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Among the Living



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 90%
Genre: Thrash Metal


アンスラックスの1986年発表の3rd。


ヘヴィメタルはイギリス産であり、やがてアメリカへと渡ったが、当然の如くアメリカで育まれたヘヴィメタルはそれらの影響を受けたものであった。具体的にはNWOBHMの影響下にあるバンドがアメリカでも支持を持ち、アンダーグラウンドから徐々に表舞台へと光を見出していったことである。その経緯に至ってはアンスラックスも殆ど同じだが、アンディアンの血を引くジョーイ・ベラドナ(vo)が物語っているように、アンスラックスの根本的な音楽のルーツは母国アメリカにある。
スコット・イアン(g)とチャーリー・ベナンテ(d)という強力なメタル・ミュージシャンが生み出した最高傑作『Among the Living』は、怒涛の疾走感で我々の脳髄を直撃することとなった。当然本作はNWOBHMの影響下にあるが、日々進化するヘヴィメタルのスタイルのように、アンスラックスは独自の個性を打ち出した。その結果誕生したのが"Indians"という名曲であり、この偉大な楽曲はアンスラックスを代表するアンセムとなって久しい。その他、ハードコアやパンクの激烈さを合わせつつ完成していった本作の楽曲群は、何れもスラッシュメタルの名曲に値する絶大な切れ味を誇っているものである。完全にNWOBHMの影響に屈することなく、アメリカ本来の反骨精神や向上心を宿した本作こそは、アンスラックスがスラッシュメタルという狭義な分野で残した名作と呼べる代物であろう。



1. Among The Living
重厚なリフで徐々にテンポアップしていく名曲。歌が入ればもう立派な高速のスラッシュメタルに成り代わっている。スピーディなリフとクリーンヴォイスの融合が非常に心地よく響く。
2. Caught In A Mosh
不穏なイントロ部分から爆裂に疾走。ジョーイ・ベラドナの歯切れの良いヴォーカルと掛け声が見事に合わさる。中間部のソロパートではメロディアスなフレーズも聴かせる。モッシュについて歌った楽曲であり、アンスラックスはモッシュを広めたことでも有名なバンドである。
3. I Am The Law
イギリスのSFコミックのキャラクター、ジャッジ・ドレッドを題材とした楽曲。ライブのような生々しい駆け引きで聴き手に迫る。ミドルテンポの楽曲だが、後半から怒涛のスピードが一気に展開される様には驚く。
4. Efilnikufesin (N.F.L.)
メロディックなリフと硬派なリフを交互に繰り出す。綺麗な歌に続く掛け声はモッシュに最適。
5. A Skeleton In The Closet
小刻みなリフが疾走する。ライブを意識したという本作の作風を主張するような楽曲である。
6. Indians
インディアンの悲劇について歌い、民族調のメロディを取り入れた、アンスラックスを代表する名曲。伝統的な旋律と鋭利なスラッシュメタルの融合は、斬新な切り口となって新たな興奮を生む起爆剤となった。
7. One World
メタリックなリフのパワーで押す部分はアンスラックスの得意分野であろう。無論、本曲もスピードとパワーで過剰に前へと突進する。
8. A.D.I./Horror Of It All
アコースティック・パートで始まる。その後重厚なリフによる演奏が続く。およそ7分に及ぶ楽曲である。
9. Imitation Of Life
相変わらずの激しさを持つリフだが、ドラムのアグレッションも秀逸。途中から更に加速し、高揚感を誘発する。ジョーイ・ベラドナのインディアンのような奇声も非常に効果的である。


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狂気のスラッシュ感染



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1985
Reviews: 86%
Genre: Thrash Metal


アンスラックスの1985年発表の2nd。


1981年にアメリカのニューヨークで結成されたアンスラックスは、他のスラッシュメタルの実力者らと同様に、早くも第2作で『Spreading the Disease』という傑作をシーンにぶつけてきた。本作において、インディアンの血を引くジョーイ・ベラドナ(vo)をヴォーカルに迎えた新生アンスラックスは、猛烈な勢いで突進するリフの壁に加え、しっかりと歌い上げられるメロディ・ラインでも異質を放つ素質は十分にあった。またアンスラックスの楽曲は、邪悪過ぎない部分も特徴的であった。一言で形容してしまえば、アメリカのストリートで育ったようなスラッシュメタルなのだ。
本作で定着した決定的なスタイルは、後のアンスラックスの定番となっていく末路を辿った。即ち、凶暴なスラッシュメタルにメロディのあるヴォーカルという斬新なスタイルが、スラッシュメタルの歴史においても多大な影響を与えたということである。当時の若者が熱狂して本作を視聴したというのも無理はない。しかし、その現象は今でも変わらないようだ。



1. A.I.R.
期待感を煽るドラマティックな冒頭が高揚感を感じさせる。頭を振らせるヘヴィな曲調に加え、中間部からテンションの高い転調が始まれば、それは名曲となる。タイトルの由来は、"Adolescent In Blue"である。
2. Lone Justice
細かく織り成されたリフに爽快な疾走感が続く。
3. Madhouse
アンスラックスの良さが出た名曲。爆走するリフの先に待ち構えるジョーイの掛け声が心地よく響く。本曲はアンスラックス初のプロモーション・ビデオが制作された記念すべき楽曲であり、見事に精神病患者を扱った過激な内容がMTVの目に触れ放送禁止となった(笑)。
4. S.S.C./Stand Or Fall
80年代スラッシュメタルの雰囲気を色濃く残す楽曲であり、何かの麻薬のような中毒性がある。突き抜けるかのような疾走感はここでも健在である。歌のメロディが若干アイアンメイデンの影響下にある。
5. The Enemy
NWOBHMからの影響を覗かせるメロディが印象的なミドル・テンポである。
6. Aftershock
重厚に構築されたリフの壁。
7. Armed And Dangerous
アコースティックパートを前半に持つバラード調の楽曲。後半からはメロディックなスラッシュメタルへと変貌を遂げる。そのドラマ性は見事という他ない。当時のスラッシュメタルバンドとしては珍しい選択といえよう。
8. Medusa
メデューサというタイトル通り不気味な雰囲気が支配する。重厚かつシリアスなリフの行進が非常に格好いい。
9. Gung-Ho
猛烈な速さを誇る名曲。開始直後から終了まで、嵐のように過ぎ去っていく。


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Fistful of Metal / Armed & Dangerous [Analog]

ANTHRAX the 1st album in 1984 Release
(未聴)

アンスラックスの1984年発表の1st。


1. Deathrider
2. Metal Thrashing Mad
3. I'm Eighteen
4. Panic
5. Subjugator
6. Soldiers Of Metal
7. Death From Above
8. Anthrax
9. Across The River
10. Howling Furies



Review by Cosman Bradley
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シーズンズ・イン・ジ・アビス



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1990
Reviews: 89%
Genre: Thrash Metal


スレイヤーの1990年発表の5th。


スレイヤーの第5作目に当たる本作『Seasons in the Abyss』について、頻繁に『Reign in Blood』(1986)と『South of Heaven』(1988)の音楽性を合わせ持った作品であると指摘されるが、その表現こそ本作を最も忠実に再現した言葉であろう。初期スレイヤーの集大成でもある本作は、彼らの魅力を余すところなく詰め込んだ傑作である。
最初、スレイヤーは見境なく暴れ狂う怪人といった有様でデビューしたが、作品を重ねるごとに凶暴ではあるものの、より洗練されていった。その進歩は楽曲の世界観だけには留まらず、表現力を増したメロディ面での進歩にも及んだ。詰まるところ、スレイヤーの目指したスラッシュメタルの美学が、本作には表現されているということである。それはファンを熱狂させるに相応しい要素を有し、また背筋をゾクゾクさせるような恐怖をも伴っている。スレイヤーの血の王朝は終わりなく続き、今後も世界各地で人々に衝撃を与え続けることは間違いない。



1. War Ensemble
冒頭を飾るに相応しい圧倒的なスラッシュ・メタル。洗練されたサウンドがスレイヤーに更なるアグレッションを与えた。暴れ狂うリードギターも凄まじいが、ドラムの激烈さも見逃してはならない。
2. Blood Red
ザクザクしたリフに頽廃的な歌が乗る。リードの旋律は恐怖感を増大させる。
3. Spirit In Black
緩急を交えながらアグレッシブに展開していく。苛烈なリフを冷淡に繰り出していくところが素晴らしい。
4. Expendable Youth
犠牲者に襲い掛かるような、危険な雰囲気を宿したリフを持つ。随所にスレイヤーの得意とする悪魔的なメロディも登場。歌のラインも良い。
5. Dead Skin Mask
メロディを強調した楽曲。不気味な曲調で進む様は異様ですらある。
6. Hallowed Point
超絶な突進力を誇る名曲。その前にはあらゆるものが破壊されても可笑しくはない。
7. Skeletons Of Society
ヘヴィなリフが歯切れ良く刻まれる。表現力を増したトム・アラヤのヴォーカルと共に、ミドルテンポであるにも関わらず緊張感を宿している。
8. Temptation
ヘヴィネスと鋭利さを共存させたリフ、その先にあるのは至高のスラッシュメタルである。中間部から緊張感を増す転調も披露する。
9. Born Of Fire
破壊的な中にも整合性の断片を見出すことが出来る。吐き捨てるようなヴォーカルが特徴的である。
10. Seasons In The Abyss
初期スレイヤーの集大成ともいうべき傑作。緊張感、邪悪さ、攻撃性などすべてが凝縮されている。迫りくるようなリフはスレイヤーの中でも最高のものである。サビらしき部分も存在し、トム・アラヤは陰惨な呪術師の詠唱のような歌唱を披露している。


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サウス・オブ・ヘヴン



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 82%
Genre: Thrash Metal


スレイヤーの1988年発表の4th。


人間はしばし盲目に陥ることがある。スレイヤーの前作『Reign in Blood』(1986)の衝撃が強すぎたために、第4作として発表された『South of Heaven』が僅かに遅くなったことで、本作は一部のファンや雑誌で非難の対象とされた。歳月がすべてを解決させるとはよく言うが、歳月が作品に対して再評価の機会を与えるということも、我々は知るべき事実である。
前作同様リック・ルービンをプロデューサーに迎えた本作は、依然として高い完成度を保ち、スレイヤー独自の邪悪な世界観を徹底的に描くことに成功した作品である。スラッシュメタルでは速さが極めて重要視されるが、スレイヤーは世界観を追求することにも尽力するバンドであった。不気味なアルバム・ジャケットそのままの陰惨な世界観は、まさにスレイヤーが描いてきた悪魔の世界のそれであり、聴く者を恐怖で震え上がらせる。平凡な現実とは異なった未曾有の世界に、必ずやファンはカタルシスを覚えることであろう。それこそ、キリスト教や既存の概念に縛られることがないスレイヤーの音楽性である。本作『South of Heaven』は、間違いなく聴くに耐える作品である。



1. South Of Heaven
頽廃的で邪悪なメロディが要の本作を代表する名曲。スピードを落としたとしても、この楽曲から退屈な部分は見当たらない。
2. Silent Scream
サタニックなリフが怒涛の勢いで突進する。前作の圧倒的なスピードに加え、洗練されたメロディを有したところは間違いなくスレイヤーにとって大きな進化である。本作はメロディの向上面においても注目すべきであろう。
3. Live Undead
ドラマ性を増したリフが背後で鳴る。ただ緊張感の抜けた退屈な部分があることも否めない。
4. Behind The Crooked Cross
一定の速さを保ちながら行進する。
5. Mandatory Suicide
威圧感さえ感じるサタニックなメロディから幕開ける楽曲。その後、破壊的なリフへと移動しながら随所にメロディアスなフレーズを挟む。「Suicide」と連発する歌詞も印象的だ。
6. Ghosts Of War
本曲からも、トム・アラヤ(vo)が歌詞を意識して歌うようになったことが分かる。それが楽曲に新たな説得力を与えた。
7. Read Between The Lies
各楽曲の練られ方は非常に進歩している。ヘヴィなリフに邪悪な旋律が絡む。
8. Cleanse The Soul
強烈なスピード感を宿す。間違いなく、本作が遅くなったとの批判を受けたのは、一部の楽曲に固執した意見である。後半には印象的なメロディも配する。
9. Dissident Aggressor
重厚極まるリフが悪魔の軍団の行進のように突き進む。奇声のように唸りを上げるリードギターが魅力的。以外にもトム・アラヤはメロディらしきものを歌っている。
10. Spill The Blood
メタリカとは違い、アコースティック・パートの導入は当時大きな物議を醸し出した。しかし本曲こそは、本作の作風を代表するメロディアスな名曲である。


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レイン・イン・ブラッド



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 91%
Genre: Thrash Metal


スレイヤーの1986年発表の3rd。


ヘヴィメタル史にその名を刻む名作は数あれど、スレイヤーの第3作『Reign in Blood』ほど過激な歴史的名作は存在しない。全10曲およそ30分という怒涛の内容は、正直何が起こっているのかすら分からない凄絶さである。これほどまでに過激な音楽を、スレイヤーはいとも簡単に完成させてしまった。もはや我々が表現する言葉など、この偉大な傑作の前では脆弱な戯言でしかない。「言葉で説明するより聞いた方が早い」という格言は、まさに本作に当てはまる。



1. Angel Of Death
ナチスの虐殺者ヨゼフ・メンゲレについて歌ったという、スレイヤーの名曲中の名曲。この過激極まる楽曲をアルバムの冒頭に配すところも凄いが、この後も更なる衝撃が立て続けに襲いかかる。
2. Piece By Piece
およそ2分の中を、静から動へと破壊的に行進する。
3. Necrophobic
1分半しかないが、怒涛の突進を披露する。まさに何が起こっているか分からない、といった状況である。
4. Altar Of Sacrifice
サタニックなスレイヤーの楽曲を更に過激に進化させたスラッシュメタル。暴虐的なリフ、ドラムが縦横無尽に悪魔の饗宴の様を披露する。
5. Jesus Saves
形容する言葉が見当たらない。
6. Criminally Insane
破壊的なスピードで一気に突進する楽曲。しかし、本作の殆どの楽曲にも同じような表現が適用される。
7. Reborn
重々しいがスピード感のあるリフが無慈悲に叩きつけられる。
8. Epidemic
一層鋭利な刃物のようなリフが刻まれる。途中から転調もある。
9. Postmortem
印象的なリフから開始。破壊的な中にも理不尽な構成力、そして展開力が紛れ込んでいる。
10. Raining Blood
スレイヤーの邪悪な世界観を極限まで極めた名曲。血の雨の降るSEからメロディアスなリフへの流れはあまりにも有名。ブラックメタルを遥かに凌駕した生々しい血の惨劇を連想させる部分は、最もおぞましい恐怖以外の何物でもない。真の恐怖とは、このように決して安易なものではないのだ。近年特に、我々は恐怖の表現を軽んじて用いてしまっている。


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Hell Awaits



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1985
Reviews: 85%
Genre: Thrash Metal


スレイヤーの1985年発表の2nd。


ケリー・キング(g)、トム・アラヤ(vo、b)、ジェフ・ハンネマン(g)、デイヴ・ロンバード(d)というアメリカで結成された4人組のスレイヤーは、その異様極まるバンド名と共に、スラッシュメタル界に俗悪な名を轟かせていた。記者をして「"Hell Awaits"は、当時のメタル・シーンにおいて最も邪悪で陰惨で病的なアルバムだったと断言できる」とまで言わしめるスレイヤーの第2作『Hell Awaits』は、発売されるや否や世界各地をどす黒い衝撃で襲った。
本作が一般人の手元に渡ると、まず悪魔崇拝、黒魔術、死体性愛を堂々と歌った歌詞が問題視され、瞬く間にスレイヤーは恐怖の存在と化した。スレイヤー畏怖の最大の原因となったのが、紛れもなく『Hell Awaits』に表現された凶悪なサウンドであった。ヴェノム系列のブラックメタルであることは確かだが、パンクやハードコアを極限まで突き詰めた横暴なまでのスピード感は、当時のスラッシュメタル慣れしていない若者にとっては過激すぎた。
現在ではスレイヤーの素性も知られ、彼らが素晴らしいヘヴィメタルバンドであり、メンバーも卓越した人格者であることは既に明らかだが、容易に情報を入手できなかった時代において、如何にスレイヤーの生みだしたスラッシュメタルが斬新で革命的なものであったか、我々は『Hell Awaits』を手にとって事実を確認する必要性があろう。



1. Hell Awaits
2分近く謎の言葉を発する冒頭から異様な雰囲気が漂う(一部では、その言葉が日本の西行法師ではないかという疑惑が持ち上がった)。スレイヤーの生みだした初期の傑作であり、劇的な構成と狂気に満ちる攻撃性が迫真性を伴って襲い掛かる。
2. Kill Again
凶暴なメロディを伴ったリフ、圧倒的なデイヴ・ロンバートの超絶技巧のドラムが融合した名曲。耳を疑うスピードで破壊の光景が散々に描かれていく。
3. At Dawn They Sleep
暴虐的なリフの的確な波状攻撃が不気味さすら感じさせる。中間部分から転調し、メロディアスな面も垣間見せつつ更に暴れまわる。
4. Praise Of Death
破壊的な衝動に駆られるリフ、スピード感が怒涛のアグレッションを生み出す。前方に突進するかのようなリードギターが危機迫る勢いである。
5. Necrophiliac
悪魔が飛び交う様を表現したようなギターの旋律が印象に残る。凶暴なリフが周囲を駆け巡る様は圧巻。
6. Crypts Of Eternity
地獄への階段を上るかのような、苛烈なリフが非常に格好いい。スレイヤーの楽曲の構成力が単純な攻撃性から生じていないことも、既に明白である。
7. Hardening Of The Arteries
最後に#1"Hell Awaits"に似た構成に繋がる。トム・アラヤ(vo)のヴォーカルが狂気に駆られているようで凄まじい。


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Show No Mercy



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1983
Reviews: 81%
Genre: Thrash Metal


スレイヤーの1983年発表の1st。


過激な音楽性を追求したヘヴィメタルのスタイルは、後にスラッシュ・メタルとして世界各地のアンダーグラウンド・シーンに定着することとなる。スレイヤーはその代表的なバンドとなった。本作は、サウンド面は粗削りだが、既にサタニックでエクストリームな世界観が描き出されている。また、当時のスレイヤーは、イギリスのヴェノム(Venom)から強い影響を受けていた。そのことがはっきりと分かる作品。



1. Evil Has No Boundaries
2. The Antichrist
3. Die By The Sword
4. Fight Till Death
5. Metal Storm/Face The Slayer
6. Black Magic
7. Tormentor
8. The Final Command
9. Crionics
10. Show No Mercy


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メタル・ジャスティス



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 90%
Genre: Thrash Metal


メタリカの1988年発表の4th。


メタリカは自身のスラッシュメタルを初期の三枚の作品の中で進化させ続けてきたが、辿りつくべき耽美の終着点はあった。それが紛れもなく本作『...And Justice For All』であり、我々はここに表現された至高のヘヴィメタル的芸術を絶賛してやまない。メタリカの攻撃的な作品の中で最も複雑に絡み合う本作の楽曲群は、大成功を収めた前作『Master Of Puppets』(1986)のサウンドを更に凌駕するプログレッシブさで聴者の知覚を刺激する。針に糸を通すような緻密な構成はどれも驚嘆に値する精度だが、メロディに関しては更に芸術的である。英国を彷彿とさせる高潔な旋律は、"...And Justice For All"、"One"、"To Live Is To Die"で極められ、それは同時にメタリカの追求し続けてきた世界観が完結したことを物語っている。本作はメタリカの至高の芸術を表現した大作であり、知的な世界と相俟って、我々にヘヴィメタルの深遠さを告げている。
メタリカにとって大きな変化もあった。ベーシスト、クリフ・バートンの死である。彼は1986年にスウェーデンをツアー中のバスが起こした交通事故に巻き込まれ、不運にも生涯を終えた。残されたメタリカのメンバーは悲観に暮れたが、生前のクリフの意思を思い出し、活動は継続された。しかし如何に強靭な精神を持ち合わせているメタリカでさえ、理不尽な現実を前にして動揺しないわけではなかった。クリフの後にバンドに迎えられたジェイソン・ニューステッド(b)加入後の本作では、気持ちの整理がつかないメタリカのメンバーとの間に確執が生じ、ベースパートが殆ど聞こえない状態で発売された。それが本作の唯一の欠点として後に浮き彫りとなったが、当時のバンド内の葛藤、そして不満を生々しく表現した真実の記録として、ここに『...And Justice For All』は残されている。現実には理不尽な出来事があまりにも多過ぎるのだ。



1. Blackened
スラッシュメタルの歌詞の題材として頻繁に用いられる、核戦争──正確には、核戦争によって廃墟と化した世界の惨状──について歌った楽曲。メロディアスなオープニングを配し、シリアスかつドラマティックに聴かせる。
2. ...And Justice For All
本作のハイライトであり、メタリカの芸術点をすべて凝縮したような名曲。映画『...And Justice For All(邦題:ジャスティス)』(1979)に触発された楽曲であり、権力の横暴や金によって人々が如何に堕落していくかを歌う。メタリカの知性が前面に押し出されたかのような、複雑かつ劇的な展開を有する。中間部の重厚なメロディへの展開は、ドラマティシズムを極めている。
3. Eye Of The Beholder
選択の自由を訴えた楽曲。ザクザクしたリフが歯切れよく突き進む。
4. One
ダルトン・トランボーの小説『ジョニーは戦場へ行った』を題材とした名作。メタリカ初のビデオ・クリップが制作された楽曲であり、ビデオには原作の映画の映像が用いられた。内容はまさに真実を明かした戦場の惨劇に相応しく、信じられないような美しい前半パートから、怒号のリフを伴う後半パートへの流れは凄まじい。本曲は、1990年のグラミー賞のベスト・メタル・パフォーマンス部門を受賞した。
5. The Shortest Straw
6. Harvester Of Sorrow
7. The Frayed Ends Of Sanity
8. To Live Is To Die
クリフ・バートンの書きためていた詩をモチーフにしたメタリカ最大のインストゥルメンタル。気品をも感じさせる魅惑的なアコースティック・パートから始まり、徐々に壮絶なギターパートへと展開していく。思うに、メタリカが生み出した究極のインストゥルメンタル楽曲であろう。
9. Dyers Eve
10. The Prince


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メタル・マスター



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 93%
Genre: Thrash Metal


メタリカの1986年発表の3rd。


メタリカは社会的に孤独であった。過激な音楽性故にラジオ、テレビでのプレイはほぼ皆無であり、常にアンダーグラウンド(地下)でのライブが主な宣伝活動に値した(腐敗した社会では、真実は真っ先に排除された)。メタリカは『Kill 'Em All』(1983)、『Ride the Lightning』(1984)という傑作でヘヴィメタル・シーンに殴り込み、スラッシュメタルという新しいジャンルを開拓して覇権を手にするも、王者が直面したのはそれらのメディアからの一方的な拒絶という現状であった。当然の如く、新作にもビデオクリップは制作されなかった。
賢明なメタリカは最初からメディアの反応など全く気にしてはいなかった。社会的にヘヴィメタルが蔑まれようとも、メタリカにとって唯一信じられたものは、既に過去の名曲が語っているように、自らの信念と忠実なファンのみであったのだ。1986年、メタリカは満を持して第3作『Master Of Puppets』を発表する。まず我々が度肝を抜かれたのは、本作がビルボートの29位にランクインし、ゴールド・ディスクを獲得したことであった。メタリカはメディアの露出という唾棄すべき行為に甘んじることはなく、バンドの実力のみでこの成功を獲得したことは、讃えられるべき功績であることは間違いない。メディアの助力なしに成功を手にするバンドが極めて少ないことは、我々が一番良く知っていることである。更に本作に収録された楽曲に関して、我々は更に度肝を抜かれることとなった。すべてが前作を上回る圧倒的な構築感と展開力を有し、スラッシュメタルを超越した美学を内包していたのだ。8曲というシンプルな構成であるにも関わらず、収録曲は何れも細部まで練られており、無駄な時間をファンに与えないというメタリカの信条が伝わってくる作風であった。当時のメディアが本作を無視したことは恥ずべき行為だが、これほどまでに緻密で複雑で耽美的な作品を一般音楽を耳にしているような聴衆が理解できたとは到底考えようもない。真実とは、常に人目の付かないところで隠されているものだ。そう、このヘヴィメタル史上に残る偉大な傑作『Master Of Puppets』のように……



1. Battery
不穏なアコースティック・ギターによる冒頭部分は前作と同様。しかし、衝撃という意味合いではこちらの方が上。怒涛のスピードを誇り、メタリカ史上でも最高の位置に属する名曲である。歌詞では、バンドとファンの結束について歌われている。
2. Master Of Puppets
人間を束縛する薬物の恐怖を描くタイトル・トラック。複雑な構成を持ち、中間部からは劇的なリードギターの旋律が堪能できる。明白なのは、メタリカは物語を描くような表現力をも身につけているということである。
3. The Thing That Should Not Be
H・P・ラブクラフトの怪奇小説『インスマスの影』にインスパイアされた楽曲。代表的なヘヴィメタルバンドであるメタリカが、過去の幻想作家から作詞に影響を受けていることは、興味深い概要に値する。暗澹たる物語の世界観に合わせて、ヘヴィかつダークな曲調を使い分けている。
4. Welcome Home (Sanitarium)
シリアスな雰囲気からも分かる通り、メタリカの楽曲は急速に知的になったことが伺える。メロディアスな歌から重厚な展開へと流れていく。ギターのメロディは非常にシビアである。
5. Disposable Heroes
戦場で使い捨てにされる兵士の悲劇を描く、鋼鉄のリフを用いた破壊的なスピード・ナンバー。圧倒的な存在感を誇り、兵士が戦場を逃げ回るように、高速のギターが荒れ狂う。その暴虐的な光景は、まるで軍事社会に対して怒りが叩きつけられているかのようである。
6. Leper Messiah
ミドルテンポで重厚なスラッシュ・リフが行進する。
7. Orion
星座をモチーフにした劇的極まりないインストゥルメンタル。まるでギターのメロディが夜空に輝く星々のように優雅に煌く。芸術と表記しても可笑しくはない奇跡的な名曲。
8. Damage, Inc.
ギターを用いてオーケストレーションのような音を奏でるイントロ部分が印象的だが、本曲の正体は#1"Battery"に匹敵する凄まじいまでのスラッシュ・メタルである。最後まで過激な楽曲を提供するメタリカのスタイルからは、清々しさすら感じる。


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Ride The Lightning



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1984
Reviews: 89%
Genre: Thrash Metal


メタリカの1984年発表の2nd。


「メタリカはただのスラッシュメタルバンドではない」我々はその言葉を直に実感させられることになった。第一作『Kill 'Em All』(1983)で圧倒的な攻撃性を披露したメタリカは、矢継ぎ早に発表した本作『Ride the Lightning』で劇的ともいえる進化を見せた。本作に表現された方向性は、メタリカの特異性を決定付けると同時に、メタリカの将来が有望である事実をも物語っていた。商業音楽では絶対に不可能な「死」というシリアスなテーマを題材とし、重厚感を増したヘヴィネスと速射砲のようなリフの高速連射を多用し、本作は圧倒的な完成度を合わせ持つことに成功した。またスラッシュメタルという分野からは想像もつかないほどメロディアスな旋律を導入した楽曲群は、何れも英国(ブリティッシュ)に匹敵するプログレッシブな叙情性を宿している。当時これほどまでに劇的で攻撃的なスラッシュメタルを受け入れないファンなどいなかったであろうことは、現代の作品を差し置いても全く想像に難くない。



1. Fight Fire With Fire
アコースティック・ギターで幕開ける衝撃的な展開。その後、過激極まる怒涛のリフが繰り出される。後に数えきれないほどのバンドがこの手法を真似たというのは、殆ど事実であろう。
2. Ride The Lightning
劇的なメロディと凄まじい攻撃力を持つ名曲。中間部の圧倒的な展開の様には思わず息をのむ。
3. For Whom The Bell Tolls
ドラマティックなリフが頭を振らせる。鐘の音が用いられている。
4. Fade To Black
バラード調の展開を持ち、徐々に盛り上がる。叙情的なメロディは美しさすら感じさせる。メタリカの音楽は過激である一方、実に耽美的な魅力をも有しているのである。
5. Trapped Under Ice
硬派な金属音に荒れ狂うギターリフが印象的。
6. Escape
メロディアスな部分を強調した楽曲。サビの叙情的なフレーズからは、メタリカが決して歌を捨てていないことが分かる。
7. Creeping Death
重厚感を伴うスピーディな名曲。メタリカの楽曲の構成力が如何に優れているか分かる。中東風の雰囲気を持っているのも興味深い。
8. The Call Of Ktulu
H・P・ラヴクラフトのファンであるというカーク・ハメット(g)が持ち込んだイメージをそのままに、名作『クトゥルフの呼び声』をインストゥルメンタルで表現した大作。重厚なリフが禍々しくも連なる様は圧倒的である。間違いなく大傑作に値する。


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Kill 'em All



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1983
Reviews: 85%
Genre: Thrash Metal


メタリカの1983年発表の1st。


我々はよくヘヴィメタルの比較としてアイアン・メイデンの名を用いるが、1981年にアメリカのロサンゼルスで結成されたメタリカの第一作『Kill 'Em All』の衝撃は『Iron Maiden』(1980)に匹敵するものであった。アグレッシブなサウンドで名を馳せたモーターヘッドの攻撃性を更に鋭角に研ぎ澄ませたような本作の暴虐性は、当時のヘヴィメタル・シーンの形成において、極めて重要な役割を担っていた。
ジェイムズ・ヘットフィールド (vo、g) とラーズ・ウルリッヒ (d)という怒れる若者を中心に結成されたメタリカは、社会への矛盾という標的に対し、スラッシュメタルという強烈な武器を用い、爆撃機並のスピードで攻撃を開始したのである。理不尽な社会に対し葛藤していた若者が、何れメタリカのような音楽性に辿りつくのは時間の問題であった。最初『Kill 'Em All』は売れなかったが、翌年に本国での国内盤が発売されたように、本作の知名度は瞬く間にアメリカ、イギリスを駆け巡った。しかし、その異例の成功は、ヘヴィメタルで最も偉大なバンドとなるメタリカの伝説の序章に過ぎなかった。



1. Hit The Lights
本作の先陣を切るアグレッシブなナンバー。メタリックなリフの破壊力が凄まじい。
2. The Four Horsemen
初期の傑作であり、メロディアスな旋律に加え劇的な展開力を有する。後に芸術的とまで形容されるメタリカのヘヴィメタルだが、既にこの頃から才能は開花していた。
3. Motorbreath
一方的な攻撃性の中に、僅かな転調やドラマ性を宿らせる部分は、メタリカがただのスラッシュメタルバンドではないことを物語っている。
4. Jump In The Fire
ノリのいいメタリックなリフが光る佳曲。
5. (Anesthesia) - Pulling Teeth
今や伝説のベーシストと謳われるクリフ・バートン(b)のインスト。ベースとは思えないほどにメロディアスなフレーズは、衝撃以外の何物でもない。
6. Whiplash
7. Phantom Lord
8. No Remorse
9. Seek And Destroy
10. Metal Militia
メタリカの荒々しさを詰め込んだ楽曲。大仰なまでに突進する潔さが素晴らしい。


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ラスト・イン・ピース



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1990
Reviews: 90%
Genre: Thrash Metal


メガデスの1990年発表の4th。


再びエド・レプカの齎したカヴァー・アートワークは新たな衝撃で我々の脳髄を直撃することとなった。"Hangar 18"という偉大な名曲を引っ提げて、ヘヴィメタル・シーンに帰還を果たしたメガデスは、強烈無比な第4作『Rust In Peace』を発表するに至った。ライト・パターソン空軍基地のハンガー18に関するUFO隠蔽を扱った"Hangar 18"の世界観がそのまま表現されたカヴァー・アートワークの暗示している内容は、もはや恐ろしくも巨大な社会の裏側を描き出しているのである。作品のタイトルともなっている"Rust In Peace"が導き出す実態とは、軍事社会が齎す核戦争によって、人類の文明が滅び去るように、安穏とした民衆に対する最後の警告のようにも聞き取れる。最も、メガデスそのものであるデイヴ・ムステイン(vo、g)は、単なる社会的な皮肉とユーモラスなアイデアによって、この驚異的な作品の世界観を思いついただけなのかもしれない。
解雇したメンバーに変わりマーティ・フリードマン(g)、ニック・メンザ(d)が新たに加入した本作が、メガデスの第2作『Peace Sells... But Who's Buying?』(1986)と並ぶ傑作である事実は、もはや疑いようがない。流動的なメガデスのメンバーがあるべきところに納まり、満を持して発表された本作は、メガデスという特異なヘヴィメタル・バンドがやってきた活動の集大成を、斬新なギターワークで表現することに成功した。マーティのシャープながらもメロディアスなギタープレイは"Holy Wars...The Punishment Due"という最大級の名曲を生み、作品全体に驚嘆すべき知性と完全なる攻撃性を加えた。前作『So Far, So Good... So What!』(1988)の中途半端なパンクの融合が既に過去の失敗であるかのように、ここに表現されたヘヴィメタルは"インテレクチュアル"以外の何物でもない。それこそが、メガデスの掲げるアイデンティティであり、最大の武器なのである。メガデスはこのスタイルを死ぬまで守り続けていくことであろう。そして、失敗した暁には、再び原点に戻ってくるのである。
本作は2004年にリマスター再販され、4曲のボーナストラックが新たに収録された。デモ音源では、初期ギタリストであるクリス・ポーランド(g)がギターを弾いている。



1. Holy Wars...The Punishment Due
メガデス屈指の名曲。鋭いリフの正確な射撃と、軍隊のような徹底したドラムが迫真性を伴って迫り来る。中間部からのテンポチェンジは、メガデスのドラマティシズムが爆発した瞬間であろう。
2. Hangar 18
先述した通り、アメリカのUFO隠蔽を歌った楽曲である。メロディアスなリフに加え、後半からのニック・メンザの強烈なドラムが光る。なおこの楽曲は、1992年のグラミー賞ベスト・メタル・パフォーマンス部門にノミネートされた。当時スラッシュメタルバンドのノミネートは、異例中の異例であったろう。
3. Take No Prisoners
4. Five Magics
5. Poison Was The Cure
6. Lucretia
7. Tornado Of Souls
8. Dawn Patrol
9. Rust In Peace...Polaris
当時のメガデスの暴虐ぶりを示すような、破壊的な名曲。荒れ狂うリフの波状攻撃は圧倒的である。タイトルの"ポラリス"とは、核爆弾の名前であるという(正確には、核弾頭を搭載した戦略弾道ミサイル)。
10. My Creation
11. Rust In Peace...Polaris (Demo)
12. Holy Wars...The Punishment Due (Demo)
13. Take No Prisoners (Demo)


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So Far So Good So What



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1988
Reviews: 80%
Genre: Thrash Metal


メガデスの1988年発表の3rd。


アメリカで異才を放ち続けるメガデスの第3作『So Far, So Good... So What!』は、解雇した二人のメンバーに変わり、ジェフ・ヤング(g)、チャック・ビーラー(d)が加わって制作された。長らくムステインとエレフソンの"デイヴ兄弟"以外のメンバーは流動的なメガデスだが、当時の二人の横暴ぶりは凄まじかったらしく、メタル界でも誰も寄り付かなかったらしい。メガデスには度々ドラッグ問題も浮上するが、デイヴはそれを「自分自身の弱さだ」と主張する。いかに攻撃的で強靭な音楽をやっていたとしても、ヘヴィメタルは一人一人の葛藤する人間の苦悩の果てに生み出された産物であるということを、我々は知らなくてはならない。
前作『Peace Sells... But Who's Buying?』(1986)で異例の成功を収めたメガデスが発表した本作は、スラッシュらしいダークな雰囲気とは少々違う内容を含んでいる。"Anarchy In The U.K."のカヴァーからも分かるように、パンクの音楽性がブレンドされているのだ。それが本作の雰囲気を前作とは違った魅力的なものへと昇華し、内容的にも十分満足できる作品へと仕上げたのである。メガデスの斬新なアプローチは見事に成功し、アメリカではプラチナム・アルバムに認定されている。デイヴが語るように「オレたちの音楽のシーンでは、超ビッグな数バンドを除けば、プラチナムどころかゴールド・ディスクになるのも稀なことだ」とは最もである。



1. Into The Lungs Of Hell
メガデスにしては珍しい奇抜な冒頭のイントロダクション。次曲への期待感を煽る。
2. Set The World Afire
攻撃的な内容と圧倒的なリフを誇る楽曲。
3. Anarchy In The U.K.
セックス・ピストルズのカヴァー。この時期のデイヴの趣味が良く反映されているといえる。シングル・ヒットとなった。
4. Mary Jane
上記と同じくシングル・ヒットを飛ばした。
5. 502
なんとも単調な楽曲で、本曲を収録するのなら別の楽曲を収録して欲しかった。
6. In My Darkest Hour
デイヴが友人であった故クリフ・バートンに捧げた楽曲。シリアスかつダークな曲調は荘厳なメロディと相俟って、メガデスの楽曲中最高のドラマを演じる。間違いなく指折りの名曲に入る。
7. Liar
社会には嘘が満ち溢れている。メガデスのメンバーもそういった環境で育ってきたのであろうか。
8. Hook In Mouth
PMRCに捧げた楽曲(笑)。PMRCとは過去のコラムでも取り上げた通り、HM/HRを理不尽な理由で弾圧した団体である。デイヴの楽曲中での批判は皮肉めいているが、楽曲は非常にアグレッシヴで優れている。
9. Into The Lungs Of Hell (Paul Lani Mix)
10. Set The World Afire (Paul Lani Mix)
11. Mary Jane (Paul Lani Mix)
12. In My Darkest Hour (Paul Lani Mix)


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ピース・セルズ...バット・フーズ・バイイング?



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 89%
Genre: Thrash Metal


メガデスの1986年発表の2nd。


「平和が発売された」という衝撃的なメガデスの第2作『Peace Sells... But Who's Buying?』発表のニュースは、社会に蔓延するどす黒い不満の如く、足早に80年代半ばのヘヴィメタル・シーンを駆け巡った。メガデスが提示した内容には続きがあった。「平和が発売されたが、実際には誰が買うんだ?」皮肉に満ちたデイブ・ムステイン(vo、g)の問い掛けは、我々のような社会人にとって、大きな疑問を残すこととなった。巨大産業と化した軍事社会のシステムから解放されることを、一般大衆は自由と考えていたのであろうか?
エド・レプカによって仕上げられた偉大なカヴァー・アートワークは、3機の戦闘機と共に、あまりにも生々しいヴィック・ラトルヘッドが"Peace Sells(平和を売る)"の看板を持っているという意味深なものだ。これだけでも得体の知れない知的さや社会的なメッセージを読み取ることが出来るが、デイブ・ムステイン、デイブ・エレフソン(b)、クリス・ポーランド(g)、ガル・サミュエルソン(d)という怒れる若者らによって制作された本作の内容は、更なる反骨精神や社会への攻撃の正当性を誇示した、"健全な音楽ファン"たちが恐れるものとなっていた。かつて、評論家たちはスラッシュ・メタルの一方的な攻撃性に対し、感情的な批判を顕にして、その低俗な文化を議論したが、メガデスはその何れにも当て嵌まっていなかったのである。欲望に塗れ、肥え太った腹を露出させる政治家らを冷笑するかのように、メガデスは冷めた態度で核弾頭並の破壊力を持つ、複雑で高度なスラッシュ・メタルを軽々と演奏したのだ。これが"インテレクチュアル(知的な)・スラッシュメタル"と形容されたのは必然的な流れだった。残念ながら、未だに我々はメガデスを押し留めるに相応しい、新たな音楽のスタイルを発見するには至っていない。
本作は2004年に衝撃の復活を果たしたメガデスと共に、新たにリミックスが施され、ボーナストラックの収録という形で再版された。また、2011年にはライブ音源を含めた2枚組という豪華仕様でリマスター再販された。オリジナルよりも遥かに良くなった音質は、このヘヴィメタル史に輝く奇怪な名作を、極上の品質で楽しむには十分なものだ。



1. Wake Up Dead
本作の開始を告げる強力な一曲。ビデオも制作され、世界に衝撃的な印象を与えた。
2. The Conjuring
ヘヴィメタルの持つカタルシス。それを十分に堪能できる楽曲である。
3. Peace Sells
メガデスを代表する名曲である。メロディアスなライン、知的なフレーズ、刺激的な攻撃性が凝縮されて襲い掛かる。ヘヴィメタルとはこうあるべきである。
4. Devil's Island
サタニックなイメージは初期スラッシュメタルに多大な影響を与えた分野の一つだが、メガデスがこれらのモチーフを用いれば当然個性的な名曲となる。
5. Good Mourning / Black Friday
6. Bad Omen
7. I Ain't Superstitious
8. My Last Words
強烈な突進力を誇る名曲。オリジナルでは本曲が最後となる。
9. Wake Up Dead (Randy Burns Mix)
10. The Conjuring (Randy Burns Mix)
11. Peace Sells (Randy Burns Mix)
12. Good Mourning / Black Friday (Randy Burns Mix)


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