Epic Metal; Review Fan Site.
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 時代を経て、白黒のスクリーンは3Dの立体的な映像を映し出すようになった。VFX(*)やCGの斬新な仕事は映像をよりリアリティのある視覚的なものへと変化させ、不可能な表現が可能となった。頻繁に"映像革命"が起こり、ダイナミズムを極めた映画が生み出された。戦後の人々にとって映画は唯一の娯楽であったが、時代が平和になるにつれ、映画の描く世界観も変化していった。単なる娯楽的な内容は徐々に薄れていき、壮大な思想や文化、社会的メッセージを含むようになったのである。 
 太古の神話や伝承がそうであったように、エピックメタルで映画作品が題材とされるのは常であった。彼らは映画の真実味のある内容に目を付けたのである。題材となったのはヒロイックな内容を含む一連の作品群であった。主に『Conan the Barbarian』(1982)、『Highlander』(1986)、『Gladiator』(2000)、『The Lord of the Rings』(2001)等がエピックメタルの歴史で実際に用いられた。これらは過去の世界や異なる世界に遡り、現代と比較することで人類の世界を再確認するというものである。また、人類が見逃しがちな神秘に目を向けるきっかけとなる内容も持ち合わせていた。彼らは映画における変化に気付いていたのである。
 映画における変化は、西部劇に顕著に表れた。ジョン・フォードに代表されるアメリカの正統派西部劇(Classic Western)は、正義の保安官が悪のガンマンを倒し、町の秩序を守るという勧善懲悪であった。イタリアのセルジオ・レオーネを代表とするマカロニウエスタン(Spaghetti Western)の登場は画期的であり、アメリカやメキシコの黒歴史を描き、人間の本質を射抜いていた。レオーネ作品での西部劇が娯楽を超越した方向性を見出していたことは明白であった。アメリカの人々は決して勧善懲悪には収まりきらない西部劇に驚愕した。50年代から60年代にかけて西部劇は変化し、内容は著しく視聴者の感情を揺さぶるようになった。大衆は娯楽としての映画ではなく、思想や啓示の発信源、異文化の触れ合いを目的として映画を捉えるようになっていったのである。
 21世紀の映画作品は、根底的な人間性に訴えかけるものが多くなった。真実を追求しているのである。それはどの作品にも顕著であるが、巨額の製作費を投じたハリウッド作品ですら、スペクタクルなその方向性を見出している(ハリウッドが手掛けた『Ben-Hur』(1959)はその先駆けである)。人々が映画に求めるテーマが変化していった結果、映画の描く世界観は深淵になったのである。「映画は娯楽のみではない」この思想は音楽にも共通するものである。


*Visual Effectsの略。CGとは異なる非現実的な視覚効果を表現する際の技術力を指す。『スター・ウォーズ』、『ハリー・ポッター』を手掛けたILM社が有名。
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Other Books...




 様々な分野の書物を集めるのが趣味であった。幻想文学を筆頭に、コレクションは考古学、宇宙論、中世文学、ギリシア哲学にまで至る。未読のものは非常に多く、至る個所に黴や蜘蛛の巣がこびり付いている。蔵書を整理しようものなら、埃との格闘は避けられない。これらの本は何れ読まなくてはならないが、未だに手を付けられていない現状にある。そう、ここにあるように、グラハム・ハンコックの著書も読まなくてはならない……
 行き当たった結論として、極めて優れた博学な書物のうち、私が何度も読み返し、貴金属のように大切に保管しているものはクラーク・アシュトン・スミスやロバート・E・ハワードの作品のみである。これ意外に必要な書物はないとまで思えるほど、彼らの作品は希少な価値があり、内容は芸術性に富んでいる。エピックメタルにおいてヴァージンスティールやバルサゴス、ドミネの作品以外を聴く必要がないように、スミスやハワードの作品以外に読む必要のある書物は少ない。私にとっての聖書は、他でもない過去の作家達の遺産なのである(詳細に記載するのならば、創元推理文庫より出版されたスミスの作品群にあたる)。それらの傑作集については、何れここで紹介することになろう。


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 最初に書いたコラムが「エピックメタル・ヒストリー」のヴァージンスティールであったことは忘れることが出来ない。この記事は非常に稚拙な文章で書かれ、これまでに何度も加筆・訂正した。『EPIC WAR』に納まった今も、内容には納得できていない。 
 このブログで記事を書き続けるうち、文章力や表現力はまともになった。私の原点は曖昧な代物だが、残しておく意味はあるかも知れない。最も私は、可能な限り充実した内容のコラムを読者に提供することを第一に考えている。この矛盾は否めない。


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JuglarMetal (Official)



Country: Spain
Type: Full-length
Release: 2006
Reviews: 84%
Genre: Epic Folk Metal


スペインのエピック・フォーク・メタル、サウロムの2006年発表の4th。


バンド名を「Saurom Lamderth」から「Saurom」と改名して発表に至った本作『Juglar Metal』は、見逃すことのできない内容を多く含んでいる。まず本作のサウンドであるが、過去の作品で民族楽器を多用してきた作風がよりパワーメタル然としたものへと変化を遂げた。これらは伝統的なエピックメタルの血脈としてドイツのブラインド・ガーディアンの部類に数えられるものとなろう。叙事詩的な欧州ファンタジーの世界を題材とし、時に魅惑的な中世の民謡を織り交ぜながら、劇的なエピック・パワーメタルを展開していくスタイルこそが、この血統のサウンドの特徴である。「森の精霊」、「モルドールの軍勢」と題されたクワイアの編成隊を率い、今作においてサウロムは急速にこの分野に接近することとなった。そしてこの変化こそが、サウロムの創造するエピックメタルを飛躍的に洗練させる結果になったのである。彼らは過去に傑出したエピックメタルの名盤を三枚残したが、更に大化けする可能性をも秘めている。サウロムは、未来のエピックメタルを担っていく存在になるであろう。

叙事詩的なヘヴィメタルの歴史を振り返るよりも遥かに古く、中世の歴史は脆く膨大なものであった。数多の叙事詩が数世紀のうちに紡がれ、芸術と共に中世の時代を彩ってきた。伝説の担い手である騎士らは君主のために戦い、名もなき詩人らは後の時代にそれらの物語を語り継いだ。その歴史の語り部の中に、奇術師(Juglar)と呼ばれる者らがいた。吟遊詩人と異なる彼らは中世ヨーロッパの伝説の語り手であった。情熱的なラテン圏で奇抜な催し物が重宝されているように、奇術師はナイフによる舞踏、空中曲芸、手品を得意とした。名のある奇術師は、レコンキスタにおけるスペイン最大の英雄エル・シッドの結婚式にも招かれた。
爾来、久遠の歳月が過ぎ去ったが、時が忘れ去る叙事詩とは異なり、奇術師の役割が失われることはなかった。吟遊詩人の血脈は主にドイツや北欧で見出されたが、スペインでは奇術師がその役割を担った。サウロムは中世時代の奇術師の役割を引き継ぎ、現在に至っている──



1. Las Tropas del Génesis
叙事詩的で不穏な幕開けが、新たなサウロムの時代を物語る。スピーディなリエピック・リフに雄々しい歌声、サビでの壮大なクワイアを駆使し、妖艶な一大エピックメタルを築きあげる。サウロムの秘めたるポテンシャルは尋常ならざるものである。
2. Krisâlida
トライバルなリフを用い異国情緒を歌いあげる。急激にメロディックになったサウンドは、サウロムを大きく飛躍させた。女性ヴォーカルの配置も素晴らしい。
3. Missa Pro Defunctis
シンフォニックさに加えつつ、デスヴォイスも用いた多彩な楽曲。ファンタジックであることは変わらず、ヒロイックなムードを醸し出す。
4. La Batalla con los Cueros de Vino
サウロムが得意とするバグパイプをイントロに用いた娯楽的な楽曲。中世の奇劇とでも表現すれば分かりやすいかも知れない。
5. La Musa y el Espíritu
オリエンタルな旋律を用いた異国的なエピックメタル。歯切れのいいリフに魅惑的な女性ヴォーカル、ヒロイックなサビ、踊るフルートと中東のサーカスのような内容である。
6. Dracum Nocte
幻想的な異国情緒に奇抜なヒロイズムを混入した傑作。こういった楽曲はサウロム以外からは決して生まれないであろう。
7. Dioses Eternos
メロディアスなギターの旋律に追尾する笛の音色が印象的。ヒロイックな雰囲気は相変わらずである。
8. Estrella sin luz
ファンタジー映画に頻出するような牧歌的な楽曲である。
9. La Taberna
1st『El guardián de las melodías perdidas』(2001)収録の"Fiesta"(フィエスタとはスペインの祝祭を指している)に類似する楽曲。笛が乱舞する別ヴァージョンともとれる。ここまで劇的に変わるものかと思わずにはいられない。まるで妖精の演舞である。
10. Marcha Inca
愉快な雰囲気が漂うイントロダクション。これは蛇足か。
11. Historias del Juglar II
前作『Legado de juglares』(2004)のエピローグの続編。元来魅惑的であった旋律がある程度の速度を得たことにより、高揚感をも誘発する楽曲に生まれ変わった。


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A Flame to the Ground Beneath



Country: Sweden
Type: Full-length
Release: 2003
Reviews: 89%
Genre: Epic Power Metal


スウェーデンのエピック・パワーメタル、ロスト・ホライズンの2003年に発表された2nd。


新たに二人のメンバー、フレドリック・ウルソン(g)とアティラ・パブリック(key)を迎え6人編成となったロスト・ホライズンが満を持して発表に至ったのが本作『A Flame To The Ground Beneath』である。屈強なサウンドと戦士的なイメージによる増大効果で不動の地位を獲得した前作『Awakening the World』(2001)は、エピカルなピュアメタル史に残る一大傑作であった事実は疑いようがない。彼らはヘヴィメタルで確固たる自由の意志と信念を物語り、それが多くのファンを魅了したのである。崇高なエピックメタルの使者であるロスト・ホライズンの突然の出現は、まさに奇跡であった。
広大な宇宙の叡智を身にまとい、今作でより重厚かつ複雑になった楽曲群は、前作以上に緩急あるドラマを描いている。宇宙観並びにSF映画、スペクタクル映画に連なるスケール感をも感じさせる本作は、ロスト・ホライズンが如何に様々な世界を舞台に楽曲を作り上げているのかが伺えよう。特に#8"Highlander (The One)"は特筆に値し、映画『Highlander(邦題:ハイランダー 悪魔の戦士』(1986)からの影響が顕著である。この映画の世界観が直接ロスト・ホライズンの描く世界のメイン・テーマとなっているといっても過言ではない。劇中の戦士ラミレスが語るが如く、彼らはこう言っているのだ「宇宙の自由を感じろ。地球の息吹を感じろ。それが真実だ」ロスト・ホライズンの楽曲から溢れだす巨大な活力は、人間の生命力を表現しているのに他ならないのである。



1. Transdimensional Revelation
宇宙的なサウンド・エフェクトが印象的なイントロダクション。
2. Pure
"純粋さ"という言葉は彼らの楽曲の中で重要な意味を持っているのである。力強く戦士的なヒロイズムが炸裂する点は前作に通じる。
3. Lost In The Depths Of Me
約9分に及ぶ大作。恰も何世紀にも及ぶ戦士の探求のように、雄大に、延々と悲哀の宿るドラマを描き出す。
4. Again Will The Fire Burn
シンプルにまとまっていながらも、エピカルな世界観を表現するのに成功した佳曲。ダニエル・ハイメン(vo)の声は宇宙の深淵から我々の耳に届いているかのよう。
5. The Song Of Earth
イントロダクション。
6. Cry Of A Restless Soul
壮大な宇宙のイメージを体現し、地球に対して魂の叫びを上げる壮絶な名曲。宇宙の虚空から放たれたかの如き強烈な波動が驚異となって襲いかかる。この楽曲のおよそ8分は、ヒロイズムがもたらす高揚と恍惚の極みにある。
7. Think Not Forever
勇壮なメロディに神秘的なキーボードが絡む。本作が前作より確実にメロディアスになっていることは疑いようがない。またサビの壮大なラインも魅力的。
8. Highlander (The One)
12分に及ぶ大作。高地のハイランダーに自由の象徴を見て取る。
9. Deliverance
エピローグ的なイントロ。ほぼ無音。


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The Tales

from 2015.06.14...

──過去に執筆した小説のリスト。



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Circle of Life

Freedom Call the 4th album in 2005 Release
★★★★★★★★★☆...(埋もれた名作)

ドイツのエピック・パワーメタル、フリーダムコールの2005年発表の4th。

忍耐力が必要なヘヴィメタルのアルバムがあるかも知れない。アルバム開始から無言で机に座して視聴し続け、盛り上がる場面で一気に解放されるのである。例えばエピックメタル作品にはよくある、コンセプトアルバムというやつだ。そのような作品は冒頭を聴いただけでは魅力が完全に理解しきれないのだ。
そしてここに無造作に置かれたフリーダムコールの第4作『The Circle of Life』についても、忍耐力が必要な作品なのである。冒頭の楽曲は#2"Carry On"を除き、従来のファンを納得させるには至らない。ヘヴィメタルファンが最も恐れていることはバンドの方向性が変わることであり、ヘヴィメタルバンドでなくなることだ。その点において、ドイツのグレイブ・ディガーはいい例であろう。『The Circle of Life』は前半に耐えきれば(そのような作品があるとして)、至福の時間が訪れる。それは#6"The Gathering (Midtro)"のドラマティックなイントロダクションから始まり、ようやくフリーダムコールのオペラは幕を開けるの。後は、充実と精錬の極みにある彼らのファンタジー世界に酔いしれ、陶酔し尽くせばいいだけなのである。最後に、日本盤の素晴らしいアコースティックのボーナストラック2曲#13"Freedom Call"、#14"Hymn to the Brave"の存在と、私は本作を特に好んでいる事実を記しておこう。


1. Mother Earth
よく聴くとそれほど悪くもないことに気付く。
2. Carry On
明るさに満ちた典型的なフリーダムコールの楽曲。
3. Rhythm Of Life
ヘヴィかつパンク色すら感じる点は、確かに我々の抱く"フリーダムコール像"と異なる。いかなるバンドにもイメージは存在しており、変化が生じると批判の対象となるのである。そういった批判をする者らを保守的と呼ぶ声もあるが。
4. Hunting High And Low
メロディックなシャッフルが特徴的。
5. Starlight
現代的なキーボードの旋律は非難の対象か。
6. The Gathering (Midtro)
王国調の壮大なイントロダクション。以降、楽曲の質は劇的に変わる。
7. Kings & Queens
ヒロイックな疾走曲。オペラ調の中間部は特に素晴らしい。
8. Hero Nation
壮大なミドルテンポ。クワイアのスケール感が圧倒的である。哀愁に満ちた中間部の展開も一聴の価値がある。
9. High Enough
ヘヴィメタルらしい重厚なリフを用いながらも、欧州特有の哀愁を巧みに混入した佳曲である。これは特筆すべき進化であろう。
10. Starchild
幻想的な雰囲気と勇ましい雰囲気を兼ね備えた名曲。中間部のソロはメロディックメタルファンを自負するならば必聴。彼らは独自のファンタジー世界を極めた感がある。
11. Eternal Flame
フリーダムコールの世界観は冬の世界に傾向したファンタジー色が強いが、時としてそれは素晴らしい幻想を生み出す。雪はファンタジーにとって伝統的なシンボルの一つなのである。
12. Circle Of Life
タイトルトラック。神妙さすら漂う。最後のコーラスが余韻を残し、エピックメタルバンドとして高い評価ができる。


Review by Cosman Bradley
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Eternity

Freedom Call the 3rd album in 2002 Release
★★★★★★★★☆☆...(傑作)

ドイツのエピック・パワーメタル、フリーダムコールの2002年発表の3rd。

本作『Eternity』は、多くのメロディックなヘヴィメタルのファンが絶賛しレビューを惜しまないため、私が書くことは少ないようである。作品として多数のレビューが行われる場合は、対象が特に優れているか、もしくはその逆であるのかの何れかである。そして本作は前者のようだ。
クリス・ベイ(vo、g)のファンタジーに対する探求から始まったこのフリーダムコールも、ようやく全盛期を迎えたと述べることが出来る傑作を生み出した。『Eternity』はヘヴィメタルにおけるエピカルな側面と時に攻撃的な側面を平均的な比率で融合させ、完成に至った作品である。劇的なヘヴィメタルのファンにとっては嬉しいことに、聴者を絶えず驚かせる斬新な手法にも満ち溢れている。クワイア──それは今作でも全編に用いられている──と交響曲による劇的な#1"Metal Invasion"はまさにその典型といえよう。
今作品の持久力も見逃してはならない。充実の楽曲が作品の後半まで継続されることは、ファンにとっては信頼に値するであろう。彼らは10番目の楽曲に素晴らしい名曲を提供するとよく言われるが、今作でもその噂は本当であった。#10"Island Of Deams"はファンタジーの恍惚を齎し、#11"Turn Back Time"は映画を鑑賞した後の如き強烈な余韻に浸らせてくれる。今作は間違いなくフリーダムコールが残した最大の功績となるであろう。


1. Metal Invasion
壮大なイントロダクションを伴った名曲である。疾走感もあり、冒頭としては最高の部類に入る。
2. Flying Home
前半はとにかく攻める。時に北欧的な哀愁も絡め、煌びやかな疾走を続ける。
3. Ages Of Power
強力な展開と勇壮さを発散する。サビは力強さに満ちている。
4. The Spell
イントロダクション。
5. Bleeding Heart
ファンタジックなキーボードとピアノが使用される。本作はキーボードの多用についても触れておくべきであろう。
6. Warriors
勇壮なクワイアが放つ飛翔感が特に印象的。
7. The Eyes Of The World
ヒロイック極まりない楽曲。ファンファーレと疾走感、クワイアが恰も円卓の騎士の如く一同に会した時のテンションは凄まじい。前作『Crystal Empire』の#6"Call Of Fame"に通じるかも知れない。
8. Fame In The Night
行進曲調でかつ聖歌隊を彷彿とさせるクワイアが幻想の世界へと導く。
9. Land Of Light
ファンファーレが特徴的な楽曲。タイトルの如く、彼らの楽曲は光に満ち溢れている。
10. Island Of Deams
完成度は本作の中では最高か。疾走するファンタジックなメロディに高揚感を覚える。
11. Turn Back Time
アコースティカルなバラード。御伽噺のような雰囲気が漂う。


Review by Cosman Bradley
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Crystal Empire

Freedom Call the 2nd album in 2001 Release
★★★★★★★★☆☆...(好盤)

ドイツのエピック・パワーメタル、フリーダムコールの2001年発表の2nd。

「D&D」や「conan」等のアダルトなファンタジーを期待するのなら、フリーダムコールの第2作『Crystal Empire』を選択したことは間違いとなる。天上の黒雲を突き破って大地に注ぎ込む光の如く、彼らの奏でるメロディは明るい。それは冒頭の#1"The King Of The Crystal Empire"から期待感を煽り突入する#2"Freedom Call"への流れで既に明らかだが、こういったファンタジー世界もないではない。
彼らの世界観を具体的に表現する際に、児童ファンタジーという言葉が頻出するように、フリーダムコールが描く世界は生易しいものである。しかしながら、その利点として働く要素は、地下世界で長らく視聴され続けてきたカルト的なエピックメタルを受け付けない向きには、エピックメタルの手始めとして今作を手に取るのもいいかも知れない。また単純に、ガンマ・レイ等に連なる勇壮なパワーメタルに魅力を感じるなら、本作の出来は満足いくものであろう。キーボードやクワイアを多用したヘヴィメタルサウンドは今日では少なくないが、その分野のクオリティにおいても、フリーダムコールは一際優れている。


1. The King Of The Crystal Empire
児童向け冒険小説のような好奇心を煽るイントロダクション。
2. Freedom Call
バンド名を冠した名曲。疾走する煌びやかなメロディが特徴的。
3. Rise Up
勇壮かつメロディアスな楽曲。本作の完成度の高さを物語る。
4. Farewell
5. Pharao
不穏なパートが印象的だが、クワイアの壮大さは相変わらず。
6. Call Of Fame
本作中最も勇壮な楽曲。クワイアが圧倒的なヒロイズムを誇る。
7. Heart Of The Rainbow
8. The Quest
大作。不完全燃焼であることは否めない。
9. Ocean
フリーダムコールの明るい世界観をよく表現している。
10. Palace Of Fantasy
集大成ともいうべき内容。勇壮なギターワークに対するクワイアの混入は見事。本作は名曲が多く収録されているが、この楽曲は抜きん出ている。
11. The Wanderer
欧州の古謡的なバラード。小国の宴とも表現できるかも知れない。


Review by Cosman Bradley
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 半年振りに「The Reviews」の欄を更新。過去のレビューを1作品ずつ閲覧できるように変更した。まだ未リンク状態の作品は、今後レビューされる予定なので、是非とも楽しみにしていただきたい。
 ブログ開設初期のレビューと現在のレビューでは内容が大きく異なっているが、それも今後改善の対象となる。最終的には、レイアウトや内容の完結したへヴィメタルの完全なレビューが出来上がるだろう。



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The Eldritch Dark




 偉大なる作家の死から50年の歳月が流れた。自然の摂理なる時の蚕食によって朽ち果てた文化や遺物は数多いが、美と頽廃の芸術に彩られた幻想の物語群は朽ち果てることがなかった。68年という生涯に渡り、詩や小説、彫刻や絵画といった様々な芸術に対し類まれなる才能を開花させてきたクラーク・アシュトン・スミスの残した物語が、時代を越えて過ぎ去った悠久の太古の出来事を物語るように、真に素晴らしいものは永久に朽ち果てることがないのである。
 スミスの数多の傑作短編は1930年代に殆ど執筆された(徹底した描写のために長編は描かなかった)。ちょうどこの頃、かの有名な『ウィアード・テイルズ』誌が刊行されて全盛を極め、H・P・ラブクラフトやR・E・ハワードらが活躍していた。詩人ジョージ・スターリングの弟子でもあったスミスは、若き天才詩人として名を馳せていた。ラブクラフトは偶然にも友人から手渡されたスミスの詩集に深い感銘を受け、文通を通して幻想文学の執筆を強く勧めた。
 師の自殺を転機に、スミスがこれに応えるのは1929年からで、『ヨンドの忌むべきものども』(1925)はスミスが最初に執筆した幻想小説となった。1929年から1935年までの間にほとんどの小説が執筆され、大部分が『ウィアード・テイルズ』に掲載され人気を博した。その後は両親やラブクラフトの死(*)に絶望し、次第に筆先は鈍くなっていった。晩年のスミスは新たな表現方法として彫刻を見出し、小説に劣らぬ数多くの作品を残した。1961年に息を引き取った芸術家クラーク・アシュトン・スミスは、寝室で眠ったまま逝き、長らく夢見た理想郷へと旅立った(伝説では、スミスは本当に幻夢境に行き今なおその場所に住んでいるのだと囁かれている)。
 博学なスミスの理想は、常に遠い時代の国々に向けられていた。「黒の書」として知られる小説の概要をまとめた覚書には、スミスが追求した燦然たる世界の物語が記述されており、それがやがて様々な小説となって完成した。ハイパーボリアの連作では荒涼とした太古の世界を驚嘆すべき描写で描き、アトランティスの最後の島ポセイドニスの妖艶なる逸話も創造した。幻想小説には、中世フランスのアヴェロワーニュや宇宙を舞台とした奇抜な発想のものまであったが、スミスが終ぞ理想郷としたのは超未来の大陸ゾティークであった。幼い頃から『アラビアンナイト』等の東洋文学に触れ、異国の魅力に取り憑かれたスミスは、理想の東洋趣味の王国を創作することに思い当った。そうして誕生したのがゾティークであり、そこに描かれた朧気な世界観は今なお知的な人々を魅了してやまないのである。
 ハワードの小説のテーマが"文明の興亡"であったのに対し、スミスの小説のテーマは"理想郷の探求"並びに"人類の皮肉"であった。そしてスミスは太古の魔術師の如く言語を巧みに操って、その両方を完成させるに至った。残された遺産は読者に眩暈を誘発させ、異国の恥美世界への扉を開いてくれる媚薬のような役割を担っているのである。
 スミスの小説は驚嘆すべき幻想に満ち、優美に包まれた毒を欲する。これからも多くの人々がスミスの理想郷を訪れることであろうが、そこで見出されるのは現実という世界の裏側で隠れるようにして蠢いている、我々の真の無意味さや愚かさに他ならないのである。

Metal Epic, Aug 2011
Cosman Bradley



*H・P・ラブクラフトとスミスの父親は、同年の1937年に永眠した。
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 ここでヘヴィメタル関連の記事を執筆する傍ら、私は小説の創作も頻繁に行っている。以前扱ったように、私の描く小説の分野は幻想文学である。短編小説が専ら私の得意分野であり、これまでに過去の作家の影響を受けて、未熟ながらに執筆活動を続けてきた。
 今回はその中から、幾つかの短編小説を『EPIC WAR』に掲載した。「Fantasy Literature(幻想文学)」という欄を新たに設けたので、幻想文学の世界に触れていただければ幸いである。今後も私に寛大さがある限り、掲載は続けていく予定である。
 物語の趣旨を説明しておくと、小説には私自身が追求した太古の世界の出来事が描かれている。私は"神秘の時代"という言葉を頻繁に用いてきたのであるが、その世界が終ぞ私が追求した分野なのである。その中でもお馴染みのハイパーボリアは、私が最も描くことに力を入れた世界である。ハイパーボリアの物語はスミスやバルサゴスに影響を受けているのは言うまでもない。それらのことは別の機会に詳しく語りたい。例えば、幻想文学の特集を組んだりして……。では今後も想像力が失われないことを願って手短に終わるとしよう。


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 ここにヴァージンスティールのマリッジ三部作の最終部『Invictus』(1998)のレビューが遂に完成し、私の目標は達成された。苦労はあれど、私はこれらの作業をやり遂げなければならなかった。そうすることが必然的であったように、彼らの歴史を再び辿ることで、新たに得ることもあった。
 例えば歌詞である。エピックメタルという分野の場合、ほとんどが輸入盤のために、歌詞を翻訳している時間があまりない。長らくそれは私にとって致命的な欠陥となっていた。エピックメタルでは、楽曲に表現された内容が、音楽性以上に重要となることもある。レビューとは作品を更に理解するきっかけの一つであって、書いている側にも、読む側にも利点があるのである。
 今回、ヴァージンスティールの物語を辿っていく際に、私は中途半端な理解をしていたという事実を痛感した。そして国内盤に付属する歌詞対訳が如何に大切であるかということを改めて知った。輸入されたアルバムのうち、本質を見失って視聴されているヘヴィメタル作品がどれほどあるのであろう。エピックメタルのように知的で芸術的な分野の対訳が遅れている──小説についても同様である──本国はつくづく残念でならない。そのために私は、物事の本質を探していかなくてはならないのである。
 しかし、余談ではあるが、ヴァージンスティールのマリッジ作品は国内盤が発売されていた(『The House of Atreus, Act I』以降は国内発売中止となった)という記録が残っているのだから、対訳は付属していたということであろうか?仮に生存しているとして、間違いなく国内廃盤であるが、もし所持しているという方がいたら是非とも真相を教えていただきたい。本題に戻るが、レビューは上記のリンク(直接リンク)をクリックすることで閲覧できる。


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