Epic Metal; Review Fan Site.
© 2010-2017




 今年世に出たエピックメタルの中でも、Pathfinder(パスファインダー)のサウンドは衝撃的に値する。

 彼らはポーランド出身で、2006年に結成されたそうである。メンバーの中でも、アルカディウシュ E ルース(Ba)なる人物は、映画音楽及びコンピュータゲームの作曲家として活動していた経歴を持っているらしく、エピックな向きなら注目に値するだろう(熱心なファンの場合、バルサゴスのジョニーに共通点を見いだせるかも知れない)。そんな彼らが作り出すサウンドは、凄まじいまでにシンフォニックかつ劇的なエピック・メタルの可能性を宿している。一部では、"ラプソディー以上の衝撃"とまで謳われている。真相は賢明なファンの判断に任せるが、壮大なエピックメタルであることだけは確かである。

▶全てを結集した大仰極まりないタイトルトラック。



◆参考作品◆
ビヨンド・ザ・スペース・ビヨンド・ザ・タイム
彼らの2010年発表の1st。D&Dなジャケットからしてみても、そのサウンドがいかなるものか……雄弁に物語っているだろう。ヴォーカルの性質と大仰なサウンドが相まってか、微小にロスト・ホライズンに近い雰囲気を醸しているところも面白い。


▼続きを読む
Stairway to Fairyland

Freedom Call the 1st album in 1999 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

ドイツのエピック・パワーメタル、フリーダムコールの1999年発表の1st。

フリーダムコールは、元ムーンドックのヴォーカリストであるクリス・ベイ(vo)とガンマ・レイのドラマー、ダン・ツィマーマン(d)を中心に結成されたバンドである。加えて、後のハロウィンのギタリスト、サシャ・ゲルストナー(g)も参加している。これだけでピンとくるかもしれないが、その後想像の通り、彼らは典型的なメロディックパワーメタルサウンドを提示している。田のバンドと差別化できる部分は、シンフォニックな要素を盛り込んだエピカルな世界観及びファンタジー性である。主に、劇的なツインリードメロディと分厚いクワイアを基盤に勇壮に疾走するスタイルは、この手のファンの要望に十分すぎる程答えている。
少し私情を挟もう。かつて私は劇的メタルファンだった。私は日々ドラマティックなメタルの発掘に明け暮れていた。そして入念な調査の結果、フリーダムコールの高い評価を聞き及んだのである。レコード店で#1を視聴した瞬間、私はこのアルバムが傑作であることを確信した。それほど、厳格なパイプオルガンに導かれる#1の流れ出る美旋律の放つインパクトは大きかったのである。本作を購入するには数年の月日を必要としたが、改めて全編を聴いた時、あの確信は間違いではなかったことを私は悟った。全編を通し、強烈な打撃が待ち構えているアルバムである。前述した名曲#1、劇的なまでのクサさを撒き散らす#2、幻想的な#3、美しいまでにドラマ性を宿した#4、勇壮極まりない疾走を展開する#5、神聖な雰囲気がエピカルな聖歌調バラード#6と正直なところ前半は完璧な構成ではないだろうか。当然その後も素晴らしい楽曲は続く。特にラストの#11などは物語的な本作に見事な幕を引いている。
これらの劇的なメロディックメタルとしての完成度もさることながら、彼らはさらにファンタジーへの傾向も見せている点にも注目したい。以前クリス・ベイはインタビューでこう語っている「ムーンドックの仕事も素晴らしいけれど、それは俺が本当に歌いたいことじゃないね」このアルバムで表現された内容とは、彼がフロントマンとなり制作された"タラゴン"という世界を舞台としたファンタジー物語である。私が思うに、彼が本当に歌いたかったのはファンタジーのことではないだろうか。クリスの歌唱には感情的な説得力がある。本編の視覚的な分野は、この壮大なコンセプトに根付いたものなのである。
彼らの創り出す旋律は、ブラックやデスとは対照的な飛翔感や希望を抱かせるものである。しかしそれが、以外にもヘヴィメタルにマッチしている。このアルバムは、ヘヴィメタルの視野の広さの再確認という点においても評価できるだろう。最後に、本作は大仰かつドラマティックなサウンドを有しファンタジーをテーマに取ったことから、"エピック・パワーメタル"と呼ぶにふさわしいことを付け加えておく。

1.Over The Rainbow
荘厳なイントロからややダークなパートに移行し、そこから劇的に光明なサビへと突入する名曲。
2.Tears Falling
イントロから劇的極まりないツインリードを伴って疾走する名曲。その後のブリッジでの壮大なクワイア、サビでの飛翔感は感動すら呼ぶ。
3.Fairyland
4.Shin On
冒頭は神聖なバラード調に始まり、ファンタジックな旋律を勇壮な疾走で醸す。シンフォニックなアレンジも絶大な効果を呼び込んでおり、サビの分厚いクワイアと相まって壮大な世界観を表現しているといえる。
5.We Are One
まずイントロが凄まじい。流麗なツインリードから一気に疾走パートへと持っていく流れは、余りにも定番的なものだが、完成度が高まり過ぎている。
6.Hymm To Brave
共に合唱すること請負の壮大な聖歌。ヒロイックなムードも盛り込み、楽曲はエピカルな雰囲気を十分に発散している。
7.Tears Of Taragon
8.Graceland
9.Holy Knight
10.Anothe Day
11.Kingdom Come



Review by Cosman Bradley
▼続きを読む
Far Far North

EINHERJER the mini album in 1997 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

ノルウェーのヴァイキングメタル、エインヘリアの1997年に発表されたミニ・アルバム。

本作は1995年にリリースされたEP「Leve Vikinganden」に収録されていた2曲のリ・レコーディングを含めた中に、新曲の「Far Far North」を加えたものである。
本作はミニ・アルバムともいえども驚異的な完成度を誇るヴァイキングメタルの名盤である。収録された三曲のうち#1は歴史的な名曲、続く#2、#3もそれに匹敵する名曲である。ノルウェーから登場したヴァイキングメタルの中でエインヘリアの存在は伝説化している。なぜなら彼らの作り上げたヴァイキングメタルはまさに"真性"と呼べたからだ。そのサウンドは伝統的で古ぶるしさを漂わせ、ブラックの影響は薄い。重みがあり、印象的な歴史の如く記憶に残る。彼らがヴァルハラに旅立ったことを残念に思う。しかしいつかは皆そうなるのだ。

しかし、このアルバムのレア度は異常である。どこでもプレミア価格が付けられており、入手が困難を極める。メタルシーンはこういったアルバムをもっと普及させるべきなのだ。


1. Far Far North
歴史的名曲。戦士の故国スカンディナビアのヴァイキングの末裔達が紡ぐ壮絶なる叙事詩。7分の中に孤高のドラマ性、戦士のロマンティシズム、鬨の声を挙げる狂戦士さながらの勇敢さを網羅。紛いの一切排除された真性ヴァイキングメタルは、朗々としながらも戦意を極限まで鼓舞する。無論、曲本来の攻撃性は低いが、静寂の中に表現された独創性は唯一無二である。
2. Naar Hammeren Heves
ヒロイックファンタジー映画の金字塔「コナン・ザ・グレート」に起用された作曲家ベイジル・ポールデュリスによる同名サウンドトラックからの引用を含む名曲。飢えた野蛮人さながらに疾走する様は凄絶である。雄大なメロディの応酬による高揚感は興奮必至。要は剣と魔法世界がヴァイキングメタルを借りて忠実に表現されているということである。
3. Naar Aftensolen Rinner
アコースティックパートから盛り上がる。神秘的なキーボードの音色を伴う疾走パートは勇敢極まりない。更に言えば、壮大なクワイアの齎すヒロイズムは感動的ですらある。そこに絡む土着性を醸したアコースティカルな旋律、また威厳すら漂うリードのトラッドメロディも素晴らしいとしか言いようのない。上記二曲と同様、名曲に値するエピックである。



Review by Cosman Bradley
▼続きを読む
byron


この絵を描いた経緯...

 本日──9月18日のことである──は暇だったので(本当はHPL氏の小説を読む予定だったのだが)絵を描いた。私はこれまでにも時間があるときに幾つかの絵を描いてきているが、私は一旦集中してしまうと時間が何時間も経過していることがある。つまり絵は、私にとって最も良い時間のつぶし方なのである。私の書く絵はご覧の通り鉛筆画が殆どである。理由は、色を付けるのがあまり好きではないからである。最も私は絵を習っていたわけではないのであるが、昔友人に絵が非常にうまい人物がいて、その人物に感化されたというのもある。偶然にも彼は、数年前私にヘヴィメタルを伝授した者なのだ!
 近頃私は幻想小説の挿絵に興味を持っており、特に〈ウィアード・テイルズ〉誌で活躍したヴァージル・フィンレイに入れ込んでいる。彼は幻想絵画の分野において、ペン画の神である。一体どうやって、彼はあれほど細かい絵画を完成させたのだろうか?本当はクロスハッチングの驚異的な技術なのであるが、やはりフィンレイの絵画は独創的で重厚である。実はというと、彼の絵は白黒が殆どで、私が色を好まないというのも彼の影響なのである。できれば、日本の怪奇小説にもフィンレイの挿絵を導入してもらいたいのだが……

 話が大幅に逸れたが、この絵は私の最も尊敬する人物であるバルサゴスのバイロン卿を鉛筆で描いたものである。出来としては普通くらいで、もう少し時間をかければもっといいものが作れるだろうと思う。それにしても、バイロン卿の外見はクール極まりない。スキンヘッドにサングラス、そしてレザーライダースに剣(恐らくレプリカ)である。絵のベースは3rdの裏ジャケットの写真を参考とした。私として最大の謎は、バイロン卿の素顔が謎に包まれているということである。


▼続きを読む
...En Their Medh Riki Fara..

Falkenbach the 1st album in 1996 Release
★★★★★★★★☆☆...(異教徒)

ハラルド美髪王にノルゥエーを追われたヴァイキング達が住まったと伝えられる本場アイスランド出身のヴァイキングメタル、ファールケンバックの1996年に発表された1st。

ドイツとの混合バンドでもあるため、彼らはアイスランド/ドイツ出身といっておいた方が正しい。彼らの真性ヴァイキングメタルは"Blackened Folk/Viking Metal"と称され、ドイツでは相当の支持があるようである。バンドのメインコンポーザーであるVratyas Vakyas(g、vo、key)が全てを手掛け、このファールケンバックというペイガン・バンドもプロジェクトの一つとして始動した。彼は1989年以降本作を発表するまでに七つのデモを制作した。このデモの中には、彼がCrimson Gatesというバンドで制作した二つのデモも含まれている。
こうして舵を取ったペイガン・ヴァイキングメタルバンド、ファールケンバックであるが、Vratyas Vakyasの目指すサウンドにより本作は接近しようとしている。ファールケンバックのサウンドを例えるなら、バルト海の大海原、アイスランドの戦士達の雪原という表現に落ち着くだろう。はっきりしていることは、彼らのヴァイキングメタルサウンドがEINHERJERに連なる真性のものであるということである。本格的な異国の濃密な臭気、幻想的な中世時代の北欧の雰囲気でアルバムは満ちている。これが、真性ペイガンメタルである。本作では、ブラックのサウンドも伝統的で硬派な方向性を示し、ある種の安堵感を抱かせる。ブラックメタルの影響が色濃い本編の作風は、後の彼らのアルバムと対比の対象に挙げられる。これに民族的な旋律を多様なキーボードの音色やアコースティックギターで盛り込んでいくのが彼らの築きあげたサウンドであり、朗々としたクリーンヴォイスが肝となる。大人が聴くに相応しい真摯な音楽とは、まさに彼らのことなのである。

1. Galdralag
ヒロイズムを鼓舞するトレモロリフに乗って突き進む真性ヴァイキングメタル。勇壮な雰囲気の中に潜む漢の哀愁や激情は聴者の胸に訴えるものがある。彼らの掲げる"Blackened Folk/Viking Metal"に通じる見事な名曲である。
2. Heathenpride
鳥の鳴く声が静かに聞こえ、笛の音色を伴った勇壮なクリーンヴォイスがそれを引き裂く。彼らの定番ともいえるスタイルで展開されるエピック・ヴァイキングメタルである。幻想的で神秘的な雰囲気を朧に表現する様は絶妙といえる。後半からは牧歌的な民謡メロディが導入される。
3. Laeknishendr
ブラックメタルの激情とシンフォニックの優美さが上手い具合にブレンドされた名曲。突如としてアコースティックパートに移行する展開は本作でも特筆して劇的なものとして数えられる。またアコースティカルな音色が高潔さとロマン主義をなぞっており魅力を一層そそる。こういった中世音楽的なパートは、今後の彼らの作品でもトレードマークとなっていくものの原型である。
4. Ultima Thule
神話に謳われる伝説のウルティマ・テューレを題材としたエピック。朗々とした民族的要素が神秘的に響く。
5. Asum ok Alfum naer...
6. Winternight
この曲は非常にブラックメタルを意識した曲である。故に民族的な要素は薄い。
7. ...Into The Ardent Awaited Land...
8. The Heralder
イントロのメロディが異教徒極まりない。楽曲のエピカルな内容も合わさり、この曲を盛り上げる。勇壮なリズムや後半のクラシカルなパートも素晴らしい。そしてここに語りとくれば、これは立派な異教徒の叙事詩なのである。ちなみにこの曲と#3は4thアルバムでリ・レコーディングされている。原曲の方も音質を除けば名曲である。


Review by Cosman Bradley
▼続きを読む
Epic Metal Album Best 10

 私が今まで視聴してきた全メタルアルバムの中から、厳選したエピックメタルアルバムのベスト10までを発表しよう。当然これは、私の全くの独断と偏見による標章である。ベスト10を発表するに当たって基準を幾つか設けており、原則として一バンド一アルバムまでとしている。なぜならそうしなければ、ベスト5を全てバルサゴスが埋めることになるからである……。それでは私が愛聴している至高のエピックメタルの名盤達を発表しよう……


第10位

BLIND GUARDIAN 「Imaginations From The Other Side」(1995)

Imaginations from the Other Side



 10位は、ドイツのブラインドガーディアンの5th。このアルバムは私にとっても思い入れが高いアルバムであり、私が中世幻想世界に魅力を抱くきっかけになった作品なのである。数ある彼らの作品でこのアルバムを選出したのは、全曲の統一された世界観と楽曲の完成度の濃密さが最も優れていたからである。加えてアンドレアス・マーシャルによる壮大なアートワークとアルバム内容が一致するという、エピックメタルで最も基本的な部分が抑えられている点も評価につながった。三曲目の「A Past And Future Secret」は最高の英雄バラードである。


第9位

MOONSORROW 「Voimasta Ja Kunniasta」(2001)

Voimasta Ja Kunniasta



 9位はフィンランドのムーンソロウの2nd。彼らは3rdも歴史的な名盤なのであるが、あえて2ndを選出したのは、このアルバムに漂っている古代北欧の幻想的な土着性と民族的要素が色濃いからである。私が求めている、古代英雄世界の再現は大方このアルバムの中に表現されている。異教徒であり、戦士でもあるノースメンの生きている姿が、ケルティックな旋律に北風の如く乗って私に届けられる様は、郷愁的な感覚を思い出させてくれる。結局それは、私が求める臭気なのである。


第8位

ANGRA 「Temple of Shadows」(2004)

Temple of Shadows



 8位はブラジル、アングラのコンセプトアルバムの傑作である。彼らはメロディックパワーメタルバンドなのであるが、このアルバムでは十字軍を題材にした一大叙事詩世界を緻密に描くことによって、他に類を見ないシネマスティックなドラマ性を有したエピックアルバムを完成させている。中世の十字軍の宗教的世界観を忠実に描ききった内容は、感動以外の何物でもない。


第7位

SAUROM LAMDERTH 「Sombras del Este」(2003)

Sombras Del Este I



 7位はスペインのサウロム・ラムダースの2nd。私が求めた中世ファンタジーの世界を最も忠実に描いているアルバムとして、このアルバムを選出した。真の幻想世界が再現された、牧歌的であり民族的な勇敢さの漂う本編は、「指輪物語」をコンセプトにしたストーリーアルバムである。まさに私にとっては夢の共演である。サウロムの笛の音色は私にとって至高の癒しなのである……。


第6位

MANOWAR 「Gods Of War」(2007)

ゴッズ・オヴ・ウォー



 6位はアメリカのメタルの王者、マノウォーの10th。マノウォーというと、最高傑作と称される4th「Sign of the Hammer」が有名であるが、私の求めるヒロイズムとスケール感ではこのアルバムが上回っていたのでこちらを選出した。何より圧倒的なのは、大仰を極めつくしたオーケストレーションと壮大なエピッククワイアである。私も崇拝する戦神、偉大なるオーディンを賛美をするという崇高な目的のもと完成されたこのアルバムは、マノウォーの歴史の中で最もヒロイックなアルバムであり、またヴァージンスティールが11th「Visions of Eden」でそうであったように、エピックメタルの終着点に到達した驚異の傑作なのである。


第5位

DOMINE 「STORMBRINGER RULER -The Legend of the Power Supreme-」(2001)

Stormbringer Ruler



 5位はイタリアのドミネの3rd。恐らく、私はこの国で最もこのアルバムを聴いているだろう。本作に関しては、ヒロイックファンタジーの世界が極めて原作に忠実に再現された作品、とだけいっておこう。本作を聴けば、その原作が何かはお分かりいただけるだろう。今まで数えきれないほど愛聴してきたこのアルバムは、私にとって手放せないエピックメタルアルバムである。恰も、エルリックが魔剣ストームブリンガーを手放せないように……


第4位

VIRGIN STEELE 「Invictus」(1998)

Invictus



 4位はアメリカのヴァージンスティールの8th。正直、ヴァージンスティールの選出は非常に困難を極めた。「The Marriage of Heaven & Hell」にするか、それとも「The House of Atreus Act Ⅰ」にするか、「Visions of Eden」にするか……。この難しさを皆にもご理解いただきたい!本作は私が最初に購入したヴァージンスティールのアルバムであり、また全編完璧に近いところとラストの感動的な大団円を考慮して何とかこのアルバム一枚を選出した。しかし本当にこれば微小な差にすぎないのだ。詰まる所、彼らのアルバムはあまりにも傑作が多すぎる。


第3位

ENSIFERUM 「Victory Songs」(2007)

Victory Songs



 ベスト3に入ったのは、フィンランドのエンシフェルムの3rdである。このアルバムが選出されたのが意外に感じられるかもしれないが、そのような言葉を粉微塵にする圧倒的な衝撃が本編にはある。私は本作を始めて視聴した際、信じられないような恍惚感と興奮を抱いた覚えがある。果たして、ここまでヒロイックで幻想的なエピック作品があるのだろうか?思わずそんなことを口走ってしまう衝撃の一作である。


第2位

RHAPSODY 「Symphony of Enchanted Lands」(1998)

Symphony of Enchanted Lands



 ベスト2は、イタリアのラプソディーの2ndアルバムである。先述したサウロムの2ndが牧歌的なファンタジーエピックメタルアルバムの最高傑作とするのなら、こちらはハイ・ファンタジーエピックメタルアルバムの史上最高傑作である。劇的な冒頭に始まり、瞬時にその大作スペクタクル映画の如き圧倒的な世界に引き込まれ、ラストは常識を逸脱した盛大さで締めるその作風は、ヘヴィメタルそのものを超越した非現実の世界ともいえる。いやしかし、本作を視聴している間は幻想が現実となるのである。もはや、この作品は芸術であり、メタルというジャンルなのかも疑問である。


第1位

BAL-SAGOTH 「Chthonic Chronicles」(2006)

Chthonic Chronicles



 栄光の第一位は……イギリスの怪物バルサゴスの6thである。このアルバムは、終ぞ私が追求した古代の世界を戦慄を禁じ得ない迫真性と驚異を持って完成させた、窮極のエピックメタルアルバムである。 本作の前では私達の普遍的な概念などは意味を持たず、幻想怪奇の世界へと視覚を伴い誘われ、私は成す術もなく放心することしかできない。即ち、この驚異の産物を私達が完全に理解するのは、到底不可能だということである。故に、本作は謎めいており魅力的なのである。



▼続きを読む
 ヘヴィメタルは80年代から始まったのであるが、そのために古い年代の作品が多く現在も残されている。中には有史以前の失われた高度な文明のように、あまり知られていない作品も多いが、今も愛聴されている作品は多い。スラッシュメタルの四天王やアイアンメイデンやジューダスプリーストがそれである。現在も活動を続けている古参は素晴らしいとしか言いようがないのと、ファンの期待を決して裏切らない方向性に好感が持てる。古いメタルは、何故か時に猛烈に聴きたくなる。そうして私は埃のかぶった倉庫から古い作品を引っ張り出してくるのである。その時、恐らく私は大昔の記憶に捉われているのであって、潜在的な光景にもまた捉われているのである。それは古代の朧な記憶であり、私達がヴァイキングメタルに時折抱く感情と同じように、郷愁を誘うのである。古いメタル作品には魅力的な古代──無論それは有史以前の世界ではなく、数十年昔の時代なのであるが──があり、私のような好古趣味的な人物の注意を惹くのだ。


本日の成果:
パワースレイヴ
 アイアンメイデンの5th「Powerslave」は私が猛烈に聴きたくなるアルバムの一つである。単に古めかしく、神秘的な内容がいつも忘れられたころに私を惹きつける。そういった経緯で既に何十回も視聴したこのアルバムは、非常に馴染み深い。いうなれば、私は暗黒の航海に出発しているのだ。神秘的な世界、何処かの深遠を求めて。

深遠より
コスマン・ブラッドリー



▼続きを読む
■今までメタルの精神面等内面を多く紹介してきたが、今回は外見的なことについて触れてみよう──

 メタルのファッションには大きく特徴がある。その代表的なものが、レザージャケットである。元々レザージャケットはバイク乗りに重宝されてきたが、メタルの誕生から徐々にヘヴィメタルのファッションとして定着していった(更にここでは、バイクとメタルの関係性が深いということも付け加えておこう)。それに関しては、ジューダスプリーストの貢献があまりにも有名だろう。レザーにスタッズはヘヴィメタラーとしての正装なのである。それらの魅力は非常に大きい。そもそも黒という色が、ヘヴィメタルのイメージを物語っている。白い色は相手に好感を与えると心理学の分野でも囁かれているが、もしそうだとしたら反対色の黒は……と考えれば自ずと答えが出てくるはずである。ヘヴィメタルの精神性(やはりメタルという音楽では、いかなる場合でも精神面とは切り離せない)を最も外見の面でよくあらわしているのが黒い衣服であり、それはヘヴィメタルのテーマでもある「死や破滅、邪悪さ」とも結びついているのである。最もそれらは正統派的なメタルバンドに当てはまるにすぎない。今ではヴァイキングメタル、ブラックメタル、シンフォニックメタル、エピックメタルなど様々なジャンルから生じているヘヴィメタルだ。その定着的なレザーファッションに加え、特異なメタルバンドは更に独自性を持ったファッションを有している。ブラックメタル等のゴシックファッション(驚くことに、ここでも黒い服が悪魔のイメージと関連付けられて用いられている)等が主に当てはまるが、それについてはまた今度触れよう。とりあえず、ある程度外見に気を使うメタルファンならば、レザージャケットやレザーボトムで身を包んでみてはどうだろうか。もちろん、ヘヴィメタルの精神性を無視して外見ばかりを吸収してしまっては、メタルファンとして本末転倒になるのだが。大方、そこに関しては賢いメタルファンなら心得ているはずである。最後に、参考として私の着用しているレザージャケットを乗せておこう...


metal02
metal03

 両方とも私が改造を施したメタルレザージャケットである。市販されているスタッズをバラで購入し、それをジャケットに埋め込んである。スタッズはメタルの必須アイテムだが、こういったように手軽に革製品に埋め込めるので非常に便利である。しかし私は埋め込むのに途轍もない疲労と指の痛みを誘発した(笑)。又ほかには、ロック系のピンバッジを付けたり、ウォレットチェーンを装備したりと独自のアレンジが出来るので、メタルファンらしく個性に溢れたジャケットを作ることが可能である。問題は、あまりにも個性的で街を歩く際に危険だということである。
▼続きを読む
前回の続きから...

 お気付きの方もいるかと思うが、前回の特集では荘厳かつシリアスなエピックメタルの歴史的名曲を中心に紹介した。そして今回は、そういった伝統的なエピックメタルから広義な意味で捉えたエピックメタルの名曲を紹介しよう。ヴァイキングメタル、メロディックメタル、更にはシンフォニックメタルの領域をも加味し、壮大な歴史的名曲群を辿ってみるとしよう……


Ⅲ. 多様なるエピックメタル

Legacy of EPIC METAL Pt.Ⅱ


究極の神秘的な王国、それがウルティマ=テューレである



メルニボネのエルリックはエピックメタルの永久のテーマといえる



そして同じく、キンメリアの野蛮人コナンも



指輪物語を題材に取ったエピック作品は多いが...彼らが最も忠実だろう



これはもはや英雄歌劇である



エピックメタルは芸術に等しい



至高の幻想世界とはこのことであり、エピックという形容意外に何と言えばよいだろう



いわずと知れた名曲である



ヒロイック・エピックの金字塔



古の漢達の武勇が蘇る...


To be continued...
Ⅰ. 歴史的名曲とは

 文字通り、歴史に名を残すべき、傑出した名曲のことである。今まで私は様々なエピックメタルの楽曲に対し、「歴史的名曲」という言葉を用いてきたが、改めて読んだだけでは分からないはずである。そこで、ここではそのような名曲群をユーチューブへのリンクで視聴できるようにした。この偉大なる名曲たちは、劇的な旋律を持って我々を驚異と興奮の極地へ誘ってくれるはずである。


Ⅱ. 記録

Legacy of EPIC METAL Pt.Ⅰ


この曲は、ヴァージンスティールが世に送り出した最高の名曲の一つである



自らコンポで聴いた時は、信じられない感覚に襲われた



究極のエピックメタル



もはやバルサゴスはエピックメタルを超越した



これぞ究極の戦慄である



神の戦士たちの聖歌は、我々をヴァルハラへと導く



恐らくこの時、エピックメタルの歴史は定まったのだろう



彼らの行進に加わるのだ



彼らの存在は神話となった



年振りた古い伝説…


To be continued...
▼続きを読む
オヴ・ウォーズ・イン・オシリア

Fairyland the 1st album in 2003 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

ラプソディーに匹敵すると囁かれるフランスのシンフォニック・エピックメタルの金字塔、フェアリーランドの2003年に発表された1st。

経歴:
1998年、ラプソディーが提示した欧州中世ファンタジーの世界観とシンフォニックなメタルを標榜し、フィリップ・ジョルダナ(key)ウィルドリック・リエヴィン(d)Fantasia(ファンタジア)を結成。同年にデモ「Tribute To Universe」を発表し高評を得る。2000年には2ndデモである「Realm Of Wonders」を発表、このデモは一部のファンから非常に高い評価を受け、絶賛された。その後バンド名を現在のフェアリーランドと改め、メンバーにダークムーアのエリサ・C・マルティン(vo)を迎え、本編1stアルバム「Of Wars In Osyhria」を2003年に発表するに至る……


まず本編がエピックファンの間で高く評価される理由は、完成度の高さにある。よく比較に際しラプソディーの1stが取り挙げられるが、全くそれに勝るとも劣らない、充実した内容を本編は持っているといえるだろう。楽曲の磨きあげられた構成やストーリー性の重視は、本作を語る上で外せない要素である。また捨て曲といわれる、一般音楽が犯しがちな手の抜きようも、本作には微塵も存在しないのである。
そしてエピックファンとして目を惹くのは、本編に展開される壮大なファンタジー物語である。このアルバムの中で語られていることは、全てが幻想物語の一部となる。オシリアという伝説的な王国で巻き起こる正邪の戦いを、本編は物語っているのだ。物語はこうである。

オシリアという神々の地があり、この地に、神々は七つの大陸を作った。それはオシリア七王国と呼ばれた。大陸には王をそれぞれ置き、王は強大な守護石を与えられた。生まれたばかりのころ、この地は信じられないほど美しかった。しかし、人間の手の届くところに神秘があることに対して、一つの妬みが生まれた。かくしてその心を邪悪と嫉妬と私欲にかられた邪悪な存在が訪れた。この者は神々を恐れない最初のものであった。しかし、この者は一人ではなかった。権力を求めて、多くのものがこの者に従い、やがて力によってオシリアの神秘を奪おうと試みた。この者は「集めし者」、「旅する者」と呼ばれ、時を経てセノスとして知られるようになった。混沌の波がオシリアを襲うと、神々は会合を開き、悪を追放し、民に平和を与えるため力を合わせた。セノスとその従者は千年に渡り封印された。神々は七つの大陸の石にその力を与え、自らの土地を守れるようにした。もしもセノスの邪悪な力が集うならば、守護石がオシリアの全ての民を団結させるだろう。そしてやがて、若き人の子が守護石の力を得て、全ての民を闇との戦いで導くだろうことが予言された。かくして豊かなる日々は終わりを告げた……

物語の冒頭に刻まれた「山を越え、海を越え、空と宙を渡り、時を超えて」という神秘的なフレーズが、我々を未知の世界に誘っていく。この壮大なストーリーは、伝統的なハイファンタジーに忠実であり、D&Dに代表される一連の中世系RPGを連想させる。またこのアルバムのサウンドが、非常にその勇壮で大河的な世界観を徹底的に表現するつくりを成されているために、ある種のファンタジー映画とダンジョン系RPGのサウンドトラックが融合したかのような錯覚を抱かせる。そしてそこに加わるのは、スピーディーかつメロディックなメタルサウンドなのである。シンフォニックな面は、当然のことながら大量に導入されており、ストリングスとクワイアの応酬は圧巻である。本編の大仰さには目を見張るものがある。曲数も多いことながら、各所に民族的なフレーズも挿み、エピカルにストーリーに沿った劇的な展開を見せる。エピックメタルとしての本作の完成度は、極めて最高水準であるといえるだろう。このアルバムは一大スペクタクルである。ファンタジー作品としても、メタル作品としても、芸術作品としても素晴らしい効果を持っている。壮大な映画の如き興奮と高揚感に身を任せたい時──または、自らが主人公となり、一つの王国を自由な人間として闊歩したい時──に、本作は最大の効果を発揮するのだ。


1. And So Came The Storm
エピック・ファンタジー物語の幕開けである。交響曲調の幻想的な旋律から既に唯一無二の世界観である。
2. Ride With The Sun
ダイナミックなイントロダクションに導かれる、壮大なエピックトラック。圧倒的なスケール感と、後半の静寂パートに代表される劇的な展開には舌を巻く。
3. Doryan The Enlightened
名曲。流れるような美旋律が劇的に展開される、エピックメタルの傑作である。
4. The Storyteller
民謡調の美しいメロディに導かれ、讃美歌のようなクワイアが歌い継がれていく劇的なトラック。こういったファンタジックな曲には、シンフォニックエピックメタルの特異な世界観が詰め込まれている。
5. Fight For Your King
壮大なクワイアが空間を覆い尽くす、壮大極まりないエピック曲。 王のために戦う英雄たちの勇士が蘇る。
6. On The Path To Fury
7. Rebirth
8. The Fellowship
9. A Dark Omen
10. The Army Of The White Mountains
長大なインストゥルメンタル。RPGのサウンドトラックの如き壮大な幻想の音色が次々と展開される様は凄まじい。オシリアの美しい光景が蘇る曲である。
11. Of Wars In Osyrhid
本編の最後を飾る大作。このアルバムの集大成と呼びにふさわしい、凝縮されたドラマ性と大団円を迎える雰囲気が胸を打つ。ファンタジーの醍醐味を味わえる名曲である。特に中間部に導入される民謡メロディは、悶絶に値する。
12. Guardian Stones
ボーナストラック。


Review by Cosman Bradley
▼続きを読む
HASTINGS 1066

THY MAJESTIE the 2nd album in 2002 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

イタリアン・エピック・メタルの新星、ザイ・マジェスティの2002年発表の2nd。


「英国の運命に新たな風を吹き込むべし」

"Echoes Of War"より


ザイ・マジェスティの真価がこの作品には込められている。それはエピック・メタルの真価と同じものであり、充実した完成度と整合性、物語性を加味した、エピック・メタル・ファンが求めてやまないものである。本作はまさに、歴代のエピック・メタル作品の中でも歴史的な一枚であり、我々の独断と偏見では、全てのエピック・メタル・ファンが聴くべき作品である。
エピック・メタル的な要素として、まずはコンセプトの選択に注目する。我々は以前コラム(Battle of Hastingsでも触れたが、本作は中世史において最も重要視される「ヘイスティングスの戦い」を題材としたトータル・ストーリー・アルバムである。この史実はイングランドの王座を巡る抗争であり、ノルマンディ公ウィリアムの英雄物語でもある。ザイ・マジェスティはエピック・メタルの基本的な題材の選択を行っている。従来、中世世界のテーマはこの分野にとって極めて馴染みが深いものだ。安易なファンタジーではなく、中世の実際の史実を取り上げたことによるリアリスティックな演出も評価に値しよう。
次にサウンドが、エピック・メタルの理想的な劇的さで表現されているということである。本物の聖歌隊を起用した壮大極まりないクワイアの紡ぎ方、大仰な盛り上がり、中世民謡調のメロディの導入、更には劇的な曲展開と非の打ちどころがない内容だ。聴き手ははすぐさま、本作の徹底された、映画のスクリーンの如き圧倒的な叙事詩的音に飲まれることであろう。楽曲の繋ぎ方に関しても、全く持って素晴らしいとしか言いようのない構成。小曲を巧みに挿みながらのメイン・トラックへの流れは、コンセプト・アルバム特有の流れではあるが、その効果は中世の風景を伴う視覚的効果と共に最大限に発揮されている。また臨場感も圧倒的だ。
シンフォニックなエピック・メタルにシリアスで壮大な音楽性を求め、かつリアリティも追求した本作は、エピック・メタルが提供する恍惚の賜物である。本作の内容は、ヘヴィメタルのジャンルを超えたかに思われる──かつてアングラの「Temple Of Shadows」がそうであったように。一つの物語をエピック・メタルを通して感じることができる架空の擬似体験は、常に驚嘆すべき興奮に満ち溢れたものだ。




1. Rerum Memoria
2. The King And The Warrior
勇壮な中世系シンフォニーがメロディックなリフと共に駆け抜けるエピックメタルの典型。ヒロイックなメロディラインは魂を高揚感に包む。名曲である。
3. Intro Echoes
4. Echoes Of War
本作のハイライトにして歴史的名曲。映画さながらの重厚感と圧倒的なスケールが聴き手を包む。騎士の勇敢さ、歴史的な臭気を宿した旋律が劇的に展開される様は凄まじいの一言に尽きる。
5. The Sight Of Telham Hill
牧歌的なイントロダクションに続く幕開けは劇的である。そこから勇壮極まりない疾走曲へと展開し、スクリーンの如き目まぐるしい場面を次々に見せる。サビの神聖なクワイアには宗教的雰囲気すら漂っている。また、この曲の最大の見せ場は中間部から始まり、冒頭の幻想的な民謡旋律が再び繰り返されるパートは感動的ですらある。
6. Incipit Bellum
7. Intro Scream
8. The Scream Of Teillefer
9. Intro Anger
10. Anger Of Fate
ヒロイックな雰囲気を前面に押し出したエピック。中世騎士を思わせる魅惑的・幻想的なロマンティシズムが楽曲に彩りを加える。
11. Intro Pride
12. The Pride Of A Housecarl
13. Through The Bridge Of Spears
14. Demons Of The Crow
イングランドにおいて、戦いに勝利したウィリアムの戴冠を描くラスト。映画音楽を彷彿とさせる重厚感や臨場感を駆使し、盛大に描ききっている。大仰なスケールが胸を打つ。
15. In God We Trust



Review by Cosman Bradley
▼続きを読む
The Lasting Power

THY MAJESTIE the 1st album in 2000 Release
(未聴)

イタリア出身のエピック・メタル、ザイ・マジェスティの2000年発表の1st。


劇的なシンフォニック・メタルを提示し、本格的なエピック・メタル・サウンドを提供するイタリアのザイ・マジェスティ。本作はアメリカのファンタジー作家、テリー・ブルックスの小説『The Sword of Shannara(邦題:シャラナの剣)』(1977)を題材とした自作ストーリー・アルバム。中世騎士道物語、宮廷風ロマンスに通じる雰囲気や民謡調メロディを用いたサウンドは壮麗。やはり素晴らしいのは、大仰かつ聖歌隊を彷彿とさせる壮大なクワイア。華麗なストーリーを伴って展開する合唱には、エピック・メタルの神髄が見い出せる。




1. Thy Majestie Theme
2. Wings of Wind
3. March of The Damned
4. Under Siege
5. Name of Tragedy
6. Durnovaria
7. ...At The Village
8. Mystery of Forest
9. Cruenta Pugna
10. The Green Lands
11. Sword of Justice
12. Tears of Sorrow
13. Treachery
14. Nymph's Recall
15. Time To Battle



Review by Cosman Bradley
▼続きを読む
 長らくヘヴィメタルに対しての日記をつけることを忘れていた私は、思い出したかのように今この筆をとっている。然るに何故私がこの日記をつけなかったというと、不幸にも病に伏せてしまっていたからである。ヘヴィメタルのような力強い音楽を聴きながらも、こうも体が弱いとは何とも情けない話である。しかし寝ながらでもメタルを聴くことは出来、専らエピックメタルを多く聞いた覚えがある。もちろん、万全の状態で聴くメタルの方が感動するが、メタルの根本的な素晴らしさには変わりがない。詰まる所、ヘヴィメタル──特にエピックメタルのことである──は私にとって最上の時間を提供してくれる。僅かな時間でも、現実を忘れさせてくれるのだ。


本日の成果:
House of Atreus Act 2
 私が聴いたメタルの中でも、ヴァージンスティールが与えてくれる高揚感は絶頂のものである。元気のない時でも、一曲目のサビの高潔な旋律を聴いた瞬間に、意識が天を仰ぐ。ヴァージンスティールは称賛する箇所があり過ぎて困るが、エピックメタルバンドとして偉大であるとともに、何度聞いても飽きることがない。ヴァージンスティールは、生涯を通して恐らく聴いていくだろうと思う。この「House of Atreus Act Ⅱ」は、私が聴いてきたエピックメタルのアルバムの中では異例の二枚組のアルバム──他に二枚組のエピックメタルアルバムはというと、サウロムの「Sombras del Este」が当てはまる──であり、二枚組としては最高傑作である。このバーバリックかつロマンティックなサウンドに加え、古代ギリシアを想起させるメロディから、本作はトロイアンメタル──私の俗語であり、神話に謳われる都市トロイアでの戦争にあやかって──と呼ぶことが出来る。

C.B


▼続きを読む