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In the Sign of the Ravens

Mithotyn the 1st album in 1997 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

伝説的なヴァイキングメタルとしてその名を馳せる戦王、ミソティンの1stアルバム。スウェーデン出身。本作は1997年世に送り出される。

3枚世に残された彼らの遺品の内、最もケルトメロディが凝縮されたのが本作である。強烈なアンダーグランド臭を放ちながらも、その民族的楽曲の勇ましさは群を抜いている。そればかりか、劇的な展開を持つ楽曲が大半を占め、恐るべき完成度を誇っているアルバムだといえる。(しかしあくまでマニア向け、というのを付け加えておこう)サウンドはブラック/デスからの影響は当然として、民族的要素が強い傾向にあるといえる。ボーカルは叫びあげるデススタイルで、全編に漢臭いコーラスを配置している。この土臭いコーラスの高揚感とリピート率は尋常ではない。またアコースティックギターやキーボードも多少使用しており世界観を表現するのにいい味を出している。ブラック/デスメタルとしての残虐性はそれほど高くなく取っつきやすいだろう。残念ながらプロダクションはすこぶる悪く、音が籠っておりB級であるのを切実に感じることになる。しかし彼らには最大の魅力がある。それこそ楽曲の大半の基盤を構成しているケルト・ツインハーモニーの応酬であり、度肝を抜かれること必死である。リードの紡ぐメロディ自体が個々の物語を持っているといっても過言ではない。彼らのツインリードにはそれほどのドラマ性と民俗伝承の力がある。流石のブラインドガーディアンでもここまでは歌って(ギターメロディが)いなかっただろう。旋律では土着性と勇敢さを見境なく醸し出し、一方世界観では中世に傾向し、伝統的な先祖であるヴァイキングの勇士達の伝承、歴史、サーガを歌う精神性がある。これがヴァイキングメタルの最高峰であろう。一般音楽界では失笑を禁じ得ないスタイルであることは確実だが、ここまでヒロイックに大仰にケルト系メロディを導入するとは大胆にも程がある。しかしそのためにこのアルバムは歴史に名を刻むことになったのかも知れない。とにかく本作はこれまで不鮮明だったヴァイキングメタルというジャンルに決定的な打撃を与えたアルバムである。


1. Upon Raging Waves
静かに打ち寄せる波の音に続いて奏でられるハープシコード、そして雄大なるヴァイキングメロディへ。富と戦いと武勇を求め海原へ繰り出す北欧の漢達の叙事詩。まさにヴァイキング叙事詩の幕開けである。歌うかのようなケルティックツインリードが朗々と奏でられる様は土着的で、勇敢な感情が湧き上がってくる。また、中間部で奏でられる劇的なケルティックリードハーモニーはヴァイキング史の集大成である。
2. In the Sign of the Ravens
とてつもない哀愁と戦士特有の哀愁をまき散らすタイトルトラック。朗々としたツインリードに加え、野太い民族調コーラスも大仰なまでに導入されている。コーラスからツインハーモニー、ツインハーモニーからコーラスという流れを幾度も駆使する展開は圧巻。凄まじい名曲である。
3. Shadows of the Past
勇猛果敢なケルティックメロディが雄大な世界を見せる疾走曲。特筆すべきは、ただ疾走するだけではなく規律を持ったツインリードへの展開、コーラスの導入、静のパートを合わせ持っているということである。聴いているとまるで、北欧にある勇士達の国カレワラを思い出す。総じて幻想的だ。
4. Lost in the Mist
中世ファンタジーの世界へとトリップさせる笛の音色が極めて幻想的な曲である。民族的悲哀を湛えたその音色は胸を打つには十分すぎよう。また途中にアコースティカルナパートを導入するなどの技量も見せる。
5. Embraced by Frost
彼らの故郷たる雪と霜に覆われた北の大地に惜しみない称賛を捧げる曲。イントロから既に歌う勇敢なケルトメロディから激烈なリズムを伴って展開していく。後半のスピーディなリフパートへの雪崩れ込みは非常にドラマ性が高い。この曲も節度を知らず、戦士の哀愁を綴った叙事詩的旋律がやむことはない。
6. In the Forest of Moonlight
月明かりの森の中に隠された北欧の勇者の記憶。彼らは剣で終わりなき戦いを繰り広げる。そしてそれは思い出の中にのみ残るのだろう。流れるヴァイキングメロディの連打から、ケルティックリードハーモニーへの展開はエピカル極まりない。ヴァイキングらしい雄大なスケールに満ちた名曲である。ここまで大仰でかつドラマティックであるとスペクタクルという言葉を用いても何ら不思議ではないようにすら思える。アルバムを購入するまでに何十回もネットで視聴した記憶がある。
7. Tills Dagen Gryr
民族的な歌声で方向の快男児が歌う曲。いきなりのクリーンヴォイスなので多少驚く。だがとても勇ましい。
8. Stories Carved in Stone
激烈な勇ましさを放つヴァイキング曲。勇猛果敢なメロディが疾走、朗朗を繰り返す壮絶な曲である。特にツインリードパートでのケルト旋律のヒロイズムと哀愁は#1の神がかり的なメロディに匹敵する。
9. Freezing Storms of Snow
凍てつく凍結の嵐は限りなく厳しい。ブラックからの影響を強く覗かせる荒々しいリズム・リフから民謡調コーラスへの展開は絶品である。
10. Where My Spirit Forever Shall Be
荘厳なパイプオルガンで始まるという衝撃的な曲だ。ヴァイキングメロディを有したリフがアグレッシブに、縦横無尽に打ち鳴らされる。このアルバムはB級だが中毒性はA級だ。
11. Let Thy Ale Swing
中世の港町を想像させる華々しいファンファーレと共に、ヴァイキング達の叙事詩は終わりを告げる。
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Reign In Glory



Country: Germany
Type: Full-length
Release: 2003
Reviews: 84%
Genre: Epic Power Metal


"The German Kings Of Metal"なるスローガンを掲げ、熱いヒロイズムで一部のファンに歓迎されるマジェスティの3rd。2003年発表。


手っ取り早く評価を先述するが、今作はマジェスティの最高傑作だ。何故なら、ロバート・E・ハワードの〈コナン〉に通じる勇壮で力強い世界観が惜しげもなく描かれているからである。ヒロイックファンタジー系のエピックメタルとしての完成度は極めて高い。
とにかく本作は、ヒロイズムが徹底しており、雄々しさを強調したアレンジや演出が顕著。そういう要素に加え、バックを任されるキーボードのファンタジックな効果も大きいだろう。
始めて本作を聴いた時、前半のシンプルさに些か不満を覚えたが、後半からの劇的で雄大なスケール感に生唾を飲む羽目になった。
よく聴いてみれば、今作はかなり練られているように感じる。前半をシンプルかつ図太いパワー・メタルで攻め、後半に剣と魔法の世界に傾倒した大作のエピック・メタルを堂々と配置している。
アルバムの幕開けはヘヴィメタルへの忠義に満ちた名曲#1で激烈に幕開け、その後もタイトル曲#3でヘヴィに攻める。そして劇的なヒロイック・ストーリーのプロローグともいうべき#5で期待感を煽らせ、続く雄大極まりない「コナン系」の#6で独自の世界観を表現。#7に至っては余りにもヒロイックである。最後の#10は、まるで『コナン・ザ・グレート』の世界観をそのままヘヴィメタルにしたかのような、集大成とでもいうべき内容。
勇ましいヘヴィメタルが好きで、この癖のあるボーカルが許容範囲なリスナーなら、今作は相当の傑作である。なお、加筆しておくが、エピックメタルとしてはかなり洗練されている部類に入るため、このような叙事詩的な世界観を描いていても分かりやすいアルバムである。


追伸:
マジェスティは、1997年に結成された。マジェスティの創始者であるTarek "MS" Maghary(タレク・マガリー)は、ヘヴィメタルに人生と情熱を捧げた熱い男である。彼は、まさにエピックメタルの伝統的な意志を継ぐ男だ。その結果がこの勇壮なサウンドを追求してきたのは言うまでもない。
また、タレクは将来作家を標榜していたそうで、2003年以降、彼は本格的に作家活動を行っている。当然、彼の書いた幻想小説はマジャスティの歌詞の中に数多く盛り込まれている。
彼は、DAWNRIDERという壮大なプロジェクトを企画し、そのファンタジーエピック小説を軸にしたコンセプトアルバムも発表している。この作品は、マジェスティのスタイルからも分かるように、ハイ・ファンタジーのような煌びやかなイメージではなく、剛直でダークなヒロイック・ファンタジーの世界を描いている。



1. Heavy Metal Battlecry
剛直で漢極まりない爆走エピックメタル。前作よりも更にメロディに甲乙を付けることによりドラマ性、重厚感が増している。それと同時に、中間部に見られる神聖な静寂パートの扇情力も著しく向上。
2. Into The Stadiums
冒頭のとてつもなくヒロイックなツインリードメロディにまずは高揚感が頂点に達する。ヒロイックなミドルテンポエピックの典型といえる曲で、クワイアの練り方もかなり巧くなっているように感じる。
3. Reign In Glory
暑苦しい漢曲。親しみやすいコーラスが印象的。戦士の行軍曲という表現が適切だ。
4. Will Of The Cobra
戦歌を思わせる激しく勇壮な曲。
5. Defender Of The Brave
アコースティックギターのもの悲しいメロディから一気に爆走を開始。曲の流れに静と動を付け、神聖なサビのクワイアを前面に押し出しヘヴィな疾走をする部分は、過去のエピックメタルを見事に踏襲しているといえるだろう。後半の静寂パートも然り。
6. Lord Of The Damned
タレクの剣と魔法の小説に基づく曲。ドラムがドコドコいい、ヘヴィに行進するエピックメタルの傑作で、朗々としながらも曲の醸し出す勇ましさはアルバム中でも輝いている。剣と魔法の世界をイメージさせる高潔なコーラスの応酬は特にヒロイック。サビの異様な雰囲気の醸す勇ましさも高揚感を刺激する。これぞヒロイックファンタジーメタルである。
7. Heroes
静かなイントロからヒロイックなメロディへ。こういったシリアスで厳かな楽曲は、マニアたちからの人気も高い。この楽曲は、まさにマニアたちが探し求めていた内容であろう。サビの戦士の哀愁極まる「ひろ~うぉぉぉうぉぉぉぉ~」のフレーズには感動すら覚えた。漢のロマンがこの楽曲の中にはあるのかもしれない。タイトルに相応しく勇敢さに満ち、雄大な伝説を描き出す名曲。
8. Thunder In The Silence
彼らのことを愚直なエピックパワーメタルだと思っていたが、それは間違いだったようだ。何故なら、この楽曲に見られる繊細さ、雄大さは真にドラマティックなものだからだ。最高の戦士のバラードである。
9. Troopers Of Steel
勇敢さに満ち溢れた純潔なるヒロイックなエピック。戦士の持つ高貴な部分と漢のもつ野太い部分が融合したかのような楽曲だ。
10. Falcon In The Storm
古代の剣と魔法の叙事詩、またその喧騒的かつ野蛮な雰囲気に満ちた大作。大仰かつドラマティックな作風は見事であり、特にサビの壮大なコーラスはアルバム中屈指の高揚感を齎す。シリアスかつヘヴィなサウンドを有し、一連のメロディには歴史の持つ重厚感さえ感じ取ることが出来る。後半の神聖なパートへの展開などはエピックとしか言いようがない。雄々しいエピローグも素晴らしく、マジャスティが生み出した大傑作といえよう。
11. Battle Hymn
マノウォーの歴史的名曲のカヴァー。


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Sword & Sorcery



Country: Germany
Type: Full-length
Release: 2002
Reviews: 75%
Genre: Epic Power Metal


ウィザードと並びマノウォーを目標とするドイツのエピック・メタル勢の一柱、マジェスティの2nd。2002年発表。


音楽性は極めてマノウォー的。熱く漢血生臭い「コナン系」のエピック・パワー・メタルだ。また、本作では、彼らの思いが通じたのか、マノウォーのギタリストであったロス・ザ・ボスが"Heavy Metal"にゲスト参加。素晴らしいギタープレイを披露している。

もちろんそれだけがこのアルバムの魅力ではない。
剛直で正統派らしい重厚なリフをエリック風の大仰な歌唱に乗せて疾走させる各楽曲は、エピック・メタルのファンなら十分に満足できる範囲。
そして、彼らの最大の魅力は、何といっても戦士達の大合唱のような分厚いクワイアである。楽曲のサビは、それが過剰なほど繰り返されるので、メロディの分かりやすさと相まってついつい合唱をしている自分に気付く。もし彼らと共にスピーカーの前で合唱をしてしまったなら、もうマノウォーブラザーの仲間入りである。このように、高揚感を高める、ヒロイックなクワイアの魅力は大きい。

また、タイトルからも分かるように、ソード・アンド・ソーサリーの文献からインスパイアを受けたという詞世界も興味をそそる。実際にブックレットの中には、こういう世界観に影響を受けたという、明確な書き込みもあるほどだ。そして、それに伴って曲展開に静と動を使い分けるというドラマティックな技法も見受けられる。例えば、激しい疾走の最中、急に静寂が訪れ、神聖なアカペラ・パートが開始されたりする。、まさにこの手のファンのツボを心得ている作風だ。
特に大作である#4の持つ大仰なドラマ性は、長尺な楽曲であるにかかわらず全く飽きさせない、見事なエピックメタルだ。

先ほども触れたエリック風のボーカルは、まだまだ音程が危ういところがあるが、クアイアで巧くカバーしたり、漢らしさが滲み出ていたりと充分に聴ける範囲だろう。

しかし、まだ垢抜けない部分が残る、なんともマニア以外にはお勧めしにくいアルバムである。タイトルとケン・ケリーのヒロイックなジャケットでピンときたファンたちのみが、思わず買ってしまうような作品。



1. Sword and Sorcery
彼らの剣と魔法の物語に対する忠義が爆発したとでもいうべき名曲。サビの勇壮さと剛直な漢らしさに満ちた大合唱はあまりにも親しみやすい。またそのフレーズが過剰なほど繰り返されるという大仰な展開も見せる。
2. Fields of War
3. Heavy Metal
4. Epic War
雄大かつエピカルな、標榜する世界観を表現しきった大作。
5. Ride Silent
6. Fist of Steel
7. Aria of Bravery
8. Metal to the Metalheads


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The Links

from 2012.7.25...

──ここでは『METAL EPIC』誌が厳選したインターネット上でのHR/HM専門レビューサイトの紹介を行う。何れも良サイトを集めた。なお"check!"は『METAL EPIC』誌が特に推奨するサイトを指している。


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HM/HRこの曲を聴け!
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METALGATE
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kronikle of 80s
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メタルの部屋
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Metal Asylum check!
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Black Blade
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(I am) The Road Crew
モーターヘッドを敬愛するヘヴィメタル文化研究ブログ。ヘヴィメタル文化研究には、貴重な資料や意見が数多く掲載されている。

悶絶メタルのページ
ハードコアなHM/HR専門レビューサイト。その名に相応しい大仰なレビューが多数閲覧可能。

ヘヴィメタル・ハードロック入門者のための名曲・名盤講座
HR/HMを初心者に紹介することを目的としたサイト。ここでは様々な分野やバンドの名曲・名盤が紹介されている。

プログレッシブ・サラリーマン
主にプログレッシブ・ロックやヘヴィ・メタルのレビューを扱うブログ。英国70年代ロックの名盤も取り揃える。洗練されたデザインと質の高いレビューは魅力。

プログレ伏魔殿
プログレッシブ・ロックの専門サイト。その他、HR/HMやSF小説まで取り上げる。

ロックサイト・ランキング
音楽・ロック・バンド関係のホームページを集めた、ディレクトリ型のリンク集。ランキング形式で人気サイトを判別可能。

HardrockHeavymetal.com check!
HM/HRを中心に洋楽一般を扱うレビューサイト。主に音楽文献をもとに総評されたレビュー内容は、時に鋭い意見を含んでいる。

Xa Metal is Forever
クサメタルを随時紹介するHR/HM専門レビューブログ。

DIES IRAE
大量のHM/HR作品を紹介するレビューブログ。

Castle of Pagan
HM/HR専門レビューサイト。多数のレビューを扱う。

Forest Of Tranquilness
ドゥーム/ストーナー/スラッジ・コアのアルバム・レビューを行うサイト。取扱いジャンルに沿った暗いレイアウトと簡潔だが内容が濃いレビューが好印象。

METAL Zone
主にHM/HRバンドのバイオグラフィーを紹介するサイト。簡潔にまとめ挙げられた内容は資料的価値がある。

METAL PORT
「HM/HRこの曲を聴け!」に次ぐ参加型HM/HRレビューサイト。

100% Metal
主にHM/HR関係のあらゆる情報を扱うサイト。最新の情報が欲しい時に有効。

The Metal Archives check!
海外の大型の多人数参加型HM/HR専門レビューサイト。本国では扱わないようなバンドのレビューも詳細に行われており、点数式の評価は購入の際の判断基準となる。


■オフィシャルサイト
 

ADRAMELCH
イタリアのエピック・パワー・メタル、アドラメレクの公式サイト。

BAL-SAGOTH
イギリスのエピック/シンフォニック・メタル、バルサゴスの公式サイト。

BLIND GUARDIAN
ドイツのエピック/メロディック・パワーメタル、ブラインド・ガーディアンの公式サイト。

CIRITH UNGOL
アメリカのエピック・メタル、キリス・ウンゴルの公式サイト。

DARK MOOR 
スペインのエピック/シンフィニック・パワーメタル、ダーク・ムーアの公式サイト。

DOMINE 
イタリアのエピックメタル、ドミネの公式サイト。

DOOMSWORD 
イタリアのエピックメタル、ドゥームソードの公式サイト。

ENSIFERUM 
フィンランドのエピック/ヒロイック・ヴァイキングメタル、エンシフェルムの公式サイト。

FALKENBACH 
アイスランド・ドイツ混合のシンフォニック・ヴァイキングメタル、ファールケンバックの公式サイト。

HOLY MARTYR
イタリアのエピック・パワー・メタル、ホーリー・マーターの公式サイト。

IRON MAIDEN 
イギリスの正統派メタル、アイアン・メイデンの公式サイト。

MANILLA ROAD 
アメリカのエピックメタル、マニラ・ロードの公式サイト。

MANOWAR 
アメリカのエピックメタル、マノウォーの公式サイト。

MARTIRIA 
イタリアのエピックメタル、マーティリアの公式サイト。

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フィンランドのシンフォニック・ヴァイキングメタル、ムーンソロウの公式サイト。

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スペインのエピック/メロディック・パワーメタル、サウロムの公式サイト。

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EPIC WAR
『METAL EPIC』から一部レビューの完全版、及び中世の資料やオリジナルの小説を扱うサイト。

The Eldritch Dark
アメリカの小説家、クラーク・アシュトン・スミスのサイト。


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テイルズ・フロム・ザ・トワイライト・ワールド



Country: Germany
Type: Full-length
Release: 1990
Reviews: 90%
Genre: Epic Power Metal


ブラインド・ガーディアンの1990年発表の3rd。

ドイツのブラインド・ガーディアンは1988年に第一作『Battalions Of Fear』でデビューして以来、独自のエピックな方向性の探求を続けてきた。この作品から既にファンタジー文学の影響がヘヴィメタルに表れていたようだ。

ブラインド・ガーディアンの創造するヘヴィメタルは、昔からエピック・メタルの典型のスタイルだった。詞世界には、当然の如くヒロイック・ファンタジーが選択されていた。ブラインド・ガーディアンを語る上で興味深いのは、バンドの創始者であるハンズィ・キアシュ(Vo、b)がファンタジー文学のマニアだったことだ。彼は自分が愛してやまない物語を語り、それをJ・R・R・トールキンの『指輪物語』やマイケル・ムアコックの『永遠のチャンピオン』シリーズ、中世騎士道物語の代表作『アーサー王伝説』と公言している。他にドイツの英雄叙事詩にも影響を受けているようだ。当然の如く、ブラインド・ガーディアンの楽曲には様々な形でそれらのファンタジー叙事詩が登場する。云わばブラインド・ガーディアンのヘヴィメタルは、ファンタジー専門の巨大な図書館のようなものだ。

そして、ブラインド・ガーディアンの幻想的で壮大なエピック・ヘヴィメタルは、この第3作『Tales From The Twilight World』で完成したといっても過言ではない。現在でも、今作を最高傑作に上げるファンは多い。今に見られるシンフォニックなエピック・メタルとは一線を画す、スピーディかつパワフルな楽曲が次々に展開されていく大仰な作風は、熱心なファンには衝撃的だった(最も素晴らしいのは、ファンタジー文学の世界が見事に描かれていたこと)。本作の音楽性は、明らかにメロディック・パワー・メタルを基盤としているが、スラッシーなスピードとエピックな世界観の融合は、ブラインド・ガーディアンの独自の方法論だった。

上記の要素に幻想的なクワイアが加味され、ブラインド・ガーディアンの幻想世界は完成した。また、クワイアだけではなく、リードギターの流麗なメロディも非常に素晴らしく構築されている点も注目に値した。アンドレ・オルブッチ(lead g)は楽曲のソロ・パートを作曲しているため、印象的なメロディが多かった。更にメロディは、より勇ましいものを目指し、ケルト音階が取り入れられた。これらはヒロイックなヘヴィメタルには欠かせない要素だった。勇ましいソロが十分に展開される#1"Traveler in Time"、#6"Lost in the Twilight Hall"は既にファンタジー・メタルの名曲として名高い。ファンタジックでエピックなヘヴィメタルを語る際、ブラインド・ガーディアンの名は欠かせない存在となった。なお、本作は2007年にリマスター再販され、大幅に音質が向上した。



1. Traveler in Time
もはやこの手のエピックメタルでは定番ともいえる、クワイアを使ったドラマティックなオープニングから一気に爆走を開始する名曲。流麗なギターメロディと勇ましいヴォーカルがあまりにもスリリングな興奮を与える。クライマックのソロはファンタジー特有の世界観を強烈に印象付ける。最後の静かなエピローグも幻想的だ。
2. Welcome to Dying
疾走曲。猛烈な勢いで疾走し、そこにファンタジックなクワイアが加わるのはやはりブラインド・ガーディアンの代名詞であろう。また、ギターメロディも実に勇ましい。ファンタジー特有の興奮を感じる楽曲である。
3.Weird Dreams
まるでガンマ・レイ(元ハロウィンのカイ・ハンセンが結成したバンド。彼はこのアルバムにゲスト参加している)を思わせるようなパワフルなインスト。怒涛の勢いで勇ましいメロディが突き進む様は圧巻。
4. Lord of the Rings
タイトルにブラインド・ガーディアンが愛してやまない『指輪物語』をそのまま使用した名曲バラード。美しく、どこまでも幻想的な楽曲。古のファンタジーを思わせる、ファンタジーとは何かを問いかけられているような楽曲である。ここまで指輪物語を忠実に再現しているとは驚異的だ。
5. Goodbye My Friend
疾走曲。非常に勇ましい。
6. Lost in the Twilight Hall
ファンが共に合唱するために作られたかのような壮大な楽曲。サビでの大合唱はあまりにも勇ましく、若い勢いに満ち溢れている。ここまでやる大仰さは素晴らしい。展開はまるでRPGのようで、冒険物語を思わせる部分が随所に登場する。肝心のカイ・ハンセンは途中から突如奇声をあげて乱入し、凄まじいパフォーマンスを披露している。
7. Tommyknockers
攻撃的なメロディが耳に焼きつく佳曲。よく衰えないというほど、こちらでも疾走をしている。
8. Altair 4
短めの繋ぎ的な曲。いかにもドイツというような怪しげなメロディが印象に残る。
9. Last Candle
幻想的かつ荘厳なクワイアで幕を開ける必殺のファンタジーメタル。とにかく勇ましく、まるで#1"Traveler in Time"の再来とでもいうようなファンタジックな世界観が味わえる。サビでのクワイアとヒロイックなギターソロが爆走するパートでは途轍もない高揚感を得られる。また、ラストでのオペラティックな幕の締め方など、ブラインド・ガーディアンのエピックな手法が花開いた名曲でもある。


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Symphony Of Enchanted Lands Part2



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2004
Reviews: 85%
Genre: Symphonic Epic Metal


壮大なサーガが完結して約2年、新たな新章の幕開けとなるラプソディーの5thアルバム。2004年発表。


新しい世界に相応しくシンフォニックを増した楽曲群はより映画の域に到達している。またプログレッシブな面もあり、その緻密さ、複雑さがより顕著になっている。過去にプログレッシブバンドに対してサイケデリック(ここでは理解できないという意味で使用した)という言葉が用いられたが、まさに本作はそうであろう。
新たな物語は平和と栄光を取り戻したエンチャンテッド・ランドより再び開始される。アレックス・スタロポリ(key)曰く、"今作は前作より壮大な物語になるだろう"とのことである。生まれ変わった魔法の国の自然を表現するための民謡が非常に魅惑的である。それはいたるところに導入され、ハイファンタジーの幻想、高貴を物語る。
驚愕は何と50人ものクワイア、フルオーケストラを迎えて制作された点にある。まさに一度や二度聴いただけでは理解できないほどの壮大なスケール、濃密さを内包したアルバムである。また、それに伴う映画的演出も圧巻であり、映画『ロード・オブ・ザ・リング』よりサルマン、『スター・ウォーズ/クローン戦争、シスの復讐』よりドゥークー伯爵を演じたことでも知られる名優、クリストファー・リー氏をナレーション役として起用した事も驚愕に値する。リー氏の崇高な語りは素晴らしいの一言に尽きる。今作も、全くもって彼らにしか作ることのできない出色のアルバムである。



1. The Dark Secret
厳かなリー氏の語りから壮大きわまるエピッククワイアへと劇的に展開する驚異のオープニングアクト。この圧倒的なスケール感には鳥肌が立つこと必死である。
2. Unholy Warcry
魔法使いの王の語りに続く名曲。今まで以上に重厚で圧縮されたサウンドには驚く。サビのクワイアの放つ勇壮さと高揚感はアルバム中でもずば抜けている。
3. Never Forgotten Heroes
かつて魔法の王国を勝利へと導いた誠実なる英雄たちの伝説は永遠に忘れ去られることはない。
幻想的なドラッド調メロディとダンジョン系RPGメロディが見事な展開を見せる名曲である。コーラスへの劇的な流れは息をのむほど素晴らしい。またサビでの中世王国調クワイアの重厚感は圧巻だ。
4. Elgard's Green Valleys
民謡調インストゥルメンタル。自然の素朴な気配と笛の音色が齎す至福の時間である。
5. The Magic Of The Wizard's Dream
エピック・バラードの名曲。イントロの笛の音色から余りにも美しい。威厳に満ちた歌の旋律も、ファビオの表現力と合いまり叙事詩的な世界観を見事に描く。本アルバムはどの曲もスケールに満ち溢れているが、静寂の中に壮大なクワイアを歌い厳粛に聴かせる本曲は突出しているだろう。美しくも儚い、魔法使いの夢のようだ。この名曲は万人が感動すると私は思う。
6. Erian's Mystical Rhymes
約10分の大作。勇敢に疾走する騎士系のサビに加え後半のドラマティックな展開とくればいうことはない。聴きごたえが非常にある曲である。語りが入ってくる場面などは映画のワンシーンにあってもおかしくはない。
7. The Last Angel's Call
かつての名曲を思わせる伝統的な疾走曲。勇壮かつ英雄叙事詩的な聖歌の役割を果たす、5人の英雄達の高貴なる冒険譚である。歌ラインのヒロイックで重厚ながら哀愁漂う旋律は感動的だ。クラシカルなギターソロも抒情的に魅せる。最後の大サビでのクワイアの繰り返しはエピックファンタジーの王道である盛大なグロリア(栄光の讃歌)を堪能でき、素晴らしい。このアルバムの中で最も明白な曲であろう。
8. Dragonland's River
中世の幻想世界とでもいうべきか、美しく牧歌的な英雄トラッド。フルートの魅惑的な音色が魔法の中世世界の雄大な自然、山々、谷々の光景を聴く者の眼前に映す。この魔法の王国に溢れる不思議な生き物には美しさが宿っているのだという。この曲を聴いている時間は本当にそう思える。短いながらとても記憶に残る曲だ。ラストのサビに壮大なクワイアが突如絡むのがとてつもなく感動的。
9. Sacred Power Of Raging Winds
10. Guardiani
11. Shadows Of Death
12. Nightfall On The Grey Mountains
次回作への期待と本作を締めくくる演出が成されたアルバムの最終曲。RPGのエンディングを思わせるサビのメロディが特に印象的だ。もちろんお決まりのアルバム序曲のクワイアに戻るという展開も設けられている。毎回思うことであるが、彼らの長編の楽曲に対する感情の入れ込み、構成力、起承転結の概念は本当に高く評価できる。


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パワー・オブ・ザ・ドラゴンフレイム



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2002
Reviews: 89%
Genre: Symphonic Epic Metal


1997年から続いてきたファンタジック・アドベンチャー・ストーリー「エメラルド・ソード・サーガ」が遂に完結を迎えるラプソディーの2002年発表の4thアルバム。


3rdアルバムの次に発表された『Rain Of A Thusand Flames』に続くという形でのリリースとなる。全曲凄まじいまでの完成度と攻撃性を誇りラストの「Garoyles, Angels of Darkness」においては約20分にも及ぶというとてつもない大仰さに圧倒される。ストーリーに沿って徹底的緻密に構成された楽曲群はどれも名曲として扱って問題はないだろう。まさに最終章に相応しいアルバムとなっている。

本作では、物語の主人公である氷の戦士率いるエンチャンテッド・ランズの英雄達と邪悪なる王アクロン率いる悪魔の軍団との恐るべき、ファンタジー史の伝説に残るべき最終決戦が描かれる。その凄まじいまでの剣と魔法による最後の戦いを表現せんとするスリリングなギタープレイ、いつも破錠してもおかしくない激烈なスピードで構築される楽曲群は余りにも過激である。まるで自らが戦士として共に戦っているかのような視覚的効果と高揚感、クライマックへ向けての興奮は留まるところを知らないアルバムである。
ある種、これはファンタジー映画をスクリーンで見ているときに感じる興奮と同じである。底がないくらい濃密な内容だ。そして圧巻は壮大極まりない終盤に尽きる。#8でダイナミックに盛り上げ、伝説的ともいえる#9のクワイアで終焉を描き、ラストの#10の超大作で占める。この流れはエピック・メタルの歴史に残る名場面であろう。それ以前に、このアルバム自体がヘヴィメタル史に悠然と輝く大傑作であることは疑いようのない事実だ。



1. In Tenebris
ファンタジー世界での雌雄を決した壮絶なる最終決戦が行われる、という緊張感を持って歌い継がれる劇的なクワイア・オーケストレイション。
2. Knightrider of Doom
かつての名曲に連なる、余りにも混沌とした激烈な疾走曲。コーラスの荘厳極まりない圧倒的なエピッククワイアに笛が絡む時点で天を仰ぎ見る。
3. Power of the Dragonflame
大仰極まりない劇的展開と一大決戦の如き超スペクタクルなヒロイックメロディでファンタジーメタルの概念を破壊した歴史的な名曲。正直意識が遠のくほどの興奮を覚える。感動的なスケールを欲するサビのクワイアから劇的なスペクタクル・ギターソロへの流れはまさに至宝である。
4. March of the Swordmaster
勇敢なる英雄達の行進を描いたマーチ調エピックメタル。サビの重厚かつヒロイックな合唱パートはこの上ない英雄讃美だ。このストロングスタイル(別にプロレスではない)ともいえる雄々しさはマノウォーに通じる。
5. When Demons Awake
デス声を使用したアグレッシブなエピック・チューン。ダークさが滲み出ている。しかし荘厳な雰囲気溢れるサビは威厳に満ちる。
6. Agony Is My Name
勇壮なサビのメロディが強烈なインパクトを持つ疾走ファンタジーエピックメタル。
7. Lamento Eroico
イタリア語で歌われる出色のバラード。英雄の悲しき宿命が見事抒情的なファビオの歌唱に表現されているだろう。
8. Steelgods of the Last Apocalypse
彼らは素晴らしい。なぜならストーリーのクライマックスを最大限に盛り上げてくれるからだ。
9. Pride of the Tyrant
中世ファンタジーの雄大な世界を究極なまでに完結へと導く驚異的な名曲。エンチャンテッド・ランズで行われた壮大なる英雄達の戦い、魔法使い達の戦い、善と悪の戦い、その結末はいかなるものか。その極限のクライマックスがこの曲に現れている。とにかく曲中には何かが起こるという異様極まりない雰囲気が渦巻いている。それがもはや伝説的ともいえるサビのクワイアである。とにかくこのスケール、盛大さは言葉によって表現のしようがない。私達の感動を超えた、エンチャンテッド・ランズの大団円である。
10. Garoyles, Angels of Darkness
合計3パート約20分にも及ぶ「エメラルド・ソード・サーガ」4部作完結のラストエピック。今までで最長という超大作をラストに持ってくる辺り相当の自信を感じる。曲自体も凄まじい内容を誇っており、プロデューサー、サシャ・ピートによる中世スパニッシュ、フラメンコのようなアコースティックパートに始まり、激烈なメタル・パートへと徐々に展開していく。この曲を視聴している時間は余りにも濃密であり、とてつもない情報量を送り込まれる。その濃密さにいかに耐えうるかが、リスナーの力量たるところだろう。決して軽い気持ちで本曲は聴けるものではない、ということをこの言葉に表現したつもりだ。クライマックスパートでの栄光、勝利を表した盛大きわまるパートはまるで一本の大作ファンタジー映画そのものである。またエンディングにオープニングのIn Tenebrisに再び戻るというのも、感動的だ。
そして4部作と続いてきた英雄物語も劇的極まりない感動のラストを迎えるわけだが、そこは是非とも本作の日本語対訳版を手にとって真相を確かめてほしい。英雄はアクロンに勝利したのだろうか?エメラルドの剣は?影のダーガーは?そしてエンチャンテッド・ランズは再び平和を取り戻したのだろうか?大仰だが、ブックレットには魔法使いの最後の言葉が結末と共に綴られている。残念ながら、一端のメタルファンに過ぎない私がナビゲートできるのはここまでだ。"Peace and love forever!"


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レイン・オブ・ア・サウザンド・フレイムス



Country: Italy
Type: EP
Release: 2001
Reviews: 80%
Genre: Symphonic Epic Metal


イタリアのシンフォニック・エピック・メタル、ラプソディーのサーガ完結編の前編に当たるミニ・アルバム。
フルアルバムでリリースされる後半には全曲未収録という、破格の創作力を持って制作されたのが本作である。

まず驚くのがその収録時間の長さ。大抵ミニ・アルバムとなると収録時間は20分程度に収められるのが常である。しかし本作は7曲約40分という大ボリュームだ。なんと10分に及ぶ大作が2曲も収録されている。

また今作はハリウッド・メタルの権化たる彼らのポテンシャルを存分に生かした作品でもある。
映画のスコア並みの重厚な音像はもはや特筆すべきではないかもしれないが、かつての名作サントラを思い出させる。もちろんそれにはルカ・トゥリッリ本人が映画音楽のファンだということもあるだろう。彼はベスト・サウンドトラックとして『ブレイブハート』、『バットマン』、『ドラゴンハート』等の傑作たちを挙げている。
それらを踏襲、意識したかとさえ思われる内容はフォークロアで伝統的、クラシックの要素がつとに印象深い。出身国イタリアのホラー映画『フェノミナ』のメインテーマメロディを曲中に配した#3、ドヴォルザークの「新世界」をアレンジした#7には特に顕著に表れているといっていい。また、彼らのメタルらしいアグレッシブな魅力をエピカルに凝縮した#1も名曲に値する。

本作を聴けば、彼らがかつて提示したクラシックとメタルを融合したスタイルがより押し進められ進化していることが分かるだろう。傑作に等しい本作のテンションを誇示して次のフルアルバムへの繋ぎにするとは、これ以上ない期待感を煽られると同時に、なんとも憎い演出家である。



1. Rain Of A Thusand Flames
ラプソディー最速と謳われる、屈指の名曲。もちろんただ速くてアグレッシブなだけではなく、壮大なサビのクワイアも劇的に聴かせる。例えるなら嵐のように過ぎ去っていく曲だ。1曲目としては最高のインパクトをリスナーに植え付けることだろう。
2. Deadly Omen
3. Queen Of The Dark Holizons
4. Tears Of A Dying Angel
5. Elnor's Magic Valley
6. The Poem's Evil Page
7. The Wizard's Last Rhymes


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King Of The Dead



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1984
Reviews: 78%
Genre: Epic Metal


アメリカ発祥、カルト・エピック・メタルの神話、キリス・ウンゴルの1984年の2nd。


「我々は多くのファンタジー、及びソード・アンド・ソーサリー文学を読む。故に、我々の楽曲の殆どに空想叙事詩的な歌詞が登場するのは当然のことだ」
 ──グレッグ・リンドストーム


ロバート・グレイヴン(Robert Garven:d)、ティム・ベイカー(Tim Baker:vo)、ジェリー・フォグル(Jerry Fogle:g)、マイケル・フリント(Michael "Flint" Vujea:b)によって制作。グレッグ・リンドストーム(Greg Lindstrom)は大学に通うためにバンドを脱退した。



米カリフォルニア出身のエピック・メタルの始祖、キリス・ウンゴルの正式な第2作目にあたる本作『King of the Dead』は、前作『Frost & Fire』(1980)では不充分であった楽曲の完成度、及び特徴的なその世界観をサウンド面で追求することにより、大幅な進化を遂げた作品である。美しく幻想的なカヴァー・アートワークは、前作と同様に巨匠マイケル・ウェーランの手によるもの。驚くのは、その大仰なアルバム・ジャケットと本作の中身とが殆ど一緒であるという点にある。依然として音質はチープだが、それはカルト・エピック・メタルの避けられない宿命として、本作に対して、一部の熱狂的なファンは"キリス・ウンゴルのベスト・アルバム(Cirith Ungols Best Album)"と評価している。この意見は賛否両論に分かれる。
本作を語る上で重要なのは、各楽曲の持つドラマ性が著しく向上した、という点である。コンパクトにまとめられた『Frost & Fire』を軽く凌駕する大作志向を前面に押し出し、楽曲の展開はプログレッシブな波乱に満ちている。時には想像もしないような、急な展開を聴かせることもある。同時に、大仰なヒロイズムが作品の全体を覆っている点にも注目したい。サウンドは極めてエピカルかつドゥーミー、ギャロップするドラマティックなリフは、キリス・ウンゴルのエピック・メタルのスタイルを確立している。楽曲に漂うヒロイックなムードは、初期からキリス・ウンゴルが強く意識していたソード・アンド・ソーサリー(剣と魔法)の世界観である。その雰囲気は地下特有の怪しさに満ちており、時には熱心なそれらのファンを興奮させるに至る。エピック・メタルの至宝的な今作だが、中でも突出して"Finger of Scorn"の放つエピカルさ、及びヒロイック・ファンタジー的な世界観は衝撃的である。エピック・メタル・ファンなら迷わず、この名曲を聴いておくべきであろう。その他、混沌かつ荘厳としたタイトル曲"King of the Dead"、トールキンの小説から拝借したバンド名を冠した"Cirith Ungol"等、名曲は多い。また、作曲家バッハの楽曲をアレンジしたインストゥルメンタル"Toccata in Dm"を収録するなど、意外な音楽性も垣間見える。



普段普通に生活を繰り返していてもこのような、珍妙な作品には絶対に出会わない。キリス・ウンゴルの作品で聴くことができるエピック・メタルは、一般的な音楽ジャンルでは決してないからだ。「知る人ぞ知る」という言葉の如く、これらは脈脈と受け継がれてきた。未読の幻想小説があるように、キリス・ウンゴルの追求した世界観は興味深い要素で満ち溢れている。キリス・ウンゴルの創始者、グレッグ・リンドストームとロバート・グレイヴンがファンタジーやSFについて語ったインタビューがある──どうやらグレッグ・リンドストームは、長い間ファンタジーとSFの熱心なファンであったらしい。ジャック・ヴァンスによる地球最後の大陸ゾティークを舞台とした《滅びゆく地球》、フリッツ・ライバー(*注釈)による北方の野蛮人と魔術師くずれの都会人が奇想天外な冒険を繰り広げる《ファファード&グレイ・マウザー》、有名なマイケル・ムアコックのアンチ・ヒロイック・ファンタジー《エルリック・サーガ》がお気に入りであった。恐らくキリス・ウンゴルの二人は、ソード・アンド・ソーサリー(剣と魔法)の小説を殆ど読んでいた。彼らが手を出した作品の中には、あのロバート・E・ハワードの《コナン》、《ブラン・マク・モーン》なども混じっていた。
これらの過去のヒロイック・ファンタジー小説が、キリス・ウンゴルの音楽性と精神性に多大な影響を与えていた。そして間違いなく、この特別な要素がキリス・ウンゴルのエピック・メタルの礎を築いていた。例えば、少年期に始めて「剣と魔法」小説を読んだ時に刺激された知的好奇心や、興奮で高鳴る胸の内を思い出してもらいたい。キリス・ウンゴルは幻想小説が担うべき本来の役割を、聴覚から入り、エピック・メタルで果たしてしまったのである。これは画期的なことであった。キリス・ウンゴルのような幻想文学を音楽作品に取り入れたエピック・メタル・バンドの登場によって、我々は一日かけて読破するはずの小説の内容を、およそ30分間で味わえるようになった。これは恐ろしい発明である。なぜなら、かつて幻想文学に憧れた少年たちが創造したエピック・メタルには、小説よりも明らかな速攻性があったからだ。
結局のところ、現在に至るまで、エピック・メタルに必要な精神性はキリス・ウンゴルが追求したそれと何ら変わっていない。人間の本能的な探求心や知的好奇心が失われない限り、既に大昔に失われた叙事詩や異世界での出来事、及び英雄行為などを演劇の如く再現して、エピック・メタルはこれからも人々の知性を刺激し、空想のような壮大なイメージを膨らませ、目と耳を楽しませていくことであろう。

*注釈:Fritz Leiber(1910 - 1992)。アメリカのSF、ファンタジー作家。ここで挙げられた《ファファード&グレイ・マウザー》は、異世界ネーウォンを舞台とする、彼の代表的な「剣と魔法」小説である。この「剣と魔法」(Swords & Sorcery)という、今でこそ広く用いられている言葉は、彼が世界で最初の名付け親である。代表作は『凶運の都ランクマー』。



1. アトム・スマッシャー
Atom Smasher
一般のエピック・メタル・マニアでなければ、この楽曲の歌メロを一瞬聴いただけで、本作はお開きとなる。後半の大仰なテンポ・チェンジ、劈くようなギターメロディを耳にしただけでエピカルなのだが。

2. ブラック・マシーン
Black Machine
ドゥーミーでヒロイックなムードを醸し出すリズムが、ドラマティックな楽曲である。またリフを刻んだ後、急にミドル・テンポのドラムが駆け出すのも、大仰なドラマ性に拍車をかける。漢らしさも十分だ。

3. マスター・オブ・ザ・ピット
Master of the Pit
ヒロイック・ファンタジー的な混沌としたイントロを聴くだけで興奮が蘇る。漢らしくエピカルなリフが随所に聴かれ、そのリフが刻まれる度にドラムが微妙な疾走をするところも堪らなく良い。後半の盛り上がりを見せる疾走パートはエピックとしか形容できない。忠実に剣と魔法の世界が描かれている。

4. キング・オブ・ザ・デッド
King of the Dead
暗く、重く、シリアスであり、幻想的で厳かな雰囲気を醸し出すタイトル曲。確かに音質やプロダクション、演奏技術は決して高くはないが、随所に魅力的なパートがある。後半のパートなどは特に大仰さが滲み出ている。

5. デス・オブ・ザ・サン
Death of the Sun
ティム・ベイカーが奇声を発しながら疾走する楽曲。しかしこの本曲も大仰さが半端ではない。

6. フィンガー・オブ・スコーン
Finger of Scorn
以外にもアコースティック・ギターで幕を開ける、幻想大作とでもいうべき本作最大のハイライトである。アコースティック・パートでの音色は古めかしく、ファンタジー文学を彷彿させるものであり、その美しさには感動すら覚える。楽曲の進み方も前半以上に緩急のあるドラマ性に満ちたものであり、エピック・メタルのなんたるかを体現している。ギターソロのメロディも驚くほどヒロイックかつファンタジックなフレーズを繰り出している。後半のアコースティック・ギターが再度登場するパートでは、恰も剣と魔法の小説を読んでいる時と同等のもの悲しい感情を味わうことができる。

7. トッカータ・イン・Dm
Toccata in Dm
クラシックの定番曲のギターインスト。漂う雰囲気からヒロイック・ヴァージョンとも形容可能。

8. キリス・ウンゴル
Cirith Ungol
バンド名を冠したラスト・トラック。剣と魔法の世界特有の哀愁と、微かなロマンを匂わせる、後半のギターメロディが胸を打つ内容。大仰かつドラマティックな、見事な大作。

9. ラスト・ラフ
Last Laugh
ボーナス・トラック。


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The Best of...


Country: United States
Type: Compilation
Release: 1993
Reviews: 80%
Genre: Epic Metal


アメリカのロサンゼルス出身、エピック・メタルに多大なる影響を残した伝説的なバンド、ウォーロードの1993年発表のベスト盤。


1983年発表のデビューEP『Deliver Us』、シングル『Lost and Lonely Days』(1894)、第一作『...And the Cannons of Destruction Have Begun』の内容を収録。恐らく正統的なベスト盤である本作は、当時殆ど廃盤状態にあったウォーロードの楽曲をすべて網羅したファン感涙の作品である。ウォーロードの音楽性はドラマティックであり、哀愁に満ちた様式美の作風は他のバンドと一線を画している。今なおカルト的なファンが世界中に点在していることからも分かるように、マニアの間では相当な人気がある。エピックと称するに相応しい本作の大仰かつヒロイックな楽曲群は、実に漢臭くメロディアス。特にギタープレイに関しては、様式美を極めた幽玄な雰囲気を有している。エピックメタルを語る上で欠かせないこのウォーロードだが、このベスト盤にしても現在はプレミア価格がついている次第。近年ではバンドの2011年の再結成に続き、過去作品が徐々にリマスター再発され、楽曲をようやくCDで聴けるようになった。



1. Deliver Us from Evil
2. Winter Tears
3. Child of the Damned
4. Penny for a Poor Man
5. Black Mass
6. Lucifer's Hammer
7. Mrs. Victoria
8. Aliens
9. Lost and Lonely Days
10. Beginning/Lucifer's Hammer
11. Soliloquy
12. MMCLXXXIV
13. Child of the Damned


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Bound By Metal



Country: Germany
Type: Full-length
Release: 1999
Reviews: 83%
Genre: Epic Power Metal


"ドイツのマノウォー"との異名をとるエピック・パワー・メタル、それがウィザードである。本作は1999年発表の3rd。


"マノウォーへのドイツからの返答"(なんと大仰すぎるフレーズだ)という紹介文句もあるように、徹底してヒロイックな漢らしいメタルを演じている。各メンバーも上半身裸というマッチョなスタイルを惜しげもなく貫く。
それだけでも分かると思うが、この手のメタルが好きな向きなら否応なしに気に入るバンドである。やり過ぎなまでに爆走し、ヒロイズムを暑苦しいまでに披露するそのスタイルには、もはやプライドすら感じる。
前途有望なエピック・メタル・バンドであることは間違いない。

しかし、本作収録の名曲"Hammer, Bow, Axe and Sword"は、エピックメタル界では伝説となっているらしい...



1. Birth of the Weapons
2. Hammer, Bow, Axe and Sword
3. Brave Warriors
4. Dark Wings
5. Mighty Wizard
6. Nice Day to Die
7. Gladiators of Steel
8. Unicorn
9. Believe in Metal
10. Spill the Blood of Our Enemies
11. Battlefield of Death
12. Bound by Metal
13. Bloodsteel


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ザ・キャノンズ・オブ・デストラクション



Country: United States
Type: Live album
Release: 1984
Reviews: 84%
Genre: Epic Metal


アメリカの伝説的なカルト・エピック・メタル、ウォーロードの1984年発表のライブ盤。


実際にはビデオ・サウンド・トラックの形式を取る本作『...And the Cannons of Destruction Have Begun』は、ウォーロードが80年代に発表した数少ない本格的な作品である。デストロイヤー(William J Tsamis:g)、サンダー・チャイルド(Mark S Zonde:d)、ダミアン・キング二世(Rick Cunningham:vo)、アンチエンジェル(Dave Waltry:b)、センティネル(Diane Kornarens:key)のメンバーによって制作された。

観客のいない状態での擬似ライブを収録したビデオのサウンド・トラックという異例の本作は、当時主流であったMTVを狙ったものである。また、単なるプロジェクトとしてライブを行わないウォーロードが、ファンのためにその願望を叶えた作品でもあった。当然の如く、この斬新な発想はファンを歓喜させ、本作『...And the Cannons of Destruction Have Begun』が称賛されるのに長く時間はかからなかった。

デビューEP『Deliver Us』(1983)を経て発表されたシングル『Lost and Lonely Days』(1894)の内容を収録した本作は、ウォーロードの正確な第一作目としての認識が高い。『Deliver Us』で披露した叙情的なヨーロピアン・サウンドはそのままに、よりパワー・メタルとしてのアグレッシブな面を前面に押し出したのが本作の全容であり、その他に聴き手を絶えず魅了するメロディも兼ね備えている。本作の充実した完成度を考えれば、『Deliver Us』がカルト・エピック・メタルのマニアたちに高く評価されたことも頷ける。最も本作の評価は、前作に勝るとも劣らない。

熱烈なファンによって支えられ、ウォーロードの評価は永久に揺るぎないであろう。なぜなら、それは過ぎ去った時代の名残であり、過去ウォーロードは実力で称賛を勝ち取ったからだ。戦いの原野の栄光が風に乗って遠くの土地へ運ばれるように、ウォーロードの残した功績は各地へ広まり、再びロック音楽のファンたちを魅了することとなる。そして、彼らはエピック・メタルの古い歴史を紐解く時に、日焼けした辞書の中に、ウォーロードの名を目にすることになるのだ。なお、本作は2015年にルビコン・ミュージックより紙ジャケでリマスター再販。



1. Beginning / Lucifer's Hammer
台詞入りのイントロダクションを加えたEP『Deliver Us』の最後の楽曲。オリジナルより遥かにヘヴィなサウンドへと進化を遂げ、ギターソロ・パートは最高のものを聴かせる。
2. Lost and Lonely Days
シングル『Lost and Lonely Days』から収録。ウォーロード最大の名曲。中間部のソロ・パートはあまりにも臭い。以外にも歌詞は失恋について書かれている。
3. Black Mass
EP『Deliver Us』から収録。緊張感が増し、メロディの切れも良い。神秘的な雰囲気も醸し出す。
4. Soliloquy
キーボードの旋律を主に用いた楽曲。独特の荒涼とした質感にも磨きがかかる。哀愁は絶品。
5. Aliens
シングル『Lost and Lonely Days』から収録。ボイジャー1号とパイオニア10号が宇宙人と遭遇する可能性について示唆されている。メロディアスなフレーズを執拗に繰り出す本曲は、ウォーロードの様式美のスタイルをよく表している。メロディックなエピックメタルとしての完成度は高い。
6. MCMLXXXIV / Child of the Damned
冒頭のローマ数字は本作が発表された1984年を表している。劇的なイントロダクションに始まり、圧倒的なスピードで雪崩れ込む構成は、後のドラマティック・メタルの分野に幾許かの影響を与えた。
7. Deliver Us From Evil / End
EP『Deliver Us』の一曲目。意図したのかは分からないが、本作の最後でEPの冒頭に戻る展開は凝っている。無論、本曲も元曲を軽く凌駕する素晴らしい名曲。


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シャドウランド・スペシャル・エディション



Country: Spain
Type: Full-length
Release: 1999
Reviews: 68%
Genre: Epic Power Metal


ラテン国、スペイン出身のメロディックなエピック・パワー・メタル、ダーク・ムーアの1st。オリジナルは1999年発表だが、2005年にデモ・ボーナス入りで再発。ディスクは二枚組となっており、本編は一枚目にあたる。


ダークムーアといえば、激烈なクサさを誇る2ndや3rdがとくに有名だが、この1stも音質や演奏はまだまだ発展途上ながら後に通じるものは持っている。キーボードの煌びやかな装飾もいい感じだ。世界観に関しても、中世ファンタジーを題材としたエピカルなものとなっておりファンなら十分楽しめる。ただあくまでB級であるということを付け加えておいた方がいいだろう。今回新しく変更されたジャケットの戦士はまるでアラゴルンみたいで見栄えがある。余談だが、発売当時女性ボーカリストのエリサ・マルティンの中性的な歌唱により男か女か判断するのに時間がかかったらしい(笑)しかし彼女の声は女性特有の優雅さよりも力強い勇ましさを持った歌声であり非常に個性的だ。



1. Shadowland
2. Walhalla
なかなかにドラマティックな要素を持ち合わせた秀曲。ファンタジックで中世的な世界観はこの頃から既に開花していたようだ。
3. Dragon Into The Wind
4. Calling On The Wind
5. Magic Land
6. Flying
7. Time Is The Avenger
8. Born In The Dark
9. The King`s Sword
10. The Call


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ドーン・オブ・ヴィクトリー



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2000
Reviews: 88%
Genre: Symphonic Epic Metal


前作で究極のファンタジーエピックメタルを作り上げたイタリアの至宝、ラプソディーの3rdアルバム。2000年発表。
今作から新しく元SIEGES EVENのアレックス・ホルツヴァルト(ds)が加入した。


作風はいつもと変わらないシンフォニックかつエピカルなヒロイックメタルであるが、今作はアグレッションが前面に押し出されている。それもそのはず、彼らが描いてきた「エメラルド・ソード・サーガ」は今作で大きな転機を迎えているのだ。その概要を少し紹介しておこう。

英雄達は前作で氷の戦士が手にしたエメラルドの剣によりアンセロットの王国を救出するのに成功する。しかしアクロンの陰気な計略により女王はハーガーの町に囚われる。そこに氷の戦士は赴くが、彼もまた囚われてしまう。恐ろしい拷問により最大の友である英雄アルワルドと女王は惨殺され、エメラルドの剣は悪の手に落ちる。

そんな囚われの身になり友を殺された氷の戦士の怒りがアルバムの中で渦巻いているようである。攻撃的でメタリックなギタープレイは内容的にも戦いを思わせるには十分であるが、同時に臨場感をも演出している。
そう、少しでも曲に振れればそこは英雄達の戦場なのだ。……必死に考えたフレーズがこれしか思い浮かばなかったことを許してほしい。
話がそれたが、今作も迫真に迫る劇的な展開と留まるところを知らぬ大仰さで聴き手は悶絶必死であろう。壮大な民謡調シンフォニックパートとメタルパートの生み出すダイナミズムは至高のドラマといえる。彼らお得意の重厚なエピッククワイアも各曲に大量に導入されており、その壮麗でヒロイックなメロディは詠唱を誘発する...



1. Lux Triumphans
一滴の水音が聞こえ、もうそこからは剣と魔法の冒険の世界。荘厳かつ壮麗なクアイアによる劇的なオープニング。このクアイアはラストにも登場する重要なメロディである。
2. Dawn Of Victory
オープニングの序曲に続くお約束の勇壮な疾走曲。毎回ながらこの展開には殺られてしまい、心底脱帽である。ヒロイックなクアイアとマーチ調リズムそしてスピード感が融合した見事な名曲である。「グローーリアー、グローーリアー」の讃歌的合唱はつとに印象深い。
3. Triumph For My Magic Steel
煌びやかな旋律とと似勇壮に駆け抜ける曲である。中間部の盛大な合唱パートには感情を揺さぶられる。なぜなら余りにも展開がドラマティックだからだ。
4. The Village Of Dwarves
中世民謡調のバラード。ゆったりと幻想的な雰囲気を醸して進み、サビでは大合唱を繰り広げるというこの手の曲が好きな者にはたまらない曲である。また冒頭などで聴かれるアコーディオンのような好奇心をそそる民謡メロディには、ダンジョン系RPGゲームを思い出して懐かしくなることもしばしばである。もちろんそれが驚くほど合っているのではあるが。
5. Dargor, Shadowlord Of The Black Mountain
チェロが特にいい味を出していいる。イントロ部分も出色の出来。 影の英雄ダーガーのテーマ曲ともいうべき名曲だ。
6. The Bloody Rage Of The Titans
勇ましくも威厳に満ちた堂々とした曲。
7. Holy Thunderforce
とてつもなくアグレッシブな疾走曲。ファビオ・リオネが雄々しく歌い、激しいリズムがうねる様は圧巻である。そしてそのヒロイックなパートから一気に勇壮な合唱パートに突入するのも興奮することこの上ない。
8. Trolls In The Dark (Instrumental)
子供の声が不気味なインストゥルメンタル。
9. The Last Winged Unicorn
物語がクライマックスに近づいたことを告げる、感動的ながらも劇的なトラック。次々と繰り出される英雄的なメロディの歌唱が戦士の勇気を忠実に具現化させる。そしてスクリーンの如く劇的な展開を見せる中間部は凄まじい。感動的なファンタジーメロディが奏でられるギターソロ、魔法使いの導くようなセリフが突如として入り、アカペラの合唱へと移る……。まさに至高のファンタジック・アドベンチャーだ。
10. The Mighty Ride Of The Firelord
アルバムラストを飾る壮大な大作。アルバムのラストを大作で締めくくるというのが彼らのエピック・スタイルであるが今作に至ってもそれは変わりない。大胆なアレンジとサビのコーラスは魅力的だが、何といっても中間部での民謡パートの英雄的旋律の美しさ、飛躍感は余りに素晴らしく、今まで聴いてきたこのアルバムでの勇敢な冒険を今一度思い出させ、次なる舞台への期待感を最大限に煽る。管楽器がここまで魅力的とは驚きだ。その後もアルバム最初のLUX TRIUMPHANSのクアイアを再び導入し、まさにアルバムは終わりを迎えるわけである。
そういえば私達に英雄達の物語を語っているアルガロードの親愛なる魔法使いアレシウスは、常に伝説の戦士が持っていた勇気と誠実さとを忘れることなかれ、と私達に言い残していた。この感情が最後に英雄を奮い立たせて、絶体絶命だった彼を再びアルガロードの緑に包まれた地に帰還することを助けたという。この勇壮な叙事詩に感銘を受けたのも、彼の持つような人間味溢れるヒューマニズムが楽曲にも溢れて馴染んでいたからであろう。ここで語られた"勇気"と"誠実さ"の尊さはいつも勇敢な英雄から学ばされる。そして私が思うのは、エピックメタルが描く物語はただの歌詞ではなく、むしろ意味を持ったものであるということである。


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悪魔の洗礼



Country: United States
Type: EP
Release: 1983
Reviews: 88%
Genre: Epic Metal


アメリカのロサンゼルス出身、カルト・エピック・メタルの王者、ウォーロードの1983年発表のEP(現在は1stと認識)。


『Deliver Us』について...
ウォーロードのデビューEPとして記録されている本作『Deliver Us』は、1983年に当時はまだインディーズ・レーベルでしかなかった「Metal Blade Records」より発表された。ロシアン・ルーレット(Russian Roulette)と呼ばれるハードロック・バンドで活動していたサンダー・チャイルド(Mark S Zonde:d)がデストロイヤー(William J Tsamis:g)と出会い、1980年にウォーロード結成が結成された。彼らにとって、これはロサンゼルスで始動したヘヴィメタル・プロジェクトの一つに数えられた。
ある日、二人は「Metal Blade Records」の企画する『Metal Massacre』(*注釈1)のコンピレーション・アルバムの広告を目にした。そしてデビューのために、自らを「Oz Records」へと売り込んだのである。その偶然の試みが首尾よく成功したように、"Winds of Thor"、"Lucifer's Hammer"の2曲が『Metal Massacre II』に収録された。ウォーロードは後にダミアン・キング二世(Rick Cunningham:vo)、アンチエンジェル(Dave Waltry:b)、センティネル(Diane Kornarens:key)のメンバーを雇い、初のEP『Deliver Us』を完成させた。
本作の発表はウォーロードに大きな成功をもたらし、『Deliver Us』の楽曲は頻繁にロサンゼルスのラジオでも演奏された。またサンフランシスコでもウォーロードのヨーロピアンなサウンドが既に大絶賛され、一部でカルト的な人気を誇った。更にウォーロードは日本のワタナベ・ミュージックとも契約を交わし、1984年には『Deliver Us』の日本盤が発売された。日本のHR/HM専門誌『Burrn!』でもウォーロードの記事が紹介され、多くのファンを生んだ。この頃、ウォーロードは正式なバンド体制ではなく、事実ライブを一度も行うことがなかった。この逸話がアンダーグラウンドのカルト・メタル・シーンで語り継がれ、現在では一種の伝説と化している──以上が、"幻の名盤"『Deliver Us』に関して我々が知る限りの情報である。

*注釈1:「Metal Blade Records」企画のヘヴィメタル・オムニバス・アルバム。80年代初期にキリス・ウンゴル、ヴァージン・スティール、メタリカ、スレイヤーなどのバンドが楽曲を収録したことでも知られる。


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上記の複雑な経緯は、ウォーロードのEP『Deliver Us』をヘヴィメタル界でも異色の作品として位置付けるには十分な要素であり、実際に本作は異色のサウンドを収めている。ウォーロードがアメリカのバンドらしからぬヘヴィメタルの様式美を踏襲し、叙事詩的な作曲アプローチを行ったことは明白であり、万人の評価に値するものであろう。また、エピックなパワー・メタルの元祖でもある本作は、他のバンドの作品群と一線を画し、ミスティクかつオカルティックな世界観を劇的な手法で描いている。1983年の彼らの快挙は、大いに評価されて然るべきだ。主に聖書をテーマにした特殊な歌詞は、作詞したデストロイヤーの個性と相俟って、荒涼とした独特の風味を本作に馴染ませている。

ウォーロードの『Deliver Us』は、紛れもなく80年代初期を代表するエピック・メタルの名盤だが、本作が市場に出回った数を考慮してみても、万人がこの音源に辿り着いたとは到底考えられない。過去、ウォーロードの存在に気付き、尚且つ幸運を備えた者のみが、この『Deliver Us』を手にすることができた。最も今となっては、優れたインターネットの力でウォーロードの楽曲を聴くことが容易となっている。しかし、本作を単なる"思い出"として消化してしまうことは、あまりにも惜しいようだ。 なお、本作は2015年にルビコン・ミュージックより紙ジャケでリマスター再販。多くのロック音楽のファンたちがウォーロードのCDを手にすることとなった。



1. Deliver Us From Evil
アコースティック・パートから始まり、荒涼とした世界を描く。リード・ギターを主軸にしたドラマティックなヘヴィメタルである本曲は、ウォーロードの代表的楽曲の一つであろう。
2. Winter Tears
メロディアスなフレーズが耳を惹きつける。全編に渡り哀愁が滲み出ている。中間部のソロ・パートはヘヴィメタルの様式美に忠実。アコースティック・ギターによるエピローグにも注目したい。
3. Child of the Damned
強力な疾走曲。鋭利なリード・ギターに導かれて劇的な疾走をする。ウォーロードが生み出したアグレッションの名曲といっても過言ではない。なお本曲は様々なバンドによってカヴァーされている。
4. Penny For a Poor Man
静と動を駆使した内容。メロウなパートとヘヴィなパートを合わせ持つ。
5. Black Mass
宗教的な雰囲気を宿す楽曲。本作中最も不気味な雰囲気を宿した楽曲であり、重苦しいメロディが特徴的。
6. Lucifer's Hammer
ヘヴィなリフが打ち出される名曲。スムーズな楽曲の展開力がドラマ性を極める。中間部のソロは必聴。リード・ギターも最高にメロディアスなもの。


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