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Introduction

Robert_E_Howard

「エピック・メタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である」 [More stats] 

 ──Cosman Bradley


◆新着情報 News Topics
[Reviews]
VALKYRIE 「Deeds of Prowess」
WRATHBLADE 「Into the Netherworld's Realm」
VIRGIN STEELE 「Nocturnes of Hellfire & Damnation」
[Release]
Jack Starr’s Burning Starr 「Stand Your Ground」
Cirith Ungol 「King Of The Dead」
Manilla Road 「To Kill a King」

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 『指輪物語』で有名なトールキンは、中つ国の歴史を描き出した『シルマリルの物語』という作品も残している。この叙事詩的な物語の中には、様々な英雄たちが登場し、数多くの悲劇的な出来事に遭遇する。そして、そこで架空の英雄たちが体験するのは、叙事詩的な戦争を通じて得られる、死や栄光である。また、この『シルマリルの物語』の物語の特徴は、登場人物たちに悲劇的な運命が待ち受けているという点だ。『指輪物語』と比べると、その内容が極めて陰鬱なのは意外である。
 この物語が人々の注目を集めるようになったのは、言うまでもなく、『指輪物語』が世界中に浸透したからだが、それ以前は、殆ど存在も忘れ去られていた。詰まるところ、現代における『指輪物語』の成功は、こうしたファンタジーの長大な叙事詩作品を復活させることに繋がっていったのである。

新版 シルマリルの物語




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ハイパーボリアの都市(The City of Hyperborea)


著者:大橋大希
編集:METAL EPIC



 ハイパーボリア大陸の都市と地域の一覧。


主な都市と地域
Hyperborea-map2.jpg ・コモリウム(Commoriom)
 ・ウズルダロウム(Uzuldaroum)
 ・イックア(Iqqua)
 ・ムー・トゥーラン(Mhu Thulan)
 ・オッゴン=ザイ(Oggon-Zhai)
 ・ヴァラード
 ・ザロウル
 ・ザンゾンガ
 ・ムナルディス
 ・エイグロフ山脈(Eiglophian Mountains)
 ・ヴーアミタドレス山(Mount Voormithadreth)
 ・ウルファール峠
 ・アコラヴォマス山
 ・ツチョ・ヴァルパノミ(Tscho Vulpanomi)
 ・セレンゴス(Cerngoth)
 ・レックァン(Lcqquan)
 ・ユルガ山脈
 ・ウルティマ=テューレ(Ultima-Thule)
 ・ヴーアの荒野
 ・ゼンディシュ川
 ・アスファゴス州
 ・プナール
 ・アーチース
 ・トゥール
 ・イズ
 ・ヤズラ
 ・ロールン森林地帯
 ・ヤーラク
 ・サブダマール
 ・インガドス山
 ・バルセイン
 ・クラスコルガウス山
 ・ポラリオン(Polarion)
 ・アボルミス
 ・メッカラム
 ・コザス
 ・オンドーア湖
 ・ンラン山
 ・リムニアス
 ・スパタイン
 ・ウスノール州
 ・カルヌーラ
 ・オスズトロール島
 ・ゼシュの密林
 ・カモルバ
 ・グョルグ・アル
 ・アギル
 ・ズス
 ・トゥーラスク(Thulask)
 ・ファルナゴス(Falenagos)
 ・ウトレッソル



*編注:このコンテンツは未完成です。誤訳、記入洩れ等ございましたら、メールにて正確な情報を提供して頂けると幸いです。
*Map from the 1971 collection Hyperborea.
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ハイパーボリアの神々(The Gods of Hyperborea)


著者:大橋大希
編集:METAL EPIC



 ハイパーボリア大陸で確認された神性の一覧。


主な神々
Tsathoggua.jpg ・ツァトゥグア(Tsathoggua)
 ・イホウンデー(Yhoundeh)
 ・ウボ=サスラ(Ubbo-Sathla)
 ・ヨグ=ソトース(Yog-Sothoth)
 ・アトラク=ナクア(Atlach-Nacha)
 ・アブホース(Abhoth)
 ・アルケタイプ(Archetype)
 ・イクセエラ(?)
 ・チャルナディス(?)
 ・ラーン=テゴス(Rhan-Tegoth)
 ・ズシャコン(Zushakon)
 ・ズルチュクォン(?)
 ・イェブ(Yeb)
 ・アフーム・ザー(Aphoom-Zhah)
 ・ニョグダ(Nyogtha)
 ・ズヴィルポグァ(Zvilpogghua)
 ・スファティクルルプ(Sfaticllp)
 ・イクナグンニスススズ(Ycnagnnisssz)
 ・ズィヒュメ(Zyhume)
 ・イグ(Yig)



*編注:このコンテンツは未完成です。誤訳、記入洩れ等ございましたら、メールにて正確な情報を提供して頂けると幸いです。
*Depiction of Tsathoggua by Ruud Dirven.
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Antediluvian World.


ここに記述された内容は、コスマン・ブラッドリー博士が過去に執筆した記事の再録である。



 現在私達が知り及ばぬ遥かな有史以前の世界には、まだ見ぬ大陸が多く存在していたことが言われてきた。これまでに、そのうちの幾つかは考古学の素晴らしい仕事によって解き明かされることとなった。神話上のイリオスの発見もその内の一つである。過去を顧みない私達が、一方で過去を追い求めることは奇妙なことだが、古代の失われた大陸は人類誕生以前の探求における数少ない手掛かりの一であることに変わりはない。
 皮肉なことに、悠久の太古の大陸を闊歩していた先人類は、私達の時代までにすべて死に絶えてしまった。故に私達は個々の想像を膨らませていくこととなった。私達の忘れやすい脳は、歳月の蚕食に耐え兼ね、過去の失われた文明の物的証拠を見出すこともなく、今ではこれらの古代世界が本当に存在したかさえ曖昧となってしまったのだ。
 人間が歴史の中で疑問を抱いてきたように、古代の神話や伝説に語られてきた偉大な大陸や強大な国家に対する好奇心がある。幸運にも、私達の手元には何世代にも渡って受け継がれてきた神秘の書物がある。これら大昔の作家達が残した文書の中には、時に重要な知識が含まれている。そう、失われた太古の叡智のように……。
 私は古代の大陸及び国家を探求してきた者だが、人類の愚行を繰り返さないように、ここにその記録を残しておかなくてはならない。それも皮肉たっぷりの文書ではなく、ごく簡潔にである。これらについての証拠があるわけではない。多くが想像の産物といってもいい。しかし同時に、これらの中に真実が隠されていることもあるということも忘れてはならない。


アトランティス…遥か大昔、大洪水以前の古代世界において、最強最大を誇ったとされる王国。絶え間ない地殻の変化によって、末期にはポセイドニスという島のみが残存していたという。しかし伝説では、約1万2000年前に大西洋の大海に没した。
ムー…原初の時代より存在していたという太平洋の巨大大陸。古文書にはル・リエーという別の名で記されている。私の知る伝説では、ここに人類最初の王国が勃興し栄華を極めたという。このムーも同様、10万年以上前に太平洋に没す。
レムリア…現在のインド洋に存在していたとされる謎の大陸。セレンディプという美しい王国があった。ムー大陸と同一視されることもあるため、レムリアはムー大陸のことなのかもしれない。
ハイパーボリア…古代ギリシャ語で「北風の彼方」という意味を持つとされる極北の大陸。現在のグリーンランドあたりに存在していた大陸だと言われているが、その場所はムー・トゥーラン半島があった場所である。大氷河の襲来によって訪れた氷河期によって壊滅したと伝えられるが、ハイパーボリアのエイボンが著した魔道書「エイボンの書」には、この大陸に関する興味深い記述がいくつも残っている。
ヴァルーシア…古代世界において栄華を極めたという伝説が残る、蛇人間達の王国が存在したという強大な大陸。最初の大陸とも呼ばれることがある。蛇人間とは人類誕生以前に地球を支配していた種族で、人類によって滅ぼされるまで、高度な科学力と知性を持っていた。ヴァルーシアは、現在の南ヨーロッパ、北アフリカのあたりすべての領地を治めていたという。
ロマール…極北で最大最強を誇ったハイパーボリアの王国が没した後、約10万年に渡り古代極北を支配したという伝説の王国。しかし、現在はどの伝説にも魔道書にも明確な記述は残されていない。ハイパーボリアの末裔の一部はここに逃れたともいわれている。
南極大陸…ピリ・レイスの地図による神秘的な逸話を含む。地球に最初に飛来した地球外生命体が人類誕生以前に作り上げたと伝えられる大都市が点在していたと伝えられる。その存在はもはや神話となり、私達の想像が及ぶ範囲ではないとされる。しかし、現在も南極大陸の氷に覆われた表面の下にその遺産が残っているかもしれないのである…、というのは何とも夢のある話だ。


 以上が私の記述した資料である。現在の地球の略図では、これらの大陸の足跡すら認めることはできない。多くの神話や伝承は信憑性のあるものなのか、私は半永久的に知ることがない。朧な歴史の影に優れた作家達の想像力が付け入る隙が生じたものなのか、私は存じ上げない。地球の神秘は宇宙の学問的追求であるかのように、人間が知るには巨大過ぎるのである。しかしこのように、太古のロマンや人類の真の起源を求めるという行為は、知性ある種族として当然のことなのではないかと、私には思えてならない。


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Other Books...




 様々な分野の書物を集めるのが趣味であった。幻想文学を筆頭に、コレクションは考古学、宇宙論、中世文学、ギリシア哲学にまで至る。未読のものは非常に多く、至る個所に黴や蜘蛛の巣がこびり付いている。蔵書を整理しようものなら、埃との格闘は避けられない。これらの本は何れ読まなくてはならないが、未だに手を付けられていない現状にある。そう、ここにあるように、グラハム・ハンコックの著書も読まなくてはならない……
 行き当たった結論として、極めて優れた博学な書物のうち、私が何度も読み返し、貴金属のように大切に保管しているものはクラーク・アシュトン・スミスやロバート・E・ハワードの作品のみである。これ意外に必要な書物はないとまで思えるほど、彼らの作品は希少な価値があり、内容は芸術性に富んでいる。エピックメタルにおいてヴァージンスティールやバルサゴス、ドミネの作品以外を聴く必要がないように、スミスやハワードの作品以外に読む必要のある書物は少ない。私にとっての聖書は、他でもない過去の作家達の遺産なのである(詳細に記載するのならば、創元推理文庫より出版されたスミスの作品群にあたる)。それらの傑作集については、何れここで紹介することになろう。


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The Eldritch Dark




 偉大なる作家の死から50年の歳月が流れた。自然の摂理なる時の蚕食によって朽ち果てた文化や遺物は数多いが、美と頽廃の芸術に彩られた幻想の物語群は朽ち果てることがなかった。68年という生涯に渡り、詩や小説、彫刻や絵画といった様々な芸術に対し類まれなる才能を開花させてきたクラーク・アシュトン・スミスの残した物語が、時代を越えて過ぎ去った悠久の太古の出来事を物語るように、真に素晴らしいものは永久に朽ち果てることがないのである。
 スミスの数多の傑作短編は1930年代に殆ど執筆された(徹底した描写のために長編は描かなかった)。ちょうどこの頃、かの有名な『ウィアード・テイルズ』誌が刊行されて全盛を極め、H・P・ラブクラフトやR・E・ハワードらが活躍していた。詩人ジョージ・スターリングの弟子でもあったスミスは、若き天才詩人として名を馳せていた。ラブクラフトは偶然にも友人から手渡されたスミスの詩集に深い感銘を受け、文通を通して幻想文学の執筆を強く勧めた。
 師の自殺を転機に、スミスがこれに応えるのは1929年からで、『ヨンドの忌むべきものども』(1925)はスミスが最初に執筆した幻想小説となった。1929年から1935年までの間にほとんどの小説が執筆され、大部分が『ウィアード・テイルズ』に掲載され人気を博した。その後は両親やラブクラフトの死(*)に絶望し、次第に筆先は鈍くなっていった。晩年のスミスは新たな表現方法として彫刻を見出し、小説に劣らぬ数多くの作品を残した。1961年に息を引き取った芸術家クラーク・アシュトン・スミスは、寝室で眠ったまま逝き、長らく夢見た理想郷へと旅立った(伝説では、スミスは本当に幻夢境に行き今なおその場所に住んでいるのだと囁かれている)。
 博学なスミスの理想は、常に遠い時代の国々に向けられていた。「黒の書」として知られる小説の概要をまとめた覚書には、スミスが追求した燦然たる世界の物語が記述されており、それがやがて様々な小説となって完成した。ハイパーボリアの連作では荒涼とした太古の世界を驚嘆すべき描写で描き、アトランティスの最後の島ポセイドニスの妖艶なる逸話も創造した。幻想小説には、中世フランスのアヴェロワーニュや宇宙を舞台とした奇抜な発想のものまであったが、スミスが終ぞ理想郷としたのは超未来の大陸ゾティークであった。幼い頃から『アラビアンナイト』等の東洋文学に触れ、異国の魅力に取り憑かれたスミスは、理想の東洋趣味の王国を創作することに思い当った。そうして誕生したのがゾティークであり、そこに描かれた朧気な世界観は今なお知的な人々を魅了してやまないのである。
 ハワードの小説のテーマが"文明の興亡"であったのに対し、スミスの小説のテーマは"理想郷の探求"並びに"人類の皮肉"であった。そしてスミスは太古の魔術師の如く言語を巧みに操って、その両方を完成させるに至った。残された遺産は読者に眩暈を誘発させ、異国の恥美世界への扉を開いてくれる媚薬のような役割を担っているのである。
 スミスの小説は驚嘆すべき幻想に満ち、優美に包まれた毒を欲する。これからも多くの人々がスミスの理想郷を訪れることであろうが、そこで見出されるのは現実という世界の裏側で隠れるようにして蠢いている、我々の真の無意味さや愚かさに他ならないのである。

Metal Epic, Aug 2011
Cosman Bradley



*H・P・ラブクラフトとスミスの父親は、同年の1937年に永眠した。
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 私は度々エピックメタルと幻想文学との関連性を指摘してきた。エピックメタルとは、叙事詩的な文学作品やそれらの神話・伝承を主軸としたヘヴィメタルのことであるが、肝心の文学について、私達は基本的なことをよく学ぶ必要がある。そもそも文学とは何であるのか。幻想文学を知る前に文学の意味を理解するのは、エピックメタルを知る前にヘヴィメタルを理解するのと同じくらいに重要なことである。
 文学とは、簡略化すると文字による芸術作品を指す言葉である。あらゆる芸術の発祥地である古代ギリシアの時代から文学は存在し、現在では詩や小説として親しまれている。文学の判断基準は、芸術的であるかどうかというところである。
 単純な意味を語ったところで、本題の幻想文学とは、"空想的な文学作品"という意味を持つ。一般に『聖書』やダンテなどの叙事詩的な作品をそう形容し、それらの作品の中では神性や超自然といった存在が主に取り上げられる。これらの要素は、現在のファンタジーという定義の中でも登場する要素である。上記で既に、エピックメタルとの明確な関連性が示唆できることは疑いようがない。例として、ヴァージンスティールの『Visions of Eden』(2006)などはまさにそうであるし、突き詰めればダンテの『神曲』をモチーフとしたエピックメタル作品は驚くほど多い(*)。エピックメタルと幻想文学の繋がりは否定できないどころか、密接な繋がりがある事実が浮かび上がってくる。
 文学本来の「芸術的」という個所に焦点を当ててみるとしよう。ヘヴィメタルが時として、ある種の芸術作品として認められる理由がここに隠されているのである。例としては、アングラ(ANGRA)の『Temple Of Shadows』(2004)、ドリーム・シアター(Dream Theater)の『Images & Words』(1992)などが万人に認められているヘヴィメタルの芸術作品であることは間違いない。しかしここでは、当然の如く、エピックメタルが「芸術的」である理由を突き詰めていく。
 幻想文学をモチーフとした一連のエピックメタル作品は、これまでの歴史の中でもより劇的な音楽性を追求してきた。題材にされた文学作品が崇高であればある程、エピックメタル作品もまた壮大なものへと変容していった。エピックメタルは、文学作品の中でも最も荘厳であり、空想的に優れている幻想文学をそれぞれのモチーフとしていった。主に、ロバート・E・ハワード、エドガー・アラン・ポオ、H・P・ラブクラフト、J・R・R・トールキンなど近代の幻想作家への傾向がそれである。私が今までに何度も触れているように、ハワードの創造した「ヒロイック・ファンタジー」への追求が、より一層神秘性を高め、大仰な芸術作品へとエピックメタルを発展させてきたのである。エピックメタルの創造初期に、始祖キリス・ウンゴルがマイケル・ムアコックの空想作品を題材にしていたことは見逃すことができない。それらの現実から隔離された壮大な世界を描くために、エピックメタルはそれに見合った音楽性と高い技術を必要としたのである。それは、時にオペラの要素であり、クラシックの要素であり、映画音楽の要素であり、古来から伝承されてきた世俗の民族音楽でもあった。元来芸術的とされるそれらの音楽を劇的にヘヴィメタルに消化させることにより、エピックメタルはヘヴィメタルの最もたる芸術性を獲得したのである。古典音楽を大仰に取り入れたヴァージンスティールの成功も、偶然の産物では決してない。また、このような古い時代の芸術を再建させた優れたエピックメタル作品は、芸術の意味をよく知る好古家に受け入れられた。故にエピックメタルは、僅かながらの博学な支持者と崇高な幻想文学作品に釣り合うだけの芸術的なヘヴィメタルを創造し続けてきた。まさに、ヘヴィメタルによる芸術こそがエピックメタルなのである。


*アイスド・アースの『Burnt Offerings』(1995)、セパルトゥラの『Dante XXI』(2006)が挙げられる。
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Other Tales...


Weird

 神秘世界を追求する研究者や、幻想怪奇小説の発足に大きく貢献したのがアメリカのパルプ雑誌、『ウィアード・テイルズ(1923~1954)』である。ここから生まれた名作家は数知れず、ロバート・E・ハワード、クラーク・A・スミス、H・P・ラブクラフト──彼ら3人は"ウィアード・テイルズの三大作家"として知られている──らも名を連ねている。その他にも、人気の高いロバート・ブロック、オーガスト・ダーレス、C・L・ムーア、フリッツ・ライバー等が数多の名作を本誌に残し、現在の幻想文学が形作られていったのである。、『ウィアード・テイルズ』誌なくしては《剣と魔法の物語》が誕生することもなく、またそれらの英雄譚から材を取るエピックメタルの名作群も誕生しなかった、といっても過言ではない。
 これら当時の貴重な幻想譚は青心社出版の『ウィアード』シリーズで読むことが出来る。既に20年以上前のアンソロジーとでも言うべき本書だが、内容の素晴らしさは全く損なわれていない。それどころか、些か退屈な内容の小説が溢れる現在の時代においては、過去の作家たちが如何に知的で奇抜な傑作群を発表していたかが分かるきっかけとなる。本書には、原型のまま描かれた幻想と怪奇の世界が生き生きと展開されている。その野生的な魅力はいつの時代も尽きることがないのである。
 ただ『ウィアード』シリーズは当初全5巻が用意されていたにも関わらず、全4巻で発行が終了してしまったのと、『ウィアード・テイルズ』誌の貴重な文献を網羅しているのにも関わらず絶版状態にある、という現状が非常に残念である。私は偶然にも古本屋で見かけ購入することが出来たが、その出会いまでは時間を有し、それまでは2巻しか所有していなかった。本誌のような、一見陰気に思われ大衆から避けられる本にこそ、数多くの知識が宿っているものである。その知識への門口が閉ざされた世界では、芸術性が発展しないだろう。


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