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トライアンフ・オア・アゴニー



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2006
Reviews: 84%
Genre: Symphonic Epic Metal


新章第二章となるラプソディー・オブ・ファイアの6thアルバム。2006年発表。
このアルバムから、著作権の問題等で、バンド名を"rhapsody"から"rhapsody of fire"へと改名することとなった彼ら。少し分かりにくくはなったが、仕方がないことだろう。


今作は過去最大にシンフォニックになった前作よりさらにシンフォニックに、映画サウンドトラック的な作品になっている。中世ヒロイックファンタジーの壮大な世界を想起させる音楽性、アートワークに至るまで徹底されて制作されており、期待を裏切ることはない、というのはお約束だ。

本作の主な特徴としては、初期の頃にあった疾走感をあえてセーブし、雄大なストリングス、濃厚な世界観を網羅している。彼らのこのスタイルはもはや芸術の域にまで達したといえるだろう。濃厚で緻密ですらある今作は、一度視聴しただけではその壮大な全貌を理解することはできない。よって徐々に聴き込んでいくことにより、真価を発揮する作品である。気が遠いリスナーには若干明白性に欠ける内容であることは確かであるが、それは本作が充実し、ラプソディー独自の世界観が徹底的に練り上げられ、表現されたということの表れなのである。従来のファンなら迷わずこの壮大なアルバムの内容には満足するはずである。
また嬉しいことに、前作から再び導入の度合いを高めてきた欧州中世民謡がふんだんに盛り込められている。その牧歌的で幻想的な民謡の効果が最大限に生かされたのが#4や#9に代表されるバラッドであるだろう。伝統的なトラディショナル音楽をも想起させるこれらの名曲達は、彼らの描くハイ・ファンタジー世界をよりリアルな存在として訴えるのに成功しているのである。そんな素晴らしく幻想的な民謡に導かれる大作の#10は迫真の出来で、本作のハイライトだ。新たなサーガの幕開けを詞にも表現し、彼らの物語が一層飛躍していることを告げている。

彼らにしか創造できない壮大な内容が全編を支配する今作は、紛れもなくハイレベルなエピックアルバムである。確かに初期の作品に比べ、即効性には欠けるかも知れない。しかし、進歩していく彼らを初期と比べる必要があるだろうか。私達には先入観というものが多かれ少なかれ存在している。そしてその先入観が平常な判断を鈍らせる。一度、真っ白なままでメタルを聴いてみる必要性は十分にあるだろう。もちろんそれは傑出した本作にいえることである。



1. Dar-Kunor: Echoes from the Elvish Woods/Fear of the Dungeons
2. Triumph or Agony
オープニングに続く重厚なトラック。後半の盛り上げが見事だ。
3. Heart of the Darklands
4. Old Age of Wonders
フルートの音色が胸を打つ中世異国風のバラッド。幻想的な雰囲気が美しいまでに表現されており、ハイ・ファンタジーの世界観を十分に味わうことが出来る。サビのクワイアなどは蝋燭の灯のように燃え上がる。
5. Myth of the Holy Sword
大仰なサビの大合唱が興奮感を高める。勇壮なナンバーだ。
6. Canto del Vento
7. Silent Dream
8. Bloody Red Dungeons
9. Son of Pain
雄大極まりないスケール感を放つバラード。ここまで徹底的に表現され、リアリティを追求したファンタジー楽曲はないであろう。ファンタジー・エピックの真髄を知ることが出来る。ファビオの勇敢な歌い上げの扇情力は半端なものではないが、大仰なオーケストレーションの盛り上げ方も言語に絶する。ファンタジー好きなら聴いておくべき名曲である。
10. Mystic Prophecy of the Demonknight
およそ16分に及ぶ超大作。郷愁を誘う幻想的な民謡から圧巻のサビのエピック・クワイアとスペクタクルな盛り上がりを見せる。後半部の語りパートからのスリリングなリフ・ワークは映画さながらの臨場感を齎してくれる。
11. Dark Reign of Fire: Winter's Dawn Theme


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Symphony Of Enchanted Lands Part2



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2004
Reviews: 85%
Genre: Symphonic Epic Metal


壮大なサーガが完結して約2年、新たな新章の幕開けとなるラプソディーの5thアルバム。2004年発表。


新しい世界に相応しくシンフォニックを増した楽曲群はより映画の域に到達している。またプログレッシブな面もあり、その緻密さ、複雑さがより顕著になっている。過去にプログレッシブバンドに対してサイケデリック(ここでは理解できないという意味で使用した)という言葉が用いられたが、まさに本作はそうであろう。
新たな物語は平和と栄光を取り戻したエンチャンテッド・ランドより再び開始される。アレックス・スタロポリ(key)曰く、"今作は前作より壮大な物語になるだろう"とのことである。生まれ変わった魔法の国の自然を表現するための民謡が非常に魅惑的である。それはいたるところに導入され、ハイファンタジーの幻想、高貴を物語る。
驚愕は何と50人ものクワイア、フルオーケストラを迎えて制作された点にある。まさに一度や二度聴いただけでは理解できないほどの壮大なスケール、濃密さを内包したアルバムである。また、それに伴う映画的演出も圧巻であり、映画『ロード・オブ・ザ・リング』よりサルマン、『スター・ウォーズ/クローン戦争、シスの復讐』よりドゥークー伯爵を演じたことでも知られる名優、クリストファー・リー氏をナレーション役として起用した事も驚愕に値する。リー氏の崇高な語りは素晴らしいの一言に尽きる。今作も、全くもって彼らにしか作ることのできない出色のアルバムである。



1. The Dark Secret
厳かなリー氏の語りから壮大きわまるエピッククワイアへと劇的に展開する驚異のオープニングアクト。この圧倒的なスケール感には鳥肌が立つこと必死である。
2. Unholy Warcry
魔法使いの王の語りに続く名曲。今まで以上に重厚で圧縮されたサウンドには驚く。サビのクワイアの放つ勇壮さと高揚感はアルバム中でもずば抜けている。
3. Never Forgotten Heroes
かつて魔法の王国を勝利へと導いた誠実なる英雄たちの伝説は永遠に忘れ去られることはない。
幻想的なドラッド調メロディとダンジョン系RPGメロディが見事な展開を見せる名曲である。コーラスへの劇的な流れは息をのむほど素晴らしい。またサビでの中世王国調クワイアの重厚感は圧巻だ。
4. Elgard's Green Valleys
民謡調インストゥルメンタル。自然の素朴な気配と笛の音色が齎す至福の時間である。
5. The Magic Of The Wizard's Dream
エピック・バラードの名曲。イントロの笛の音色から余りにも美しい。威厳に満ちた歌の旋律も、ファビオの表現力と合いまり叙事詩的な世界観を見事に描く。本アルバムはどの曲もスケールに満ち溢れているが、静寂の中に壮大なクワイアを歌い厳粛に聴かせる本曲は突出しているだろう。美しくも儚い、魔法使いの夢のようだ。この名曲は万人が感動すると私は思う。
6. Erian's Mystical Rhymes
約10分の大作。勇敢に疾走する騎士系のサビに加え後半のドラマティックな展開とくればいうことはない。聴きごたえが非常にある曲である。語りが入ってくる場面などは映画のワンシーンにあってもおかしくはない。
7. The Last Angel's Call
かつての名曲を思わせる伝統的な疾走曲。勇壮かつ英雄叙事詩的な聖歌の役割を果たす、5人の英雄達の高貴なる冒険譚である。歌ラインのヒロイックで重厚ながら哀愁漂う旋律は感動的だ。クラシカルなギターソロも抒情的に魅せる。最後の大サビでのクワイアの繰り返しはエピックファンタジーの王道である盛大なグロリア(栄光の讃歌)を堪能でき、素晴らしい。このアルバムの中で最も明白な曲であろう。
8. Dragonland's River
中世の幻想世界とでもいうべきか、美しく牧歌的な英雄トラッド。フルートの魅惑的な音色が魔法の中世世界の雄大な自然、山々、谷々の光景を聴く者の眼前に映す。この魔法の王国に溢れる不思議な生き物には美しさが宿っているのだという。この曲を聴いている時間は本当にそう思える。短いながらとても記憶に残る曲だ。ラストのサビに壮大なクワイアが突如絡むのがとてつもなく感動的。
9. Sacred Power Of Raging Winds
10. Guardiani
11. Shadows Of Death
12. Nightfall On The Grey Mountains
次回作への期待と本作を締めくくる演出が成されたアルバムの最終曲。RPGのエンディングを思わせるサビのメロディが特に印象的だ。もちろんお決まりのアルバム序曲のクワイアに戻るという展開も設けられている。毎回思うことであるが、彼らの長編の楽曲に対する感情の入れ込み、構成力、起承転結の概念は本当に高く評価できる。


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パワー・オブ・ザ・ドラゴンフレイム



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2002
Reviews: 89%
Genre: Symphonic Epic Metal


1997年から続いてきたファンタジック・アドベンチャー・ストーリー「エメラルド・ソード・サーガ」が遂に完結を迎えるラプソディーの2002年発表の4thアルバム。


3rdアルバムの次に発表された『Rain Of A Thusand Flames』に続くという形でのリリースとなる。全曲凄まじいまでの完成度と攻撃性を誇りラストの「Garoyles, Angels of Darkness」においては約20分にも及ぶというとてつもない大仰さに圧倒される。ストーリーに沿って徹底的緻密に構成された楽曲群はどれも名曲として扱って問題はないだろう。まさに最終章に相応しいアルバムとなっている。

本作では、物語の主人公である氷の戦士率いるエンチャンテッド・ランズの英雄達と邪悪なる王アクロン率いる悪魔の軍団との恐るべき、ファンタジー史の伝説に残るべき最終決戦が描かれる。その凄まじいまでの剣と魔法による最後の戦いを表現せんとするスリリングなギタープレイ、いつも破錠してもおかしくない激烈なスピードで構築される楽曲群は余りにも過激である。まるで自らが戦士として共に戦っているかのような視覚的効果と高揚感、クライマックへ向けての興奮は留まるところを知らないアルバムである。
ある種、これはファンタジー映画をスクリーンで見ているときに感じる興奮と同じである。底がないくらい濃密な内容だ。そして圧巻は壮大極まりない終盤に尽きる。#8でダイナミックに盛り上げ、伝説的ともいえる#9のクワイアで終焉を描き、ラストの#10の超大作で占める。この流れはエピック・メタルの歴史に残る名場面であろう。それ以前に、このアルバム自体がヘヴィメタル史に悠然と輝く大傑作であることは疑いようのない事実だ。



1. In Tenebris
ファンタジー世界での雌雄を決した壮絶なる最終決戦が行われる、という緊張感を持って歌い継がれる劇的なクワイア・オーケストレイション。
2. Knightrider of Doom
かつての名曲に連なる、余りにも混沌とした激烈な疾走曲。コーラスの荘厳極まりない圧倒的なエピッククワイアに笛が絡む時点で天を仰ぎ見る。
3. Power of the Dragonflame
大仰極まりない劇的展開と一大決戦の如き超スペクタクルなヒロイックメロディでファンタジーメタルの概念を破壊した歴史的な名曲。正直意識が遠のくほどの興奮を覚える。感動的なスケールを欲するサビのクワイアから劇的なスペクタクル・ギターソロへの流れはまさに至宝である。
4. March of the Swordmaster
勇敢なる英雄達の行進を描いたマーチ調エピックメタル。サビの重厚かつヒロイックな合唱パートはこの上ない英雄讃美だ。このストロングスタイル(別にプロレスではない)ともいえる雄々しさはマノウォーに通じる。
5. When Demons Awake
デス声を使用したアグレッシブなエピック・チューン。ダークさが滲み出ている。しかし荘厳な雰囲気溢れるサビは威厳に満ちる。
6. Agony Is My Name
勇壮なサビのメロディが強烈なインパクトを持つ疾走ファンタジーエピックメタル。
7. Lamento Eroico
イタリア語で歌われる出色のバラード。英雄の悲しき宿命が見事抒情的なファビオの歌唱に表現されているだろう。
8. Steelgods of the Last Apocalypse
彼らは素晴らしい。なぜならストーリーのクライマックスを最大限に盛り上げてくれるからだ。
9. Pride of the Tyrant
中世ファンタジーの雄大な世界を究極なまでに完結へと導く驚異的な名曲。エンチャンテッド・ランズで行われた壮大なる英雄達の戦い、魔法使い達の戦い、善と悪の戦い、その結末はいかなるものか。その極限のクライマックスがこの曲に現れている。とにかく曲中には何かが起こるという異様極まりない雰囲気が渦巻いている。それがもはや伝説的ともいえるサビのクワイアである。とにかくこのスケール、盛大さは言葉によって表現のしようがない。私達の感動を超えた、エンチャンテッド・ランズの大団円である。
10. Garoyles, Angels of Darkness
合計3パート約20分にも及ぶ「エメラルド・ソード・サーガ」4部作完結のラストエピック。今までで最長という超大作をラストに持ってくる辺り相当の自信を感じる。曲自体も凄まじい内容を誇っており、プロデューサー、サシャ・ピートによる中世スパニッシュ、フラメンコのようなアコースティックパートに始まり、激烈なメタル・パートへと徐々に展開していく。この曲を視聴している時間は余りにも濃密であり、とてつもない情報量を送り込まれる。その濃密さにいかに耐えうるかが、リスナーの力量たるところだろう。決して軽い気持ちで本曲は聴けるものではない、ということをこの言葉に表現したつもりだ。クライマックスパートでの栄光、勝利を表した盛大きわまるパートはまるで一本の大作ファンタジー映画そのものである。またエンディングにオープニングのIn Tenebrisに再び戻るというのも、感動的だ。
そして4部作と続いてきた英雄物語も劇的極まりない感動のラストを迎えるわけだが、そこは是非とも本作の日本語対訳版を手にとって真相を確かめてほしい。英雄はアクロンに勝利したのだろうか?エメラルドの剣は?影のダーガーは?そしてエンチャンテッド・ランズは再び平和を取り戻したのだろうか?大仰だが、ブックレットには魔法使いの最後の言葉が結末と共に綴られている。残念ながら、一端のメタルファンに過ぎない私がナビゲートできるのはここまでだ。"Peace and love forever!"


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レイン・オブ・ア・サウザンド・フレイムス



Country: Italy
Type: EP
Release: 2001
Reviews: 80%
Genre: Symphonic Epic Metal


イタリアのシンフォニック・エピック・メタル、ラプソディーのサーガ完結編の前編に当たるミニ・アルバム。
フルアルバムでリリースされる後半には全曲未収録という、破格の創作力を持って制作されたのが本作である。

まず驚くのがその収録時間の長さ。大抵ミニ・アルバムとなると収録時間は20分程度に収められるのが常である。しかし本作は7曲約40分という大ボリュームだ。なんと10分に及ぶ大作が2曲も収録されている。

また今作はハリウッド・メタルの権化たる彼らのポテンシャルを存分に生かした作品でもある。
映画のスコア並みの重厚な音像はもはや特筆すべきではないかもしれないが、かつての名作サントラを思い出させる。もちろんそれにはルカ・トゥリッリ本人が映画音楽のファンだということもあるだろう。彼はベスト・サウンドトラックとして『ブレイブハート』、『バットマン』、『ドラゴンハート』等の傑作たちを挙げている。
それらを踏襲、意識したかとさえ思われる内容はフォークロアで伝統的、クラシックの要素がつとに印象深い。出身国イタリアのホラー映画『フェノミナ』のメインテーマメロディを曲中に配した#3、ドヴォルザークの「新世界」をアレンジした#7には特に顕著に表れているといっていい。また、彼らのメタルらしいアグレッシブな魅力をエピカルに凝縮した#1も名曲に値する。

本作を聴けば、彼らがかつて提示したクラシックとメタルを融合したスタイルがより押し進められ進化していることが分かるだろう。傑作に等しい本作のテンションを誇示して次のフルアルバムへの繋ぎにするとは、これ以上ない期待感を煽られると同時に、なんとも憎い演出家である。



1. Rain Of A Thusand Flames
ラプソディー最速と謳われる、屈指の名曲。もちろんただ速くてアグレッシブなだけではなく、壮大なサビのクワイアも劇的に聴かせる。例えるなら嵐のように過ぎ去っていく曲だ。1曲目としては最高のインパクトをリスナーに植え付けることだろう。
2. Deadly Omen
3. Queen Of The Dark Holizons
4. Tears Of A Dying Angel
5. Elnor's Magic Valley
6. The Poem's Evil Page
7. The Wizard's Last Rhymes


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ドーン・オブ・ヴィクトリー



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 2000
Reviews: 88%
Genre: Symphonic Epic Metal


前作で究極のファンタジーエピックメタルを作り上げたイタリアの至宝、ラプソディーの3rdアルバム。2000年発表。
今作から新しく元SIEGES EVENのアレックス・ホルツヴァルト(ds)が加入した。


作風はいつもと変わらないシンフォニックかつエピカルなヒロイックメタルであるが、今作はアグレッションが前面に押し出されている。それもそのはず、彼らが描いてきた「エメラルド・ソード・サーガ」は今作で大きな転機を迎えているのだ。その概要を少し紹介しておこう。

英雄達は前作で氷の戦士が手にしたエメラルドの剣によりアンセロットの王国を救出するのに成功する。しかしアクロンの陰気な計略により女王はハーガーの町に囚われる。そこに氷の戦士は赴くが、彼もまた囚われてしまう。恐ろしい拷問により最大の友である英雄アルワルドと女王は惨殺され、エメラルドの剣は悪の手に落ちる。

そんな囚われの身になり友を殺された氷の戦士の怒りがアルバムの中で渦巻いているようである。攻撃的でメタリックなギタープレイは内容的にも戦いを思わせるには十分であるが、同時に臨場感をも演出している。
そう、少しでも曲に振れればそこは英雄達の戦場なのだ。……必死に考えたフレーズがこれしか思い浮かばなかったことを許してほしい。
話がそれたが、今作も迫真に迫る劇的な展開と留まるところを知らぬ大仰さで聴き手は悶絶必死であろう。壮大な民謡調シンフォニックパートとメタルパートの生み出すダイナミズムは至高のドラマといえる。彼らお得意の重厚なエピッククワイアも各曲に大量に導入されており、その壮麗でヒロイックなメロディは詠唱を誘発する...



1. Lux Triumphans
一滴の水音が聞こえ、もうそこからは剣と魔法の冒険の世界。荘厳かつ壮麗なクアイアによる劇的なオープニング。このクアイアはラストにも登場する重要なメロディである。
2. Dawn Of Victory
オープニングの序曲に続くお約束の勇壮な疾走曲。毎回ながらこの展開には殺られてしまい、心底脱帽である。ヒロイックなクアイアとマーチ調リズムそしてスピード感が融合した見事な名曲である。「グローーリアー、グローーリアー」の讃歌的合唱はつとに印象深い。
3. Triumph For My Magic Steel
煌びやかな旋律とと似勇壮に駆け抜ける曲である。中間部の盛大な合唱パートには感情を揺さぶられる。なぜなら余りにも展開がドラマティックだからだ。
4. The Village Of Dwarves
中世民謡調のバラード。ゆったりと幻想的な雰囲気を醸して進み、サビでは大合唱を繰り広げるというこの手の曲が好きな者にはたまらない曲である。また冒頭などで聴かれるアコーディオンのような好奇心をそそる民謡メロディには、ダンジョン系RPGゲームを思い出して懐かしくなることもしばしばである。もちろんそれが驚くほど合っているのではあるが。
5. Dargor, Shadowlord Of The Black Mountain
チェロが特にいい味を出していいる。イントロ部分も出色の出来。 影の英雄ダーガーのテーマ曲ともいうべき名曲だ。
6. The Bloody Rage Of The Titans
勇ましくも威厳に満ちた堂々とした曲。
7. Holy Thunderforce
とてつもなくアグレッシブな疾走曲。ファビオ・リオネが雄々しく歌い、激しいリズムがうねる様は圧巻である。そしてそのヒロイックなパートから一気に勇壮な合唱パートに突入するのも興奮することこの上ない。
8. Trolls In The Dark (Instrumental)
子供の声が不気味なインストゥルメンタル。
9. The Last Winged Unicorn
物語がクライマックスに近づいたことを告げる、感動的ながらも劇的なトラック。次々と繰り出される英雄的なメロディの歌唱が戦士の勇気を忠実に具現化させる。そしてスクリーンの如く劇的な展開を見せる中間部は凄まじい。感動的なファンタジーメロディが奏でられるギターソロ、魔法使いの導くようなセリフが突如として入り、アカペラの合唱へと移る……。まさに至高のファンタジック・アドベンチャーだ。
10. The Mighty Ride Of The Firelord
アルバムラストを飾る壮大な大作。アルバムのラストを大作で締めくくるというのが彼らのエピック・スタイルであるが今作に至ってもそれは変わりない。大胆なアレンジとサビのコーラスは魅力的だが、何といっても中間部での民謡パートの英雄的旋律の美しさ、飛躍感は余りに素晴らしく、今まで聴いてきたこのアルバムでの勇敢な冒険を今一度思い出させ、次なる舞台への期待感を最大限に煽る。管楽器がここまで魅力的とは驚きだ。その後もアルバム最初のLUX TRIUMPHANSのクアイアを再び導入し、まさにアルバムは終わりを迎えるわけである。
そういえば私達に英雄達の物語を語っているアルガロードの親愛なる魔法使いアレシウスは、常に伝説の戦士が持っていた勇気と誠実さとを忘れることなかれ、と私達に言い残していた。この感情が最後に英雄を奮い立たせて、絶体絶命だった彼を再びアルガロードの緑に包まれた地に帰還することを助けたという。この勇壮な叙事詩に感銘を受けたのも、彼の持つような人間味溢れるヒューマニズムが楽曲にも溢れて馴染んでいたからであろう。ここで語られた"勇気"と"誠実さ"の尊さはいつも勇敢な英雄から学ばされる。そして私が思うのは、エピックメタルが描く物語はただの歌詞ではなく、むしろ意味を持ったものであるということである。


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Symphony of Enchanted Lands



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 1998
Reviews: 94%
Genre: Symphonic Epic Metal


イタリアの至宝、ラプソディーの1998年に発表された2ndアルバム。


前作『Legendary Tales』で歴史的なシンフォニックメタルの完成形を作り上げることに成功した彼らだが、今作においてもその本格的なスタイルは変わっていない。それどころか本作は前作以上のドラマ性、スケール感、交響曲的要素を持ってして音楽(ヘヴィメタル)と映画(スクリーン)の究極融合である"ハリウッド・メタル"なるジャンルを確立した。
この途方もなく素晴らしいアルバムで彼らはメタルというジャンルを超えてしまったのかもしれない。なぜならこの芸術作品は我々を現実をから遠ざけて中世ヒロイックファンタジー世界の壮大な遠征に導いてくれるからだ。全てにおいて驚愕の内容である。美しく幻想的な英雄世界、溢れるヒューマニズム、壮大なロマンスは我々に人間性の尊さを説いてくれるだろう。馬鹿馬鹿しいかもしれないが、本当のことである。壮大で勇壮な楽曲が並ぶが、アルバム冒頭からは映画のスクリーンを見ているとしか表現のしようがない。そして続く不屈の名曲#2で感動することは必至である。

つくづく思うのだが、この世界観は他のバンドには創り出すことは不可能だろう。彼らは剣や魔法の世界、ハイ・ファンタジーを描いているわけだが、実際楽曲に魔法が宿っているかのように、その名曲たちは輝いている。まさに「Symphony of Enchanted Lands(魔法の国の交響曲)」である。



1. Epicus Furor
美しいストリングスにクアイアが続く壮大なオープニング。
2. Emerald Sword
彼らの楽曲の中で語られる「エメラルド・ソード・サーガ」の舞台、エンチャンテッド・ランズの聖歌ともいうべき最高の名曲。流れるような英雄的美旋律とサビのクアイア「王の為、祖国の為、山々の為、竜が飛び交う緑の谷の為、栄光の為、暗黒の支配者に打ち勝つ力を得る為に我はエメラルドの剣を探し求める」という誇り高き詞が感動を呼ぶ。まるで国家のような曲である。
3. Wisdom Of The Kings
民謡に彩られた素晴らしイントロダクション。そして英雄的な高潔さを持って語られるかのようなミドルパート。中間の美しいストリングスパートは絶品である。王の叡智は尊大で偉大なものだったと、感じることができる。
4. Heroes Of The Lost Valley
英雄の行く末を語る物語の橋渡し的な曲である。最後のセリフが印象に残る。
5. Eternal Glory
#4から流れるように続く中世王国調の盛大な曲。威厳に満ちた警笛や勇敢さを讃えたサビのクアイアが胸を打つ。後半にある民謡的なファビオ・リオネ(vo)のソロパートからRPG的なメロディに満ちたギターソロへの流れは感動的ですらある。最後に奏でられるエピローグらしき民謡も美しいことこの上ない。
6. Beyond The Gates Of Infinity
地獄から這い上がった悪魔の軍団を思わせるおぞましい雰囲気を持つシンフォニックメタル。
7. Wings Of Destiny
まるで英雄の悲しみを歌うかのような哀愁に満ちたバラード。ファビオの歌唱はここでも抒情的であり、巧い。
8. The Dark Tower Of Abyss
壮大な物語もクライマックスに近づき、この曲から劇的な展開を見せる。特に後半の追い上げはファンタジー特有の緊張感すら漂っている。
9. Riding The Winds OF Eternity
激烈な疾走と共に高貴で涙腺を刺激する英雄的なメロディが流れる曲。この曲の一途さにはヒューマニズムすら感じる。まさに物語は最後の大団円に向かって、エメラルドの剣の探求を完結しようとしているのだ。
10. Symphony Of Enchanted Lands
凡そ12分にも及ぶ究極的な中世ヒロイックファンタジーのエンディング、エピローグトラック。彼らの生み出した大作曲の中で輝く、至高の名曲である。合計4パートにも分かれており、それぞれのパートが重要な役割を持っている。特筆すべきは2パート目からの超越的なスケールを放つ劇的極まりない展開であり、その2パート目でのファビオの神聖で勇敢なる歌い上げには、あたりが一瞬静寂に包まれることだろう。そしてその後の最大最高の栄光を讃えた王国調シンフォニーが大河のように流れる様は、空前絶後のスケールだ。そう、遂にエメラルドの剣は英雄の手にするものとなったのだ。これが高貴で正義に満ちた英雄が物語の中で手にした栄光ではなかろうか。ふとそんなことを思う。しかしこれは序章に過ぎない。その壮絶な2パート目から3パート目へ、あまりにも高潔すぎるファンタジック・シンフォニーへと流れた時、感動は現実を超える。これが魔法の王国、魔法の曲調である。オープニングでの感動的なメロディがサビで再び流れた時の高揚感は言葉にはできない。これほど凄まじい展開にも関わらず、ラストである4パート目のエピローグがさらに感動を押し上げ、余韻を残してくれるのだ。更に設けられたこの至上の展開は、ヒロイック極まりない民謡旋律をバックにして、年老いた老人(私はそう思っている)が英雄の行く末を、強いては自らの希望を託すという最後の語りが聞ける。そして最後に老人は物語の主人公、氷の戦士にこう語るのだ...「Peace and love forever!(愛と平和よ、永遠に!)」


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レジェンダリィ・テイルズ



Country: Italy
Type: Full-length
Release: 1997
Reviews: 90%
Genre: Symphonic Epic Metal


イタリアの至宝、ラプソディーの1997年に発表された衝撃のデビューアルバム。


彼らはその究極ともいえるシンフォニックメタルでエピックメタルファンの度肝を抜いた。その衝撃は10年以上たった今でも失われてはいない。 このアルバムはバンドのリーダーにして天才ルカ・トゥリッリ (g)が創造した超壮大なヒロイックファンタジー物語「エメラルド・ソード・サーガ」に沿って展開されるストーリーアルバムであり、もはや映画さながらの重厚さと荘厳さを誇っている。この物語は4枚目のアルバムまで続き、凄まじい英雄世界が繰り広げられる。手短に紹介すると物語は、RPGを思わせるもので、

"暗黒の勢力が、アルガロードの周辺を脅かす。予言によれば、伝説の氷の戦士のみが、究極のポジティブ・フォースを持つエメラルド・ソードを手にできるという。戦士は、魔法の森であるユニコーンの森にあるという聖なる木々に住む王の賢者によって壮大な冒険に誘われる。時は来た。復讐の炎は高く燃え上がり、彼は勇者たちを伴い、勇壮なる遠征に出かける。同盟は結ばれるだろう。時は走り始めた..."

という小説さながらの叙事詩である。それをメタルで語ろうとするのだから、エピックメタルファンとして敬意を表さずにはいられない。
過去、幾度となくクラシックとメタルの融合が試みられてきたが、一部のバンドを覗けばチープなものがほとんどであった。しかし彼らはこれまでのバンドとは明らかに違っていた。幼い頃からクラシックの教育を受け、また音楽一家に生まれたルカ・トゥリッリは、信じられないほど本格的なシンフォニックアレンジと生のオーケストラをこのアルバムで完成に導き披露したのである。メタルの持つ勇壮なパワーとスピードに優美なシンフォニックサウンドが重なることによりこのアルバムは永遠に語り継がれるだろうシンフォニックメタルの名盤となった。また、看板シンガーであるファビオ・リオネ(vo)の圧倒的な表現力もアルバムのドラマ性をさらに高めることに貢献し、彼のヒロイックな歌声に重なるエピッククワイアの応酬は圧巻。楽曲の展開も全てが劇的といっても過言ではない流れであり、一種のスペクタクル映画さながらのダイナミズムを生んでいる。
ここまで素晴らしいといくら評価しても物足りないが、一ついえることがある。これがファーストアルバムだとはとても信じられないということだ。



1. Ira Tenax
荘厳極まりないインスト。まさにファンタジー物語が幕を開ける、といった感じの素晴らしい序章である。クワイア(合唱)の重厚な合唱は鳥肌ものだ。
2. Warrior Of Ice
物語の主人公である氷の戦士(Warrior Of Ice) の名を冠した、ここから始まる壮大な冒険を思わせる名曲。中間部の民謡パートから大合唱への流れは、あまりにも感動的だ。まさに歌詞(英語)にあるように「伝説の最強なる戦士が再び駆け巡る」である……。
3. Rage Of The Winter
これまた素晴らしいエピックメタル曲。中世的な雰囲気からいきなりの疾走を見せるコーラスは勇ましすぎるほどだ。そしてその後のギターメロディへの流麗な展開がドラマティック。
4. Forest Of Unicorns
まさに中世ファンタジーと言える、笛の音色が幻想的な民謡系バラッド。素朴でアコースティカルな雰囲気と旋律が美しすぎる。サビのハーモニーも幻想的だ。名曲である。
5. Flames Of Revenge
勇壮な疾走曲。ファビオ・リオーネ (Vo)の中世騎士のような勇ましい歌声が素晴らしい。また、中間部での荘厳かつ劇的なパートも圧巻。
6. Virgin Skies
ハープシコードとフルートの美しく雄大な音色が奏でられるインスト曲。英雄の冒険の果てしない姿が思い浮かべられる、繋ぎの曲とは思えない曲だ。
7. Land Of Immortals
これも疾走する勇壮な曲。サビでのヒロイックなコーラスは共に歌わずにはいられないだろう。リフもメロディックでたまらない。
8. Echoes Of Tragedy
まるで中世の王国かと思わせる壮大なバラッド。短いが、荘厳なクワイアが行進していく様は映画さながらである。
9. Lord Of The Thunder
クライマックに向けての最後の疾走曲。激しいリフとドラムが疾走し、凄まじい緊張感を漂わせる。そしてその雰囲気のまま威厳あるクワイアへ。全くもって見事な展開である……。
10. Legendary Tales
ラストを飾る壮大な名曲。約8分の大作であり、まさに伝説というような孤高の雰囲気を醸し出している曲である。また、笛の勇ましい音色が全編を支配しており、聴いたものは戦士になったような気分を感じずにはいられないだろう。サビ前のギターソロは壮大かつヒロイック極まりない。そして曲の最後のオルゴールのようなエピローグが静かに余韻を残す……まさにこれぞ英雄的なエピックメタルだ。


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