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「コスマン・ブラッドリー博士の日記 」カテゴリ記事一覧


2013年1月18日

 「想像を超える」という言葉があるが、アルバムの内容がそうであるならば、嬉しい限りである。私達は新品のヘヴィメタルのアルバムを聴く際に、必ずといっていい程に期待してしまう。自らが入念な調査の末に手に入れた作品なら、聴く時の喜びも大きいはずである。しかし現実では、私達にとって大きな壁が存在していることに気がつかなければならない。エピック・メタルのようなアンダーグランド音楽ならば、より注意しなければならないのだ。それらは「想像を超える」という言葉で、私達の一般的な許容範囲を超える音質の悪さを有している。熱心なファンだからこそ、一度は経験したことがある出来事であろう。"作品の内容は最高なのに、音質は最悪だ"。そして時には、リマスター再発盤ですら、その致命的な問題を解決するには至っていない事実がここにはある。これはエピック・メタル・シーンの評価を長年過小評価させる原因ともなった、忌まわしい、現在進行形の病である。原曲の音質が劣悪なために、デジタル・リマスターの効果を最大限に得られないのだ。しかし、それでもなお、叙事詩的なヘヴィメタル作品が眼前にあるのなら、無言の登攀を続ける猛者のように、私達はエピック・メタルを聴き続ける。品質、音質、素質、すべてが完璧な作品は少ない。それを探すことも大きな楽しみの一つだ。


▶「The Age of the Return」(2005) Martiria
Age of the Return


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2013年1月10日

 好きなヘヴィメタルのアルバムは聴ける時に聴いておくべきだ。なぜなら私達には常に健康であるという保障はなく、若く活力に溢れている時期を見過ごして老いていくことが多いためだ。生涯で与えられている時間はあまりにも多いが、その殆どが意味を持たない時間であることに気付く頃には、既に体力がなく、気力がなく、希望がない時である。故に私達に残されている時間は、実際は相当少ないものであるという考えに辿り着く。
 ヴァージン・スティールの作品の中に『Invictus』(1998)という名作がある。"屈せざる意志"を歌ったタイトル・トラックは、ウィリアム・アーネスト・ ヘンリー(William Ernest Henley)の同名の詩にインスピレーションを受けた強烈な楽曲だ。続く"Mind, Body, Spirit"に至っても、不滅の肉体、及び精神の強靭さを主張している。しかし現代に生きている私達は、常に病魔に悩まされ、精神の強靭さではどうしようもない事態に直面する。自然界の大木よりも遥かに脆弱に、人間の肉体は生命の皮肉によって犯されていく。天変地異の様を眺める生物の無力さのように、人間は速やかに衰えていく。そうした時、私達は後悔をしてはならないということだ。

▶「Invictus」(1998) Virgin Steele
Invictus


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2011年9月11日

 この地帯の気候には度々うんざりするものがある。既に私達にとって馴染みの深い北欧の冷ややかな気候や、荒野の荒涼としたツンドラの気候が懐かしい。恰も悪意を抱くように、陰鬱な空を私はよく目にした。積乱雲の如き黒檀色の雲が空を覆い、精神に暗い影を落とした。太陽の光は私達を焼き尽くす凄絶なものだし、亜熱帯に近い熱気は生気を奪い去る。時に生ぬるい雨が振る様は、気味の悪い感触を覚えさせる。全身に纏わりつく粘つく霧のように、これらは永久にこの地に住まっている。
 私の周りには常に騒音があって、静寂を祈る。精神を落ち着かせるために私は静寂を必要としたが、その望みは無駄に終わった。人々は戯言を口にし、堕落と頽廃は這い寄るように染み付いた。身体に残る斑模様の斑点は、その不気味さを巧妙に隠している。私はそのような人々が築き上げた都市を目にしたが、眩暈のする建築様式に気が滅入った。それらは決して歪んだものではないのだが、あまりに芸術的に稚拙で、大地に聳え立つに堪えないものなのである。人類の美は葬り去られたに等しいのではないか。私が追求した世界は、偉大なアトランティスが海底に水没したように、永久に深海で眠っているのである。


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2011年9月1日

 本と同じくDVDもあまり見る機会はない。スペクタクル映画、ファンタジー映画、西部劇を中心によく集めたが、今となっては宝の持ち腐れに過ぎない。私はジョン・ミリアス監督の『Conan the Barbarian』(1982)をこよなく愛した。この映画に関しては現在に至るまでに最も見た記憶が残っている。その度に、コナンの冒険譚に心躍らせたものである。
 エピックメタルのファンとしても見逃せない映画作品は非常に多かった。全てのDVDを再び見直すには相当な時間が必要だが、エピックメタルのレビューが一段落したらDVDのレビューもしていきたいと最近は考えるようになった。私のコレクションの中からでも、娯楽以上の価値を持つ作品が多すぎる。それを象徴するように、『Braveheart』(1995)は私の生涯において一つの転機となった作品である。ウィリアム・ウォレスの「スコットランドは独立した!」という台詞はよく印象に残っている。

▶「Conan the Barbarian」(1982) John Milius
コナン・ザ・グレート (新生アルティメット・エディション) [DVD]

▶「Braveheart」(1995) Mel Gibson
ブレイブハート [DVD]


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2011年7月6日

 エピックメタルというジャンルに出会う以前、ヘヴィメタルは専らスラッシュ・メタルを愛聴していた頃がある。中でもデイヴ・ムステイン(vo、g)率いるアメリカのメガデスは、最も好きなスラッシュメタルバンドの一つだった。幼き日の私にとって、ムステインの生涯そのものが衝撃に値したことを鮮明に覚えている。メガデスはこれまでに何度も蘇ってきた不滅のヘヴィメタルバンドであるが、その姿こそが、ヘヴィメタルの永遠性を私に強く意識させたのかも知れない。
 当然の如く、この世界の物質的な存在は何れ滅び去るが、ヘヴィメタルやローマ等の偉大な文化や文明は、永遠に記憶に残り、続いていくと思い込んでしまう不思議な個所がある。それともロバート・ワイズの『The Day the Earth Stood Still(邦題:地球が制止する日)』で語られているように、「宇宙ではすべてが消えることなく形を変える」のだろうか。謎は尽きない。
 メガデスに話を戻そう。私はメガデスのアルバムを殆どすべて聴いている。最も最初に聴いたアルバムは『The System Has Failed』(2004)だったような記憶がある。この作品は、インテレクチュアル・スラッシュメタル──ファンは"知的な"スラッシュメタルをこう呼んだ──を代表する傑作である。また、ムステインのソロ名義で発表された問題作であり、メガデスの歴史の中で、最も精神的で暗い作品でもある。当時、社会という巨大な法廷の前に放り出された私は、本作の内容に表現された皮肉やムステイン自身の社会との葛藤に共感を覚えた。まるで、この作品は、アメリカの肥大した社会体制によって蔑にされた病的精神の収容所とでも形容すべきものである。歳月は過ぎ去ったが、私は今でもこの"問題作"を視聴し続けていることを、最後に付け加えておくとしよう。

▶「The System Has Failed」(2004) Megadeth
ザ・システム・ハズ・フェイルド


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2011年6月6日

 時を忘れ色彩豊かな異国情緒に酔うのは、古くからの知識人の嗜みである。私にとっての異国とは、スペインやメキシコなどの情熱的なラテン国が思い浮かぶ。人によってはエジプトや中東などを思い浮かべることもあるだろう。私達には、"訪れたことのない故郷"というものが存在し、時々思いを馳せる。そう強烈に思わせるのが何であれ、郷愁は心地いいものだ。
 私はヘヴィメタルを通じて様々な異国の故郷を訪れてきたのだが、荒涼とした大地に陰鬱な哀愁の漂う北欧の地を忘れたことはない。ヴァイキングメタルという素晴らしい音楽の幻想で、私はそれらの雄大な光景を目にしたのだ。荒々しい海にもやがては穏やかな季節が訪れ、雪を降らす黒雲の隙間から僅かな光が覗くことがある。その光が黒ずんだフィヨルドの肌をを撫で、異国の光景を映し出す。私が垣間見る北欧の情景は、まだ訪れたことのない故郷の影を明るく照らし出しているのである。

▶「Tiurida」(2011) Falkenbach
Tiurida


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2011年4月2日

 晴れやかではない陰鬱な日には、エクストリームでスピーディなヘヴィメタルをよく聞くのが通例だ。私は、その日と雰囲気とによって、ヘヴィメタルを上手く使い分けている(これはどこか変な表現かもしれないが…)。古い時代の体現者である私にとって、現実的な社会は至極退屈である。
 ロスト・ホライズン──私の中では、偉大なエピックメタルバンドの一つである──のヴォイティック・リシキがかつてこう言ったのである「毎日同じ仕事を繰り返し、意味のないことで惨めな気持になる」ヘヴィメタルは、退屈や現実の束縛から逃れる数少ない分野の一つである。非現実的なことをヘヴィメタルに求める一方で、例えばスラッシュメタルのように真っ向から社会や軍事と対峙する姿勢もある。そのどちらにしても、ヘヴィメタルは私達にとって明確な意味を持ち、新たな日──ドミネでいう"Dawn of a New Day"──を迎える糧となってくれるのだ。

▶「Awakening the World」(2001) Lost Horizon
アウェイクニング・ザ・ワールド


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2011年2月16日

 気がつけば、私はヘヴィメタルのCDをあまり買わなくなったようだ。そんな私が二カ月ぶりに購入するに至ったのがクレイドル・オブ・フィルスのアルバムであり、ここに記している。イギリスのヴァンパイア・メタル集団として世界的な知名度を誇るこの偉大なメタルバンドは、久々に私に感銘を与え、購入意欲をそそらせた。私は以前レンタルした彼らのベストアルバムを視聴済みであり、何度も聴くことがあったので、購入すべきだと思ったのだ。
 最近は心境の変化か、聴かないアルバムは必要がないと思うようになった。私の部屋には、大量の一度のみ視聴しただけのアルバムが頻出している上、これが考えものなのである。私達が生涯で聴けるメタルの数は限られていると私は思っている。なぜなら、ヘヴィメタルを新鮮に聴き続けるためには、聴力と労力が必要だからだ。耳は歳と共に、何れ衰えてくるだろう。故に私は若いうちに、価値のあるヘヴィメタルを可能な限り聴くべきなのだ。そのために慎重な選択を心掛けなくてはならない。

▶「Midian」(2000) Cradle Of Filth
Midian


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2010年12月5日

 私のブログでは購入したCDがトップで分かるようになっている。そこで私の趣味も大方判別できてしまうが、既にご存じの通り、昔のようにCDをまとめ買いしなくなって久しい。一ヶ月に一枚程度しか購入しなくなった事実には、私も気がついてみて驚いた。その理由には、大きく2つある。
 1つ目は、既に私が生活に必要なエピックメタルCDを大部分持っているためだ。最近、私はヴァージンスティールとアイアンメイデンとノックスアルカナ──ジョセフ・ヴァーゴ率いるアメリカのゴシック・アーティスト──しか聴いていない。今まで集めたCDは大量にあるが、本当に何度も聴くアルバムとは意外に少ないものだ。
 2つ目は、メタルグッズ──ワッペンやバッチ、Tシャツ等である──収集のために、資金を殆ど使ってしまってるからだ。昔から収集癖がある私は、徹底的に物を集めるという性質の持ち主で、今までも西洋武具や幻想小説を集めていた。それらは今でも集めているが、一通り集め終わったので、メタルグッズに移行したというわけだ。物理的なものに執着しているのかもしれないが、出来るだけ長く持つものに魅力を感じている。故に食べ物などに金銭を払うのはあまり好きではない。それらはいかに高価なものでも一瞬でなくなるので……

以下は私の愛聴盤CDである:

▶「Seventh Son of a Seventh Son」(1988) Iron Maiden
Seventh Son of a Seventh Son


▶「Visions of Eden」(2006) Virgin Steele
Visions of Eden: The Lilith Project


▶「Blood of the Dragon」(2006) Nox Arcana
Blood of the Dragon


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2010年10月31日

 映画音楽とヘヴィメタルの共通点はある。また映画音楽とヘヴィメタルの特色もそれぞれに異なる。私は両方の音楽が非常に好きだが、明確な軍配は当然ヘヴィメタルにある。映画音楽に興味を持ったきっかけはヘヴィメタルに導入された映画的な手法であり、私は瞬く間に重厚な緊張感を放つ映画音楽に魅了されていった。そのようにしてシネマスティックな音楽に対する考察も深まっていき、ヘヴィメタルのレビューの際にも幾分か影響を残すようになった。私が特に好んでいるサウンドトラックは、スペクタクル系の作品がほとんどで、分類としては歴史やファンタジーなどの過去や架空の世界を舞台とした作品が多い。臨場感に溢れたそれらの作品を聴くと、聴覚が研ぎ澄まされるかのような感受性を得ることが出来る。映画音楽は、ヘヴィメタルと同じく時に繊細だからである。以下には、私が愛聴しているエピック・サウンドトラックの名盤たちを挙げておいた。エピカルなヘヴィメタルが好きな向きならば、本格的で圧倒的なスケール感に必ずや陶酔することだろう。

▶「Conan the Barbarian」(1982) Basil Poledouris
Conan the Barbarian

▶ 「Braveheart」(1995) James Horner
Braveheart: Original Motion Picture Soundtrack

▶ 「Gladiator」(2000) Hans Zimmer
Gladiator:  Music from the Motion Picture

▶ 「King Arthur」(2004) Hans Zimmer
King Arthur

▶「Beowulf」(2007) Alan Silvestri
Music From the Motion Picture Beowulf


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New Release (Epic Metal)

Times of Obscene Evil..

by Smoulder (1st album)
"The New Epic Metal Album"

Grey Maiden -Ep-

by Gatekeeper (mini album)
"The New Epic Metal Album"

The Armor of Ire

by Eternal Champion (1st album)
"The New Epic Metal Album"

CODEX EPICUS

by Battleroar (5th album)
"The New Epic Metal Album"

Conqueror's Oath

by Visigoth (2nd album)
"The New Epic Metal Album"
METAL EPIC Books

叙事詩的なヘヴィメタルの歴史

音楽論『叙事詩的なヘヴィメタルの歴史』Kindleストアにて発売中。約5年間に渡るエピック・メタル研究の集大成。主要バンドの紹介、歴史の解説、幻想文学との関連性、エピック・メタル・ルーツへの言及など、アンダーグラウンド・シーンを紐解いた衝撃のヘヴィメタル史。

ハイパーボリア全集

拙著『ハイパーボリア全集』、『ハイパーボリア全集2』、『ツチョ・ヴァルパノミの炎の王国』、『最後の理想郷』、『探索者』、『ツァトゥグアの祠』、『イグの神殿』、『オルグリアス』、『ファルナゴスの遺産』、『イックアの妖術』、『ズロヒムの死』、『失われた先史』Kindleストアにて発売中。1930~1950年代頃の『Weird Tales』誌やクトゥルー神話群を踏襲した幻想怪奇短篇集。
The Master

コスマン・ブラッドリー博士

Author:コスマン・ブラッドリー博士


Cosman Bradley(16/06/10)
David Orso(16/06/10)
Daiki Oohashi(16/06/10)
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