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saurom2 ラテン国スペイン出身のサウロム(旧名サウロム・ラムダース)は、長年『指輪物語』に通じる欧州のファンタジー・エピックメタルの新鋭として活躍し続けてきた。彼らは、その歴史の中で名前をより分かりやすいサウロムと改めた時、サウンドも改める結果となった。2006年『JuglarMetal』以降発表されたサウロムのアルバムは、エピカルなメロディック・パワーメタル作品として傑出した出来だった──特に2008年に発表された『Once romances desde al-Ándalus』は、エピックメタルの未来を予感させる歴史的な傑作だった──が、初期の頃に花開いた民謡的要素は僅かながら薄れていった。しかし、サウロムは初期に残した3枚の名作でこれらの要素を含むエピックメタルをやり尽くしてしまっていたのだ。本日は、そんな不朽の名作に舞い戻ってみるとしよう。
 エピックメタル史では、ヴァージンスティールに次ぐ2枚組の作品として発表されたサウロムの『Sombras del Este』(2003)。西洋ファンタジーに傾向したエピックメタルの名作である。ストーリーアルバムである本作は、欧州におけるファンタジーの原点である『指輪物語』の壮大な物語に沿って展開されていく。アルバムは、彼らが得意とする民族楽器が余すところなく詰め込まれ、時に荘厳なヒロイックなムードも漂う。そして、本作にはサウロムが生み出した最高の名曲"Trancos/Aragorn"が眠っているのである。『指輪物語』の英雄アラゴルンを歌ったこの幻想的な名曲は、英雄的なロマンスを牧歌的に奏でてくれる。馴染み深いファンタジーの世界が眼前にあるのだ。幼い子供の夢のように、大人がそれらの世界に触れる貴重な機会を、彼らは私達に与えてくれたのである。


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manowar_2nd エピックメタルの王者マノウォーは、おびただしい数の名曲を残しているが、その多くが初期の作品に多いことはファンも承知の事実だ。エピックメタル界でよく引き合いに出されるのが1st『Battle Hymns』であるが、その栄光の陰に隠れ2nd『Into Glory Ride』(1983)に焦点が当たるということは少なかった。マノウォーの膨大な歴史の中で最も暗く影に満ちたこの作品は、重くカルト的な臭気を沼沢地の如く噴き出している。恰も巨人の如く居並ぶ長編の楽曲群は、当時にしては浮世離れし過ぎていただろう。
 熱心な彼らのファンでも見落としがちなこの作品の中に、エピックメタルの発展に貢献した名曲が眠っている。正式にヒロイック・ファンタジーの気高さと蛮性のイメージを取り入れた本作だからこそ生まれた珠玉の名曲群である。本来この作品の重さや暗さは、重厚なそれらの世界の再現に他ならない。戦士の讃美歌のような楽曲は、まさに戦士的なイメージであり、エピックメタルの最も基礎的で基本的な部分である。1stで彼らが成し得なかったことを、エピックメタルという表現を持って完成させたのが本作であるのだ。
 その中でも最大の傑作が、英雄の復讐劇とも形容される最後の"March For Revenge (By The Soldiers Of Death)"であることは疑いようがない。数々の歌劇や英雄譚で語り継がれてきた基本的な復讐劇という構図。強力な戦士の永遠のモチーフであり、また形作ってきた要素だ。かの名曲も同じように、剣における戦士の死と復讐を叙事詩的に描く。中間部での語りかけるような場面では、マノウォーの歌詞の中でも頻出する"戦士の祈り"に直接想像が結びつく。最後の雄々しいエピローグは、純血のヒロイック・ファンタジー小説の大作を読み終えた後の恍惚たる読後感と全く一緒である。この半ば伝説的なこの名曲を拝む者は、現代の状況と流布の問題で少ないが、もし辿りついたならば、それは最大の興奮を得るきっかけとなるだろう。



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iron maiden_1st エピックメタルのあの幻想をもう一度、という趣旨で始まったこのコラムの第一回目には、アイアンメイデンの1stアルバム『Iron Maiden』(1980)の名曲"Phantom Of The Opera(邦題:オペラ座の怪人)"を選出した。アイアンメイデンのブレインである知的なスティーブ・ハリス(b)の初期の集大成でもあるこの叙事詩的な名作は、記念すべき今回のコラムの第一回目に相応しいのではないだろうか。発表された年代を見ても驚くが、まだかのマノウォーさえデビューしていない時代に、よくこれほどまでに凝った大仰な楽曲を、更に言えばヘヴィメタルで完成させられたものだ。
 同名であるタイトルの『オペラ座の怪人』は、フランスの小説家ガストン・ルルーが1909年に発表したものだ。ガストン・ルルーは、大胆にも実話を描いたと語っている。今では知らぬ者がいないくらい有名なこのオペラの名作は、ゴシック・ホラーの幽玄な雰囲気も巧みに交えながら、見る者の心を感動させ続けている。また、今までに数多くの映画も制作されていることでも有名だ。アンドリュー・ロイド・ウェバー版のミュージカルを映画化した、ジェラルド・バトラー主演の2004年の作品は、つとに感動的である。
 文学や歴史が趣味であるというスティーブ・ハリスは、自身のオリジナルとして、この物語をヘヴィメタルで描いたのだ。世界観に知的な要素を導入し、楽曲は抒情的なメロディを独特の神秘性を交えながら複雑に表現し、およそ7分に及ぶ劇的な構成は、ヘヴィメタルにおけるドラマティシズムのなんたるかを提示した。その結果が、「後に続くことになるアイアン・メイデンの叙事詩的な楽曲の記念すべき第一歩」となったわけである。リマスター版のライナーノーツに記されていることは、見事に的を射ている。なぜなら、アイアンメイデン版『オペラ座の怪人』は、エピックメタルの歴史に確実な爪痕を残したからである。


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