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ランド・オブ・ザ・フリー

GAMMA RAY the 4th album in 1995 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

ガンマ・レイの1995年発表の4th。


これまでに多くのヘヴィメタル作品で"自由"の精神性が歌われてきたが、根本的な自由のあり方が本作『Land Of The Free』に含まれている。我々の前には言語力、表現力、理解力等多くの障害が残されているが、それを乗り越えてガンマ・レイは自由のあり方を提示したのである。博学な精神学者が学術的な用語で自由について述べるのは簡単なことだが、実際に手にすることは難しい。そもそも自由の根源的な意味を理解しなくてはならないし、本来あるべき姿の自由の実像を捉えるのは更に困難を極める。しかし本作『Land Of The Free』には、我々が望む最も簡潔な言葉でその自由が表現されている。私が手引きできるのはここまでで、真実は己で手にしなければならない。仮にも娯楽のみを求めている人々にとって、本作のようなおとぎ話は一銭にもならない。
ドイツのガンマ・レイはメロディック・パワーメタルシーンで長く活動してきたが、第1作『Heading For Tomorrow』(1990)を差し置いて傑作は誕生しなかった。ラルフ・シーパース、ダーク・シュレヒター(b)という素晴らしい人材に恵まれながらも、その才能が爆発するということはなかった。更にラルフは第4作が発表される前にバンドを去った(*)。残された中心人物のカイ・ハンセン(vo,g)は、自らがヴォーカルとギターを兼任する方法でアルバムの制作作業を続けた。右腕のダークもそれに倣い、作業は首尾よく続行された。ハロウィン時代にも活躍したマイケル・キスクは再びヘヴィメタルの世界へと舞い戻り、"Time To Break Free"のヴォーカルを見事に演じて見せた。ここに完成したガンマ・レイの第4作『Land Of The Free』は、バンドの歴史における最重要作であり、ヘヴィメタル史を眺めても名を連ねるに値する大作である。カイ・ハンセンという一人の男が理想としたヘヴィメタル像が、自由を叫ぶ反逆者となって馴染みの荒野に舞い戻ってきた。帰還した男が手にしていたのは一本のギターであり、一冊のおとぎ話の本であった。そしてそのヘヴィメタルの歴史のように古臭い本が、本作『Land Of The Free』なのである。

*才能のあるラルフは、Primal Fear(プライマル・フィア)という新たなヘヴィメタルバンドで成功を手にして久しい。


1. Rebellion In Dreamland
"夢の国の反逆者"と題された壮大な大作。夢の国は我々の心の中に存在し、誰もがその自由な国を求めている。現実での反逆者が、夢の国を訪れるというのである。全体を包む神聖な雰囲気は、夜霧のように執拗に聴者を捉える。後の百ものバンドが後半の劇的な転調に従ったといわれる。
2. Man On A Mission
死ぬことも、生きることも、選択する自由がなければ意味を持たない。自由とは与えられるものであるのか。スピードメタルとオペラの流麗な融合であり、唯一無二の名曲をガンマ・レイは生み出した。
3. Fairytale
おとぎ話を現実にするべく我々は何か行動を起こすことはできる。雪崩込むようなスピードと相俟って、小曲でありながらも強烈なインパクトを放つ。
4. All Of The Damned
印象的なアルペジオのメロディで幕開ける。王は必ずしも市民の意思を考慮しているというわけではない。陰鬱な雰囲気の中にも聖歌的コーラスの優雅さが光る。
5. Rising Of The Damned
ピアノによる神聖なインストゥルメンタル。クラシカルであり、ファンタジー作品に登場する楽曲のような印象を受ける。前曲とタイトルが似通っているが……。
6. Gods Of Deliverance
神は時に人間を解放的な気分にさせてくれる。最も、信仰という縛りを与えるのだが。重厚なリフの壁が高揚感を誘発し、厳かなサビのコーラスで存分に聴かせる。中間部のハーモニーも良い。
7. Farewell
自由の地(Land Of The Free)への探求に赴く男を、叙情的なバラードで歌いあげる。幻想的な楽曲のように、その地は朧気に揺らめいているが、中には探求心に負ける者もいるであろう。
8. Salvation's Calling
オペラの音楽性が如何にガンマ・レイのヘヴィメタルに影響を与えているかが窺える。ガンマ・レイはオペラをスピーディにアレンジすることで、より充実した高揚感を手に入れることに成功したのだ。
9. Land Of The Free
マイケル・キスクがコーラスを歌う楽曲。サビの聖歌的な神々しさは、荒涼とした砂漠の中で理想郷を発見したような気持ちを抱かせる。また、その恍惚感は、自由を手にした探求者の歓喜であるかも知れない。崇高な名曲である。
10. The Saviour
"Land Of The Free"のエピローグ的なインスト曲。勇敢な雰囲気が身に沁みる。
11. Abyss Of The Void
遥か大昔から、人々は平民を神とまで崇めることを好んだ。興味深いのは、偉大な英雄ですら最初は我々と同じであったということである。精神的な雰囲気ながらも、高潔な薔薇のような美しさを合わせ持つ。重厚な聖歌隊コーラスが存分に生きているといえる。
12. Time To Break Free
マイケル・キスクが歌う。彼はシリアスな楽曲を歌うのを好まなかったのであろうか?すべての人間にある程度のユーモアは必要であるし、真面目である必要もないのだ。
13. Afterlife
死後の世界は、人間にとって永遠の謎である。メロディアスな作風は魅力的。
14. Heavy Metal Mania
以下はボーナストラックである。2002年のリマスター再販の際に新たに追加された。
15. As Time Goes By
ハードロック的な雰囲気も持つ。
16. The Silence ('95 Version)
名曲のライヴ・ヴァージョンである。



Review by Cosman Bradley
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インサニティ・アンド・ジニアス

GAMMA RAY the 3rd album in 1993 Release
★★★★★★★☆☆☆...(佳作)

ガンマ・レイの1993年発表の3rd。

前作『Sigh No More』(1991)での失敗からか、原点回帰ともいえるサウンドを提示したのが本作『Insanity And Genius』である。冒頭を飾る強烈な名曲#1"Tribute To The Past"が、ガンマ・レイのこの分野におけるオリジネイターとしての実力を物語る。カイ・ハンセン(g)も、自身に与えられたメロディック・パワーメタルの始祖としての使命を感じ取ったのであろう。この方向性を更に追求すれば、素晴らしい傑作が生まれる。そのような期待感をも抱かせる本作である。
"天才と狂気は紙一重"という言葉の如く、ガンマ・レイのカイとダーク(g:ディルク・シュレヒター)は対照的に目覚しい活躍を見せる。二人の才能がガンマ・レイを支えているといっていいであろう。カイが天才なら、ダークは狂気であろうか(笑)。
なお本作は他の6枚のアルバムと共に2002年にリマスター再販され、ジャケットの変更とボーナストラックの追加が行われた。12曲目よりボーナストラックに該当する。


1. Tribute To The Past
スペイシーなメロディック・パワーメタルを体現して見せた名曲。この宇宙的な世界観が後の作品に繋がったのかも知れない。歌詞の中にも古代神話の影響を覗わせる単語が登場したりと、ガンマ・レイの方向性が定まりつつある印象を受ける。
2. No Return
3. Last Before The Storm
4. The Cave Principle
5. Future Madhouse
6. Gamma Ray
BIRTH CONTROLのカヴァー。バンド名はここから命名された。ガンマ・レイという名前は、如何にもメロディアスなへヴィメタルバンドらしく良いと長らく思っていた。覚え易いというのも注目だ。
7. Insanity & Genius
8. 18 Years
9. Your Tørn Is Over
10. Heal Me
およそ7分に及ぶ、右腕ダーク・シュレヒターが生み出した傑作。神秘的なピアノの旋律に合わせ、メロディアスに、オペラティックに展開していく。宇宙的な世界観は"Tribute To The Past"と対を成すといっていい。恰も小宇宙のような、劇的なメタル・オペラである。
11. Brothers
12. Gamma Ray
13. Exciter
14. Save Us



Review by Cosman Bradley
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サイ・ノー・モア

GAMMA RAY the 2nd album in 1991 Release
★★★★★★☆☆☆☆...(凡作)

ガンマ・レイの1991年発表の2nd。

我々がガンマ・レイに求めていたのは平凡な、興奮のないヘヴィメタルであったのか?どうやらカイ・ハンセン(g)は、自らの音楽性に躊躇し、方向性を模索していたらしい。ストレートなメロディック・パワーメタルのファンは、本作『Sigh No More』のヘヴィネスを強調したサウンドに驚き、暗澹たる世界観に不安を覚えるであろう。名作にあたる前作『Heading For Tomorrow』(1990)のファンにとっては大きな痛手だ。バンドにとって失敗作は少ない方が良いに越したことはないが、それでも作品を発表する意味があったのであろう。
なお本作は他の6枚のアルバムと共に2002年にリマスター再販され、ジャケットの変更とボーナストラックの追加が行われた。11曲目よりボーナストラックに該当する。


1. Changes
2. Rich & Famous
3. As Time Goes By
4. (We Want) Stop The War
5. Father And Son
6. One With The World
7. Start Running
8. Countdown
9. Dream Healer
ガンマ・レイの陽気なイメージを覆すような、邪悪なムードが覆う楽曲。出色の出来。
10. The Spirit
11. Heroes
12. Dream Healer
13. Who Do You Think You Are



Review by Cosman Bradley
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ヘディング・フォー・トゥモロウ

GAMMA RAY the 1st album in 1990 Release
★★★★★★★★☆☆...(名作)

ガンマ・レイの1990年発表の1st。

すべてのメロディック・パワーメタルの始祖ハロウィンを脱退したカイ・ハンセン(g)が結成したバンドこそ、ガンマ・レイである。音楽性はスピーディなメロディック・パワーメタルにオペラ的要素を配合したオーソドックスなもの。後にこれがスペース・オペラになったりするのは、また別の話だ。
細分化されたヘヴィメタルのジャンルにも教科書があるように、本作『Heading For Tomorrow』はジャーマン・メタルの偉大な教科書である。ドラマティックなイントロダクション#1"Welcome"に始まり、スピーディな名曲#2"Lust For Life"へと流れる。次いでノリのいい#3"Heaven Can Wait"が響く。バラードの#6"The Silence"で哀愁に浸り、最後を飾るのは大作の#9"Heading For Tomorrow"である。完璧なアルバム構成が存在するのだとしたら、本作はそうなのかも知れない。古典的なロックの時代から受け継がれてきた様式美である。不朽の名作とは昔からこういうものだ。
なお本作は他の6枚のアルバムと共に2002年にリマスター再販され、ジャケットの変更とボーナストラックの追加が行われた。11曲目よりボーナストラックに該当する。


1. Welcome
本作の序曲。
2. Lust For Life
かつて七色のギターリフと形容されたメロディックなパートが印象的な名曲。ガンマ・レイのアンセムである。
3. Heaven Can Wait
ヘヴィメタルでありながらも、キャッチーな雰囲気を醸す楽曲。クワイアが良い感じだ。
4. Space Eater
5. Money
6. The Silence
名バラード。オペラティックな手法が取り入れられた楽曲であり、後のガンマ・レイに大きく通じる。
7. Hold Your Ground
8. Free Time
9. Heading For Tomorrow
超大作に値する壮大なメタル・オペラ。カイ・ハンセンはこういったヘヴィメタルをプレイしたかったのであろう。
10. Look At Yourself
11. Mr. Outlaw
12. The Lonesome Stranger
13. Sail On



Review by Cosman Bradley
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Ragnarok

TYR the 3rd album in 2006 Release
★★★★★★★★★☆...(力作)

フェロー諸島出身の正統派ヴァイキングメタル、テュールの2006年発表の3rd。


バルト海の荒波の如きリフ、喝采のようなクワイア、英雄的なクリーンヴォイス──神話の如き神秘的な緊張感が、我々を北欧神話の古き世界へと誘う。魅惑的なサーガ(英雄伝説)の世界がここにはある。そして、打ち寄せては返す潮のように、異教徒の楽譜は何処かから運ばれてくる。
伝統的な北欧民族の小島に住むテュールは、本作『Ragnarok』で実に魅力的な神話世界を描くことに成功した。それはユミールから巨人族が生まれたように、オーディンの死によって終わる。即ちテュールは8つの楽章から成る北欧神話の伝説を描き、神々の黄昏として知られるラグナロクによってすべてが死ぬ光景を表現している。上記のように、彼らの試みは見事傑作を生み落とし、ファニーさを粉砕するシリアスさで持って我々を押し潰す。
本作の緊張感は大人が楽しむべき極上のワインのような、濃密な時間を提供するものである。我々がワインのアルコールに酔うように、『Ragnarok』は勇士らの英雄的な行為の前に酔う。8つの楽章はドラマティックなインストゥルメンタルとエピカルなヘヴィメタルから構成されており、2曲を1セットとしている。勇壮な序章から導かれる映画のように、我々は8つの叙事詩を存分に楽しむことになる。そして最後に待ち受けているものは、映画がまさにそうであるように、圧倒的な感動である。テュールの場合、僅かばかりの哀愁が含まれていることも、考慮しておいた方が良いかも知れない。彼らは戦士であることを忘れていないのだ。


1. The Beginning
冒頭に書いた表現の根源。まるで大河のような、雄大なインストゥルメンタル曲である。
2. The Hammer of Thor
劇的な序曲に続くプログレッシブなヴァイキングメタル。複雑なリズムと透き通るヴォーカルを用い、夜空に煌く星々のような神秘的な世界を描く。これらの視覚的な情景は、天空に神々の居城があるという神話の筋道とも繋がる。
3. Envy
4. Brother's Bane
重厚なエピック・ヴァイキングメタル。クワイアの展開がヒロイズムを鼓舞する。
5. The Burning
6. The Ride to Hel
7. Torsteins Kvæði
8. Grímur á Miðalnesi
9. Wings of Time
重厚なミドルテンポ。朗々としたコーラスが長々と続く。この旋律は古い民謡であろうか。テュールの楽曲の旋律には似通っている箇所が幾つかあり、音階の起源は何れもヴァイキングの古謡であると思われる。
10. The Rage of the Skullgaffer
11. The Hunt
12. Victory
13. Lord of Lies
ペイガン的思想を感じさせる音階のメロディが印象的。他の楽曲に比べややファニーさも漂うが、これが終焉の前の饗宴ということも想像できる。サビのメロディは飛び抜けている。
14. Gjallarhornið
15. Ragnarok
神々の最終戦争が悲劇的であるように、楽曲も悲壮感を表現する。只ならぬ緊張感に包まれた楽曲であり、クワイアの壮大なスケール感はスクリーンを見ているかのよう。本作の集大成であろう。
16. The End



Review by Cosman Bradley
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Column the Column

volume 9. 23 April: 2011


 バルサゴスの"Beneath The Crimson Vaults Of Cydonia"(*)から得たビジョンから、私は地球の宗教が終焉を迎える様を想定した。それは既存の信仰対象に変わる神性が地球を訪れた際に巻き起こり、私達の知る世界を全く別のものにしてしまう可能性を秘めていた。


探索者:我々が長きに渡り宗教を起源とするあらゆる行為を強いられてきたように、その根本的な法則が変わることはないと考えられてきた。しかし、宗教が別の力ある異なった存在に移り変わることはあり得た。例えば、宇宙から齎される新しい知性のように。
コスマン・ブラッドリー:宇宙から飛来した新たな知性は宗教の概念を打ち砕くであろう。それらの存在によって、私達が信じてきたもの──あるいは「神」とも呼ばれる──の信憑性は大きく揺らぐ。キリスト教はイエスを神としたが、それを越える存在が未知の宇宙よりやって来る。そして、その時宗教は終わりを迎えるという。
探索者:その顛末が、バルサゴスの"Beneath The Crimson Vaults Of Cydonia"に記されていた。およそ二十億人のキリスト教徒が宇宙からの新参者を認めた時、神の存在は絶対的ではなくなる。即ち人類は、新たな信仰を得るであろうと。
コスマン・ブラッドリー:真相が何であれ、私達は長らく宗教に支配され続けてきた。遥か未来の世界では、現在の宗教──キリスト教、イスラム教、仏教──が如何なる影響力を持っているのか。またはバルサゴスが提示した滅亡史のように、未知の信仰が覇権を行使しているのか。何れにせよ、私達が信仰心から解放されることは永久にないようである。
探索者:遥か大昔、人類が最初に行った知的行為が神への信仰であった。得体の知れない先人達は、おぞましい顔面のトーテム像の前で祈りを捧げ、玄武岩の台座を鮮血で濡らした。信仰心のために、我々の先祖は団結した。我々は神によって聖戦をし、偶像を守護した。テンプル騎士団がエルサレムで発見した究極の秘密であるように、信仰者の集団は山脈の亀裂のような闇の中へと消えた。
コスマン・ブラッドリー:影の支配の時代はやがて終りを告げる。バルサゴスはそれを私達に示したに過ぎない。
探索者:我々の天命は短いが、原始人が木彫りの人形に祈るように、その日が訪れるのを待ちわびている。



*バルサゴスの第6作『The Chthonic Chronicles』(2006)収録。火星シドニアに眠る"暗黒銀河の妖蛆"が目覚めることにより、地球上の宗教が滅ぶ様を描く。
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Antediluvian World.


ここに記述された内容は、コスマン・ブラッドリー博士が過去に執筆した記事の再録である。



 現在私達が知り及ばぬ遥かな有史以前の世界には、まだ見ぬ大陸が多く存在していたことが言われてきた。これまでに、そのうちの幾つかは考古学の素晴らしい仕事によって解き明かされることとなった。神話上のイリオスの発見もその内の一つである。過去を顧みない私達が、一方で過去を追い求めることは奇妙なことだが、古代の失われた大陸は人類誕生以前の探求における数少ない手掛かりの一であることに変わりはない。
 皮肉なことに、悠久の太古の大陸を闊歩していた先人類は、私達の時代までにすべて死に絶えてしまった。故に私達は個々の想像を膨らませていくこととなった。私達の忘れやすい脳は、歳月の蚕食に耐え兼ね、過去の失われた文明の物的証拠を見出すこともなく、今ではこれらの古代世界が本当に存在したかさえ曖昧となってしまったのだ。
 人間が歴史の中で疑問を抱いてきたように、古代の神話や伝説に語られてきた偉大な大陸や強大な国家に対する好奇心がある。幸運にも、私達の手元には何世代にも渡って受け継がれてきた神秘の書物がある。これら大昔の作家達が残した文書の中には、時に重要な知識が含まれている。そう、失われた太古の叡智のように……。
 私は古代の大陸及び国家を探求してきた者だが、人類の愚行を繰り返さないように、ここにその記録を残しておかなくてはならない。それも皮肉たっぷりの文書ではなく、ごく簡潔にである。これらについての証拠があるわけではない。多くが想像の産物といってもいい。しかし同時に、これらの中に真実が隠されていることもあるということも忘れてはならない。


アトランティス…遥か大昔、大洪水以前の古代世界において、最強最大を誇ったとされる王国。絶え間ない地殻の変化によって、末期にはポセイドニスという島のみが残存していたという。しかし伝説では、約1万2000年前に大西洋の大海に没した。
ムー…原初の時代より存在していたという太平洋の巨大大陸。古文書にはル・リエーという別の名で記されている。私の知る伝説では、ここに人類最初の王国が勃興し栄華を極めたという。このムーも同様、10万年以上前に太平洋に没す。
レムリア…現在のインド洋に存在していたとされる謎の大陸。セレンディプという美しい王国があった。ムー大陸と同一視されることもあるため、レムリアはムー大陸のことなのかもしれない。
ハイパーボリア…古代ギリシャ語で「北風の彼方」という意味を持つとされる極北の大陸。現在のグリーンランドあたりに存在していた大陸だと言われているが、その場所はムー・トゥーラン半島があった場所である。大氷河の襲来によって訪れた氷河期によって壊滅したと伝えられるが、ハイパーボリアのエイボンが著した魔道書「エイボンの書」には、この大陸に関する興味深い記述がいくつも残っている。
ヴァルーシア…古代世界において栄華を極めたという伝説が残る、蛇人間達の王国が存在したという強大な大陸。最初の大陸とも呼ばれることがある。蛇人間とは人類誕生以前に地球を支配していた種族で、人類によって滅ぼされるまで、高度な科学力と知性を持っていた。ヴァルーシアは、現在の南ヨーロッパ、北アフリカのあたりすべての領地を治めていたという。
ロマール…極北で最大最強を誇ったハイパーボリアの王国が没した後、約10万年に渡り古代極北を支配したという伝説の王国。しかし、現在はどの伝説にも魔道書にも明確な記述は残されていない。ハイパーボリアの末裔の一部はここに逃れたともいわれている。
南極大陸…ピリ・レイスの地図による神秘的な逸話を含む。地球に最初に飛来した地球外生命体が人類誕生以前に作り上げたと伝えられる大都市が点在していたと伝えられる。その存在はもはや神話となり、私達の想像が及ぶ範囲ではないとされる。しかし、現在も南極大陸の氷に覆われた表面の下にその遺産が残っているかもしれないのである…、というのは何とも夢のある話だ。


 以上が私の記述した資料である。現在の地球の略図では、これらの大陸の足跡すら認めることはできない。多くの神話や伝承は信憑性のあるものなのか、私は半永久的に知ることがない。朧な歴史の影に優れた作家達の想像力が付け入る隙が生じたものなのか、私は存じ上げない。地球の神秘は宇宙の学問的追求であるかのように、人間が知るには巨大過ぎるのである。しかしこのように、太古のロマンや人類の真の起源を求めるという行為は、知性ある種族として当然のことなのではないかと、私には思えてならない。


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 ヘヴィメタルは夜に聴くのが恒例ともいえる。近所や家族に迷惑が掛かるのは必須だが、結局そのようなことは視野の外である。若者は怒りを発散する場を必要としてもがいている。
 現実とは異なった世界に浸り、楽しむ。映画と同じではないか。巨大なスクリーンでそれらを視聴するように、ヘヴィメタルもきちんとした機材で聴かなくてはならない。そして聴く作品も慎重に選ばなくてはならない。なぜならそのために、膨大な精神を削ることになるからだ。恰も作家が執筆で浪費するそれと似通っているのである。


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 本ブログの10000Hitを記念して、手持ちの短編小説を3編公開することとした。私の戯言に時間を割くことが出来て、なおかつ幻想文学が好きという方々は、恐らく楽しんでもらえると思える。またそうでない方々にも、何かの冗談めいた企画だと思って閲覧して頂ければ幸いである。そもそも、小説を執筆すること自体が冗談めいて、皮肉めいているのだが……。
 公開した物語のタイトルは以下の通り。誤字脱字は確認してはいるが、何しろ私の文章によるものなので、発見した場合は即座に伝えていただければ結構である。

・『The Light from Old Home』(故郷からの光)
・『The Lost Antediluvian Age』(失われた先史)
・『The Return to Old World』(旧世界への帰還)


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 Falkenbach(ファールケンバック)はドイツとアイスランド混合のシンフォニック・ヴァイキングメタルである。
 
 荒涼としたバルト海が北欧の叙事詩を物語っているように、彼らの描き出す音楽は深遠なものである。よく真性ヴァイキングメタルという言葉を耳にするが、ファールケンバックはそれに値するであろう。海のさざ波の如く、彼らの楽曲はゆったりとした軌跡を描き、叙事詩的に異教徒の歴史を語りかけてくるのである。




◆参考作品◆
Tiurida
『Tiurida』(2011)は従来のファールケンバックの音楽性に忠実な作品である。曲数は少なくとも、楽曲の充実は素晴らしいものである。およそ5年振りの新作にファンは嬉しい限り。



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Epic Heathen Metal.


我、死者の国を影のごとく彷徨う

 ムーンソロウはフィンランドのシンフォニック・ヴァイキングメタルである。叙情的なサウンドに重厚なケルト旋律を加味した音楽性は、本国でも一部の層に人気がある。完成度の高い叙事詩的な長編作品を発表しながらも、日本の市場からは遠ざかっていた彼らにようやく光があたることとなった。ムーンソロウの作品で第6作にあたる本作『我、死者の国を影のごとく彷徨う』(2011)は、より広いファン層を獲得することは確実であろう。
 今回の国内盤発売という朗報を、私が知るのは後になってからのことであった。国内盤最大の利点である歌詞の対訳、更にインタビューをも収録した本作は、国内盤の発表が如何に我々にとって意味のあることなのかを雄弁に物語っているといえよう。自ら翻訳するのは時間がかかるし、誤訳の場合もある。バンドの伝えようとしている内容を読み取ることは重要である。特にエピカルなヘヴィメタルのファンにとっては、作品の概要を知ることでより深い理解を得ることを望んでいることは、過去の資料から既に明らかである。楽曲のテンポやチャートの順位で好みを左右される時代は、確実に終わりを告げようとしている。本作の収録曲は以下の通り。

1. 星なき闇
2. 滅びの地
3. いにしえの民
4. 飢餓と披露と絶望と…
5. 永久の叫び
6. 死せる者
7. 死者の国


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 本ブログの全記事数が300を越えていたことは、私も気づかないことであった。膨大な数のブログが制作され、日々更新されていく中で、この数は決して多いとは言えないであろう。かつてスパルタの300人の兵士がペルシアのおよそ100万の大軍(*)に立ち向かった際、レオニダス率いる勇士らが感じたであろう感情を、私も感じている。数は決して多くなくとも、兵士の質は違う。実際にスパルタの兵はそうだったわけだが、このブログの記事に関しても、数分で書き終えてしまう日誌とは異なった充実した内容を含んでいると思うことは、私の苦労に対してそのようであってほしいが、真相はどうなのであろう。何れにせよ、ここに選りすぐりの300の記事が集まったわけだ。これを400、500、果ては1000まで拡大させることが出来れば、このブログは良い図書館となるであろう。


*現代の優れた調査の結果が語るには、クセルクセス大王の陸軍はおよそ30万であったという。スパルタの兵士が数万の敵を殺したことは、古代の文献が物語るに真実らしい。
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 右プラグインに投票ボックスが追加されていたことに気付いたのであれば、本ブログの立派な読者といえよう。手持ちの様々な資料を公開する方向性で開始したこのブログも、そろそろ読者の意見を参考にしなくてはならなくなった。私が他人の目線を気にするとは珍しいこともあるものだ、と思った方もいるかも知れないが、自分の主観で書いてきた記事に変化を持ちこむため、外部からのインスピレーションを受けることにしてみたのである。実のところ本心では、少々記事を書くのが難航してきたためと、常に似たような内容──俗に言う「ランニングワイルド症候群」である──に退屈してしまったからに他ならない。投票された意見は貴重な資料として、慎重に考慮し参考にさせて頂く。
 記事の難易度について少し明かしておこう。最も簡単な記事は、動画を貼り付けるだけの「ヘヴィメタルの動画紹介」である。制作時間は約10分程度に過ぎない。逆に時間を必要とし、疲労と精神を擦り減らす記事は「ヘヴィメタル作品のレビュー」である。時間はレビューするバンドによって大きく変わるが、最大で2時間以上かかったものもある。特にバンドの作品を聴き込む必要があるし、情報が少ないものに関しては調べなくてはならない。また調べた情報が間違っている場合もあるため、後々訂正する場合もあるのである。とうとうレビューに疲れた私は、今やこのブログの大きな特徴となって久しい「ヘヴィメタルに関するコラム」を開始させたのである。様々なコラムは、他のヘヴィメタルサイトと大きく差別化を図るばかりか、私自身のアイデアも相俟って、非常にユニークな息抜きとなった。私はコラムを更に拡大させ、「幻想文学に関するコラム」や「短編小説」をも産み出した。それらはエピックメタルの記事と深く関わり合うのと同時に、私の趣味をも網羅していたのである。
 かくして、続いてきた『METAL EPIC』だが、更なる飛躍の可能性が以外にも投票にあるかも知れない、ということをご理解願いたい。なお、投票の多い分野は優先的に執筆していくつもりである。結果によっては、奇抜な記事が多く生まれることになるかも知れない。最も、地下エピックメタルのようにカルト的なこのブログに対し、過度な投票が行われないことは、私が一番よく分かっていることである。


追記:現在プラグインに対する「投票」タグの設置期間は終了し、下記の表記みのからの投票が可能となっている。







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 この地帯の気候には度々うんざりするものがある。既に私達にとって馴染みの深い北欧の冷ややかな気候や、荒野の荒涼としたツンドラの気候が懐かしい。恰も悪意を抱くように、陰鬱な空を私はよく目にした。積乱雲の如き黒檀色の雲が空を覆い、精神に暗い影を落とした。太陽の光は私達を焼き尽くす凄絶なものだし、亜熱帯に近い熱気は生気を奪い去る。時に生ぬるい雨が振る様は、気味の悪い感触を覚えさせる。全身に纏わりつく粘つく霧のように、これらは永久にこの地に住まっている。
 私の周りには常に騒音があって、静寂を祈る。精神を落ち着かせるために私は静寂を必要としたが、その望みは無駄に終わった。人々は戯言を口にし、堕落と頽廃は這い寄るように染み付いた。身体に残る斑模様の斑点は、その不気味さを巧妙に隠している。私はそのような人々が築き上げた都市を目にしたが、眩暈のする建築様式に気が滅入った。それらは決して歪んだものではないのだが、あまりに芸術的に稚拙で、大地に聳え立つに堪えないものなのである。人類の美は葬り去られたに等しいのではないか。私が追求した世界は、偉大なアトランティスが海底に水没したように、永久に深海で眠っているのである。


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 これ以上MDを買う必要はなくなった。長いことMDに頼ってきたが、結局CDでヘヴィメタルを聴くのが最も適しているのだという結論に辿りつくのである。MDは確かに優れたものであった。今ではすっかり廃れてしまった商品だが、この小さいディスクのために様々な場所で音楽を楽しむことが出来た。インターネット上でMP3音源がダウンロードできるようになった今日では、これらの役目は終わりを告げようとしている。時代に取り残された品々が陳列された社会というコミュニティの中で、どうやらレコードやCDだけは生き永らえる傾向にあるようだ。音質的に最もレコードが突出しているが、それに次ぐのがCDであろう。お気に入りのCDを大切に保管し、MDに書き込んで聴く、という考えはもはや過去のものとなったのである。
 年老いた者ならば誰もが考えることであるが、もっと人生を謳歌していればよかったと思うであろう。ならば音楽も最高のもので聴きたいというのが当然の欲求である。それが私の場合はCDであり、MDを棚の奥にしまい込むことなのだ。CDの膨大なコレクションは使用してしまっては価値が劣ると考える向きもあるであろうが、我々は『指輪物語』のエルフとは違い定命の時間を生きている(ここで言いたいのはコレクションなど木乃伊には何の価値もないということだ)。最良の方法を探すことは自然法則に乗っ取った行動である。そして音楽にとっての最良の方法とは、MP3ではなくCDを用い、整えられた機材で静寂に浸りながら拝聴するということなのである。


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