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Introduction

Robert_E_Howard

「エピック・メタルとは、叙事詩的なヘヴィメタルの総称であり、主に大仰かつ劇的でヒロイックな音楽性を示す言葉である」 [More stats] 

 ──Cosman Bradley


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Cirith Ungol 「King Of The Dead」
Manilla Road 「To Kill a King」

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Ragnarok

TYR the 3rd album in 2006 Release
★★★★★★★★★☆...(力作)

フェロー諸島出身の正統派ヴァイキングメタル、テュールの2006年発表の3rd。


バルト海の荒波の如きリフ、喝采のようなクワイア、英雄的なクリーンヴォイス──神話の如き神秘的な緊張感が、我々を北欧神話の古き世界へと誘う。魅惑的なサーガ(英雄伝説)の世界がここにはある。そして、打ち寄せては返す潮のように、異教徒の楽譜は何処かから運ばれてくる。
伝統的な北欧民族の小島に住むテュールは、本作『Ragnarok』で実に魅力的な神話世界を描くことに成功した。それはユミールから巨人族が生まれたように、オーディンの死によって終わる。即ちテュールは8つの楽章から成る北欧神話の伝説を描き、神々の黄昏として知られるラグナロクによってすべてが死ぬ光景を表現している。上記のように、彼らの試みは見事傑作を生み落とし、ファニーさを粉砕するシリアスさで持って我々を押し潰す。
本作の緊張感は大人が楽しむべき極上のワインのような、濃密な時間を提供するものである。我々がワインのアルコールに酔うように、『Ragnarok』は勇士らの英雄的な行為の前に酔う。8つの楽章はドラマティックなインストゥルメンタルとエピカルなヘヴィメタルから構成されており、2曲を1セットとしている。勇壮な序章から導かれる映画のように、我々は8つの叙事詩を存分に楽しむことになる。そして最後に待ち受けているものは、映画がまさにそうであるように、圧倒的な感動である。テュールの場合、僅かばかりの哀愁が含まれていることも、考慮しておいた方が良いかも知れない。彼らは戦士であることを忘れていないのだ。


1. The Beginning
冒頭に書いた表現の根源。まるで大河のような、雄大なインストゥルメンタル曲である。
2. The Hammer of Thor
劇的な序曲に続くプログレッシブなヴァイキングメタル。複雑なリズムと透き通るヴォーカルを用い、夜空に煌く星々のような神秘的な世界を描く。これらの視覚的な情景は、天空に神々の居城があるという神話の筋道とも繋がる。
3. Envy
4. Brother's Bane
重厚なエピック・ヴァイキングメタル。クワイアの展開がヒロイズムを鼓舞する。
5. The Burning
6. The Ride to Hel
7. Torsteins Kvæði
8. Grímur á Miðalnesi
9. Wings of Time
重厚なミドルテンポ。朗々としたコーラスが長々と続く。この旋律は古い民謡であろうか。テュールの楽曲の旋律には似通っている箇所が幾つかあり、音階の起源は何れもヴァイキングの古謡であると思われる。
10. The Rage of the Skullgaffer
11. The Hunt
12. Victory
13. Lord of Lies
ペイガン的思想を感じさせる音階のメロディが印象的。他の楽曲に比べややファニーさも漂うが、これが終焉の前の饗宴ということも想像できる。サビのメロディは飛び抜けている。
14. Gjallarhornið
15. Ragnarok
神々の最終戦争が悲劇的であるように、楽曲も悲壮感を表現する。只ならぬ緊張感に包まれた楽曲であり、クワイアの壮大なスケール感はスクリーンを見ているかのよう。本作の集大成であろう。
16. The End



Review by Cosman Bradley
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Eric the Red


TYR the 2nd album in 2003 Release
★★★★★★★★★★...(奇跡的名盤)
フェロー諸島(デンマーク自治領)出身のヴァイキングメタルバンド、TYRの2003年発表の2nd。
本作は2006年に「Napalm Records」から再販されたものである。その際、1st『How far to Asgaard』(2002)から二曲がボーナストラックとして収録された。


彼らの名は、北欧伝説の戦いの神であるテュールから命名された。彼らのメタルスタイルは正統派に属し、重厚なヴァイキングメタルを基本とする。朗々と民族的であり、ボーカルにおいてはクリーンヴォイスを用いることによりヴァイキング特有の雄々しさを鼓舞する。クリーンヴォイスは素晴らしく、勇ましい歌い方をする上に重厚なクワイアが重なるパートのヒロイックさは相当のものである。
第2作『Eric the Red』は正統派ヴァイキングメタルの傑作であるばかりか、彼らのアルバムの中でも突出して完成度が高い作品であるといえよう。ヴァイキング独特の幻想的な世界観がまるで北欧のサーガ(saga)とでもいうように表現され、壮大な陶酔感を抱かせる。プログレッシブな要素も多いが、非常にテクニカル、そしてメタル本来の重厚感、シリアスさは時にエピックメタルにも通じるものである。むしろそのプログレッシブなスタイルは劇的な展開として、見事に消化していることは疑いようがない。
歌詞においてはフェロ-語と英語を使い分ける手法が用いられている。フェロー語の響きはスウェーデン語やノルウェー語と同じように、戦士を想起させる勇ましくも民族的なものであり、彼らの曲の中に古い時代の息吹を感じ取ることができよう。フェロー諸島は中世の時代にヴァイキングの戦士が移り住んだ場所でもあり、今なおその名残がある。彼らの歌詞の多くは島に残っている古い言い伝えや北欧神話を題材にしたものである。それらが持つ叙事詩的な部分は楽曲にも表れており、どの曲も北欧の古い物語を思わせる力があって不思議なものだ。勇ましく幻想的であり、どこかもの悲しく感じさせる……これが我々がヴァイキングメタルに魅力を感じる具体的な要素なのかも知れない。この考えも、本作が正統派ヴァイキングの確固たる名盤故にである。ちなみにだがアマゾンの曲名表記は間違っており、本当は12曲入りとなっている。かなり辺境のヴァイキングメタルだから気付かなかったのだろうか。


1. The Edge
力強く、どこか悲しき戦士の歌声が魂まで響く歴史的な名曲。恰も一つのサーガを描くような、壮大なクワイアが朗々と流れていくサビのパートは映画と同等の感動を覚える。テュールの民族主義、英雄崇拝が顕著に表れた至高の名曲である。また静かなエピローグは叙事詩である。
2. Regin Smidur
フェロー語で歌われるヴァイキングの戦歌。戦士特有のリズムに乗ってヒロイックなクワイアが朗々と歌い継がれていく様はヴァイキング以外の何物でもない。クリーンヴォイスの雄々しさ、民族独特の勇ましさがこれでもかと表現された名曲である。
3. Dreams
北欧の神々と英雄の物語。それがサーガである。偉大なる英雄の伝説、神々の戦いは今なお伝えられる。それは叙事詩として書物に記されたり、そしてこの曲のように音楽の中に生きているのだろう。
4. The Wild River
戦士であるヴァイキングには荒々しい面もあったが陽気な面もあったという。この曲はそんな陽気な一面を表現した曲なのだろう。どこか懐かしく感じる。
5. Styrisvolurin
トラッド色の強い朗々としたヴァイキングチューン。雄大さをたたえたサビでの重厚なクアイアはスケール感に満ちており素晴らしい。
6. Olavur Riddararos
非常にノリの良いヴァイキングメタル。良いノリに起立を持たせる漢らしいクワイアもいい味を出している。
7. Rainbow Warrior
虹の橋ビフロストを渡る戦士を表現している。戦士らしい勇ましさと剛直な漢らしさに満ち溢れた名曲。メロディアスなドラッドメロディが秀逸であり、サビでの重厚なクワイアも冴える。ヒロイックかつテクニカルなツインリードも素晴らしい。
8. Ramund Hin Unge
北欧戦士特有の哀愁を痛烈に感じさせる民謡的な名曲である。バラード調で始まるところもドラマ性に満ちているが、なによりも幻想的な雰囲気と民族的な歌い回しが古い北欧の世界を思い出させてくれる。
9. Alive
雄大な大作。ensiferumを思わせるギターメロディは印象的だ。また朗々とし、壮大なコーラスが胸を打つ。
10. Eric The Red
アルバム本編最後のタイトルトラック。スロウでプログレッシブな曲だ。私としては#9でアルバムを締めてほしかったが、これほどの傑作にそこまでいうのはおこがましいだろう。
11. God Of War
1stからのボーナストラック。長編でドラマティックだがややダレる感も否めない惜しい曲だ。
12. Hail To The Hammer
こちらも1stからのボーナストラック。彼らの定番曲ともいえる名曲であり、「Hail To The Hammer」の合唱パートは共に歌うのに最適。



Review by Cosman Bradley
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