Epic Metal; Review Fan Site.
© 2010-2017




チャプターズ・フロム・ア・ヴェイル・フォーローン

FALCONER the 2nd album in 2002 Release
★★★★★★★★☆☆...(名盤)

スウェーデンのドラッドメタル、ファルコナーの2002年発表の2nd。


前作『Falconer』(2001)が好評を博し、全く新しいファン層を獲得するに至ったファルコナーであったが、一部の評価の声に"メロディック・パワーメタル"という単語が紛れていたことに対しては、疑問を抱かずにはいられなかった。ミソティンの時代から活動を続けるステファン・ヴァイナーホール(g、b)は別に意識したわけでもなく、トラディショナルなヘヴィメタルバンドであるファルコナーが、このような想定外の評価を受けたことは意外であった。最もそのせいでファルコナーの認知度が格段に向上したのは言うまでもない事実であった。元々ブラックメタルやデスメタル等の暴虐的なサウンドから離れて伝統的なヘヴィメタルを作ることが目的であったファルコナーは、マティアス・ブラッド(vo、Key)の持つ独特な美声に後押しされ、何なくその目的を果たした。しかし欧州各地で隆盛の真っ只中にあったパワーメタル的なスタイルが、意図も簡単にファルコナーの民族的なヘヴィメタルに混入することはまさに予想外の事態であったといえよう。絶賛を得る一方で、従来のファンから非難を受けた背景には、このような事態があったのである。
前作での好評を補っていた疾走感は抑え、より重厚感のあるヘヴィメタルに回帰した本作『Chapters From A Vale Forlorn』は、ようやくファルコナーの表現するべきサウンドが完成した作品である。魅力的なヘヴィメタル作品である場合、円熟した雰囲気と濃厚な内容が存在すれば良いだけで、若さに任せた疾走は作品の質を落としかねない。本作は大人が楽しむべきヘヴィメタルであり、聴き手は完成されたドラッドメタルの世界に身を委ねればいいだけなのである。また本作の歌詞にも注目すべき箇所があり、あえて従来の北欧神話やファンタジーから脱却した詞は、ファルコナーの新たな方向性を匂わせる。何も剣と魔法やドラゴンを用いた大仰なヘヴィメタル作品でなくとも、聴き手を興奮させることが出来る作品があるという事実を、ファルコナーは本作『Chapters From A Vale Forlorn』で再確認させたに他ならない。


1. Decadence Of Dignity
勇壮な雰囲気と重厚な雰囲気の両方を宿す魅力的な楽曲。マティアス・ブラッドの滑らかな歌声が炸裂した名曲である。民族的フレーズを宿したギターも素晴らしい。
2. Enter The Glade
ゆったりとした勇ましさを醸し出す名曲。雰囲気はミソティンに非常に近い。サビの三連のリズムはドラマ性を高めており、漢らしい高揚感を生み出すことに貢献している。
3. Lament Of A Minstrel
フルートの音色を用いた民族的楽曲。決してヴァイキングではないトラッドメタルの真骨頂がここに表れている。「歌詞は現実的だ」というステファンもやはり北欧伝統の幻想的な作風を完全には捨てられないようだ。
4. For Life And Liberty
本作中最もメロディアスな楽曲。漢らしい疾走感に満ちており、後半の静寂パートも駆使するなど芸が細かい。全編、特徴的なリードギターは恰も歌のように奏でられる。
5. We Sold Our Homesteads
6. The Clarion Call
7. Portals Of Light
8. Stand In Veneration
9. Busted To The Floor
10. En Kungens Man
母国語で歌われる日本盤のボーナス・トラック。ファルコナーの民族的ルーツを感じさせる出来である。



Review by Cosman Bradley
▼続きを読む
Falconer

FALCONER the 1st album in 2001 Release
★★★★★★★★☆☆...(良作)

スウェーデンのヴァイキングメタル、ファルコナーの2001年発表の1st。


"ヴァイキングメタルの王"として我々が知るミソティンは解散し、その偉業は影に隠れてより崇高なものとなった。ベースであったステファン・ヴァイナーホールはデス声ではないヘヴィメタルバンドをやることを思いつき、偶然にもマティアス・ブラッド(vo)と出会ったのは幸運なことであった。既にミソティンのような野蛮で本質的なヴァイキングメタルがファルコナーから生み出されることはないが、マティアス・ブラッドの素晴らしい歌声によって本作『Falconer』は漢らしくもマイルドな世界観を有することとなった。北欧から授かった哀愁の念や民族的な勇ましさは、このように形を変えて受け継がれてくものである。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

確かにファルコナーは元ミソティンのメンバーによって結成されたヴァイキングメタルバンドだが、サウンドが洗練されたことでメロディック・パワーメタルの分野に接近してしまったことは惜しむべき事実である。我々はミソティンという偉大なヴァイキングメタルバンドの影響を忘却することができず、その子孫にもあたるファルコナーに対しても先人の枠組に収めようとしてしまった。これは恥ずべき行為であり、我々はファルコナーがミソティンとは全く別のバンドであるということを知らなくてはならなかった。サウンドが洗練されることはバンドにとっては良い出来事であり、チープなサウンドをファンに提供し続けることは良くない行為に該当する。いわばこれはキリスト教の洗礼のようなもので、必ずしも向上心があるバンドならば通る道なのだ。しかし我々が最初に指摘したように、洗練されたサウンドがヴァイキングメタルの土着的な民族性を改宗させるようなことがあるとすれば、それは非常に残念な結末に他ならない。


1. Upon The Grave Of Guilt
2. Heresy In Disguise
3. Wings Of Serenity
4. A Quest For The Crown
5. Mindtraveller
ドラマティックな展開を持つ名曲。後半にかけての展開は絶品の一言である。
6. Entering Eternity
7. Royal Galley
勇壮な世界観を極めた初期ファルコナーの傑作。サビの雄々しいコーラスの持つ高揚感は並大抵のものではない。
8. Substitutional World
9. Lord Of The Blacksmiths
10. The Past Still Lives On



Review by Cosman Bradley
▼続きを読む