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Voimasta Ja Kunniasta

MOONSORROW the 2nd album in 2001 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

フィンランドのシンフォニック・ヴァイキング、ムーンソロウの2001年発表の2nd。

同国ヘルシンキのスパインファーム(Spinefarm Records)からリリースされた本作は、"Epic Heathen Metal"を掲げる彼らにとって記念碑的な作品になったと言わざるを得ない。前作で提示した北欧の民謡的美旋律の導入は本作でより顕著になり、時には大仰なシンセサイザーの音色が木霊する。それは北欧の土着民族に古来より伝わってきた旋律であり、叙事詩的な異郷の物語と相俟って、古き世界の情景を私達に思い出させる。本作の視覚的な効力はバルサゴスにも匹敵する箇所がある。全ての曲が物語なのである。
アルバムは強烈な郷愁を誘うインスト#1で静かに幕を開ける。北風に乗ってヴァイキングの勇士らの叙事詩が蘇ってきたとでも表現すべきだろう。余韻も覚めやらぬまま開始される名曲#2は荒涼とした雪原で繰り広げられる異教徒の戦いとでも言うべきだ。私は映画『ニーベルングスの指輪』(2004年、ドイツ)の映像を使った本曲の動画が非常に好きだ。ジークフリートは偉大な英雄であるし、ドイツのこの叙事詩は北欧神話とも密接な繋がりを持っている。#3は本作のハイライトともとれる名曲。中間部からのポルカ──フンパという説もある──調が民族的な酒宴の有様を浮かばせ、ケルト的な美旋律の導入が絶妙に決まる。#4は印象が薄い微妙な曲だ。#5は#1と同様に、郷愁を誘う笛の音色で幕を開ける魅惑的な曲であり、北欧の苛烈さや雄大な自然美をも抱かせる。本編の最後を飾る#6はエピック・ヴァイキング史に残るべき一大叙事詩であり、およそ14分の間に渡って怒涛の情景が荒波の如く押し寄せる。この曲にこそ異教叙事詩の神髄がある。これは忘れられた戦士らの叙事詩である。
劇的な進化を伴って見事に完結された本作はヴァイキング史に悠然と輝く名作であり、過ぎ去った過去からの遺産である。それはキリスト教の流布によって忘却された民族の伝承でもあり、禁じられた民謡の旋律でもある。彼らによって、私達は異教徒の文化を知る絶好の機会に恵まれたのである。


1.Ukkosenjumalan Poika
2.Sankarihauta
剣の響きが打ち鳴らされ、重厚に行進する楽曲。
3.Kylän Paassä
歓喜に満ちた雰囲気も醸す、劇的なヴァイキングトラック。
4.Hiidenpelto incl. Hapean Hiljaiset Vedet
5.Aurinko Ja Kuu
郷愁を誘う荒涼としたエピック。
6.Sankaritarina
さざ波、焚き火、泥声が織りなす異教徒の叙事詩。曲の最後に、#1の静寂を伴った麗しい旋律が風に吹かれ流れ込んでくるのが余韻を残す。


Review by Cosman Bradley
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Suden Uni

MOONSORROW the 1st album in 2001 Release
★★★★★★★★☆☆...(好盤)

フィンランドのシンフォニックヴァイキング、ムーンソロウの2001年発表の1stアルバム。

本作は、後にエピック・ヴァイキングメタルの最重要バンドとして認知されるに至るムーンソロウの記念すべきデビュー作であり、2003年にリマスター再販もされた好盤である。この再販の際に、ビデオクリップとライヴ映像を収録したDVDが付属され、アルバム・ジャケットも新たな作品となった。北欧の先住民族を想起させるカヴァー・アートワークには、彼らの音楽的起源が隠れているようにも思える。DVDに関して特筆すべきは、名曲「Jumalten Kaupunki」のビデオクリップであり、メンバーが鎖帷子を着て演奏する姿などの貴重な光景が見られる。
内容に入るが、まず本編の完成度は申し分ない。アンダークラウンドで、更にヴァイキング系の1stともなると音質や楽曲の構成力が危ぶまれることは多々あるのだが、彼らの場合は何なく基本水準──マニアの許容範囲のことである──をクリアしている。ゆったりとした、伝統的なヴァイキングリズムに民族的な美旋律が加わるという彼らの典型的なスタイルは、本作から既に楽曲の表面に表れていたようだ。バンドの中核を成すHenri Sorvali(key、g)──彼は同郷のフィントロールでもトロールホーンとして活躍している──の生み出す民謡メロディは、エピカルなファンの期待に十分答えている。楽曲の構成も、映画を意識したSE、強弱の付け方などを心得ており、幾分かB級シネマスティックな雰囲気も漂っている。証拠として、大作#6は只ならぬ臨場感を醸している。勇壮な分野での特筆点には、ヒロイックなクリーンヴォイスが挙げられ、彼らのトレードマークともいえる戦士的な高揚感を誘引していく。クワイアに関しては練り方が甘いといわざるを得ないが、やはりメロディに関しては胸を打つフォークロアなものがある。
ムーンソロウは2ndや3rdがあまりにも優れたエピック・ヴァイキング作品であるために、この1stには日のあたる部分が少ないが、何かのきっかけで本作を聴くことがあれば、きっと隠れた佳作であると思わずにはいられないはずである。コンパクトにまとまった楽曲は、大作揃いの後の作品とは一線を画しており、違ったムーンソロウの印象を受けることは必至である。また、この文章が、その発見のきっかけへの橋渡しとなれば、私としても幸いである。


1. Ukkosenjumalan Poika
2. Köyliönjärven Jäällä (Pakanavedet II)
3. Kuin Ikuinen
4. Tuulen Koti, Aaltojen Koti
5. Pakanajuhla
冒頭から浮世離れした民謡メロディが炸裂。その後ザクザクしたリフと共にメロディが転調、異郷臭さを撒き散らす。表情豊かなアコーディオンの音色に酔いしれるしか私達には出来ないほど、強烈無比なエピック・ヴァイキング曲だ。中世の泥臭さが泥声に表現されているのも良い。
6. 1065: Aika
7. Suden Uni



Review by Cosman Bradley
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