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「CIRITH UNGOL(キリス・ウンゴル) 」カテゴリ記事一覧


CIRITH UNGOL 「Servants of Chaos」

Servants Of Chaos (2CD DVD)



Country: United States
Type: Compilation
Release: 2001
Reviews: 80%
Genre: Epic Metal


アメリカのカリフォルニア出身のエピック・メタルの始祖、キリス・ウンゴルの2001年発表の企画盤。


『METAL EPIC』誌より抜粋:

エピック・メタルの始祖と謳われたキリス・ウンゴルは1992年に解散した。しかし、その後もコンピレーション・アルバムの発売やファンの熱狂振りが続き、活動時期以上の名声を獲得していたことは事実である。エピック・メタルの市場では、キリス・ウンゴルの作品──特に第4作『Paradise Lost』(1991)のオリジナル盤──に高値が付き、後続のエピック・メタル・バンドは、影響を受けたバンドの名としてキリス・ウンゴルの名を挙げることをやめなかった。これまでに数多くの作家や芸術家たちが死後に再評価を得たが、地下の毒蜘蛛キリス・ウンゴルもその典型であった。生前はレコード会社や音楽誌を筆頭にして、身に覚えのない散々な扱いを受けたキリス・ウンゴルであったが、その黒歴史はようやく報われることになった。死後に再評価されたのだから、それは長続きするはずだ。
本作『Servants of Chaos』は「Metal Blade Records」から2001年に発表されたコンピレーション・アルバムである。本作の内容は、キリス・ウンゴルが過去に発表した4枚のアルバムの中から選曲され、主にデビュー以前に該当する1979年制作のデモ音源を加えて完成した。なおすべての収録楽曲は2枚組に分けられ、1枚目にはデモ音源を主に収録、2枚目には第4作『Paradise Lost』の楽曲と地元カリフォルニアでのライブ音源が主に収録されている。1979年のデモ音源は聞くに堪えない内容だが、マニアはフリッツ・ライバーのヒロイック・ファンタジー小説に触発された、過去の作品未収録のインストゥルメンタル"Ill Met in Lankhmar"、"Return to Lankhmar"に注目し、不朽の名曲"Paradise Lost"の完全なヴァージョンを前にして、願わくば歓喜に打ちひしがれることであろう。同様に、第2作『King of the Dead』(1984)収録曲の良質なライヴ音源に対しても、僅かばかりの願望が叶えられたことを知るであろう。喜ぶべきことに、最新のリマスター音源は、チープであったキリス・ウンゴルの楽曲群を幾許か見栄えの良いものに変貌させている。その点に関しても、本作は良作である。エピック・ヘヴィメタルのマニア以外が本作をどのように受け取るかに至っては、殆ど各自の判断に委ねられている。我々はレコード会社ではないので、CDの代金を返金することはできない。

追記:本作は2011年に再発。その際、1984年11月9日に行われた貴重なライブDVDが付属。



CD1:
1. Hype Performance
1979年制作。アルバム未収録のデモ音源を収録。
2. Last Laugh
1979年制作。アルバム未収録のデモ音源を収録。
3. Frost and Fire
デモ・ヴァージョンを収録。第一作『Frost & Fire』(1980)収録の方が遥かに完成度が高い。不快な電子音は不必要。
4. Eyes
特筆すべき点なし。
5. Better Off Dead
1979年制作。アルバム未収録のデモ音源を収録。
6. 100 MPH
オリジナルとは別ヴァージョンを収録。ヘヴィメタルらしい疾走感に満ち溢れた名曲は変わらず。
7. I’m Alive
オリジナルとは別ヴァージョンを収録。第一作『Frost & Fire』(1980)収録の方か、それ以上の"キリス・ウンゴルらしさ"を発散。
8. Bite of the Worm
特筆すべき点なし。
9. The Twitch
1979年制作。アルバム未収録のデモ音源を収録。
10. Maybe That’s Why
ファンタジックなインストゥルメンタル。 練られた展開を有する。
11. Ill Met in Lankhmar
フリッツ・ライバーのヒロイック・ファンタジー《ファファード&グレイ・マウザー (Fafhrd and the Gray Mouser)》を題材としたインストゥルメンタル。本曲のモチーフは『凶運の都ランクマー(Ill Met in Lankhmar)』(1970)。 エピカルなギターメロディからは、異世界ネーウォンの雰囲気が漂う。
12. Return to Lankhmar
上記と同じ。勇ましく幻想的な原作に相応しく、知的好奇心を刺激する起伏に富んだ内容。
13. Darkness Weaves
1979年制作。アルバム未収録のデモ音源を収録。
14. Witchdance
インストゥルメンタル。
15. Feeding the Ants
インストゥルメンタル。
16. Obsidian
シンフォニックなサウンドを有する勇壮な名曲。ファンタジー観を醸した濃厚なインストゥルメンタル曲であり、アルバム未収録が惜しく感じられる。

CD2:
1. Death of the Sun
オリジナルとは別ヴァージョンを収録。
2. Fire (Arthur Brown cover)
オリジナルとは別ヴァージョンを収録。
3. Fallen Idols
テープ・セッション時の音源を収録。音質がチープであり、コーラスのメロディが聞こえ難い。
4. Chaos Rising
テープ・セッション時の音源を収録。印象的なサビのコーラスは割愛。代わりに前面に押し出されたカルト的なムードのギター・フレーズはオリジナル以上の迫力。名曲は不変。
5. Fallen Idols
デモ・ヴァージョンを収録。"Chaos Rising "と同様、ギターサウンドが前面に押し出された構成。
6. Paradise Lost
テープ・セッション時の音源を収録。オリジナルを遥かに凌駕する鋭角なサウンド、及び強烈にヒロイックなドラマ性はマニア必聴。本作『Servants of Chaos』の最大の売りであろう。
7. Join the Legion
テープ・セッション時の音源を収録。
8. Before the Lash
テープ・セッション時の音源を収録。
9. Atom Smasher
1985年のカリフォルニア州サンタバーバラのアーリントン・シアターで行われたライブ音源を収録。オリジナルより演奏、サウンドが良質。第2作『King of the Dead』の再評価は必至。
10. Master of the Pit
1985年のカリフォルニア州サンタバーバラのアーリントン・シアターで行われたライブ音源を収録。"Atom Smasher"と同様、素晴らしい好演。本曲のヒロイック・ファンタジー的なドラマ性は更に高まっている。
11. King of the Dead
1985年のカリフォルニア州サンタバーバラのアーリントン・シアターで行われたライブ音源を収録。前2曲のために隠れがちだが、こちらも名曲。
12. Last Laugh
1984年のカリフォルニアのカントリー・クラブで行われたライブ音源を収録。
13. Cirith Ungol
1985年のカリフォルニア州サンタバーバラのアーリントン・シアターで行われたライブ音源を収録。
14. Secret Agent Man
アルバム未収録のデモ音源。
15. Ferrari 308QV
アルバム未収録のデモ音源。

DVD:
1. I’m Alive
2. The Black Machine
3. Master Of The Pit
4. King Of The Dead!
5. Death Of The Sun
6. Finger Of Scorn
7. Frost & Fire
8. Cirith Ungol


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CIRITH UNGOL 「Paradise Lost」

Paradise Lost (Reis) (Dig)



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1991
Reviews: 86%
Genre: Epic Metal


アメリカ発祥、カルト・エピック・メタルの神話、キリス・ウンゴルの1991年の4th。


「善悪に関するすべて、混沌と方の対立、我々は、音楽に対しても、同様に二面性があると考えている」
 ──キリス・ウンゴル


1 概要

本作『Paradise Lost』は、1991年に再結成したキリス・ウンゴルが発表した第4作目にあたる。制作メンバーは、ティム・ベイカー(Tim Baker:vo)、ロバート・グレイヴン(Robert Garven:d)、ジム・バラッザ(Jim Barraza:g)、ヴァーノン・グリーン(Vernon Green:b)の4人。アルバムのジャケットにはマイケル・ウェーラン、マイケル・ムアコックの《エルリック・サーガ》シリーズの一篇『この世の海の彼方(Sailor on the seas of fate)』の1976年のオリジナル・ハードカヴァー版を採用。本作のオリジナル盤には長らくプレミア価格が付けられていたが、近年にコレクター盤として再販を果たした。

2 内容

ミルトンの叙事詩に影響を受けたロバート・グレイヴンとティム・ベイカーは、その堕落した、暗澹たる混沌の世界を描くべく、"混沌3部作(The Chaos trilogy)"、または"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"と称される楽曲を制作した。主に『失楽園(Paradise Lost)』を包み込む暗い雰囲気に触発され、ティム・ベイカーが歌詞を書いた。完成した楽曲はそれぞれ"Chaos Rising"、"Fallen Idols"、"Paradise Lost"と名付けられ、本作『Paradise Lost』の最後の部分を飾った。後にこの3部作は、過去のチープさを払拭した高い完成度から、世界各国のエピック・メタルのファンに絶賛され、キリス・ウンゴルを代表する名曲となった。これらはキリス・ウンゴルが生み出した最高の、カルト・エピック・メタルが表現できる極限の陰鬱さを描いた、有終の美を飾るに相応しい、文字通り最後の作品となった。中世時代の壮大な城塞を彷彿とさせる高潔な雰囲気よりも、有史以前の地底の底から沸き上がってきたような暗い雰囲気が支配したキリス・ウンゴルの楽曲は、あの懐かしい『Frost & Fire』(1980)でのデビュー以来、遂に変わることがなかった。1992年、キリス・ウンゴルは再び解散した。

3 評価

充実した内容と重厚な楽曲が物語るように、『Paradise Lost』はファンの間で好評を博した。第2作『King of the Dead』(1984)を快く思わない向きも、この作品だけは抵抗なく聴いた。本作が発表された後、月日が廻り来る当然さのように、各メディアは『Paradise Lost』を評価の秤にかけた。ロサンゼルスの評論家は、"史上最悪のヘヴィメタル・バンド"であるキリス・ウンゴルの新作を散々に酷評した。キリス・ウンゴルの地元カリフォルニアのベンチュラでは、キリス・ウンゴルを批評した記事が大きく誌面を飾った。イギリスのケラング! (Kerrang!)誌では、『Paradise Lost』が高評価を獲得した。アメリカと欧州では、この頃、依然としてエピック・メタルの人気に大きな差違があった。



1. ジョイン・ザ・レギオン
Join the Leigon
重いリズムがワイルドなリフと共に行進するエピック・メタル。後半のドラマティックなソロパートでは早くも漢らしい世界観を発散。キリス・ウンゴルの中ではストレートな部類に入る傑作。

2. トロール
Troll
古代スカンディナビアの民話からインスパイアされた楽曲。重く混沌とした雰囲気が支配するキリス・ウンゴルらしい楽曲であり、メタリックなリフを刻み、急激なテンポ・チェンジを見せるなど、エピック・メタルに相応しい大仰な展開を持つ。

3. ファイア
Fire
イギリスのThe Crazy World Of Arthur Brown(クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウン)のカバー曲。 ティムの奇怪な掛け声を起爆剤に刻まれるエピック・リフが余りにもバーバリック。コンパクトながら、大仰さ、漢らしさを詰め込んだ楽曲。

4. ヘヴン・ヘルプ・アス
Heaven Help Us
メタリックかつドゥーミーに疾走するヒロイックな楽曲。そのエピック・リフと湿った歌声のコントラストは絶妙。この漂う漢らしさ、もはやキリス・ウンゴルのエピック・メタルは、孤高の域に達しているといえよう。ラストの重厚なメロディなど、徹底して聴き手のヒロイズムを鼓舞する名曲である。

5. ビフォア・ザ・ラッシュ
Before the Lash
普通のミドル・テンポ。

6. ゴー・イット・アローン
Go It Alone
一応音程を取ろうとしている楽曲、そして何故か大衆向けに制作されたと思わしきキャッチーさを持っている問題作。本作には不用であろう。

7. カオス・ライジング
Chaos Rising
"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"の1曲目。そして、恐らくキリス・ウンゴルが生み出した楽曲の中で最高の名曲の一つ。しっとりと漂う緊張感、ヒロイックで怪しげな迫真性は異常ともとれる大仰さであり、聴く者に公然と襲いかかってくる。驚くのはコーラスの不気味さであり、何かの儀式の呪文のように厳かに響く。前半の急激なアルペジオ・パート、後半の重厚なエピック・リフへの展開はドラマ性に満ちており、まさにエピック・メタルの金字塔の如き内容。

8. フォーリン・アイドルズ
Fallen Idols
"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"の2曲目。イントロの漢臭い抒情的なフレーズから、劇的さを押しつけんとする圧巻のエピック・メタル大作。"Chaos Rising"と同様、異常なほどのヒロイックなムードに満ちており、独特の世界観へと導く。頭に焼きつくこと必死の不気味なコーラスは、この名曲においても健在である。まさにキリス・ウンゴルを代表する歴史的な名曲。

9. パラダイス・ロスト
Paradise Lost
"ティム・ベイカー3部作(Tim Baker's trilogy)"の最終章であり、キリス・ウンゴルの最終作。勇ましさに満ちた、本当の意味でのラスト・エピックである。この楽曲においては、まさにジャケットのようなヒロイックかつファンタジックな世界が展開される。ギターのエフェクトらしきものを用いたかと思われる、ストリングス系のギターメロディが幻想的な雰囲気を盛り上げる。極めてヒロイック・ファンタジー的世界観に近い名曲であり、果たしてキリス・ウンゴルが何をやろうとしていたのか、そして、自らの功績を見せつけるかのような、とても興味深い意味の込められた作品である。


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CIRITH UNGOL 「One Foot in Hell」

One Foot In Hell



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1986
Reviews: 85%
Genre: Epic Metal


アメリカのエピック・メタルの始祖、80年代に四天王の地位に君臨、キリス・ウンゴルの1986年発表の3rd。


「我々の音楽性は、"エピック・メタル"と一般的に分類されている」
 ──グレッグ・リンドストーム


ロバート・グレイヴン(Robert Garven:d)、ティム・ベイカー(Tim Baker:vo)、ジェリー・フォグル(Jerry Fogle:g)、マイケル・フリント(Michael "Flint" Vujea:b)によって制作。



強烈なB級色とチープな音質で一般層をより遠ざけた──逆にカルト・エピック・メタルのマニアたちからは絶賛された──前作『King of the Dead』(1984)から一変し、キリス・ウンゴルの第3作目にあたる本作『One Foot in Hell』は、大幅に洗練された正統派エピック・メタルのサウンドを収めている。特筆して前半部分は飛躍的な進歩を証明しており、『King of the Dead』のサウンドに衝撃を受けた層からすれば、冒頭の"Blood & Iron"から流れるエピック・メタル・サウンドの完成された世界観に驚くことは必至。なおイギリスの小説家マイケル・ムアコックの《エルリック・サーガ》に触発された"Nadsokor"は、エピック・メタル史に残る名曲。本曲は後にイタリアのエピック・メタル・バンド、ドゥームソードによってカヴァーされ、キリス・ウンゴルはその行為を好意的に受け取った──「キリス・ウンゴルの楽曲をカヴァーをすることは、我々への讃辞の証明である



本作において、絶対的な個性を放つティム・ベイカーの奇声を張り上げるような異様なヴォーカル・スタイルは健在だが、バックに呪文のようなコーラスを大幅に配したことにより、キリス・ウンゴルが追求する混沌としたムードがより大仰に描き出されている。先述の"Nadsokor"、及び強烈な単語を力強く連発する"Chaos Descends"においては、そのダイナミックな要素を堪能することが可能。勇壮な"100 MPH"や"War Eternal"など、ストレートなエピック・メタルの名曲が目白押しである。
今作はキリス・ウンゴルの中で最も安定したエピック・メタル作品であり、捨て曲らしき楽曲は見当たらない。初期キリス・ウンゴルの集大成に相応しい、正統派エピック・メタルの傑作と呼べる作品である。しかし、本作の発表の後、『One Foot in Hell』を担当した「Metal Blade Records」のプロデューサー、ブライアン・スレイゲル(Brian Slagel)がキリス・ウンゴルの方向性を独断で決定しようとしたため、バンド側が揉め、その結果としてキリス・ウンゴルは解散した。契約したレコード会社の対応も頗る悪く、メンバーは精神的に追い詰められていた。当時、音楽業界でヘヴィメタル・バンドの地位は低く、適切な支援を受けることができない立場にあった。その悲劇的な犠牲者談の一つに、キリス・ウンゴルの解散がなおも語られている、ということだ。なお本作は「Metal Blade Records」によって1999年に再発。



1. ブラッド・アンド・アイアン
Blood & Iron
バーバリックにギャロップするリフが興奮を誘う名曲。薄っすらとしたコーラスもいい感じだ。ギターソロでの大仰なドラマ性も、迫真性を感じるほどに進化している。

2. カオス・ディセンズ
Chaos Descends
ヘヴィかつエピカルなリフが刻まれる楽曲。コーラスの醸し出す不気味な雰囲気にはゾクゾクする。幻想小説さながらの迫力を武器に、後半の突如として疾走する劇的なパートには、エピック・メタルを極めた感がある。

3. ファイア
Fire
第4作『Paradise Lost』(1991)収録の同名曲とは別物。これもエピカルさを湛えたリフが秀逸。巧みに静と動を使い分ける。楽曲の雰囲気も剣と魔法の物語を想起させる幻想的なもの。

4. ナドソコル
Nadsokor
《エルリック・サーガ》に登場する廃都「ナドソコル」を曲名に関した名曲。怪しく幻想的なその世界観、そして戦士特有の勇敢さが厳かに表現されており、興奮は必至といえる。各所に導入される呪文のようなコーラスも雰囲気を盛り上げる。後半でのヒロイックかつ激的なパートは、キリス・ウンゴルが生み出した展開の中でも最高の部類。まさに叙事詩と名乗るに相応しい内容。

5. 100 MPH
100 MPH
ヘヴィメタルらしさを追求した疾走曲。大仰なギターソロが冴える。

6. ウォー・エターナル
War Eternal
漢の哀愁をにじませるイントロのギターメロディが素晴らしい。絶叫のコーラスの放つバーバリックなヒロイズムもインパクトがある。最後のスロウなパートでもドラマ性を演出し、戦士のロマンティシズムを感じさせる名曲である。

7. ドゥームド・プラネット
Doomed Planet
やや平凡な楽曲。

8. ワン・フット・イン・ヘル
One Foot in Hell
タイトルトラック。オーソドックなタイプのヘヴィメタル曲で、好演をしている。


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CIRITH UNGOL 「King of the Dead」

King Of The Dead



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1984
Reviews: 78%
Genre: Epic Metal


アメリカ発祥、カルト・エピック・メタルの神話、キリス・ウンゴルの1984年の2nd。


「我々は多くのファンタジー、及びソード・アンド・ソーサリー文学を読む。故に、我々の楽曲の殆どに空想叙事詩的な歌詞が登場するのは当然のことだ」
 ──グレッグ・リンドストーム


ロバート・グレイヴン(Robert Garven:d)、ティム・ベイカー(Tim Baker:vo)、ジェリー・フォグル(Jerry Fogle:g)、マイケル・フリント(Michael "Flint" Vujea:b)によって制作。グレッグ・リンドストーム(Greg Lindstrom)は大学に通うためにバンドを脱退した。



米カリフォルニア出身のエピック・メタルの始祖、キリス・ウンゴルの正式な第2作目にあたる本作『King of the Dead』は、前作『Frost & Fire』(1980)では不充分であった楽曲の完成度、及び特徴的なその世界観をサウンド面で追求することにより、大幅な進化を遂げた作品である。美しく幻想的なカヴァー・アートワークは、前作と同様に巨匠マイケル・ウェーランの手によるもの。驚くのは、その大仰なアルバム・ジャケットと本作の中身とが殆ど一緒であるという点にある。依然として音質はチープだが、それはカルト・エピック・メタルの避けられない宿命として、本作に対して、一部の熱狂的なファンは"キリス・ウンゴルのベスト・アルバム(Cirith Ungols Best Album)"と評価している。この意見は賛否両論に分かれる。
本作を語る上で重要なのは、各楽曲の持つドラマ性が著しく向上した、という点である。コンパクトにまとめられた『Frost & Fire』を軽く凌駕する大作志向を前面に押し出し、楽曲の展開はプログレッシブな波乱に満ちている。時には想像もしないような、急な展開を聴かせることもある。同時に、大仰なヒロイズムが作品の全体を覆っている点にも注目したい。サウンドは極めてエピカルかつドゥーミー、ギャロップするドラマティックなリフは、キリス・ウンゴルのエピック・メタルのスタイルを確立している。楽曲に漂うヒロイックなムードは、初期からキリス・ウンゴルが強く意識していたソード・アンド・ソーサリー(剣と魔法)の世界観である。その雰囲気は地下特有の怪しさに満ちており、時には熱心なそれらのファンを興奮させるに至る。エピック・メタルの至宝的な今作だが、中でも突出して"Finger of Scorn"の放つエピカルさ、及びヒロイック・ファンタジー的な世界観は衝撃的である。エピック・メタル・ファンなら迷わず、この名曲を聴いておくべきであろう。その他、混沌かつ荘厳としたタイトル曲"King of the Dead"、トールキンの小説から拝借したバンド名を冠した"Cirith Ungol"等、名曲は多い。また、作曲家バッハの楽曲をアレンジしたインストゥルメンタル"Toccata in Dm"を収録するなど、意外な音楽性も垣間見える。



普段普通に生活を繰り返していてもこのような、珍妙な作品には絶対に出会わない。キリス・ウンゴルの作品で聴くことができるエピック・メタルは、一般的な音楽ジャンルでは決してないからだ。「知る人ぞ知る」という言葉の如く、これらは脈脈と受け継がれてきた。未読の幻想小説があるように、キリス・ウンゴルの追求した世界観は興味深い要素で満ち溢れている。キリス・ウンゴルの創始者、グレッグ・リンドストームとロバート・グレイヴンがファンタジーやSFについて語ったインタビューがある──どうやらグレッグ・リンドストームは、長い間ファンタジーとSFの熱心なファンであったらしい。ジャック・ヴァンスによる地球最後の大陸ゾティークを舞台とした《滅びゆく地球》、フリッツ・ライバー(*注釈)による北方の野蛮人と魔術師くずれの都会人が奇想天外な冒険を繰り広げる《ファファード&グレイ・マウザー》、有名なマイケル・ムアコックのアンチ・ヒロイック・ファンタジー《エルリック・サーガ》がお気に入りであった。恐らくキリス・ウンゴルの二人は、ソード・アンド・ソーサリー(剣と魔法)の小説を殆ど読んでいた。彼らが手を出した作品の中には、あのロバート・E・ハワードの《コナン》、《ブラン・マク・モーン》なども混じっていた。
これらの過去のヒロイック・ファンタジー小説が、キリス・ウンゴルの音楽性と精神性に多大な影響を与えていた。そして間違いなく、この特別な要素がキリス・ウンゴルのエピック・メタルの礎を築いていた。例えば、少年期に始めて「剣と魔法」小説を読んだ時に刺激された知的好奇心や、興奮で高鳴る胸の内を思い出してもらいたい。キリス・ウンゴルは幻想小説が担うべき本来の役割を、聴覚から入り、エピック・メタルで果たしてしまったのである。これは画期的なことであった。キリス・ウンゴルのような幻想文学を音楽作品に取り入れたエピック・メタル・バンドの登場によって、我々は一日かけて読破するはずの小説の内容を、およそ30分間で味わえるようになった。これは恐ろしい発明である。なぜなら、かつて幻想文学に憧れた少年たちが創造したエピック・メタルには、小説よりも明らかな速攻性があったからだ。
結局のところ、現在に至るまで、エピック・メタルに必要な精神性はキリス・ウンゴルが追求したそれと何ら変わっていない。人間の本能的な探求心や知的好奇心が失われない限り、既に大昔に失われた叙事詩や異世界での出来事、及び英雄行為などを演劇の如く再現して、エピック・メタルはこれからも人々の知性を刺激し、空想のような壮大なイメージを膨らませ、目と耳を楽しませていくことであろう。

*注釈:Fritz Leiber(1910 - 1992)。アメリカのSF、ファンタジー作家。ここで挙げられた《ファファード&グレイ・マウザー》は、異世界ネーウォンを舞台とする、彼の代表的な「剣と魔法」小説である。この「剣と魔法」(Swords & Sorcery)という、今でこそ広く用いられている言葉は、彼が世界で最初の名付け親である。代表作は『凶運の都ランクマー』。



1. アトム・スマッシャー
Atom Smasher
一般のエピック・メタル・マニアでなければ、この楽曲の歌メロを一瞬聴いただけで、本作はお開きとなる。後半の大仰なテンポ・チェンジ、劈くようなギターメロディを耳にしただけでエピカルなのだが。

2. ブラック・マシーン
Black Machine
ドゥーミーでヒロイックなムードを醸し出すリズムが、ドラマティックな楽曲である。またリフを刻んだ後、急にミドル・テンポのドラムが駆け出すのも、大仰なドラマ性に拍車をかける。漢らしさも十分だ。

3. マスター・オブ・ザ・ピット
Master of the Pit
ヒロイック・ファンタジー的な混沌としたイントロを聴くだけで興奮が蘇る。漢らしくエピカルなリフが随所に聴かれ、そのリフが刻まれる度にドラムが微妙な疾走をするところも堪らなく良い。後半の盛り上がりを見せる疾走パートはエピックとしか形容できない。忠実に剣と魔法の世界が描かれている。

4. キング・オブ・ザ・デッド
King of the Dead
暗く、重く、シリアスであり、幻想的で厳かな雰囲気を醸し出すタイトル曲。確かに音質やプロダクション、演奏技術は決して高くはないが、随所に魅力的なパートがある。後半のパートなどは特に大仰さが滲み出ている。

5. デス・オブ・ザ・サン
Death of the Sun
ティム・ベイカーが奇声を発しながら疾走する楽曲。しかしこの本曲も大仰さが半端ではない。

6. フィンガー・オブ・スコーン
Finger of Scorn
以外にもアコースティック・ギターで幕を開ける、幻想大作とでもいうべき本作最大のハイライトである。アコースティック・パートでの音色は古めかしく、ファンタジー文学を彷彿させるものであり、その美しさには感動すら覚える。楽曲の進み方も前半以上に緩急のあるドラマ性に満ちたものであり、エピック・メタルのなんたるかを体現している。ギターソロのメロディも驚くほどヒロイックかつファンタジックなフレーズを繰り出している。後半のアコースティック・ギターが再度登場するパートでは、恰も剣と魔法の小説を読んでいる時と同等のもの悲しい感情を味わうことができる。

7. トッカータ・イン・Dm
Toccata in Dm
クラシックの定番曲のギターインスト。漂う雰囲気からヒロイック・ヴァージョンとも形容可能。

8. キリス・ウンゴル
Cirith Ungol
バンド名を冠したラスト・トラック。剣と魔法の世界特有の哀愁と、微かなロマンを匂わせる、後半のギターメロディが胸を打つ内容。大仰かつドラマティックな、見事な大作。

9. ラスト・ラフ
Last Laugh
ボーナス・トラック。


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CIRITH UNGOL 「Frost & Fire」

Frost And Fire



Country: United States
Type: Full-length
Release: 1980
Reviews: 67%
Genre: Epic Metal


アメリカのエピック・メタルの始祖、80年代エピック・メタル四天王、キリス・ウンゴルの1980年発表の1st。


「史上最悪のヘヴィメタル・アルバム」
 ──Heavy Metal Encyclopedia


『Frost & Fire』について...
"エピック・メタル(EPIC METAL)"と称される大仰なヘヴィメタルの起源は、マニラ・ロードの『Invasion』(1980)かキリス・ウンゴルの『Frost & Fire』にあると考えられている。何れもアメリカのアンダーグラウンドから登場したマニアックなバンドであり、その名は一部の地域を除いては殆ど知られていなかった。影に覆われた歴史のように、音楽業界の表舞台で華やかな授賞式が催されていたその地下で、彼らは辛酸を舐め、葛藤を乗り越え、どんよりとしたこれらの歴史は幕開けた。80年代初期、ロックから正当に進化したヘヴィメタルが地下で更にプログレッシブに変容されていくと、大仰なドラマ性を追求する独自のスタイルが誕生し始めた。
マニラ・ロード、ヴァージン・スティール、マノウォーと並びエピック・ヘヴィメタルの四天王の地位に君臨した米カリフォルニアのキリス・ウンゴルは、1972年に結成された。トールキンの『指輪物語』からバンド名を拝借したキリス・ウンゴルは、グレッグ・リンドストーム(Greg Lindstrom:g)、ロバート・グレイヴン(Robert Garven:d)、ティム・ベイカー(Tim Baker:vo)を中心に活動し、イギリスのバンド、ホークウィンドの提示した前衛的なプログレッシブ・ロックのスタイルに影響を受けた。幻想文学の小説が聖書であったキリス・ウンゴルのメンバーたちは、その方向性を作品に持ち込むことに何ら抵抗はなかった。
1980年、キリス・ウンゴルの第一作『Frost & Fire』が発表された。本作には興味深い話がある。米ファンタジー・アートの巨匠、マイケル・ウェーラン(*注釈)が描いた、イギリスの作家マイケル・ムアコックの代表作『ストームブリンガー(Stormbringer)』のカヴァー・アートワークはどの角度から拝見しても素晴らしいものだ。意外な事実では、キリス・ウンゴルは始めフランク・フラゼッタを起用しようと考えていた。しかし、同国のサザン・ロック・バンド、モリー・ハチェット(MOLLY HATCHET)に先を越されてしまった。キリス・ウンゴルはアルバム・ジャケットの案で揉めたが、マイケル・ウェーランが好意的な態度でイラストの使用を許可したため、ここに『ストームブリンガー』のオリジナル・ハードカバーとヘヴィメタルとの画期的なコラボレーションが実現するに至った。これはヘヴィメタルとヒロイック・ファンタジーの最初の出会いであった。エピック・メタル史において重要な出来事であり、ファンタジックなイメージを持つアートワークとエピカルなサウンドは、二つで一つとなることを選んだ。後にグレッグ・リンドストームは、キリス・ウンゴル史における最良のアルバム・カヴァーとして、本作『Frost & Fire』のカヴァーを選出している。
楽曲の面では、グレッグ・リンドストームが全面的に関わり、後にカルト的と称される特異なヘヴィメタルを生み出した。特にティム・ベイカーの奇声を張り上げるようなヴォーカル・スタイルは凄絶であったが、一般層からは強烈な嫌悪で持って避けられた。本作が発表されたのが未だヘヴィメタルのサウンドが完全に確立されていない時代でもあり、音質面で決定的な欠陥を残していた。しかし、世界各地のファンの反応は好意的であった、とキリス・ウンゴルのメンバーは証言を残している。この時代において、幻想文学の世界観に傾倒したエピカルなヘヴィメタルのスタイルは斬新であったようだ。このスタイルが"エピック・メタル"と称されるに至るには、マニラ・ロードの登場を待たなくてはならなかった。
Frost & Fire』の収録曲の内容には差が生じていた。アップ・テンポで突き進む"Frost and Fire"は名曲と呼ぶに相応しく、キリス・ウンゴルの追求するヒロイックかつファンタジックな世界観が表現された記念すべき楽曲である。エピカルなムードをメロディアスに発散した"I'm Alive"やインストゥルメンタルの"Maybe That's Why"なども魅力的だが、その他の楽曲はサウンドがチープさを極めており、御世辞にも高く評価できるものではなかった。飽くまでマニア向けの、地下の薄暗いムードが充満するアンダーグラウンド音楽に過ぎなかった。潔く歴史を振り返れば、恐らくこれがエピック・メタル史の始まりであったと思う。なお本作の経歴は「Enigma Records」によって1981年に再発、「Metal Blade Records」によって1999年に再発、である。

*注釈:Michael Whelan。アメリカ合衆国のイラストレーター。ファンタジィ、SFアートワークの重鎮として世界的に有名。ロバート・E・ハワードの『蛮人コナン』シリーズ、エドガー・ライス・バロウズの『火星』シリーズ、『ターザン』シリーズなどの幻想的な挿絵を得意とする。



1. フロスト・アンド・ファイア
Frost and Fire
エピック・メタルというジャンルのカルト的な幕開けを物語る、キリス・ウンゴルの歴史の記念すべき第一曲目。ヒロイックさを湛えたリードギターのメロディ、薄くギャロップするリズムなど魅力は非常に多い。

2. アイム・アライヴ
I'm Alive
以外にもヒロイック・ファンタジー的内容で衝撃を与える。中間部のソロ・パートの音色は絶品。非常に今日のカルト・エピック・メタル、またその原形に近いといえる楽曲だ。展開にも静と動を設けるなど、大仰さとドラマ性が見え隠れしている。雰囲気もシリアスなもの。

3. リトル・ファイア
Little Fire
特筆すべき点はない。

4. ホワット・ダズ・イット・テイク
What Does It Take
コンピューター・ゲームのようなファンタジックなエフェクトを盛り込んだ興味深い楽曲。何処かRPGゲームを思わせる部分がある。

5. エッジ・オブ・ア・ナイフ
Edge of a Knife
やや歌い回しがファニー。

6. ビフォア・オフ・デッド
Better off Dead
メタルらしくない、古典的なロック。

7. メイビー・ザッツ・ホワイ
Maybe That's Why
インストゥルメンタル。冒頭から永遠と続く悲壮感に満ちたメロディはドラマティックといえよう。ラストのファンタジックなパートは多少耳を奪う。

8. キリス・ウンゴル
Cirith Ungol
ボーナストラック。


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