは今作でも主に北欧神話であり、叙事詩的なヘヴィメタルという方向性を一貫して貫いている点、ヘイムダールは素晴らしい。ヘイムダールのシリアスかつヒロイックな世界観はまさにエピックメタルの基本形を模倣しており、メロディック・パワーメタル的な作風ではあるが、自身のエピックメタルに昇華していこうと努力した痕跡が見受けられる。楽曲の要所に配置されたシンフォニックなパートからは勇壮な雰囲気が存分に醸し出されている。哀愁に満ちたドラマティックなサウンドを作ることにおいて、ヘイムダールの本作での仕事はエピックメタルファンからの称賛の対象となるであろう。最も前作で痛烈な非難の対象となったヴァーカルはそのままだが、重厚なクワイアがその脆さをカヴァーしている点に関しても、我々は上手くまとめ上げたと言わざるを得ない。今後、独自の世界観を極めていけばヘイムダールはエピックメタル・シーンにとって重要なバンドとなる。



1. Prelude : The Messenger
2. Follow The Signs
ファンタジックなキーボードと疾走感がヒロイックな世界観を構築。メロディの質も良く、クワイアは更に高揚感を劇的に煽る。中間部に静かなパートを導入するなどエピカルな楽曲を作ることに対して妥協がない。
3. Secrets of Time
4. The Oath
5. Fall in Tears
6. The Temple of Theil
タイトル・トラック。漢らしい世界観が貫かれるエピックメタルらしい名曲である。随所で荘厳なクワイアを使用するなど成長が顕著。哀愁に満ちたパートの導入もドラマティックさを醸し出している。
7. Symphony of Twilight
8. Spirits of Skyward
装飾が豪勢な楽曲。メロディアスなツインリードが魅力的だが、大仰なキーボードにも光るものがある。
9. Scream of Revenge
女性ヴォーカルの導入が楽曲の神秘性を高めている。哀愁を誘うメロディがヘイムダールの個性を強調する。
10. Then Night Will Fall
ピアノによるバラード。前作収録のバラードより練られている。
11. The Song of Sidgar And Iselin
12. Finale


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 2月29日、本日付けでコラム欄を更新。閲覧は上のメニューバー、または下記の直接リンクを参照にして頂きたい。

・『The Columns


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ロード・オブ・ザ・スカイ



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 1998
Reviews: 80%
Genre: Epic Power Metal


イタリアのエピック・パワー・メタル、ヘイムダールの1998年発表の1st。


90年代後半のエピックメタル・シーンは闇雲に作品が数多く発表されていた。イタリアのラプソディーの成功がこれらに拍車をかけたことは事実だが、欧州ではエピカルな作風のヘヴィメタル作品が大量に制作された。こういった現象は容易に予想できた範囲であり、例えば60年代の映画『荒野の用心棒』のヒットに乗じてマカロニ・ウエスタンがおよそ600本も撮られたように、「売れれたところに群がる」という法則はどこでも通用するようだ。
イタリアのヘイムダールもそうしたバンドの一つであり、第1作『Load of the Sky』ではラプソディー影響下のシンフォニックなエピックメタルを披露している。北欧神話の神から拝借した勇壮なバンド名に加え、コンセプチュアルな内容、高いドラマ性が生む高揚感が魅力の本作は、オリジナルの摸作品が決して粗悪品ではない事実を証明している。問題は薄っぺらいヴォーカルだが、熱心なイタリアン・メタルのファンならばこの程度は許容範囲内であろう。
今後も我々にとって、エピックメタルが大量に世に送り出された90年代後半は興味の対象になるが、果たしてその時に登場してきたバンドが現在一体いくつ残っているのか、考えてみるだけでも恐ろしい結論が浮かび上がる。これはエピックメタルの研究から得た教訓だが、作品を発表するよりもバンドを継続させていく方が難しいのは、紛れもない事実である。



1. Galvor
2. Canticle of Heimdall
ネオクラシカルなギターとシンフォニックな音像が勇壮な雰囲気を醸し出す。しかしヴォーカルが入ってきた瞬間、壮絶な肩透かしを食らうことになる。
3. Lord of the Sky
エピカルなクワイアに導かれるタイトル・トラック。イントロ部分はエピックメタルらしいシリアスなドラマ性に満ちている。本作では群を抜いて完成度が高く、ヘイムダールの代表曲に成り得る名曲である。
4. Bifrost
"ビフロスト"とはアスガルドへと通じる虹の橋である。ヒロイックなギターメロディが印象に残る。
5. The Island of Ancient Stone
SEから始まる。ドラマティックな旋律を多用したエピカルな楽曲であり、特にギターメロディは大いに高揚感を得ることができる。緩急のつけ方も上手い。
6. Under the Silent Moon
アコースティカルな小曲。コンセプチュアルな作風がドラマ性を高めていく様には非常に好感が持てる。
7. Fall of the Bridge
勇壮な雰囲気と重厚なクワイアがエピカルさを発散。楽曲の盛り上げ方は非常にヒロイック。
8. Warriors of Many Ages Past
9. The Challenge
10. Sunset
中世の雰囲気が漂うバラード。我々は歌の上手さなどはあまり評価しないが、これは問題であろう。
11. Epilogue


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Sword's Song



Country: Finland
Type: Full-length
Release: 2003
Reviews: 68%
Genre: Epic Metal


フィンランドのエピック・メタル、バトルローの2003年発表の2nd。


ファンタジックなヘヴィメタルを標榜するバトルローの第2作『The Sword's Song』は、前作でのゴシカルなサウンドをベースに一段階スケールアップしたものだ。ブックレットの中世風コスチュームの完成度を見ても一目瞭然だが、そこからバトルローの真剣さが判断できる。当然の如く、今作でもJ・R・R・トールキンの『指輪物語』のコンセプトは健在であり、メンバーそれぞれに役が与えられている。詳しくはユリ・ヴァーヴァネン(g:妖術師)、ヘンリ・ヴァーヴァネン(d:半漁人、盗賊、刺客)、ミイカ・コッコラ(b:戦士)、マリア(key:妖術家)、カイサ・ヨウキ(守護者:vo)、パトリック・メンナンダー(vo:戦士)、トミ・ハヴォ(g、vo:使者)である。本作はエルベルスという騎士を主人公とし、『指輪物語』のローハンを彷彿とさせる勇壮な物語が展開されていくコンセプト作品である。ファンタジックな服装に身を包んだ登場人物が様々な出来事を歌い、シンプルにまとまったゴシカルでドラマティックなエピックメタルが次々と展開されていく。バトルローの前作よりも力強く、表現力も増したサウンドは、より多くのファンタジー・メタルファンの耳を惹きつけるに違いない。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

フィンランドのバトルローの第一作『...Where the Shadows Lie』(2002)はエピックメタルの歴史に泥を塗った言わば暗黒作品だが、第2作目となる『The Sword's Song』に関してもそれは変わらなかった。我々は何処かでエピックメタルの大いなる可能性を信じてみようと努力したが、このバトルローに至っては、その試みは全く無駄に終わった。そして、我々の追求する芸術的なエピックメタルが未だ遠くの場所に安置されているであろうことも改めて思い知った。
本作はエピックメタルの世界には馴染み深い『指輪物語』を題材としたコンセプト作品である。バトルローは前作でもこの記念碑的名作を題材とした作品を作っていたが、結果は残念極まるものであった。重厚感──ある一部では申し分ないと評価されている──や緻密さが欠如し、表現力が目指すべき世界観に後れを取っているバトルローのサウンドは、エピックメタルの齎す典型的な失敗例の一つとして我々の資料に加筆された。そしてバトルローは今作でもその失敗を繰り返し、エピックメタルの持つ可能性を大きく捻じ曲げることとなった。
中つ国を舞台とした物語は実に壮大なものだが、サウンドはその足元にも及んでいない。ファンタジー世界への憧れ故に中世風のコスプレをした現代人のような、赤面を禁じ得ない内容を本作は有している。幻想的な音色を出そうと各パートで努力はしているが、不条理なデスヴォイスがそれを灰色に濁す。敢えて我々は、同じデスヴォイスを多用しているイギリスのバルサゴス(BAL-SAGOTH)を引き合いに出すが、比較するのもおこがましいほどの大差があるのは明白である。ファンタジー系のエピックメタルをゴシカルかつ単調なサウンドで表現しようとしたのがバトルローの根本的な間違いであろう。バトルローのおかげで、我々は完全なエピックメタルには複雑さや緻密さ、繊細な表現力が必要不可欠であることを知ったのである。



1. Sons Of Riddermark
魅惑的なキーボードに導かれて開始されるファンタジー・メタル。騎士の国として知られるローハンの戦史を描く。勇壮なミドルテンポで行進していく様には高揚感を覚える。中間部で女性ヴォーカルが入る箇所もドラマ性に満ちている。
2. Swords Song
剣に生きる騎士の戦歌。勇壮な曲調がファンタジックな雰囲気を盛り上げる。ドラマティックな疾走感はヒロイズムを発散。
3. The Mark Of The Bear
幻想的な雰囲気が漂う。デスヴォイスがファンタジックなムードを払拭してしまうのが惜しい。
4. Bucacaneers Inn
5. Attack Of The Orgs
6. Dragonslayer
攻撃的な楽曲。各所にシンフォニックなパートがバックで加わる。
7. Chazad Dum (Pt. 2)
8. Horns Of Gondor
壮大なインストゥルメンタル。バトルローはシンフォニックなパートは非常に優れている。タイトルの如く、ゴンドールの雄大な景観が浮かび上がってくる。
9. The War Of Wrath
中つ国の北方王国の戦いを短く叙述する。ファンタジックなキーボードの音色と後半の美しい女性ヴォーカルが特徴的。
10. Forked Height
11. Starlight Kingdom


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.....Where The Shadows Lie



Country: Finland
Type: Full-length
Release: 2002
Reviews: 65%
Genre: Epic Metal


フィンランドのエピック・メタル、バトルローの2002年発表の1st。


バトルローはコンセプチュアルな作品の内容に外見のイメージを加味させようと、中世時代の服装に身を包み演奏をするバンドである。男女混成のデスヴォイスとクリーンヴォイスを使い分け、装飾的なキーボードが煌びやかなそれらの世界観を表現しようとするが、現実的に見てその試みは大きく失敗している。楽曲のモチーフとなっているのはJ・R・R・トールキンの『指輪物語』だが、原作は短くまとめ上げられたバトルローの楽曲のように単純ではない。バトルローの楽曲には、音楽的なファンタジー作品に必要である、幻想世界を描くリアリティが決定的に欠如している。これは今は亡きトールキンに対して失礼極まりない行為である。今でこそ欧州ファンタジーの金字塔として誰もが知る『指輪物語』だが、有名すぎる故にバトルローのような知的好奇心による失敗を繰り返されている。それは非常に残念なことだ。



1. Swordmaster
ザクザクとしたデスメタルにシンフォニックなキーボードが薄らと漂う。中間部には叙情的なパートも配置する。しかしこれだけでは方向性がはっきりとしない。
2. The Grey Wizard
ファンタジックなメロディにヘヴィなリフが絡む。徐々に女性ヴォーカルで盛り上げていく箇所は良い。ファンタジー特有の期待感は十分に感じる。
3. Raging Goblin
4. Journey To Undying Lands
5. Shadowgate
6. Fangorn
7. The Green Maid
女性ヴォーカルによる美しい一曲。幻想的な雰囲気が秀逸だが、エピックメタルバンドとしてバラードの方が優れているという点は致命的。
8. Khazad-dum pt.1 (Ages of Mithril)
9. Ride With The Dragons
10. Feast For The Wanderer


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アヴァンタジア パートII-ザ・メタル・オペラ-

AVANTASIA the 2nd album in 2002 Release
★★★★★★★★☆☆...(意欲作)

アヴァンタジアの2002年発表の2nd。


豪華なゲストと壮大なコンセプトで発表されたトビアス・サメットのメタル・オペラ・プロジェクトの第一作『The Metal Opera』(2001)は欧州で大成功を収め、続編となる次回作への期待は大いに高まった。トビアス自ら創作したファンタジー物語に加え、すべての楽曲を手掛けた彼の才能に誰もが生唾を飲んだ。そこに各ミュージシャンの完璧な演奏や歌唱が加味され、まさにアヴァンタジアは大きな飛躍を遂げた。アヴァンタジアのやっていることがエドガイの延長に過ぎないという非難は受けたが、それをも跳ね返す圧倒的なパワーが『The Metal Opera』にはあった。
アヴァンタジアの第2作目となる本作『The Metal Opera Pt.II』では、新しくゲストにボブ・カトレイ(vo:マグナム)を迎え、前作以上のスケールで壮大な世界観が披露される。古代ローマを舞台にしたアヴァンタジアの物語は終盤へと向かい、楽曲は緊張感や重厚感を増している。主人公のガブリエルは幻想的で精神的なアヴァンタジアの地で何を手にするのか、オペラティックなクワイアが紡ぎだす物語は、舞台役者の迫真の演技であるかのように聴き手を魅了していく。
トビアスの才能も素晴らしいが、ゲストの実力も安定したものだ。メロディック・パワーメタルの大御所たちはアヴァンタジアのために完璧な仕事をしているし、トビアスのやりたいことに忠実である。彼らとトビアスの壮大な創造性と意欲が見事に融合して本作『The Metal Opera Pt.II』という新しい名作がここに誕生した。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

我々が認識しなくてならないのは、飽くまで楽曲を作っているのはトビアス本人である、ということだ。前作で指摘されたエドガイと類似したサウンドは今作でも顕著であり、メタル・オペラ・プロジェクトらしい壮大さやエピックメタル的な世界観がメロディック・パワーメタルの領域を脱していないことは否定できない。スケール感の問題では大作"The Seven Angels"で十分に克服できるが、楽曲全体での構成や緻密さは欠如している部分が大いにある。元々トビアスはエドガイで活動してきた身なので、メロディック・パワーメタルの基礎には長けているが、伝統的なエピックメタルの範疇には属していない。詰まるところ、アヴァンタジアの音楽性は繊細さに欠け、単純なものであるのだ。そのキャッチーな明確さがメロディック・パワーメタルのファンには応えたのであろうが、本作が物語を描くドラマティックなヘヴィメタル作品である以上、このような大雑把な内容では完成品と呼ぶには相応しくない。当然の如く、メロディック・パワーメタルの中にもエピカルな作品を作るバンドはいるが、本当に劇的で芸術的な作品を作り上げようとしたのなら、『The Metal Opera Pt.II』の基準で推測すると従来のメロディック・パワーメタルでは適していない、ということになろう。




1. The Seven Angels
14分に及ぶ大作。ゲストが総出演し、ティモ・トルキ(vo:STRATOVARIUS)がギターソロを披露する本曲は、アヴァンタジアの集大成として受け止められる。
2. No Return
メロディアスなフレーズが連発するメロディック・パワーメタル。スピード感も十分。ファンなら間違いなく溜飲が下がる完成度の高い名曲だ。
3. The Looking Glass
4. In Quest For
5. The Final Sacrifice
ヘヴィなリフが歯切れよく刻まれ、エピックメタル界の大御所デイヴィッド・ディファイ(vo:VIRGIN STEEL)が歌う。トビアスの歌い方もディファイに類似しているが、エピカルウィスパーはハイトーンのトビアスには合わない。ヴァージンスティールと形容されても不思議ではない、高いドラマ性を模倣している点が特徴的。
6. Neverland
7. Anywhere
8. Chalice Of Agony
9. Memory
10. Into The Unknown



Review by Cosman Bradley
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アヴァンタジア-ザ・メタル・オペラ-

AVANTASIA the 1st album in 2001 Release
★★★★★★★☆☆☆...(定盤)

アヴァンタジアの2001年発表の1st。


アヴァンタジア(AVANTASIA)とはエドガイのフロントマン、トビアス・サメットのソロプロジェクトの総称である。エドガイとは独立して創作したファンタジーの物語について、トビアス・サメットはこのプロジェクトを通して様々なゲストに歌ってもらうことを考えていた。ようやくトビアスの願いが叶い、前代未聞の豪華なゲストを迎え、膨大な制作費を費やして完成されたのが本作『The Metal Opera』であり、これは壮大なメタル・オペラ・プロジェクトとして起動した。ゲストには実際のオペラと同じように配役が与えられており、それぞれの登場人物の台詞──厳密には物語はすべて会話ではない──が歌や合唱として成立する。バンドの演奏も一流のゲストによるもの。参加メンバーは主にトビアス・サメット(vo、key)、マイケル・キスク(vo)、デイヴィッド・ディフェイズ(vo:VIRGIN STEEL)、ヘニユ・リヒター(g:GAMMA RAY)、マーカス・グロスコフ(b:HELLOWEEN)、アレックス・ホルツワース(d:RHAPSODY)、カイ・ハンセン(vo:GAMMA RAY)、ティモ・トルキ(vo:STRATOVARIUS)、シャロン・デン・アデル(vo:WITHIN TEMPTATION)、アンドレ・マトス(vo:ANGRA)、オリヴァー・ハートマン(vo:AT VANCE)、ロブ・ロック(vo:IMPELLITTERI)。彼らの名前を聞いただけでも本作が傑作であることは確定した事実である。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

確かにアヴァンタジアは革命的な一大プロジェクトだが、『METAL EPIC』誌では本作よりも更にエピカルでドラマティックな作品を過去に数多く取り上げているし、話題性のみで本作を取り上げることはない。しかし、この作品がファンタジックな物語を描いたメロディックなヘヴィメタル作品という形式に沿っているので、本誌で取り上げる必要性は十分にあった。
アヴァンタジアの第一作『The Metal Opera』は、"オペラティックなヘヴィメタルのプロジェクト"というコンセプトを掲げている。過去にもこのような試みはあったが、我々は『The Metal Opera』の内容が典型的なメロディック・パワーメタルの踏襲に過ぎないことを指摘する。アヴァンタジアがトビアス・サメットの所属するエドガイの範疇を脱していないことは否めず、果たしてこれほどの豪華なゲストを迎えてまで本作を製作する必要があったのか、という疑問は未だに大きく残っている。当然、ドイツのメロディック・パワーメタル筆頭のエドガイのフロントマンによるアヴァンタジア・プロジェクトはこの業界でも大きな話題となり、各HR/HM専門誌でも特集が組まれ、欧州(特にドイツ)では異例の興行的成功を収めた。しかし我々が下した結論は、それが作品の内容を考慮した上での成功かどうかは分からない、ということであった。如何に博学なヘヴィメタルファンといえども、我々は「新作」や「話題作」というキャッチコピーに好奇心を乱される種族なのである。
間違いなく『The Metal Opera』はメロディック・パワーメタル作品として優れている。楽曲が単体でも十分に機能するほどの充実した完成度を誇っており、大仰なクワイアはキャッチーだ。しかし、この高額なプロジェクトがエピックメタル的な作品として機能するのであれば、我々の知る貧相なバンドたちはもっと良いものを作るであろう。迎えられたゲストの中にそう考えていた者がいても何らおかしくはない。同業者として、ヘヴィメタル作品の世界的な成功は素直に喜ばしいものだが、我々は才能ある影に光が差し伸べられる日をずっと待ち続けている。




1. Prelude
シンフォニックなイントロダクション。コンセプトに沿ったローマ時代の雰囲気がある。
2. Reach Out For The Light
メロディックなリフを伴ったスピード・メタル。各所にオペラ的なクワイア・パートを含む。冒頭のインパクトとしての完成度は高い。
3. Serpents In Paradise
テンポよく行進するメロディック・パワーメタル。音楽性は非常にエドガイに近い。後半はデイヴィッド・ディファイのパートが登場し、曲調もエピカルさを十二分に発揮する。本曲はメタル・オペラ・プロジェクトが生んだ最高峰の名曲に値する。
4. Malleus Maleficarum
5. Breaking Away
6. Farewell
7. The Glory Of Rome
スピード感とシンフォニックな雰囲気が漂う楽曲。勇壮なサビのクワイア・パートは印象深い。後半は更に大仰にクワイアが展開する。
8. In Nomine Patris
9. Avantasia
キャッチーなメロディを持ったアヴァンタジアのテーマ的楽曲。サビのクワイアは非常に馴染み易い。ちなみに「アヴァンタジア」とは、トビアス・サメットが創作した異世界の王国の総称である。首都はセシドバナ。本作では古代ローマとアヴァンタジアを舞台にして物語が進んでいく。
10. A New Dimension
11. Inside
12. Sign Of The Cross
13. The Tower



Review by Cosman Bradley
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Recommended Epic Album.


 
 ヘヴィメタル作品を購入する際に失敗を避けたい気持は誰にでもあるが、膨大な作品数から良作を抜き出すことは難しい。希少なエピックメタルにおいては更に成功率が下がることになろう。我々のために、コスマン・ブラッドリー博士はエピックメタルに相応しい5つの入門書を用意した。


エピックメタルの歴史を網羅。

VIRGIN STEELE 「Hymns to Victory」(2002)

Hymns to Victory


──エピックメタルを聴く上で最重要バンドであるアメリカのヴァージンスティールを避けて通ることはできない。本作はヴァージンスティールの代表曲を網羅した定番のベスト盤。ファンの意見を参考にした選曲が素晴らしく、ヴァージンスティールの名曲を殆ど収録している。過去のリマスターされた音源はすこぶる良く、全収録時間は70分を超えており、ここからエピックメタルの世界を広めることは十分に可能。当然の如く本作には両方収録されているが、"Burning of Rome (Cry for Pompeii)"、"Emalaith"を知らない者はエピックメタルファンではない。


ヒロイズムの原点。

MANOWAR 「Sign of the Hammer」(1984)

SIGN OF THE HAMMER (サイン・オブ・ザ・ハマー)(直輸入盤・帯・ライナー付き)


──エピックメタル界ではヴァージンスティールと並び双璧を成す、アメリカのマノウォーの第4作。1984年に発表された歴史的名盤であり、その力強く雄々しいサウンドはエピックメタルの基礎を確立した。既に北欧神話を題材にした"Thor (The Powerhead)"から"Mountains"への流れは伝説的であり、最後の"Guyana (Cult of the Damned)"はマノウォーのドラマ性を極めた偉大な名曲である。本作にはエピックメタルに必要な要素がすべて詰まっている。


壮大なる異世界。

BAL-SAGOTH 「Battle Magic」(1998)

Battle Magic


──他のエピックメタルバンドとは全く異なる手法でこの分野を極めたのがイギリスのバルサゴスだ。ブラックメタルを基盤とするシンフォニックなエピックメタルは、一部のエピックメタルファンから絶賛された。詩人バイロン・ロバーツの創作による壮大な世界観も魅力の一つ。本作はバルサゴスの作品中最も明確なサウンドを用いた傑作であり、キーボードによる壮麗な装飾が聴き手の視覚を刺激する。斬新なエピックメタルを求めるなら、バルサゴスは間違いなく必聴であろう。


エピックメタルにおけるファンタジー世界の再現。

BLIND GUARDIAN 「Somewhere Far Beyond」(1992)

Somewhere Far Beyond


──欧州のエピックメタルの重鎮、ブラインドガーディアンの第4作。J・R・R・トールキンの『指輪物語』やマイケル・ムアコックの『永遠の戦士』シリーズ等を題材にした幻想的な作風が特徴であり、アメリカのエピックメタルとは異なるメディーバル(中世的)な音楽性を持つ。メロディック・パワーメタルを踏襲した楽曲群は、エピックメタルの中では非常に分かりやすい部類に属する。欧州の伝統的なファンタジーに興味を抱く向きなら、本作を押えておいて損はない。


ヒロイック・ファンタジーの源流。

DOMINE 「STORMBRINGER RULER -The Legend of the Power Supreme-」(2001)

ストーム・ブリンガー・ルーラー


──イタリアの古豪、ドミネの第3作。過去『METAL EPIC』で何度も取り上げられてきたエピックメタルの定番中の定番。本作は幻想的なヒロイック・ファンタジーの世界観を再現した数あるヘヴィメタル作品の中で、未だ色褪せることのない名盤である。"ファンタジックかつヒロイックなエピックメタル"という表現は本作のためにあるようなもの。マイケル・ムアコックの『永遠の戦士』シリーズを題材とした楽曲群は実に正統派らしい。




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Column the Column

volume 13. 9 July: 2011


 叙事詩的な音楽性を追求する『METAL EPIC』誌は、これまでに様々な局面からそれらについて議論してきた。例えばこのような短いコラムであったり、ヘヴィメタル作品であったり、時には映画作品であったりと、歳月を経て着実に実績を積み重ねてきた。その内、いくつかの資料は過去に完成したりもしたが、大半の資料は未だに未完成のまま残されている。私はそれらをいつか完成させようと考えているが、過去の再録ではなく全く新しい資料を、コスマン・ブラッドリー博士には執筆して貰いたいと願っている。しかし歳と共に物事への興味は薄れて行くものであり、創作に対する意欲も失われてしまう。コスマン・ブラッドリー博士には何かのきっかけが必要であったのかも知れないが、どうやら我々は随分と長い間、彼を待たせすぎたようだ。

 さて、かつてそのコスマン・ブラッドリー博士によって発案された『METAL EPIC』誌だが、こうして現在も継続して発行されていることは、本当に有難いことだ。本誌を手に取る読者の数は他誌よりも大幅に希少──これは悲しい現実だが──であり、また普遍的な音楽界のトレンドを扱わないために敬遠される現状が顕著なことは事実として、継続させるという行為ほど強力な武器はない。
 本誌の最大の魅力は他誌の記事では絶対に扱わないような突拍子もない内容を平然と扱っていることであったり、常に古いやり方にこだわっているというところであったりする。私は本誌に目を通すまでエピック・メタル(Epic Metal)なるジャンルが本当に実在することですらあやふやであったし、このように一つの記事として成立することなどは考えもしなかった。故に殆ど誰も知らないであろうが、確かに『METAL EPIC』誌の残した功績は大きいのだ。
 『METAL EPIC』誌が他のHR/HM誌が全く手を付けなかった分野に手を伸ばしたことは、本当に勇気のある行動でしかない。なぜなら読者を惹き付けるような音楽のトレンドを扱ったほうが購読数が確実に上がるであろうし、画面いっぱいの画像などの視覚的なビジュアルも取り入れた方が売り上げを意識する上では重要なことであろう。しかし『METAL EPIC』誌はこれらの商業面での成功要素──既に"ヘヴィメタル"という選択の時点で売り上げは切り捨てとなっている──をかなぐり捨て、一途に叙事詩的なヘヴィメタルを追求している。恰も狂気の呪術を追い求める古代の魔術師の如く、『METAL EPIC』誌は一貫してシリアスなのだ。本誌が世間から正当な評価を受けないことは誠に残念な結果だが、無論、創始者であるコスマン・ブラッドリー博士がそのような目的を持って本誌を立ち上げたはずもないことは、既に多くの読者が知り及ぶ限りである。
 いかなる時代でも貧困者が金に勝ったことはないが、貧困者のみが知る世界がある。彼らは飢えや苦痛を知っているが、今の我々は代わりに知識と夢を知っている。もはや我々少数派は弱者ではなく、自由に知る権利を得た。「知る者のみ知れば良い」というコスマン・ブラッドリー博士の言葉の如く、『METAL EPIC』誌はこれからも興味深いHR/HMの情報を提供し続けるであろう。我々のような者たちにとって、貴重な資料と成り得る『METAL EPIC』誌の存在は常に大きく、その僅かばかりの者たちの希少な声を、コスマン・ブラッドリー博士が密かに聞き取って考慮してくれることを私は願ってやまない。

Metal Epic, Jul 2011
David Orso




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コメント:雄大な西部を想像した鉛筆画。アメリカ西部は多くの男たちにとって懐かしい故郷であるし、生活していくのが困難な厳しい土地である。しかし私たちの憧れの中では、幼い時に夢見た西部の情景が終ぞ変わることはない。


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コメント:用語集3:"エドガー・ライス・バローズ"』用に書いた鉛筆画。


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コメント:用語集2:"H・P・ラヴクラフト"』用に書いた鉛筆画。


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コメント:用語集1:"ロバート・E・ハワード"』用に書いた鉛筆画。個人的な絵の中では最も気に入っている。


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Coming Home.


ザ・ランディング


 「ヘヴィメタルは男の最後の砦だ」などとよく言われているが、陳腐な音楽が蔓延る現代において、まさにヘヴィメタルはその役割を担っている。ここに堂々と帰還したドイツのアイアン・セイヴィアーの第7作『The Landing』は、ファンが望むような伝統的なヘヴィメタルを披露している。アイアン・セイヴィアーの最も得意とする近未来的な世界観は今作でも健在。中でも"Starlight"は素晴らしい名曲であり、これは必ず従来のファンを納得させるはずだ。
 バンドにとっておよそ4年間の沈黙は痛かったが、こうしてヘヴィメタル・シーンに帰還を果たしたアイアン・セイヴィアーは全く以前と違っていないばかりか、率直な男の持つ力強さで持って正統派メタルを体現している。「古き良きものは失われない」アイアン・セイヴィアーは我々にその事実を再度証明してくれた。
 本作は過去の名曲の新録を含む全14曲。収録曲は以下の通り。

1. Descending
2. The Savior
3. Starlight
4. March Of Doom
5. Heavy Metal Never Dies
6. Moment In Time
7. Hall Of The Heroes
8. R.U. Ready
9. Faster Than All
10. Before The Pain
11. No Guts No Glory
12. Coming Home 2011
13. Atlantis Falling 2011
14. Underneath The Radar


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カタルシス(catharsis)

主に音楽や文学を通して、日常で抑圧されていた感情が一気に解放されることを指す言葉。

古代ギリシァを起源とする言葉であり、アリストテレスが悲劇のもたらす効果にカタルシス(katharsis)があると説いたとされる。またカタルシスの齎す精神の開放によって、魂の浄化になると考えられていた。カタルシスとは詩学や心理学において浄化を意味している。

エピックメタルでの使用頻度:
ヘヴィメタル全般ではカタルシスという表現が頻繁に用いられる。ポピュラーな音楽よりも特異な音楽性を持つヘヴィメタルはカタルシスを極めて感じやすい分野にあり、またそれを作品の原動力とするバンドも存在する。ヘヴィメタルの持つ魅力の一つに"現実からの解放(*)"という考え方があるが、これを求めるファンが多いことからもヘヴィメタルにおけるカタルシスが非常に重要な意味を持っていることが分かる。特に緻密な構成や物語的な作品を展開するエピックメタルでは、カタルシスはより重要視される。

参考作品:
ブラックメタル、エピックメタル作品全般


*これとは逆に現実的な内容(軍事、戦争、社会問題、人種差別等)を扱うヘヴィメタルバンドがある。
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