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ハロウィン・エクスパンディッド・エディション・コレクション 守護神伝-第二章

HELLOWEEN the 3rd album in 1988 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

ハロウィンの1988年発表の3rd。


ドイツのハロウィンの第2作目にあたる前作『Keeper of the Seven Keys Part Ⅰ』(1987)は、内容の充実と同じく商業的な成功を収めた数少ないヘヴィメタル作品であった。我々は売上数を用いて作品の内容を考慮することはまずないが、『Keeper of the Seven Keys Part Ⅰ』は世界で50万枚、本作『Keeper of the Seven Keys Part Ⅱ』は70万枚以上(これは正確な値ではない)を売り上げたという記録が残っている。結果的に、本作を含めた「守護神伝」作品がヘヴィメタルの認知を広めた事実は疑いようがないことになる。
御存知のように『Keeper of the Seven Keys Part Ⅱ』はコンセプトアルバムである。本作に収録された伝説的な名曲"Keeper Of The Seven Keys"が物語っているように、内容は非常に興味深い。この楽曲を作ったのはマイケル・ヴァイカート(g)であり、彼は敬虔なカトリック教徒であった。"Keeper Of The Seven Keys"の物語は、一人の勇者が預言者──前作のカヴァー・アートワークに描かれた魔術師めいた人物である──に導かれて、人間の7つの大罪を7つの海に封印する──鍵をかけるとも解釈できる──というものである。人間の7つの大罪を司っているのが邪悪な悪魔であり、探求であるように勇者はこれに立ち向かっていく。我々は制作者のマイケル・ヴァイカートをカトリック教徒だと言ったが、本曲の勇者とはイエス・キリストのことを表しており、悪魔とは人間にとって最も忌むべきものを表している。楽曲中に登場する7つの大罪とは傲慢、嫉妬、憤怒、色欲、怠惰、貪欲、暴食であり、それが瘴気のように沸き立つ7つの海に邁進し、守護神(Keeper)であるイエスは鍵をかけなくてはならない。詰まるところ、"Keeper Of The Seven Keys"とはキリスト教の聖人伝なのである。
古くからブラックメタルが悪魔崇拝を掲げてきたように、メロディック・パワーメタルがキリスト教を崇拝する方向性を本作において見出していたことは、見逃してはならない事実である。我々は更に追求する。ハロウィンの「守護神伝」作品が後のメロディック・パワーメタル、メロディック・スピードメタルの方向性を決定づけたとするなら、キリスト教的思想をも継続されている可能性は否定できない。反キリスト思想を標榜するヘヴィメタルが存在する一方、キリスト教を受け入れているヘヴィメタルも存在するということを、本作は証明しているのである。ブラックメタルに対極するライトメタル然り、世界における新旧のパワーバランスをヘヴィメタル・シーンは如実に物語っていたのである。


1. Invitation
物語のプロローグ的な勇敢なイントロダクション。ヒロイックな印象を受ける雰囲気は注目に値する。
2. Eagle Fly Free
ハロウィンの魅力を凝縮した完璧なトラック。マイケル・キスク(vo)の伸びやかなハイトーンが、自由を象徴する鷹のように高らかと飛翔する。
3. You Always Walk Alone
佳曲。
4. Rise And Fall
ジャーマンメタルらしいキャッチーさがある。
5. Dr. Stein
メアリ・シェリーなどの小説で登場するフランケンシュタイン博士を扱った楽曲。ドラマティックな旋律からは勇ましさを感じる。
6. We Got The Right
哀愁に溢れたバラード調の楽曲。後半にかけての盛り上がりは秀逸だが、勇ましく、もの悲しいところはドイツの特色か。
7. March Of Time
時間とは人間に平等に流れるものである。高揚感を覚える疾走に勇壮なコーラスが乗る。
8. I Want Out
キャッチーな楽曲故にポップメタルなどと形容されたが、上手くまとまっている。
9. Keeper Of The Seven Keys
ハロウィンの最高傑作であり、歴史的名曲である。目まぐるしい展開を纏いながらヒロイックに進行していく様は、壮大な幻想冒険譚とでも形容できよう。サビの高揚感は特筆に値する。勇敢な戦士を主人公とした大作RPGを想像しても間違いではないが、エピローグを交えた見事な起承転結の圧倒的な構成力には恐れ入る。興味深いのは、楽曲中に登場する「幻の預言者が盲目になる前に言った」という意味深な言葉であり、長衣の魔術師は後に盲目となって"亡者の守護神(Blind Guardian)"となったことを暗示しているということである。彼は盲目故にローブの中が黒いのであろうか。



Review by Cosman Bradley
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ハロウィン・エクスパンディッド・エディション・コレクション 守護神伝-第一章

HELLOWEEN the 2nd album in 1987 Release
★★★★★★★★★★...(神盤)

ハロウィンの1987年発表の2nd。


本作『Keeper of the Seven Keys Part Ⅰ』は、世界で極めて有名なヘヴィメタル作品の一つである。どの分野にも代表的なバンドは存在するが、メロディック・パワーメタルにおいてはドイツのハロウィンが特に有力となろう。そしてハロウィンの本作を含む二部作は、それらの分野において革命的な作品であったことはもはや疑いようがない。
カイ・ハンセン(g)、マイケル・ヴァイカート(g)の偉大なギタリストによる強力なツインリードが踊り、新たに加入したマイケル・キスク(vo)の雄々しいハイトーンが劇的に乗る本作は、後のメロディック・パワーメタルのスタイルを方式化した。馴染みやすいメロディ、爽快な疾走感、コンセプチュアルな内容、それが即ちメロディック・パワーメタルであったということである。


我々が長らく気にかけていたことは、カヴァー・アートワークに描かれたローブの魔術師であった。この不思議な人物は幻想的な物語を導くが、古典的なファンタジーの語り部や賢者と役割が似通っている。始祖であるハロウィンがこういった世界観を用いたことは、特にメロディック・パワーメタルが欧州ファンタジーに傾向している事実を証明していることになる。このイメージを後のブラインドガーディアンが踏襲したことは想像に難くない。
なお本作は2006年にエクスパンデッド・エディションで再発され、大幅に音質が向上した。この際、4曲のボーナストラックが新たに収録されている。


1. Initiation
アルバムの序章。
2. I'm Alive
ドラマティックなイントロダクションから強力な名曲への流れは、後のメロディック・パワーメタルでは定番となる。
3. A Little Time
4. Twilight Of The Gods
5. A Tale That Wasn't Right
6. Future World
7. Halloween
本作のハイライトともいうべき大作。劇的なツインリードと構成力を有し、ハロウィンを代表する名曲である。
8. Follow The Sign
次作へと繋がるRPG的なエピローグ。



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ウォールズ・オブ・ジェリコ&ジューダス~エクスパンディッド・エディション(紙ジャケット仕様)

HELLOWEEN the 1st album in 1986 Release
★★★★★★★★☆☆...(名作)

ハロウィンの1986年発表の1st。


これまで認知力に乏しいカルト的作品を数多く取り上げてきた『METAL EPIC』誌が、今回のようにメジャーな作品のレビューをすることは稀であるかも知れない。しかし、我々の最終目標はすべてのヘヴィメタルの分野のレビューを完成させるという大胆な挑戦であり、何れはあらゆる作品の個性的なレビューがクレジットには並ぶはずである。
今では、メロディック・スピードメタルの始祖とまで崇められるドイツのハロウィンのデビューは、『Helloween』(1985)と題される小さなミニ・アルバムであった。この作品に収録された哀愁たっぷりのいかにも若者といった感じの武骨なヘヴィメタルは、後の成長を大きく感じさせるものであったと、我々は記録している。翌年発表された本作『Walls Of Jericho』に至っては、まさに強力な一品であり、"Ride The Sky"のスピードには参ったものだ。
時は流れ、ハロウィンの名は売れて有名となったが、嬉しい機会にも恵まれた。2006年には過去の作品が素晴らしいリマスター作業によって再発され、我々はそれらを手にすることになった。本作はその第一作目であり、『Helloween』、『Walls Of Jericho』、EP『Judas』を一纏めにした豪華な作品である。何れもヴォーカルはガンマ・レイでも活躍するカイ・ハンセン(vo、g)がとっていた時代のものだ。メロディック・スピードメタルと形容された強烈なパワーと一緒に、是非ともハロウィンの軌跡を辿って頂きたい。


1. Starlight
2. Murderer
3. Warrior
4. Victim of Fate
ガンマ・レイのライブでも演奏される名曲。ドラマティックな展開は既に開花している。
5. Cry for Freedom
6. Walls of Jericho
7. Ride The Sky
ハロウィンの代名詞的な名曲。超絶なスピードで押す。
8. Reptile
9. Guardians
10. Phantoms of Death
11. Metal Invaders
12. Gorgar
13. Heavy Metal (Is the Law)
14. How Many Tears
大作。
15. Judas



Review by Cosman Bradley

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