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Introduction

Robert_E_Howard

「エピック・メタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である」 [More stats] 

 ──Cosman Bradley


◆新着情報 News Topics
[Reviews]
VALKYRIE 「Deeds of Prowess」
WRATHBLADE 「Into the Netherworld's Realm」
VIRGIN STEELE 「Nocturnes of Hellfire & Damnation」
[Release]
Jack Starr’s Burning Starr 「Stand Your Ground」
Cirith Ungol 「King Of The Dead」
Manilla Road 「To Kill a King」

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 2011年、エピック・ヴァイキングメタル勢が矢継ぎ早に新作を発表するに至った。ここでは、各アルバムからの代表的楽曲を掲載する。

▶Moonsorrow 「Varjoina Kuljemme Kuolleiden」(2011)より


▶Turisas 「Stand Up & Fight」(2011)より


▶Falkenbach 「Tiurida」(2011)



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Column the Column

volume 7. 2 February: 2011


2011年2月第7号、前号の続き...


第三章:変化
 流行に左右される大衆音楽、時の蚕食に耐えかねる文化もあるが、ヘヴィメタルはそれらの分野とは無縁であった。古くリヒャルト・ワーグナーの血脈がヘヴィメタルには流れていた。古典音楽は長きに渡り現代にまで受け継がれ、知的な人間の歓喜の一部を担っていた「ローマという帝国の滅亡を通し、如何に偉大な文明や国家でも何れは必ず失われる。しかし、真に素晴らしいものの精神は語り永遠に受け継がれていく」ヴァージン・スティール(注14)の“The Burning Of Rome ”は物語った。我々はその叙事詩的な悲劇の楽曲から、これらの文明の興亡の歴史を学びとって久しかった。ヘヴィメタルは多くの人間に忘れられた、と人々は考えていた。しかし、これらは間違いであった。80年代初期に確立されたヘヴィメタル、我々聴衆に真実を告げることを目的としたヘヴィメタル、社会の矛盾や自由への渇望──キリスト、イスラム、ユダヤ三大宗教のような葛藤と闘い続けた──、勇敢なる南軍の兵士のようなヘヴィメタルは、終ぞ人々の精神の中に生き残り続けていた。それは、偉大なるヘヴィメタル・ヒストリーを幼き日に傍観していた新世代の若者らも同じことであった。自己の思想を勝ち取るまでにようやく成長した新時代の若者らは、先人らが苦悩の末に築き上げたヘヴィメタルのシーンを再興させていた。1997年に幕を開けたスウェーデンのハンマーフォール(注15)の快進撃に続き、イタリアからはラプソディー(注16)が、ドイツからはエドガイ(注17)が登場していった。彼らは過去のヘヴィメタルの先人らのアイデンティティや音楽性を受け継ぎ、より現代的な解釈でそれらを表現することに成功した。特にイギリスのアイアン・メイデンが作り上げたメロディック・メタルは、歴史的、叙事詩的な門口を新世代に授け、「ヘヴィメタルで物語を演じる」ことを学ばせた。その背景は、リヒャルト・ワーグナーが用いた歌劇的な手法が現代に甦った、とでもいうべきであった。もはやヘヴィメタルの分野は大衆音楽と全く違う軌道に乗り、芸術や文学の領域にまで及んでいた。ヘヴィメタルにとって、ダンテ、ホロメス、シェイクスピア、ゲーテ、ポーは馴染み深かった。


注14 ヴァージン・スティール(Virgin Steele)……アメリカで結成されたエピック・メタルバンド。デビューは1982年。ヴァージン・スティールが確立した“エピック・メタル”とは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、大仰かつヒロイックで劇的なヘビィメタルを演奏するメタルバンドを表す言葉である。エピック・メタルはヘヴィメタルのサブジャンル一つであり、歌詞の内容、世界観も従来のヘヴィメタルとは異なる。エピック・メタルでは過去の神話や伝承、歴史や文学等を歌詞の題材とする。ヴァージン・スティールはこの分野の創始者であり、一般には1994年に発表された『The Marriage Of Heaven And Hell』がエピック・メタルを世界的に認知させたきっかけになったとされる。その特異な音楽性は、メインソングライターのデイヴィッド・ディファイによって「Barbaric and Romantic(野蛮でロマンティック)」と形容され、ギリシア神話や創世記等の古典に現代精神の悲劇を代弁させるのを得意としている。代表作は『Age of Consent』(1988)、『The Marriage of Heaven and Hell Part I』(1994)、『The Marriage of Heaven and Hell Part II』(1995)、『Invictus』(1998)、『The House of Atreus Act I』(1999)、『The House of Atreus Act II』(2001)、『Visions of Eden』(2006)等。上記のうち『The Marriage of Heaven and Hell』は三部作、『The House of Atreus』は二部作のオペラであり、実際に上演された。

注15 ハンマーフォール(HammerFall)……1993年に結成されたスウェーデン、イエテボリのヘヴィメタルバンド。荒廃しきっていた90年代のヘヴィメタル・シーンに衝撃的な第一作『Glory To The Brave』(1997)を送り込み、新時代の到来を告げた。そのサウンドは、マノウォーやアクセプト、ジューダス・プリーストに代表される正統派メタルを踏襲したピュア・メタルである。特にヨーロッパで支持される。代表作は『Glory To The Brave』(1997)、『Legacy Of Kings』(1998)、『Crimson Thunder』(2002)等。

注16 ラプソディー(Rhapsody of Fire)……イタリア、トリエステ出身のシンフォニック・メタルバンド。1997年に発表された第一作『Legendary Tales』は、これまでに試みられてきたクラシック音楽を導入したヘヴィメタルの最高傑作であるとされた。また、この『Legendary Tales』は“エメラルド・ソード・サーガ”というコンセプトの第一部であり、2002年に発表された『Power of The Dragonflame』によって完結し、計5部作に及ぶ一大叙事詩を築き上げた。現在は著作権及び商標の問題によりラプソディー・オブ・ファイアと名乗っている。代表作は『Legendary Tales』(1997)、『Symphony of Enchanted Lands』(1998)、『Dawn of Victory』(2000)、『Power of The Dragonflame』(2002)等。

注17 エドガイ(Edguy)……1992年のドイツで結成。1995年に『Savage Poetry』を自主制作でリリース。これが第一作目となる。その後、質の高いジャーマン・メタル作品を矢継ぎ早に発表し、欧州での人気を不動のものとする。ヴォーカリストのトビアス・サメットはメタル・オペラ・プロジェクト、『Avantasia:The Metal Opera』(2001)でも成功を収め、結果的にエドガイもその煽りを受ける。現在では、ドイツのヘヴィメタル・シーンのトップに君臨するガンマ・レイやハロウィンとも肩を並べるまでに成長した。代表作は『Vain Glory Opera』(1988)、『Theater of Salvation』(1999)、『Hellfire Club』(2004)等。



第四章:原始への回帰
 21世紀に入り、ヘヴィメタルは絶え間なき努力と活力で再び活気を取り戻した。この新しい時代は、過去の惨劇に縛られることなく、誰もが自由な表現が出来ると信じていた。しかしここから、ヘヴィメタルにとって本当の戦いが始まったのである。長き歳月に渡り、ヘヴィメタルは世界中の新天地に広がっていった。イギリスで誕生したヘヴィメタルは、まずアメリカに渡り、次に南米に根を下ろした。ブラジルの圧政に苦しむ辺鄙な街から生まれたセパルトゥラ(注18)は、やがてブラジルのヘヴィメタル・シーンを担う存在となっていった。始め、ヘヴィメタルは大国の輸入品に過ぎなかったが、恰も人類の環境への適応能力の高さを物語るが如く、各地で独特のヘヴィメタルが誕生し始めた。ブラジルも例外ではなく、1970年代の独裁政治に苦しんだ若者らの葛藤は、1985年の民主主義の復興と共に一気に爆発した。ブラジルの若者らは、言語の自由をヘヴィメタルに主張した。ブラジルで勃興したヘヴィメタルのムーヴメントは、民族規模での自由の主張でもあった。セパルトゥラは、そうして誕生したブラジリアン・メタルの先駆者であり、アメリカ産のヘヴィメタルに母国の古い伝統──ブラジルの民族楽器やリズム──を加え、ブラジル産のヘヴィメタルが個性を持っている事実を表現した。1993年に発表された『Chaos A.D.』は、独自性を追求したヘヴィメタルの一つの理想形として認められ、ビルボード・チャートのトップ40まで喰い込んだ。そして『Roots』(1996)では、母国アマゾン川の民族と作品を録音した。ようやく、彼らにとって“オリジナル”のヘヴィメタルがここで誕生したのである。ヘヴィメタルが古典音楽の生き残りであるように、これを担う人間も古典的な民族的思考に傾倒した者の最期の生き残りであり、独特の伝統性を失いはしなかった。全世界の資本主義社会に抗うが如く、新体制に入ったヘヴィメタルのムーヴメントは、各地でルネッサンスのような古き世界への回帰を行った。それ以前も民族的なアプローチは地下で続いてはいたが、ヘヴィメタルが一応の覇権を得た今世紀、そうした主張はより直接的で顕著な方向を示した。北欧を起源とするヴァイキング・メタルは、これらの民族的ヘヴィメタルのムーヴメントの大役を担っていた。その背景には、宗教的な対立も巧妙に含まれていた。ハラルド美髪王の支配を逃れたノルヴェジアン・ヴァイキングが住まいしたアイスランドでは、西暦1000年に全キリスト教化の洗礼を受けた。しかし、それは表向きの見解であり、アイスランドの民は殆どが異教徒──彼らはペイガンとよばれた──のまま生活を続けた。キリスト教が北欧諸国に侵入し始めた際、ノルウェー及びデンマークに最初の教会が建設され、古代信仰を破棄するよう強いられた。敬虔なるキリスト教世界において、北欧の民族は畏怖すべき異教徒であり、その神々は淫らなものと考えられていた。これは、新しき信仰が古き信仰を駆逐するという、変化の歴史でもあった。過去、スペイン人に酷使されたアメリカ原住民、滅亡したマヤ文明及びインカ文明にも同様のことがいえた。信仰の自由、思想の自由の剥奪であった。ヴァージン・スティールのデイヴィッド・ディフェイズが『Invictus』(1998)で提示した過去の惨劇の輪廻転生──世界的にエピック・メタルを確立させた名作『The Marriage Of Heaven And Hell』(1994)のテーマでもある──は、現代で繰り返されることとなった。ヘヴィメタルに行使された社会の弾圧──CDの発売禁止、メディアでの非露出、ライブでの法的制限、中東地域での宗教警官による逮捕等──による思想表現の自由への妨害は、過去を顧みることのない人類の証拠の一つとなった。そうした現実に屈することなく、北欧からは古い時代の伝統音楽を取り入れたヘヴィメタルが誕生し続けた。北欧人の無意識的なペイガニズムを表現するに最も適したヘヴィメタルは、苦しくも同じ歴史を辿ることとなった異教の民族の文化と共存し、世界中で成功を収めていった。ここ日本でも、ヴァイキングメタルの信仰は記憶に新しく、既存の民族性を主張したヘヴィメタルの自由と再興を訴えた。これらの起源的な民族への回帰は、現代精神の横行によって長らく忘れられていた、原始への回帰を意味していた。“ヴァイキング”という言葉を最初に使用したノルウェーの始祖エンスレイヴド(注19)がヘヴィメタルのドキュメンタリー映画『ヘヴィメタル・ヘッドバンガーズ・ジャーニー』で語ったように、ヘヴィメタルの姿勢は古典的な音楽が常にそうであったように、いかなる時代にも翻弄されず、確固たる思想の礎を築き、社会の疎外者を招き導いてきた、不朽不変の分野であったのである。


注18 セパルトゥラ(Sepultura)……ブラジルのミナスジェライス州ベロオリゾンテで結成されたヘヴィメタルバンド。1986年に『Morbid Visions』にてデビュー。アングラと並び、ブラジルで世界的に成功した数少ないメタルバンドである。またマックス・カヴァレラは後にセパルトゥラを脱退しソウルフライを結成。代表作は『Chaos A.D.』(1993)、『Roots』(1996)等。

注19 エンスレイヴド(Enslaved)……ノルウェーのヴァイキング・ブラック・メタルバンド。1991年結成。三作目『ELD』(1997)で北欧の土着民たるヴァイキングの精神性を強く打ち出し、後に広く認知されるに至るヴァイキング・メタルを確立する。エンスレイヴドは、キリスト教以前の古い信仰を再興させることを標榜し、キリスト教に対するペイガン思想は真っ当なものだと主張する。これはキリスト教の信仰によって北欧の土着民の文化が失われていったためである。上記の側面も含め、母国での支持は相当高く、ノルウェーのSpellemann賞(音楽界でのグラミー賞に相当)も受賞している。代表作は『Frost』(1994)、『ELD』(1997)、『Blodhemn』(1998)、『Mardraum - Beyond the Withn-』(2000)等。



第五章:新たなる夜明け
 千変万化の地表の激変が過ぎ去り、人類に紡がれてきた偉大な歴史も過去のものとなった。人類は平穏を手に入れ、新たな秩序と卓越した技術力を手にした。過去の迷信が科学という近代的な学問によって解明され、大衆を統制させる法案が定まった。終ぞ、時代とは変化していくものである。ローマ帝国の滅亡により暗黒時代が訪れたのも、1066年のヘイスティングスの戦いでヴァイキング時代が終わりを告げたこと──同じように793年のリンディスファーンの襲撃によってヴァイキング時代が始まったこと──も、大航海時代に人々が海洋の彼方に新天地を求めたのも、19世紀に再び文芸復興が興ったのも、西部開拓時代にアメリカの東部と西部が一筋の鉄道で繋がったのも、全ては人類の変化の一部を担っていたに過ぎない。時代とは変化していくものである。しかし、今世紀に入り、自然が機械に移り変わる時、中世が近代に移り変わる時、神秘が科学に移り変わる時、我々は何を失うのであろうか。ヘヴィメタルが求め続けていたものは、悠久の太古、有史以前の人類の祖から受け継がれてきた、反骨の精神であったように私は感じている──この精神のために戦いが生まれ、人類は強大となり、果てなき知識を求めた。いうなれば、文明の興亡もそのためであった。ここで、先述した言葉が蘇る「ローマという帝国の滅亡を通し、如何に偉大な文明や国家でも何れは必ず失われる。しかし、真に素晴らしいものの精神は永遠に語り受け継がれていく」ヘヴィメタルこそは頽廃的な現代精神に天啓を発し、古き世界をもう一度再興させようと試みる、根源的な人類の追求の姿なのである。


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 この日は本当によく晴れていた。私の故郷は、晴れていることがほとんどない。ヘヴィメタルや小説で日々ダークな世界に触れている私でも、やはり晴れている日は清々しいものである。
 貴重な天候に恵まれ、所有しているウエスタンブーツを磨き、並べた写真が上記。本当は4足持っているが、見栄えがいいのはこの3足のみである。私は右の黒いウエスタンブーツを非常に気に入っているのだが、なにせ硬くて重い。まるでヘヴィメタルのようなブーツなのだ。それに加え、本革のレザージャケットを着込むとなると、非力な私には少々応えるものがある。
 しかし、全身黒ずくめのメタルファッションで正装するのは日常として、最大の問題であるのは雨だ。先述した通りに、私の故郷は風が強く、雨がいかなる場所にも侵入してくる。案の定、革は雨に弱い。雨に当たれば、悪い場合で染みが出来る。故に私は、実際レザーを着ることがあまり出来ないのだ。結局私が雨の日に着るのは、スエードのジャケットである。私はフリンジ付きのスエードジャケットを愛用しているのだが、本来フリンジとは、西部において雨が素早く服から滴るようにと考案されたものらしい。私が最も好きな部類に入るフリンジ付きのカウボーイ風ジャケットは、故郷の気候に合っているのかもしれない。最もスエードも革なので、雨にはめっぽう弱いのだが。ヘヴィメタルもそうだが、服装も実用性が重要だ。


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 毎日少しずつスタッズを打ちこんでいるフリンジレザーライダースであるが、革が硬いので非常に手間がかかる。これは作業開始から約2日後の姿で、まだ未完成の状態だ。以前、購入したばかりの何も改造されていない状態(*)の時よりかは、随分と恰好よくなったと思う。今後、企画として「ヘヴィメタル仕様レザージャケット展覧会」なるものをやってみるのも面白い。私は所有している全てのライダースにスタッズを埋め込んでいる。ただ改造には、指を痛める可能性もあるのでメタルファンの方々はご注意を。


*改造前の画像 ▶「メタルファンのOneDay」参照
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Column the Column

volume 6. 2 January: 2011


 2011年1月第6号の『METAL EPIC』誌の「コラム・ザ・コラム」では、コスマン・ブラッドリー博士が大学の卒業の際に執筆したヘヴィメタルに関する論文を、およそ二回に分けて掲載する。本論文では、ヘヴィメタルの歴史を遡り、社会的な背景と思想的な考察が語られる。全文は5つの各章から構成され、今回掲載は序章から第2章までとした。これはコスマン氏のヘヴィメタル研究の成果ともいえよう。


*  *  *


忘却された歴史


コスマン・ブラッドリー著


 ここに公表する以下の文章は、ヘヴィメタルが過去、現在、未来の世界で遭遇した状況を論じたものである──


序章
 アメリカとイギリスの二大大国は、過去30年間に渡りヘヴィメタルの偉大な先人らを輩出し続けた。最初ヘヴィメタルはイギリスで生まれ、ブラック・サバス(注1)、ジューダス・プリースト(注2)、アイアン・メイデン(注3)らのバンドが地下世界を脱し、世界の日の目を見ることとなった。始めてヘヴィメタルの音を聞いた者は、誰しもが己の耳を疑ったという。ヘヴィメタル──ハードロックでの意思表示が限界とされた時より、アンダーグラウンドで成長し続けてきたこの特異な音楽は、70年代後半のイギリスで勃興したムーヴメント、ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル──通称NWOBHM──のもと、一斉に世界に飛び出していった。そして、長年低迷してきたブリティッシュ・ロックの時代は終わりを告げた。エクストリーム音楽の正統な継承者であるヘヴィメタルが、新たな時代の舵を取ったのであった。当然の如く、その歴史的なムーヴメントはもう一つの大国──多種多様な人種が入り乱れる文明の地、アメリカにも流れ込んだ。イギリスでのヘヴィメタルの拡大は早急なものだったが、アメリカではそれよりも更に早かった。かつて、イギリスの若者らが社会への反骨精神をヘヴィメタルに見出したように、アメリカの若者らも同じ精神をヘヴィメタルに見出した。やがてイギリスから輸入されたヘヴィメタルは、アメリカで研ぎ澄まされ、より攻撃性を増したスラッシュ・メタルとなってヨーロッパに逆輸入される形をとった。過去全てのブラック/スラッシュ/デス・メタルの始祖と見なされるヴェノム(注4)の生み出した狂気が、結果として巨大な社会体制が内包する矛盾への最初の攻撃となったのであった。かくして、ヘヴィメタルの歴史が始まった……


注1 ブラック・サバス(Black Sabbath)……1969年にイギリスのバーミンガムで結成されたヘヴィメタルバンド。バンドの怪奇的なイメージや悪魔的なギターリフは後のヘヴィメタルに多大な影響を与えた。一説には、すべてのヘヴィメタルのリフはブラック・サバスが考案した、ともいわれる。代表作は『Black Sabbath(邦題:黒い安息日)』(1970)、『Heaven and Hell』(1980)等。

注2 ジューダス・プリースト(Judas Priest)……ブラック・サバスと同じく、1969年にイギリスのバーミンガムで結成されたヘヴィメタルバンド。通称「メタル・ゴッド」。ヘヴィメタルの様式美やファッション面でのイメージを確立したとされる。代表作は『British Steel』(1980)、『Screaming for Vengeance(邦題:復讐の叫び)』(1982)、『Painkiller』(1990)等。

注3 アイアン・メイデン(Iron Maiden)……1975年にロンドンで結成され、79年の第一作『Iron Maiden』発表以降、成功を続ける世界的なヘヴィメタルバンドの一つ。先のNWOBHMの代表バンドであり、ヘヴィメタルバンドながら全英チャートで第1位を4度記録する。バンド名は、中世の拷問器具に由来。夥しい数の名作を残しており、代表作は『The Number of the Beast(邦題:魔力の刻印)』(1982)、『Powerslave』(1984)、『Seventh Son of a Seventh Son(邦題:第七の予言)』(1988)、『Fear of the Dark』(1992)、『Brave New World』(2000)等。

注4 ヴェノム(Venom)……1979年にイギリスのニューカッスルで結成されたヘヴィメタルバンド。現在も活動を続ける。歌詞の中に悪魔、反キリスト教的思想を混入させ、当時最も過激なサウンドで後のスラッシュ・メタル、デス・メタル、ブラック・メタルに多大な影響を残した。ブラック・メタルの由来は、ヴェノムの第二作『Black Metal』(1982)からだといわれる。代表作は、『Welcome To Hell』(1981)、『At War With Satan』(1983)等。



第一章:屈せざる者
 幼いアメリカでヘヴィメタルのシーンをリードしていったのは常にメタリカ(注5)であった。このロサンゼルスで結束した四人の怒れる若者らが1982年に発表した『Kill 'em All(邦題:血染めの鉄槌)』は、アメリカでのヘヴィメタルの確立を誇示するとともに、社会の矛盾に対する長き戦いの始まりとなった。一方、同じくアメリカ生まれであり、ヴェノムの影響下にあるスレイヤー(注6)は、驚異的な速さで世俗の禁忌を堂々と歌い上げ支持を獲得、メタリカには“キリング・ビジネス”を実行するデイヴ・ムステイン(通称「大佐」)率いるメガデス(注7)、そして“炭疽菌”の名を冠したアンスラックス(注8)が続いた。かくして、1980年代の初期に確立されたヘヴィメタルは、アメリカに来て急速に拡大していったのであった。1980年代中期になると、ヘヴィメタルの社会への攻撃は更に過激になった。まずメガデスが『Killing Is My Business... and Business Is Good!(邦題:俺は殺しがビジネスだ、この仕事は儲かるんだぜ)』という名を冠した衝撃のデビュー作を1985年に発表。タイトルからして、彼らは決して西部開拓時代のアウトローを歌っているわけではなかった。彼らに言わせれば、“キリング・ビジネス”は実際の軍事国家の間で本当に行われていたことであった。これは以後続くこととなる、アメリカ・イラクの軍事社会に対する痛烈なメッセージでもあった。彼らの1986年発表の二作目のアルバムは更に強烈で『Peace Sells... But Who's Buying?(邦題:平和を売る、しかし一体誰が買うんだ?)』というタイトルが冠された。エド・レプカによって描かれた意味深なアルバム・ジャケット──三機の軍用爆撃機が赤い空を舞う背景──は、恐ろしいまでの暗示と警告を秘めていた。この作品はインテレクチュアル・スラッシュ・メタル──知的なスラッシュ・メタルという意味である──の最高傑作とされた。メタル大国に発展する欧州ドイツでは、そうした軍事社会への反抗が顕著に表れていた。挑戦的に機関銃と弾丸ベルトで武装した装いで登場したスラッシ三羽ガラス──ソドム(注9)、クリエーター(注10)、ディストラクション(注11)の三羽──は、アルバムを重ねる度に軍事社会の火中に晒される市民の意見を明らかにしていった。しかし、ヘヴィメタル史上最大の社会的論争を巻き起こしたのは、スレイヤーの“Angel Of Death”であった。ヘヴィメタル史上悠然と輝く名作中の名作であるスレイヤーの三作目『Reign In Blood(邦題:血の王朝)』は1986年に発表され、スラッシュ・メタルのマスターピースとなった。この作品の一曲目に収録された“Angel Of Death”は、ナチスの虐殺者ヨーゼフ・メンゲレ(渾名「死の天使」)について歌った世俗社会のタブーを犯した楽曲であり、そのあまりの過激性から当時のアメリカのコロンビア・レコードは国内配給を拒否したほどであった(しかし、後にゲフィン・レコードからの配給が決定した)。歌詞に表現された「アウシュビッツのやり方で死ね」という衝撃的な内容は、ヨーゼフ・メンゲレが収容所の囚人らに対し行った人体実験の狂気の様を迫真に描き切った事実であり、戦争と民族的差別に対する重大な警告であったにも関わらず、社会倫理はこの過激極まる歌詞を指して「ホロコーストはメタルで歌うな」と返答した。しかしスレイヤーは、ラブソングやセックスを歌うバンドではなかった。また、この曲は、歌詞の内容からスレイヤーを親ナチ主義者、人種差別者であるとの誤解も生んだ。スレイヤー自身は「ナチズムやレイシズムについて容認したわけではい。ただ単に興味がある内容だっただけだ」と答えた。何れにせよ、“Angel Of Death”は「スラッシュ・メタル至上最高の名曲」とされた。本作品自体はラジオで一切かからなかったものの、ビルボート誌のアルバム・チャートで最高50位台を記録するという異例の事態を引き起こした。この結果は、いかに我々が本作によって、社会通説のイデオロギー、アイデンティティ、更には宗教観までをも見直されたかという事実の証明に他ならなかった。現在もこの禍々しい名曲は、イスラエル、パレスチナ等の中東諸国の若者に強烈なメッセージを送り続けている。苛烈を極める国際的軍事社会情勢に対する反逆の意図の一つとしてである。


注5 メタリカ(Metallica)……1981年にアメリカのロサンゼルスで結成されたヘヴィメタルバンド。スラッシュ・メタル四天王(通称Big 4)の一人。シングル・アルバムの総売り上げは1億枚を超え、アメリカで最も成功したメタルバンドの一つである。グラミー賞ヘヴィメタル部門を7度受賞(名曲“One”の受賞の際、メタリカはブラックジーンズ姿で登場し、グラミー賞の歴史を揺るがしたという逸話がある)。代表作は『Ride the Lightning』(1984)、『Master Of Puppets』(1986)、『Metallica』(1990)、『St. Anger』(2003)等。

注6 スレイヤー(Slayer)……1981年に結成されたアメリカのヘヴィメタルバンド。スラッシュ・メタル四天王の一人。過激な歌詞や音楽性で社会的な誹謗中傷の標的になることが多い。一方でスレイヤーの攻撃的な音楽性は、後のブラック・メタル、デス・メタルの発足に大きく貢献した。代表作は『Hell Awaits』(1985)、『Reign in Blood』(1986)、『Seasons in the Abyss』(1990)、『God Hates Us All』(2001)等。 

注7 メガデス(Megadeth)……メタリカを脱退したデイブ・ムステインが1983年に結成したヘヴィメタルバンド。スラッシュ・メタル四天王の一人。歌詞に軍事的、政治的な内容を表現する他、複雑でテクニカルなサウンドはインテレクチュアル・スラッシュ・メタルと形容される。2002年の解散後、2004年に復活を果たし、現在も活動を続ける、世界的なメタルバンドである。代表作は『Rust In Peace』(1990)、『Countdown to Extinction』(1992)、『The System Has Failed』(2004)等。

注8 アンスラックス(Anthrax)……1981年のアメリカ、ニューヨークで結成されたヘヴィメタルバンド。スラッシュ・メタル四天王の一人。サウンドにインディアンのビートやファンク、ヒップポップを取り入れた革命的なヘヴィメタルを構築し、ヘヴィメタルの枠を広げた。代表作は『Spreading the Disease』(1985)、『Among the Living』(1987)、『Sound of White Noise』(1993)等。

注9 ソドム(Sodom)……1982年にドイツで結成されたスラッシュ・メタルバンド。日本では「ジャーマンスラッシュ三羽ガラス」と称される。代表作は『Persecution Mania』(1987)、『Agent Orange』(1989)等。

注10 クリエーター(Kreator)……ドイツ、エッセン出身のスラッシュ・メタルバンド。1982年結成当初はトーメンター(Tormentor)と名乗っていた。「ジャーマンスラッシュ三羽ガラス」の一人。代表作は『Pleasure to Kill』(1986)、『Coma of Souls』(1990)等。

注11 ディストラクション(Destruction)……1982年にドイツで結成されたスラッシュ・メタルバンド。「ジャーマンスラッシュ三羽ガラス」の一人。代表作は『Eternal Devastation』(1986)、『Release from Agony』(1988)等。



第二章:低迷
 ヘヴィメタルに対する社会の弾圧は、決して突如として始まった訳ではなかった。1970年のブラック・サバスの誕生から、一般社会の倫理はヘヴィメタルを敵視し続けてきた。加えて、大衆を擁護するはずである法律が、時として、ヘヴィメタルの言語・表現の自由を剥奪することすらあった。ジューダス・プリーストはそれらのために裁判にかけられ、結果としてバンド側の勝利に終わったが、社会という巨大な組織体制が遂にヘヴィメタルに対する弾圧を本格的に開始したのだと世界中に波紋を生む発端となった。この1985年にアメリカ、リノの少年二人──当時20歳のジェームス・バンズと18歳のレイ・ベルクナップ──がショットガンで自殺を図り、一人が即死した事件に関して、少年らの遺族は「息子の自殺はバンドの発するサブリミナル・メッセージが原因だ」と述べた。訴訟を起こされたのは、ジューダス・プリーストの4作目『Stained Class』(1978)であり、原告側は3曲目の“Better By You, Better Than Me”に含まれていた「Do it(やれ)」という歌詞が自殺の原因であると主張した。無論、バンド側がサブリミナル・メッセージを歌詞に混入したという証拠はなく、被告側の臨床心理士が「少年は元々暴力的な傾向があり、薬物の常習犯でもあった」という事実を証明し、結果的にはこの裁判は幕を閉じた。衝撃の裁判が勃発したのは1990年のことであった。また、ジューダス・プリーストは、アル・ゴア前副大統領夫人ティッパー・ゴアを中心とした“PMRC”(注12)という組織によって、「青少年に悪影響を与えるアーティスト」の中にリストアップされていた。一連の社会的弾圧により、ヘヴィメタルは1990年代に入り急激に勢力が衰えていった。かつて、ヘヴィメタルの名のもとに歓喜したイギリス、アメリカからのメタル・アルバムのリリースは、“PMRC”のウォーニング・ステッカーの煽り風を受けて殆ど消滅していた。ヘヴィメタルの歴史において、まさに90年代初期は、中世の暗黒時代さながらであった。先述したジューダス・プリーストからはロブ・ハルフォードが脱退。アイアン・メイデンからもブルース・ディッキンソンが脱退。ドイツのハロウィン(注12)は、マイケル・キスクとカイ・ハンセンを失ったことにより低迷。メタリカは、ブラックアルバムの成功から長き静寂に入った。全くの偶然の産物かもしれぬ状況が、恰も社会の思惑が実行されたかの如く、ヘヴィメタルから自由を奪い去っていた。80年代に若者に自由を与えたヘヴィメタルが、真逆にも自由を奪われるという、戦争の報復に次ぐ報復を連想させるに至る、凄惨なる惨劇であった。


注12 ペアレンツ・ミュージック・リソース・センター(Parents Music Resource Center)……日本では「父母音楽情報源センター」と訳される。「青少年に悪影響を与える映画、音楽、テレビ番組等を排除する運動」のことである。主な攻撃対象はヘヴィメタルやピップポップ等の、反社会的な思想を歌詞に表現するアーティストらである。問題のある内容のレコードにはウォーニング・ステッカーが貼られ、ステッカーが貼られたアルバムを発売しない小売店もある。これによって活動休止を強制されたヘヴィメタルバンドも少なくない。現在も活動は続いているが、この活動自体がゴア陣営の選挙戦略の一環であり、これらのヘヴィメタルを長年攻撃し続けてきた保守層や高齢者の支持を獲得するためであったともいわれている。メガデスは『So Far, So Good... So What!』(1988)に収録した“Hook in Mouth”でこれらの団体を非難した。主な攻撃対象はメタリカ、ジューダス・プリースト、オジー・オズボーン、フランク・ザッパ、ジョン・デンバー等。下記二組はポップ・アーティストである。

注13 ハロウィン(Helloween)……1984年にドイツのハンブルグで結成されたヘヴィメタルバンド。アイアン・メイデンを発したメロディアスなヘヴィメタルをパワーメタルサウンドで提示し、欧州で一大ムーヴメントを誇る「メロディック・パワー・メタル」の創始者として知られる。二部作構成の『Keeper of the Seven Keys』(1987~1988)は、すべてのメロディック・パワー・メタルのバイブルとなっている。マイケル・キスク脱退後は新たにアンディ・デリスを迎え、現在も第一線で活躍を続ける。バンド創成期のメンバーであるカイ・ハンセンは脱退後にガンマ・レイを結成した。代表作は『Keeper of the Seven Keys, Pt. 1』(1987)、『Keeper of the Seven Keys, Pt. 2』(1988)、『Master of the Rings』(1994)、『The Time of the Oath』(1996)等。


>>To be continued in:Column the Column:Next...


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 依然としてエピカルなヘヴィメタルを追求・考察してきた本ブログ『METAL EPIC』であるが、特に私個人が絶賛しているバルサゴスとヴァージンスティールに関する記事は多い。ここに記事として完成した以外にも、沢山のプロット──いうなれば未完成の資料である──が手元にあるわけだが、それらが日の目を見るのはもう少し後になりそうだ。バルサゴスの記事に関しては、いくらでも考案が浮かぶほど、私はバルサゴスに興味を持っている。そう、バイロン卿の膨大な詞世界への探求は尽きないわけだが……
 2006年のアルバム発表以降、バルサゴスの活動は静と動の"静"を帯びたものになった。しかし、以外にも、公式ページのライブ更新はされていたのだ……。私はそんなニュースを絶え間なく見ている熱心な輩だったのであるが、2011年に入り、バルサゴスは急遽4th「THE POWER COSMIC」と5th「ATLANTIS ASCENDANT」を再販することを決定した。以前、私の至極複雑なレビューでも触れたように、この二枚のアルバムはバルサゴスの黄金時代を担った重要作だ。なお再販は、特典として、新装の歌詞の冊子付きのデジパック仕様でリリースが予定されているようだ。某有名掲示板の伝説的なバルサゴス・スレッド(*)では、多少これらのことが触れられており、期待は募るばかり。再販に際して、バルサゴスの長年の弱点であった音質の劣悪さが、リマスターによって幾分か改善されることを期待しよう。


*インターネットの巨大掲示板2ちゃんねるに立てられ、現在も続くバルサゴス・スレッド"【ハイパボリアンメタル】BAL-SAGOTH 3【剣と魔法】"を指す。
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 気がつけば、私はヘヴィメタルのCDをあまり買わなくなったようだ。そんな私が二カ月ぶりに購入するに至ったのがクレイドル・オブ・フィルスのアルバムであり、ここに記している。イギリスのヴァンパイア・メタル集団として世界的な知名度を誇るこの偉大なメタルバンドは、久々に私に感銘を与え、購入意欲をそそらせた。私は以前レンタルした彼らのベストアルバムを視聴済みであり、何度も聴くことがあったので、購入すべきだと思ったのだ。
 最近は心境の変化か、聴かないアルバムは必要がないと思うようになった。私の部屋には、大量の一度のみ視聴しただけのアルバムが頻出している上、これが考えものなのである。私達が生涯で聴けるメタルの数は限られていると私は思っている。なぜなら、ヘヴィメタルを新鮮に聴き続けるためには、聴力と労力が必要だからだ。耳は歳と共に、何れ衰えてくるだろう。故に私は若いうちに、価値のあるヘヴィメタルを可能な限り聴くべきなのだ。そのために慎重な選択を心掛けなくてはならない。

▶「Midian」(2000) Cradle Of Filth
Midian


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art_03 

コメント:この3枚の絵画は、私が趣味に対する熱意を捧げ、「幻想と怪奇」のコンセプトの下描いた作品群である。本絵画には多大な制作時間と苦労を有し、2010年の12月初頭から制作を開始し、2011年の1月末にようやく完成するに至った。では、左から順を追って作品を説明するとしよう。
左の作品は、H・Pラヴクラフトの『クトゥルーの呼び声』に登場する外界の神クトゥルーに捧げたものである。作品が多少見えづらいが、中央にクトゥルーの全身が描かれているという構成であり、その周囲には、多数の象形文字及び太古の記号で埋め尽くされている。私が本作のヒントとしたのは、かの有名なジョセフ・ヴァーゴが「NECRONOMICON」(2004)というサウンドトラック・アルバムの中で描いたクトゥルーであり、その全身を鉛筆画で生々しく描こうと試みた。また、象形文字等のヒントは、ジョージ・ヘイ編『魔道書ネクロノミコン』より拝借した。
中央の絵画は、私が最も時間をかけた作品であり、これまでに追求し続けてきた神秘の世界を表現した集大成である。題材となったのは、イギリスのバルサゴスも"The Splendour Of A Thousand Swords Gleaming Beneath The Blazon Of The Hyperborean Empire"中で取り上げている、神話上の大陸ハイパーボリアである。かつて、偉大なる幻想作家の一人であるクラーク・A・スミスが、その珍妙なるゾティークの叙事詩群と共に描いたこのハイパーボリアの伝説は、私に深く感銘と恍惚を与え続けてきた。スミスの死後にロバート・M・プライス氏が編集した『エイボンの書』に記されていたムー・トゥーランとウルティマ=テューレの地図──私はその完全版を創作することを試みた。それからは苦悩の連続だった。私は幾多の文献を読み漁り、ハイパーボリアの詳細を求めた。時には自ら執筆し、地図に新たな名前を加えることもあった。そして遂に完成したのが、ここにある一つのハイパーボリアの地図なのである。私は内心、この作品を完成させることが出来て安心している。私の求め続けてきたものに意味があると分かったからだ。
最後の右の絵画は、説明は少なくて済む。アイスランドのオーディンの木彫りの大木を絵にしたものである。古い時代の信仰が失われないように、私は無意識にこの絵を描いていたのかもしれない。この絵を見るとアイスランドの荒涼とした世界を思い出すからだ。


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 ジャーマンメタル・ゴッド、ランニングワイルドが2009年に解散したのは記憶に新しい。古き良きヘヴィメタルが、また一つ減ったと悲しんだものだ。普遍のピュアメタルは、メタルファンなら誰しも、いつか必ず聴きたくなる時が再び来るのだ。
 ドイツ出身のグレイブ・ディガーは、本レビューでも取り上げている、非常に一直線なメタルバンドだ。何と気付けば2010年に結成30周年を迎えたらしい。正統派メタルの古参であり、ジャーマン・パワー・メタルの重鎮である彼らは、実に精力的なアルバムリリースを続けている。そのハイペースは、まるでスコットランドの軍隊の行進の如くである。グレイブ・ディガーの結成30周年という祝年に、満を持して送り込まれたのが、14作目となる『THE CLANS WILL RISE AGAIN』であり、過去の大傑作『TUNES OF WAR』(1996)で披露された、大仰なスコットランド史が、装い新たにコンセプトには選ばれた。サウンドはもはや定番ともいえるスコティッシュ・バグパイプで高貴に幕開け、相変わらずの愚直なツーバスの疾走で駆け廻り、歴史の重厚感を伴うクワイアで圧倒する。これは漢の美学でもあり、グレイブ・ディガーにしかできないことだ。老いた者の精力的な活動ほど英気が振い起されることはない!

▶大仰なクワイアが響く代表的ナンバー。余談であるが、中世スコットランドでは戦いの際、バグパイプ吹きが同行し、楽曲を奏で歩いたという。



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 本ブログで自分自身に行ってきたエピックメタル用の検定を、再編集し動画で制作した。エピックメタルの世論調査とより良い考察のため、ご協力いただければ幸いである。コメント欄から、どなたでも簡単に回答することが可能だ。なお、参考として問題の全文と架空の設定を付け加えておく。







質問の全文は、以下の通りである...


概要:
 以下の文章は、『METAL EPIC』誌にて行われた、エピックメタルの権威コスマン・ブラッドリー博士に対する質問の内容を再編集したものである。今回、ヘヴィメタルファンの世論調査のために、ここに改めて公表される形となった。何れも自由な発言を基本とし、今後の参考にさせていただく所存である。なお調査の結果は、今後の『METAL EPIC』誌にて取り上げる予定である──


設定:
 『METAL EPIC』誌の読者が、過去コスマン・ブラッドリー博士に用意された質問に答える。


問1
まずきみの名前は?

問2
年齢はいくつ?

問3
性別は?

問4
最初にメタルファンになったのは何時から?

問5
メタルには様々なジャンルがあるけど、最も好きなジャンルは?

問6
分かった。ではここから本題に入るけど、"エピックメタル"について知っていることは?

問7
エピックメタルという言葉から連想できるメタルバンドは?

問8
そのエピックメタルを最初に創造したのはどのバンドだと思う?

問9
その理由は何故?

問10
きみが知っている中で最も優れていると思うエピックメタルバンドは?

問11
エピックメタル界の双璧、マノウォーとヴァージンスティールについては知ってる?

問12
マノウォーのようなヒロイックなサウンドは、エピックメタルには必要不可欠だと思う?

問13
その理由は?

問14
戦士的なイメージはどうかな?

問15
よくエピックメタルというと、中世や古代の世界観を表現しているけど、それはヘヴィメタル以外では表現できない?

問16
その理由は?

問17
そんなエピックメタルの基礎にあるのは?

問18
"エピック"の意味は"叙事詩"ということになるけれど、エピックメタルと直接的な関係はあると思ってる?

問19
それは何故?

問20
叙事詩という言葉から連想できる物語は?

問21
そういった叙事詩から発展した分野に「ヒロイック・ファンタジー(Sword and Sorcery)」があるんだけど、
やっぱりエピックメタルにはそれらからの影響があると思う?

問22
その理由は?

問23
イギリスのバルサゴスはそのヒロイック・ファンタジーの生みの親でもあるハワードの作品からバンド名を取ったんだけど、何故だと思う?これは想像で構わない。

問24
そのハワードが「コナン(conan)」を書かなければ、エピックメタルは誕生しなかったかもしれない……という意見には賛成できる?

問25
何故?

問26
まあコナンがなければ「指輪物語」に影響されたヘヴィメタルが"エピックメタル"と呼ばれることになるんだろうけど、"コナン"と"指輪物語"の違いは何だと思う?

問27
実際、そういったファンタジィを取り入れたヘヴィメタルは、純粋なエピックメタルと呼べるのかな?

問28
なんでそう思った?

問29
そうか。話を戻すけど、バルサゴスについてはエピックメタルバンドと呼んでもいいかな?

問30
歌詞で物語を歌っているバンドは全てエピックメタルバンドになる?

問31
それは何故?

問32
逆に、曲が劇的で大仰だったらエピックメタルの要素はある?

問33
それはなんで?

問34
やっぱりエピックメタルにはSFやファンタジィじゃなければ合わないかな。きみはどう思ってる?

問35
視点を変えて、歴史や神話はどうだろう?

問36
次は主にサウンド面についてだけど、エピックメタルといって始めに思い浮かぶのはどんなサウンド?

問37
その次に思い浮かぶのは?

問38
大仰な音楽性は必要だと思う?

問39
それは何故?

問40
ヒロイズムはエピックメタルの象徴だという向きがあるけど、それについての意見は?

問41
ドラマ性はやっぱり必要?

問42
クワイアはどうだろう?

問43
やっぱりエピックメタルには、コンセプトが必要だと思う?

問44
何故?

問45
もう最後が近いから、踏み込んだ質問に変えよう。このジャンルが今後発展していく見込みはある?

問46
その理由は?

問47
日本でのエピックメタルの認知は低い?

問48
どうすればよくなるかな?

問49
日本でのエピックメタルファンはどのくらいいると思う?

問50
最期に、エピックメタルファンへのメッセージを。


──今日はありがとう。とてもいい話ができた。


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